自律神経失調症で仕事がつらい…。
休職したいのだけど、“甘え”って思われる?
自律神経失調症の場合の「休む必要性」について、お医者さんに聞きました。
診断書の依頼や休職手当の申請など、休職前に必要な準備についても解説します。
監修者
経歴
福島県立医科大学卒業
「働く人を支える」薬に依存しない医療を展開する「BESLI CLINIC」を2014年に協同創設、2030年を基準に医療現場から社会を支える医療経営を実践しています。
産業医視点からビジネスマン・ビジネスウーマンを支えております。生薬ベースの漢方内科での経験を活かし、腹診を含めた四診から和漢・井穴刺絡などの東洋医学を扱い、ホルモン、生活習慣をベースに身体から心にアプローチする診療を担当。米国マウントサイナイ大学病院へ留学、ハーバード大学TMSコースを修了。TMSをクリニックへ導入、日本人に合わせたTMSの技術指導、統括を行っています。
自律神経失調症で「休職」は甘え?
自律神経失調症で休職することは、決して“甘え”ではありません。
体調を戻して、本来のパフォーマンスを発揮するためにも、ときにはしっかりと休むことも必要です。
自律神経失調症の状態だと、疲れやすくなり、仕事中の集中力も落ちやすくなります。
その影響で、「ミスが増える」「同じ動作を繰り返すのが難しくなる」など、仕事に支障をきたすことも多いです。
心身へのストレスも大きくなるため、放置していると「うつ病」などの心の病気を発症するリスクも高まります。
「休職」を検討する症状の目安は?
上記のような症状により、「仕事に支障をきたす」「集中できず、パフォーマンスが上がらない」といった場合は、休みをとることを検討しましょう。
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2022-08-26
原因不明の体調不良で、働けない…。
もしかして、病気?
考えられる原因をお医者さんに聞きました。
原因別の症状をチェックしてみましょう。相談できる診療科についても解説します。
原因不明の体調不良で「働けない…」
原因不明の体調不良で仕事になりません…。どうしたらいいでしょうか?
まず会社に相談し(※)、その後に医療機関で受診しましょう。
仕事ができなくなるほどの体調不良は、治療が必要な状態です。
症状が長引いている場合は、休職が必要になるケースもあります。
※会社に相談しにくいようでしたら、先に病院で受診してもかまいません。
休職する場合は、会社から診断書を求められるケースが多いです。
医師の診察を受け、必要に応じて診断書を発行してもらいましょう。
何科で受診すればいい?
受診すべき診療科は、現れている症状によって変わってきます。
以下の表を参考にしてください。
症状
おすすめの診療科
疲労感・頭痛・微熱などの「全身症状」が出ている。
内科
体調不良に加えて、イライラ・焦り・憂鬱などの「精神的な症状」が強く出ている。
心療内科
主に耳鳴り・めまいの症状がある。
耳鼻いんこう科
40代以降の女性で、ほてり・めまい・関節痛などがある。
婦人科
40代以降の男性で、ほてり・めまい・関節痛に加えて、性欲の低下や性機能障害(ED)を伴う。
泌尿器科
どの診療科に行くべきか悩む場合は、まずは「内科」で受診するとよいでしょう。
内科を探す
心療内科を探す
耳鼻いんこう科を探す
婦人科を探す
泌尿器科を探す
考えられる3つの原因
働けないほどの体調不良の場合、
自律神経失調症
うつ病
更年期障害(40代以降の方)
などの原因が考えられます。
原因① 自律神経失調症
自律神経失調症とは、自律神経のバランスが崩れることによって、様々な不調が生じる病気です。
症状が悪化すると、仕事ができなくなることも珍しくありません。
「自律神経失調症」の症状例
だるい・疲れがとれない
頭痛・動悸・息切れ・めまい・のぼせ・立ちくらみ
下痢・便秘
冷え
情緒不安定・イライラ・不安感
不眠
自律神経には、「交感神経」と「副交感神経」の2種類があり、これらは環境に合わせて心身を調整してくれています。
しかし、不規則な生活やストレスによって自律神経のバランスが崩れると、この2つの神経がうまく機能しなくなってしまいます。
すると、心身に様々な症状が現れるようになり、体を動かすことができなくなることもあります。
どんな人がなりやすい?
