おへそから膿が出ている…!
病院は何科に行けばいいの?
おへその膿について、お医者さんに詳しく聞きました。
病気の可能性や、要注意な症状も解説します。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
おへそから膿「これ大丈夫?」
おへそから膿が出る状態の放置は要注意です。
何も異常がないのにおへそから膿が出てくるケースはほぼありません。
何らかの感染症が原因でおへそから膿が出てきていると考えられます。
おへそは血液排出に最も関係している部分であり、腹部の静脈がおへそから分岐しています。
そのため、おへそ周辺で何らかの感染が起こると、血流に乗り細菌が体中にまわってしまい、体に異常を起こす恐れがあると考えられています。
おへそトラブル「病院は何科?」
おへそから膿がでて、かゆみや腫れが発生した場合は、皮膚科または形成外科がよいでしょう。
発熱や腹痛などの諸症状を伴う場合は、内科や泌尿器科をおすすめします。
おへそから膿が出るということは、様子をみても大丈夫という状態ではなく、なんらかの感染等が起きている可能性が高いと考えられるため、症状に気が付いた時点で早急に医療機関を受診してください。
※症状の状態によって、適切な診療科を紹介されることがあります。
皮膚科を探す
内科を探す
合わせて読みたい
2020-12-28
体のあちこちに膿がたまる…。どうしたら治るの?
膿がたまる原因と対処法を、お医者さんに聞きました。
心当たりのある症状と、「何科を受診すれば良いのか」をチェックしましょう。
なぜ?体中に膿がたまる…
細菌感染で炎症が起こると、皮膚に膿がたまります。
なんらかの原因で、皮膚の細菌感染が広がっている状態です。
この症状は早く病院へ
1週間経っても改善が見られない
症状の範囲が広がっている
炎症やただれを起こしている
といった場合は、すみやかに病院へ行きましょう。
受診するのは何科?
皮膚科・形成外科を受診してください。
形成外科を探す
膿がたまる5つの原因
体中に膿がたまる症状は、
アトピー性皮膚炎
とびひ
毛包炎の悪化
アテローム
慢性膿皮症
が原因として考えられます。
以下でそれぞれ詳しく解説していきます。
原因① アトピー性皮膚炎
皮膚をかきむしることによって、その傷に膿がたまる場合があります。
アトピー性皮膚炎になると、皮膚のバリア機能が低下するため、炎症がよく起こります。
アトピー性皮膚炎になりやすい人
アレルギー体質の人や、皮膚が弱い人に発症しやすい病気です。
成人後に発症するケースは、ストレスや疲労が蓄積している人に多いです。
症状の特徴
かゆみ
ただれ
赤み、腫れ
湿疹
肌の乾燥
どう対処すべき?
まずは皮膚科で診察・治療を受けましょう。
医師の指導のもとで薬を使用し、保湿をしっかりと行うことで、症状を改善できます。
皮膚科を探す
原因② とびひ
かきむしりによって発生した菌が、体のあちこちに増えていく病気です。
とびひは、傷口に細菌が感染して発症します。
患部を触った手で他の部位をかきむしることで、症状が広がっていきます。
とびひになりやすい人
あせもや傷ができやすい人に多い病気です。
病気で免疫力が低下している人は、発症リスクが高まります。
症状の特徴
水疱
かさぶた
かゆみ
赤み
ただれ
どう対処すべき?
とびひの疑いがあるときは、すぐに皮膚科へ行きましょう。
他の部位や周囲の人への感染を防ぐには、治療が必要です。
皮膚科を探す
原因③ 毛包炎の悪化
細菌感染によって毛包の炎症が、近くの毛包へも広がっている状態です。
毛包とは、毛を取り囲む組織のことを言います。
毛包炎が悪化しやすい人
皮膚のバリア機能が低下している人に多い症状です。
アトピー性皮膚炎や糖尿病を患っていると、毛包炎が悪化するリスクが高まります。
症状の特徴
熱感
痛み
赤み
皮膚症状の広がり
どう対処すべき?
まずは病院を受診しましょう。
悪化した毛包炎の治療には、抗生物質が必要になる場合も多いです。
形成外科を探す
原因④ アテローム
膿だけでなく皮膚のしこりもある場合は、アテロームが考えられます。
アテロームは、皮下に形成された袋に角質や皮脂が中にたまっていく病気です。
肥大化して表面の皮膚が薄くなると、膿が出てきます。
アテロームになりやすい人
年代問わず発症します。
はっきりとした原因はわかっていません。
症状の特徴
皮膚のしこり
痛み
臭いがある
どう対処すべき?
