体のあちこちに膿がたまる…。どうしたら治るの?
膿がたまる原因と対処法を、お医者さんに聞きました。
心当たりのある症状と、「何科を受診すれば良いのか」をチェックしましょう。
監修者
経歴
北里大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
横浜市立大学病院 形成外科、藤沢湘南台病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
横浜栄共済病院 形成外科
2014年 KO CLINICに勤務
2021年 ルサンククリニック銀座院 院長
を経て2024年JUN CLINIC横浜 就任
なぜ?体中に膿がたまる…
細菌感染で炎症が起こると、皮膚に膿がたまります。
なんらかの原因で、皮膚の細菌感染が広がっている状態です。
この症状は早く病院へ
- 1週間経っても改善が見られない
- 症状の範囲が広がっている
- 炎症やただれを起こしている
といった場合は、すみやかに病院へ行きましょう。
受診するのは何科?
皮膚科・形成外科を受診してください。
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膿がたまる5つの原因
体中に膿がたまる症状は、
- アトピー性皮膚炎
- とびひ
- 毛包炎の悪化
- アテローム
- 慢性膿皮症
が原因として考えられます。
以下でそれぞれ詳しく解説していきます。
原因① アトピー性皮膚炎
皮膚をかきむしることによって、その傷に膿がたまる場合があります。
アトピー性皮膚炎になると、皮膚のバリア機能が低下するため、炎症がよく起こります。
アトピー性皮膚炎になりやすい人
アレルギー体質の人や、皮膚が弱い人に発症しやすい病気です。
成人後に発症するケースは、ストレスや疲労が蓄積している人に多いです。
症状の特徴
どう対処すべき?
まずは皮膚科で診察・治療を受けましょう。
医師の指導のもとで薬を使用し、保湿をしっかりと行うことで、症状を改善できます。
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原因② とびひ
かきむしりによって発生した菌が、体のあちこちに増えていく病気です。
とびひは、傷口に細菌が感染して発症します。
患部を触った手で他の部位をかきむしることで、症状が広がっていきます。
とびひになりやすい人
あせもや傷ができやすい人に多い病気です。
病気で免疫力が低下している人は、発症リスクが高まります。
症状の特徴
どう対処すべき?
とびひの疑いがあるときは、すぐに皮膚科へ行きましょう。
他の部位や周囲の人への感染を防ぐには、治療が必要です。
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原因③ 毛包炎の悪化
細菌感染によって毛包の炎症が、近くの毛包へも広がっている状態です。
毛包とは、毛を取り囲む組織のことを言います。
毛包炎が悪化しやすい人
皮膚のバリア機能が低下している人に多い症状です。
アトピー性皮膚炎や糖尿病を患っていると、毛包炎が悪化するリスクが高まります。
症状の特徴
どう対処すべき?
まずは病院を受診しましょう。
悪化した毛包炎の治療には、抗生物質が必要になる場合も多いです。
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原因④ アテローム
膿だけでなく皮膚のしこりもある場合は、アテロームが考えられます。
アテロームは、皮下に形成された袋に角質や皮脂が中にたまっていく病気です。
肥大化して表面の皮膚が薄くなると、膿が出てきます。
アテロームになりやすい人
年代問わず発症します。
はっきりとした原因はわかっていません。
症状の特徴
どう対処すべき?
できものを潰さないでください。
潰した箇所から細菌が侵入し、傷跡になってしまう恐れがあります。
アテロームの治療には手術が必要です。早めに病院を受診しましょう。
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原因⑤ 慢性膿皮症
慢性膿皮症を発症すると、体のあちこちに膿がたまります。
現段階では、詳しい原因はわかっていません。
慢性膿皮症になりやすい人
男性や、中高年の肥満体型の人に多い病気とされています。
症状の特徴
- 膿が出る周囲の皮膚が硬くなり、色味が入る
- 痛み
- 臭いがある
- おしりや会陰部に発症しやすい
どう対処すべき?
早期の受診をおすすめします。
慢性膿皮症の治療には、外科処置が必要です。
早期受診をおすすめします
症状の悪化を防ぐことで、皮膚を元の状態に戻しやすくなります。
症状でお困りの場合は、早めに病院で相談しましょう。
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2021-01-04
背中のニキビは、内臓の不調が原因…?
背中のニキビと内科疾患の関係について、お医者さんに聞きました。
考えられる病気や対策方法を載せているので、ぜひチェックしてください。
背中ニキビは内臓の不調サイン?