不規則な生活を送っている人
ストレスが溜まっている人
ホルモンバランスが乱れている人
上記に当てはまる人に多いです。
年齢や性別に関係なく、誰でも発症する可能性があります。
「自律神経失調症」かも、どうすれば?
仕事ができないレベルであれば、重症化している可能性も考えられます。
早めに病院で受診してください。
以下の表を参考にして、症状に応じた診療科で受診しましょう。
悩むときは、内科の受診がおすすめです。
症状
おすすめの診療科
疲労感・頭痛・微熱などの「全身症状」が出ている。
内科
体調不良に加えて、イライラ・焦り・憂鬱などの「精神的な症状」が強く出ている。
心療内科
耳鳴り・めまいの症状が強い。
耳鼻いんこう科
内科を探す
心療内科を探す
耳鼻いんこう科を探す
原因② うつ病
うつ病は、精神的ストレスや身体的ストレスなどを背景に、脳がうまく働かなくなっている状態です。
「うつ病」の症状例
何も楽しい・嬉しいと感じない
涙が止まらない
話しかけられたときの反応が鈍い
落ち着かないことが多い
表情が乏しい
自分を責めている
不眠・過眠
倦怠感で起きられない日が続く
性欲がなくなる
頭痛
肩こり
冷え
どんな人がなりやすい?
ストレス
過度の疲労
環境の変化
出産
などをキッカケとして、発症することがあります。
ただし、発症の原因は正確にはわかっていません。
「うつ病」かも、どうすれば?
うつ病が疑われるときは、できるだけ早く「心療内科」で受診してください。
放置していると、症状が悪化して社会復帰に時間がかかるケースもあります。
心療内科を探す
原因③ 更年期障害(40代以降の方)
更年期障害とは、女性ホルモン(または男性ホルモン)が加齢に伴って減少することにより、上手く体が機能しなくなってしまう状態です。
「更年期障害」の症状例
のぼせ・顔のほてり
動悸・息切れ
異常な発汗
血圧が上下する
頭痛
めまい
耳鳴り
腰・膝の関節痛
イライラ・不安感
不眠
生理不順 ※女性の場合
性機能障害(ED)※男性の場合
女性の場合、「女性ホルモン」が心身の機能をサポートする手助けをしていますが、更年期はこのホルモンが一気に減少するため、その落差によって様々な不調を起こします。
男性の場合は、40代以降から男性ホルモンが緩やかに減少し始め、様々な心身の不調を引き起こします。
どんな人がなりやすい?
更年期障害は、性別にかかわらず、40代以降であれば誰でもなる可能性があります。
また、生活リズムの乱れている人ほど、更年期症状が強く出やすいと考えられています。
「更年期障害」かも、どうすれば?
働けないほどの体調不良であれば、更年期障害が重症化していると考えられます。
早めに病院で受診しましょう。
女性の場合は「婦人科」、男性の場合は「泌尿器科」で受診するとよいでしょう。
婦人科を探す
泌尿器科を探す
体調が整いやすくなる「5つの習慣」
7~8時間程度の質の良い睡眠をとる
起床したらカーテンを開けて、日光を浴びる
1日3食、主菜・副菜・主食を揃えた食事をとる
ウォーキング・ストレッチなどの軽い運動を行う
適度に休息する(頑張り過ぎない)
原因不明の体調不良は、自律神経の乱れが関係していることが多いです。
上記の5つの点を心がけて生活リズムを整えると、徐々に快方に向かっていく可能性があります。
長引く体調不良は、放置せず医師に相談を!