できものを潰さないでください。
潰した箇所から細菌が侵入し、傷跡になってしまう恐れがあります。
アテロームの治療には手術が必要です。早めに病院を受診しましょう。
形成外科を探す
原因⑤ 慢性膿皮症
慢性膿皮症を発症すると、体のあちこちに膿がたまります。
現段階では、詳しい原因はわかっていません。
慢性膿皮症になりやすい人
男性や、中高年の肥満体型の人に多い病気とされています。
症状の特徴
膿が出る周囲の皮膚が硬くなり、色味が入る
痛み
臭いがある
おしりや会陰部に発症しやすい
どう対処すべき?
早期の受診をおすすめします。
慢性膿皮症の治療には、外科処置が必要です。
早期受診をおすすめします
症状の悪化を防ぐことで、皮膚を元の状態に戻しやすくなります。
症状でお困りの場合は、早めに病院で相談しましょう。
形成外科を探す
▼参考
公益社団法人 日本皮膚科学会 とびひ
おへその膿の「3つの原因」
おへそから膿が出る原因は
1細菌感染
2化膿性尿膜管嚢胞
3尿膜管遺残症
のケースが多いです。
原因① 細菌感染
おへそのケアをしようとして奥の方までいじった、爪で引っ掻いてしまった、腹部の手術の後等が原因で細菌が侵入してしまうことで起こると考えられています。
膿の特徴
- 酸っぱいような臭いを伴う膿
- 青白い膿
- 黄色っぽいくすんだ色の膿
- 薄緑色の膿
症状の特徴
という症状を併発する場合があります。
また、おへそとその周辺が
というケースもあります。激しい痛みが生じる場合があります。
原因② 化膿性尿膜管嚢胞
細菌感染により、おへそに炎症が生じることが原因で起こると考えられています。
おへそに炎症が生じて膿が出る疾患としては、臍炎、臍肉芽腫、尿膜管遺残、臍腸管遺残等が挙げられます。
膿の特徴
症状の特徴
- 下腹部に痛みが生じる
- 下腹部にしこりが触れる
- 発熱を伴う
- おへそから尿が漏れる
など
※上記のような症状が出現しないケースも多いです。
原因③ 尿膜管遺残症
おへそと膀胱を繋いでいる「尿膜管」が残ってしまっている状態です。
胎児期に尿を母親の方へ流すための通り道が「尿膜管」です。
通常、尿膜管は成長に合わせて閉じておへそと膀胱との繋がりが消失します。
しかし、消失することなく残存してしまった状態が尿膜管遺残です。
尿膜管遺残が消えずに残っているというだけで、痛み等の症状が出現することはありませんが、おへそから細菌が侵入し炎症が起きたり、がんの合併等が起こったりした場合に症状が出現すると考えられています。
膿の特徴
症状の特徴
- 下腹部に痛みが生じる
- 下腹部にしこりが触れる
- 発熱を伴う
- 嘔吐を伴う
- 血尿
- おへそから尿が漏れる
耐え難いほどの強い痛みが生じる場合があります。
※上記のような症状が出現しないケースもあります。
この症状は要注意!
- 我慢できないほど痛い
- 発熱(高熱)を伴う
- 腹痛を繰り返す
- 炎症を繰り返す
- 汚れた尿がおへそから出てきた
- 血尿
- 膀胱に違和感がある
- 尿路感染症が疑われる症状がある
以上のようなケースは、特に早急に病院を受診しましょう。
おへその膿は早めに病院へ
早期受診により、症状の重症化の予防が期待できます。
また早期受診により、手術が必要な状態を見逃すことなく治療を開始することができます。
放置することで、腹膜炎やおへそ周辺に炎症が広がり問題になることがあります。早めの受診をおすすめします。
皮膚科を探す
内科を探す
合わせて読みたい
2020-12-02
へそが痛い…。
こんな症状には、どんな原因が考えられるのでしょうか?
痛みを抑える方法や、受診する診療科など、へそが痛くなった時の対処法をお医者さんにお聞きました。
へそが痛くなる原因は何?