内臓の不調、疲れなどで、ホルモンバランスが乱れると、背中やデコルテ、顔などにニキビができやすくなります。
内臓由来の背中ニキビはどう治す?
症状が軽い場合、次の対処で快方に向かうことがあります。
① 甘いもの・油分の多い食事を控える
甘いものや油分の多い食事は、皮脂の分泌を促します。
これらをできるだけ控えることで、背中ニキビの改善、予防につながります。
②十分な睡眠をとる
睡眠不足はホルモンバランスを乱してしまいます。
そのため、背中ニキビの改善、予防には、十分な睡眠、休養が大切なのです。
③ ストレスを溜めない
ストレスを受けると、ニキビの原因となる男性ホルモンが過剰に分泌されてしまいます。
ニキビを悩みすぎるのもストレスの元です。上手にリフレッシュすることが、背中ニキビの改善、予防につながります。
これらの対処を行っても改善しない場合は、一度皮膚科で相談してみましょう。
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ひどい背中ニキビは病気の可能性も
いつまでも良くならない、減らない、ひどい背中ニキビは
糖尿病
クッシング病
など病気が原因の可能性があります。
詳しく解説していきますので、当てはまる症状がないかチェックしてみましょう。
病気① 糖尿病
2型糖尿病は、血糖値が慢性的に高くなる生活習慣病のひとつです。
血糖値の上昇は、次第に血管が傷つけてゆき、心筋梗塞や失明などを引き起こします。
背中ニキビができるのはなぜ?
糖尿病悪化の過程で、免疫が弱まりニキビなどの皮膚感染症を発症させると考えられています。
そのため、大人になってから背中のニキビが良くならない、減らないという場合は、糖尿病の可能性があります。
背中ニキビ以外の症状
のどの渇き
多尿
だるさ
体重減少 など
糖尿病が進むとニキビや皮膚疾患は、背中だけでなく、顔やその他の箇所でも起こり、なかなか良くなりません。
糖尿病の原因
糖尿病のなかでも2型糖尿病は、遺伝的要因や、長期的な乱れた食生活、肥満などが原因と考えられます。
40歳以上の高中年
いつも食べ過ぎてしまう
過度の飲酒を繰り返す
運動不足
肥満(過去に太っていた場合も) など
また、遺伝が原因で発症することがあり、親戚に糖尿病を患う人がいる場合は注意しましょう。
糖尿病を放置するとどうなる?
糖尿病を放っておくと、神経、網膜、腎臓、血管などに悪影響を及ぼします。
心臓病や脳卒中を引き起こす恐れもあり、最悪の場合、糖尿病が引き起こした病気によって死に至ります。
病気② クッシング病
体内で「副腎皮質ホルモン」を過剰に作ってしまう病気です。
背中ニキビができるのはなぜ?
副腎皮質ホルモンは、皮脂腺を発達させる作用があるため、毛深くなり、ニキビができやすくなります。
背中ニキビ以外の症状
皮膚が薄くなり、血管が透けて見える
皮下出血しやすくなる
また、足のだるさ、顔のほてり、不眠、お腹が出て太ってくるのに手足だけ細くなるといった体の変化などがあります。
白血球の働きが低下することで、免疫力が下がり、感染症になりやすくなります。その他、糖尿病や高血圧症などの生活習慣病や、骨粗鬆症にもなりやすくなります。
クッシング病の原因
現在のところ、はっきりとした原因は不明です。
ステロイド薬の服用で引き起こされる可能性があります。
家族にクッシング病の人がいると発症することがあるため、遺伝も考えられています。また、女性に多い傾向があります。
クッシング病を放置するとどうなる?
クッシング病を放置しておくと、免疫低下であらゆる感染症の引き金となります。また、骨粗しょう症が進行し、圧迫骨折を引き起こす恐れがあります。
病院は何科に行くべき?
内臓が原因かもしれないニキビ、病院は何科にいけばいいですか?
まずは、皮膚科を受診しましょう。
食事改善や生活改善を行っても治らない場合は皮膚科に行きましょう。また、ほかに別の症状が出ているときも、早めに病院へ行きましょう。
診察時には、
いつ頃から症状が出ているのか
どんな体の不調があるか
も伝えるとよいでしょう。
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治らない背中のニキビは病院で相談を
病院に行くと、背中のニキビの原因を調べるため、改善までの流れがスムーズです。
自己判断で対処を続けるよりも、病院で原因を調べたほうが時間もお金も節約できることがあります。
ほかの病気が隠れている場合、早期発見にもつながります。
▼参考
難病情報センター クッシング病
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2021-02-17
全身に痒いブツブツができた…!