働けないほどの体調不良は、体だけでなく心に悪影響が出ることも多いです。
症状を悪化させないためにも、不調が続くときは早めに病院で受診することをおすすめします。
まず内科で診てもらいましょう。
受診の際は、下記の点を医師に伝えると、診察がスムーズに進むと考えられます。
医師に症状を伝えるときのポイント
悩んでいる症状
症状が出始めた時期
仕事で悩んでいることがないか(業務量・人間関係など)
休みがとれているか
今までに患ったことのある病気
現在飲んでいる薬
内科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
うつ病
仕事を続ける上で心がけるポイント
自律神経失調症の症状がある方は、できる限り心身の負担を軽減する必要があります。
- 症状がつらいことを周囲に伝える
- 業務量を調整してもらう
仕事を続ける場合には、上記の2点が重要です。
ポイント① 症状がつらいことを周囲に伝える
まずは、自律神経失調症を患っていることを、会社や上司に伝えましょう。
心身の不調があることを周囲に知っておいてもらうことで、仕事のパフォーマンスが下がってしまった場合にも理解が得られやすくなります。
会社に「産業医」や「保健師」がいる場合は、事前に相談しておくとよいでしょう。
ポイント➁ 業務量を調整してもらう
仕事で無理に頑張りすぎてしまうと、症状が悪化するリスクがあります。
自分ができる業務量や仕事の範囲を会社と共有し、調整してもらいましょう。
また、「時短勤務」など、会社の制度で利用できるものがないか、人事部に相談するのもよいでしょう。
自律神経失調症で休職する前に準備しておくこと
自律神経失調症で休職する前には、以下の5点について、事前に確認・準備しておきましょう。
- 休職が可能か会社に確認する
- 医師に診断書を依頼する
- 休病手当金(休職手当)の申請をする
- 業務の引き継ぎをしておく
- 休職の期間・復職の目安を設定しておく
これらの事前準備は、休職の手続きや、復職後にスムーズに仕事を再開するために必要となります。
準備① 休職が可能か会社に確認する
まずは、会社の制度として休職が可能か、上司や人事部に確認をとりましょう。
休職に必要な書類についても確認しておくとよいでしょう。
準備② 医師に診断書を依頼する
病気や体調不良により休職する場合は、「医師の診断書」が必要になることが多いです。
かかりつけ医に診断書を依頼しましょう。
診断書をもとに、会社で休職の手続きが進められます。
診断書がない場合、「自己都合の休職扱い」となってしまうリスクがあります。
なお、診断書は、希望すれば必ず発行してもらえるものではありません。
医学的な視点から、医師が「社会的な調整が必要」と診断した場合に発行されます。
準備③ 傷病手当金(休職手当)の申請をする
担当部署に確認して、「傷病手当金」の申請に必要な書類を用意しましょう。
手当金の申請は、一般的に事業主が行います。
「傷病手当金」は、休職中も一定の割合で給与が支給される保険的な制度です。
休職中の生活に必要なお金になります。
手当が支給されないと、預金だけで休職期間を過ごすことになってしまいます。
準備④ 業務の引き継ぎをしておく
休職前に、職場の中で引き継ぎを行います。
自分が担っていた業務を整理して、引き継ぎ資料を用意しておくといいでしょう。
休職中も滞りなく仕事を進むようにしておくと安心です。
復帰する際にも、業務がスムーズに再開できます。
※医師から「一刻も早く休みが必要」と診断された場合は、無理せず引き継ぎは会社にお任せしましょう。
準備⑤ 休職期間・復職の目安を設定する
「どの程度の期間休職するのか」「体調がどの程度まで戻ったら復職が可能なのか」を相談しておくとよいでしょう。
目安を設けておかないと、復職のための準備ができず、離職につながるケースもあります。
病院は何科で相談すればいい?