ガス溜まり
便秘
ストレス
虫垂炎
急性腸炎
急性膵炎
化膿性尿膜管嚢胞
潰瘍性大腸炎
臍(へそ)ヘルニア
便秘やストレスに心当たりがある方は生活習慣を見直しましょう。
ただし「治療が必要な病気」である可能性もあるので、注意が必要です。
次から、へそ周辺が痛くなる病気について紹介します。
病気①:化膿性尿膜管嚢胞
細菌感染により、へそに炎症が生じることが原因で発症すると考えられています。
症状の特徴
へそ周辺から下腹部周辺の痛み
へその腫れや、臭いのある膿や分泌物が出る
発熱
腹部腫にしこりが生じる
対処法
内科、泌尿器科、消化器内科を受診して検査を行い、症状に合った治療を受けてください。
内科を探す
病気②:臍(へそ)ヘルニア
腹部内にある臓器が脱出することで生じると考えられています。
放置してしまうと、壊死する恐れがあります。
肥満や妊娠が原因で、へその筋膜が破れ、腸が脱出し発症します。
また、内視鏡を使用した手術後の傷が原因で起こるケースもあります。
症状の特徴
へそが膨らむ
へそ周辺に痛みが生じる
便秘
吐き気
へそが出たり入ったりする
対処法
外科や形成外科を受診しましょう。
縫合閉鎖や人工膜を用いた修復治療(手術)が行われる場合があります。
外科を探す
病気③:急性膵炎
中高年世代に多くみられる病気です。
アルコールや脂肪分が多い食べ物の過剰摂取が原因で発症します。
症状の特徴
腹痛(へそ周辺の上腹部や背中)
吐き気
嘔吐
背中の痛み
発熱
膨満感
食欲低下
仰向けに寝ると痛みが増す
対処法
急性膵炎が疑われる場合は、早急に内科、消化器内科を受診してください。
早期発見、早期治療開始によって症状の重症化を予防できます。
内科を探す
病気④:虫垂炎(初期)
虫垂炎(盲腸)になると、胃からへそ周辺に痛みが生じ、その後痛みが右下腹部に移動していきます。
症状の特徴
へそ周辺の痛み
吐き気
嘔吐
下痢
発熱
胃痛
胃不快感
対処法
緊急手術を必要とする場合があるため、虫垂炎が疑われる場合は早急に外科を受診してください。
外科を探す
病気⑤:急性腸炎
細菌やウイルス、ノロウイルスなどが原因で発症します。
お腹の痛みが続いたり、強くなったり、和らいだりを繰り返す症状です。
症状の特徴
腹痛
下痢
吐き気
嘔吐
発熱
対処法
下痢、嘔吐が続くと脱水状態になる恐れがあるため、水分補給を行ってください。
症状が改善しない場合は消化器内科や内科を受診し、症状に合った治療を受けてください。
病気⑥:潰瘍性大腸炎
大腸の粘膜が攻撃を受けることで潰瘍が生じる病気です。
腹痛、下痢、血便、腰痛などが、数週間から数か月程度持続し、完全完治は困難と言われています。
症状の特徴
血便
粘血便
下痢(血性下痢)、腹痛(へそ周辺や下腹部の痛み)
発熱
倦怠感
めまい
動悸
食欲低下
体重減少
発疹
関節痛
腰痛
手のこわばり感
対処法
重症化を予防するため、潰瘍性大腸炎が疑われる場合はまず消化器内科を受診してください。
病院では薬物療法が行われます。しかし、根本的な治療薬がないため、症状を緩和させる治療が続けられます。
消化器内科を探す
いますぐ病院!こんな症状は要注意!
以下の症状が出現している場合は早急に病院を受診してください。
激しい痛み
嘔吐を繰り返す
発熱(38度以上の高熱)
下血
吐血
黄疸
腹部が硬くなる
背中に痛みが生じている
激しい動悸が生じている
何科に行けばいい?
内科、消化器内科、消化器外科の受診をおすすめします。
内科を探す
放置すると…?
治療しないで放置した場合、以下のようなリスクが考えられます。
症状の改善に時間がかかる
症状がどんどん悪化し重症化する
緊急手術が必要な状態になる
命に関わるような危険な状態に陥る
▼参考
一般社団法人 広島県医師会 腹痛-おなかが痛いとき-
特定非営利活動法人 日本成人病予防協会 腹痛 -気になるからだの危険信号 痛み-