「痒みを抑えるためには、冷やす?温める?」
「市販薬を使ってもいい?」
お医者さんに、“正しい対処法”を聞きました。
発疹の原因と病院に行く目安も解説します。
全身に痒いぶつぶつが出た!どう対処する?
冷水・タオルで巻いた保冷剤を使い、かゆい部分を冷やしましょう。
また、市販のかゆみ止めや抗アレルギー薬を使用しても大丈夫です。
よくあるNG!間違った対処法
患部に爪でバッテンを作る
掻きむしる
温める
などの行動は、症状を悪化させる恐れがあります。
このぶつぶつは大丈夫…?病院行くべき?
ぶつぶつが数十分~数時間で治まり、症状を繰り返さない場合は、一旦様子を見てもいいでしょう。
ただし、
1日以上経っても治らない
ぶつぶつが悪化している
他にも不調(腹痛、吐き気、発熱等)がある
といった場合は、早めに病院を受診してください。
受診する際は、まず皮膚科で相談しましょう。
たとえば蕁麻疹なら1日で治りますが、1日経過しても出ている場合は他の病気の恐れがあります。中には他人にうつす皮膚の病気のケースもあります。
自己判断で症状を判断するのは難しいです。
病院できちんと原因を調べて対処するのが安心です。
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考えられる2つの原因
全身にあらわれる痒いぶつぶつは
蕁麻疹(じんましん)
虫刺され(ダニ)
が原因となっているケースが多いです。
原因① 蕁麻疹(じんましん)
蕁麻疹を発症すると、全身に痒いぶつぶつができる場合があります。
ぶつぶつの大きさには個人差があり、1~2mm程度から、皮膚のほとんどが覆われるケースまであります。
蕁麻疹は、あらゆる人が発症する症状です。
ぶつぶつの特徴
皮膚の一部が赤く盛りあがる
線状・円形・楕円形など、形はさまざま
通常、ぶつぶつは数十分から数時間以内に消える
(半日から1日ほど消えない場合もある)
蕁麻疹の原因
蕁麻疹の原因は、実に様々です。
例えば…
汗による刺激
寒い環境にさらされる
日光の刺激
アレルギー物質の接触、摂取
特定の薬剤による作用
などがよくある原因です。
疲労やストレスも、蕁麻疹の発症に関わっています。
また、膠原病やシェーグレン症候群など、病気によって引き起こされるケースもあります。
発症しやすい人
アトピー体質やアレルギー体質の方に発症しやすいです。
自分でできる対処法は?
アレルギーに心当たりがある場合は、原因の食品や物質を避けましょう。
また、ストレスや疲労がきっかけで蕁麻疹が出ることもあるので、日頃からしっかりと体を休めるようにしてください。
上記の対処を行っても症状を繰り返す場合は、皮膚科での相談をおすすめします。
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原因② 虫刺され(ダニ)
ダニに刺されると、全身に痒いブツブツができる場合があります。
わき腹や下腹部、ふとももの内側など、虫刺されはあらゆる場所に生じます。
ぶつぶつの特徴
かゆみが強い
赤く小さなぶつぶつ
虫刺され(ダニ)の原因
ダニが付着した家具、寝具の使用
屋外でのダニの接触
ダニは高温多湿の環境を好むため、カーペットやソファー、畳などに潜んでいます。
また、“マダニ”という屋外(庭や公園、野山等)にいるダニに刺されるケースもあります。
発症しやすい人
犬や猫を飼っている人は、発症しやすいといえます。
ペットに付着したダニが、室内に侵入するためです。
自分でできる対処法は?
部屋や寝具にこまめに掃除機をかけ、清潔な環境を保ってください。
部屋を換気したり、布団乾燥機を使用したりするのもよいでしょう。
また、ネズミに媒介するダニもいるので、ネズミ駆除が必要なケースもあります。
病院で相談がオススメ
“ぶつぶつ”をかいたことによって、症状が悪化するケースもあります。
お困りの場合は一度皮膚科を受診し、原因に合わせた治療を受けましょう。
特に「早急な受診が必要」なケース
腹痛や発熱
気分不良
気道閉塞感(喉がつまる感じ・息苦しい感じ)
などを伴うときは、アレルギーの可能性が高いため要注意です。
アレルギー症状に心当たりがある方は、早急に受診してください。
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▼参考
公益社団法人 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 蕁麻疹
日本皮膚科学会ガイドライン 蕁麻疹診療ガイドライン 2018