まだ医師の診断を受けていない方は、以下を参考にして、ご自分の症状に合った診療科を受診してください。
症状
|
おすすめの診療科
|
などの「全身症状」が出ている
|
内科
|
などのストレス症状が強い
|
精神科・心療内科
|
受診先に迷う場合は、まずは「内科」に相談しましょう。
内科を探す
心療内科を探す
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2020-06-08
「職場や学校に提出する診断書がほしい」
心療内科を受診して、診断書をもらうまでの流れをお医者さんに聞きました。
「初診当日でも、頼めばもらえる?」「お金はどれくらいかかるの?」といった質問にも答えます。
心療内科の診断書のもらい方
医師に「診断書を発行してほしいです」と相談してみましょう。
そこで医師が「診断書を発行することができる」と判断した場合に、発行してもらうことができます。病院によっては、専用の窓口で申請する場合もあります。
申請した当日(場合によっては後日)診断書を受け取ります。
診断書をもらうために医師に伝えること
まず、出ている症状を詳しく伝えてください。
その上で、どのような目的があって診断書を書いて欲しいかを率直に伝えましょう。
心の症状
体の症状
診断書を発行する目的(会社に提出する 等)
の3ポイントを伝えるとよいでしょう。
ちゃんと伝えられるか心配…
今まで心療内科に行ったことがないので、お医者さんにうまく伝えられるか心配です…。
伝えたいことを事前にメモしてまとめておくと、診察の際スムーズにお話しやすくなるのでおすすめです。
<まとめておくとよいこと>
受診に至った経緯
困っていること
いつから困っているか
症状がでるタイミング
どんな症状がでるか
ストレスの要因
心療内科の医師は、心と体の症状の専門家です。安心して相談してくださいね。
診断書を「もらえるケース」と「もらえないケース」
心療内科を受診しても、診断書を「もらえるケース」と「もらえないケース」があります。
診断書がもらえるケース
医師が「診断書を発行する必要がある」と判断すれば、診断書をもらうことができます。
例えば、休職の診断書の場合、
休職が必要な病状である
休職することで改善が見込まれる
仕事を休んで療養する必要がある
と医師によって判断された場合、診断書を発行します。
診断書がもらえないケース
医師が「休職が必要な病状ではない」と判断した場合、診断書はもらえません。
原則、医師は診断書を患者から依頼された場合には、正当な理由がない限り断ることはありません。ただし虚偽の診断書を発行することは法律で禁止されています。
例えば、休職が必要な状態ではないにも関わらず、仕事を休むことを目的として診断書を依頼していると考えられる場合には、診断書の発行を断ることもあります。
初診当日でも、診断書はもらえる?
医師が患者の状態を診て、「すぐにでも休職が必要な病状で、休職によって改善が見込まれるため、仕事を休んで自宅で療養する必要がある」と判断した場合には、初診でも診断書を発行してもらえることがあります。
しかし、症状によっては、休職が必要な病状かどうか判断するために、経過観察が必要な場合もあるため、初診では診断書を発行してもらえないこともあります。
また、大きな病院では、診断書の作成に時間を要するため、後日受け取りになることもあります。
予約したほうがいい?
心療内科は予約が必要なところも多いです。
また、診断書が必要な際は、予約時に「診断書がほしい」旨を相談をし、受診当日は時間に余裕をもって受診するのが望ましいです。
心療内科を探す
受診の際の「持ち物」
診断書発行の際は、次のものを忘れずに持参しましょう。
保険証
保険診療の場合は病院で診察を受ける際に保険証が必要となります。
お金
診断書の費用をお支払いするための現金やカードを持っていきましょう。
カードが使用できない医療機関もあるため事前に確認することをおすすめします。
自分の病状や状態をまとめたメモ(必要であれば)
今までの病状や、状態を紙にまとめて持参すると、伝えたいことがスムーズに話せます。
会社指定の診断書(必要であれば)
提出先の会社や学校で指定された診断書様式がある場合は、受診の際に持参してください。
診断書の内容
診断書には、「病名」「治療を行なっている旨」「休職・休学の期間」「環境調整の見解」等が記載されます。
「病名」が診断されるまで時間がかかる場合もあり、病状を記すケースもあります。
「環境調整の見解」とは、復帰後の労働環境について会社と交渉する場合に必要な項目で、次のようなことが記載されます。
<環境調整の見解の具体的な記載例>
配置転換や移動などの環境調整が望ましい。
生活リズムを一定に保つことが望ましい。
通院を継続することが望ましい
対人不安は段階的な改善が望ましい。
〇〇の作業は避けることが望ましい。
自宅療養を要する。
診断書にかかる「費用」
病院や診断書の形式によっても値段は異なりますので、一概には言えませんが、一般的には2000円から10000円ほどで発行する場合が多いです。
診断書に、強制力はあるの?
会社側は診断書の指示に従う義務はありませんが、従業員に適切な措置をせずに、病気が悪化等した場合には、安全配慮義務※違反などで会社の責任が問われます。
診断書の対応が難しいと会社側が判断する場合は、その会社で選任されている産業医※と診断書を発行した医師とがやり取りをして、相談し、適切に対処する必要があります。
※安全配慮義務…企業に義務付けられるもので、労働者の命や身体等の安全を確保しつつ労働ができるように配慮すること。
※産業医…労働者が、健康で快適な作業環境の中で仕事が行えるように、専門的な立場から指導・助言を行う役割の医師。
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2023-01-19
メンタル不調を抱える方向けに、社会復帰に役立つ情報を配信する『脱うつリヴァトレCh.』。
今回紹介する動画では、リワークについて、臨床心理士さんがわかりやすく解説しています。
「リワークって具体的にどういうものなの?」
「リワークのメリットやデメリットが知りたい!」
復職を希望されていて、リワークについて詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
※動画による解説は記事末尾から
そもそも、リワークとは?
リワークとは、うつ病などの精神疾患により休職をして療養期間を経た方が、職場復帰のために行うトレーニングのことです。
様々な職場復帰支援プログラムを通じて、病気の再発リスクを軽減しつつ、本格的な職場復帰へとスムーズに移行させるのが狙いです。
リワークは大きく分けて4種類ある!
リワークは大きく分けて4種類あり、それぞれ実施されている機関や対象者の条件が異なります。
医療リワーク
精神科・心療内科などの医療機関で実施されている。
うつ病などで休職している方で、復職の意欲がある方が対象。
職リハリワーク
各県の地域障害者職業センターで「職場復帰支援」の名称で行われている。
センターの職員が、求職者本人と雇用主、主治医をコーディネートして、三者の合意後に実施される。
職場リワーク
企業内で実施される、復職支援のプログラム。
例として、内部に専門部署や医療機関を持つ企業・役所で行われている職場復帰訓練制度などが挙げられる。
民間系リワーク
企業NPOなど民間団体によって行われているプログラム。
うつ病などの精神疾患があり、復職の意欲がある方が対象。復職の意欲がある方なら、失業中でも利用可能。
ここからは、それぞれのリワークの特徴を詳しく解説していきます。メリットやデメリットまで、しっかりチェックしていきましょう。
各リワークの特徴|メリット&デメリットは?【体験談あり】
① 医療リワーク
医療リワークは、精神科・心療内科などの医療機関で行われています。うつ病などの精神疾患で休職している方で、復職の意欲がある方が対象です。
リハビリの意味合いが強く、再休職の予防を最終目標としています。
リワークの期間は本人の体調やプログラムによって異なり、数ヶ月のケースもあれば、1年以上かけて終了するケースもあります。
医療リワークでは、健康保険だけでなく自立支援医療制度※が利用できます。そのため料金の自己負担額は、健康保険の適用で3割、自立支援医療制度を利用すれば1割に抑えることが可能です。
1日あたりにすると、約600円から700円で利用できます。
自律支援医療では、前年度の世帯所得により、1ヶ月あたりの自己負担額の上限が0円から2万円で設定されます。
そのため、上限金額以上の医療費を支払う必要がなくなります。
自立支援医療制度とは…
精神疾患などの治療にかかる医療費の自己負担額を軽減する公的な制度のこと。
▼参考
自立支援医療制度の概要|厚生労働省
医療リワークのメリット
スタッフに専門家が在籍していることが多い
プログラムの一環として治療も含まれている
医療リワークは、専門医・看護師・保健師・臨床心理士など、スタッフに専門家が在籍していることが多く、安心感があります。
また、プログラムの一環として、病状の回復と安定を目的とした治療が含まれていることもメリットです。
専門家に見てもらうことが一番だと思いお医者様の居る医療リワークを選びました。
こちらの精神状態への配慮や、復帰までのスピード調整等、私生活では考えられないほど慎重かつ丁寧に対応いただきました。おかげで再発することなく職場復帰ができました。
(29歳 男性)
知り合いに医療リワークに詳しい人がいて、病院を紹介してもらいました。会話・言語のリハビリも兼ねて、対人コミュニケーションの練習もできて良かったです。また、費用も保険適用で支払いできました。
(32歳 女性)
医療リワークのデメリット
失業中だと利用できない
どこの医療機関でも実施しているわけではない
医療リワークは、復職意欲のある休職中の方が対象です。そのため、失業中は利用できません。
また、限られた医療機関でしか実施されていないので、もともと通院していた病院や主治医の変更が必要となるケースもあります。
強いてデメリットをあげるとすれば、医療機関なので感染症患者さんが運ばれてくることもあり、病気の感染は心配ではありました。
(29歳 男性)
② 職リハリワーク
各県の地域障害者職業センターが、職場復帰支援の名称で実施しています。
センターの職員が求職者本人と雇用主、主治医をコーディネートして、三者の合意後に職業リハビリテーションを実施します。
リワークの期間は、約12週から16週間です。
職リハリワークは、職場への適用に向けて雇用を支援するために行われるので、治療は目的としていません。
職リハリワークのメリット
基本的に費用は無料(一部有料の施設もあり)
事業者に対しても助言や支援を行う
疾患を持つ方の就労・就活のノウハウが豊富
職リハリワークは、無料で利用できるケースが多いです。ただし、施設によって有料の場合もあるので、事前に確認が必要です。
また、休職者本人だけではなく、事業者に対しても助言や支援を行うので、よりスムーズな復職を目指せる可能性が高いです。
障害や疾患がある方の就労や就職に関するノウハウが豊富なので、具体的なアドバイスが受けられるのもメリットです。
会社の産業医の指定で、リワークセンター(公営)を利用しました。
当時、赴任していた三重から名古屋へ週5日、まずは通うことからリズムづくりを開始。同じような休職している方と簡単なプロジェクトをしたりと実際の復職に向けてのリハビリができました。
専任の相談員の方が会社の人事部や産業医との間に入ってくれたので、復職の判断材料を客観的視点で伝えてもらえて助かりました。
(48歳 男性)
職リハリワークのデメリット
公務員は利用不可
利用までに数ヶ月かかる場合がある
スタッフに専門医がいない場合が多い
職リハリワークは雇用保険を財源とした事業なので、公務員は利用できません。
費用は無料で利用希望者が多いため、実際に利用を開始するまでに数ヶ月間待機しなければならないこともあります。
また、治療を目的としたプログラムではないので、スタッフに専門医などがいないケースが多いです。
沢山の人が利用していたので、待ち時間がでたり、混雑していた事が少し大変でした。
(38歳 男性)
③ 職場リワーク
企業内で実施される復職を支援するプログラムを、職場リワークと呼ぶケースがあります。
復職した後、安定した就労を維持できるかどうかを見極めることが目的です。
職場リワークは、企業や役所の内部に医療機関や専門部署がある場合に、職場復帰訓練制度として行われている例があります。
企業内の組織だけでなく、外部組織の従業員援助プログラムのサービスを利用する場合もあります。
職場リワークのメリット
復職時のギャップが少ない
試し出勤など、復帰への段階的な取り組みが可能
職場リワークは企業の中で実施されるので、社内の人との連絡や連携がとりやすいです。そのため、他の施設よりも、復職時にギャップを感じることが少ない可能性が高いです。
また、職場の雰囲気に慣れるための試し出勤など、正式な復職に備えて段階的な行動ができるという点もメリットです。
うつ病の診断を受け、1年ほど休職した際に職場リワークを経験しました。職場では、3ヶ月以上の休職で職場リワークを利用することになっていました。
簡単な事務作業や、1人で完結する仕事を少しずつ振っていただき、徐々に働く事に慣れていくことができました。
職場の上司も親身になって相談に乗ってくださり、安心して働き続けることができました。
(26歳 女性)
職場リワークのデメリット
導入している企業が少ない
他の社員の目が気になる場合がある
職場リワークを実施している企業が少ないので、一部の企業でしか利用できません。
また、企業内で行われるリワークなので、他の社員など周りの目が気になってしまう方もいるでしょう。焦りや不安から体調不良になる可能性がある点も、デメリットの一つと考えられます。
すぐに職場の人と打ち解けることができませんでした。
休職の理由を聞かれたり、休職中何をしていたかを聞かれたりするので、肩身が狭い思いをすることがありました。
(29歳 女性)
④ 民間系リワーク
企業NPOなど民間団体によって実施されているプログラムです。
失業中であっても、復職への意欲があれば利用可能です。
リワークの期間は、人によっても異なりますが、およそ3ヶ月から6ヶ月程度となるケースが多いです。失業中の場合は1年以上かかるケースもあります。
費用は、福祉制度を利用することで、自己負担額を1割に抑えることが可能です。さらに、前年度の世帯所得に応じて、1ヶ月あたりの負担金額の上限が0円から3万7200円までに設定されています。
民間系リワークのメリット
失業中でも利用可能
独自のプログラムを利用できる施設もある
失業中であっても、復職意欲があれば利用できるということは、大きなメリットです。
農作業など独自のプログラムを実施している施設もあり、働き方の視野を広げられる可能性があります。
病気の発症で仕事をやめる必要があり、フリーな状況でも民間系リワークなら利用可能と知ったため選びました。
最初は何をすればよいのかわからず、職場復帰の不安しかありませんでしたが、「同じような人はたくさんいる」とスタッフの方が優しい言葉をたくさんかけてくれたので、不安はなくなりました。
(26歳 男性)
民間系リワークのデメリット
都市部で展開していることが多い
スタッフに専門医がいない場合が多い
民間系リワークの多くは、都市部で実施されています。そのため、地方にお住まいの方の利用は難しい可能性があります。
また、職リハリワークと同様、スタッフに専門医がいないケースが多いです。
職員の方や、施設の管理者の考え方があまり理解できませんでした。
また生活するお金がほとんど無かったので、通所にあたり交通費がきつかったです。
(41歳 女性)
リワーク施設を選ぶ4つのポイント
費用や期間
専門領域のスタッフがいるかどうか
プログラム対象者はどんな症状の人を想定しているのか
主治医とはどのように連携するのか
リワーク施設を選ぶときは、これらの4つを確認するようにしましょう。
主治医や家族と相談しながら、いくつかの施設を見学してみることをおすすめします。
リワークを受ける施設によって、プログラムの内容や専門領域、スタッフの人柄も異なります。
上記の4ポイントをおさえて、「自分の課題に向き合える」と思える施設を探すことが大切です。
経験者に聞く!リワーク施設を選ぶときに大切なこと
リワークを始める前に、体験ができるならば体験をすることをおすすめします。様々なプログラムがあり、リワークのスタイルも場所によって違うと思うので、よく確かめてから正式に始めるのが良いと思います。
(47歳 男性)
最初は踏み出すのが怖いこともあると思いますが、踏み出しさえすればあとはスタッフさんが支えてくださります。
それぞれの施設でプログラムの特徴があると思いますので、自分に合った施設・クラスを選ぶと、無理なくしっかり復帰できると思います。
(37歳 女性)
どのように主治医と連携を取るのかなど、事前にしっかりと質問した方が良いです。
(32歳 女性)
相談によく乗ってくれるし、いろいろな事例を紹介してくれてよかったのですが、自宅から遠く交通費が負担でした。そのため、家から近い施設がいいと思います。
また、大通りに面していないほうが人の目が気になりません。
(55歳 男性)
▼動画による解説はこちら
※本記事は、チャンネル運営者の許可を得て作成しています。
※本記事に掲載している体験談は、Medicalookが独自に調査したアンケートを元にしています。動画の内容には含まれていません。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。