【便の表面に血がつく】痛くない血便は「痔」の可能性大！受診目安も｜医師監修

便の表面に血が付着している…。
その血便は痔によるものかもしれません。

「自分で治せる？」「医療機関は何科に行けばいい？」などの疑問に医師がお答えします。

監修者

しらはた胃腸肛門クリニック横浜
院長

白畑 敦先生

経歴

平成14年5月　　昭和大学藤が丘病院　消化器外科臨床研修医
平成16年5月　　昭和大学藤が丘病院　消化器外科助教（院外）
平成18年6月　　幕内会　山王台病院　外科
平成19年6月　　昭和大学藤が丘病院　消化器外科助教
平成20年6月　　関東労災病院　外科
平成21年6月　　昭和大学藤が丘病院　消化器外科　助教
平成24年10月 　横浜旭中央総合病院　外科、昭和大学藤が丘病院　兼任講師
平成29年11月　しらはた胃腸肛門クリニック横浜を開業、院長に就任

便の表面に血が！これはなぜ…？

便の表面に血がついていたり、排便後に血が落ちたり、お尻を拭いた時に血がつく場合は、「痔」が原因で血便が出ている可能性が高いです。

痔には種類がありますが、「①切れ痔」と「②いぼ痔」は出血をともなうタイプの痔です。
※「痔ろう（あな痔）」は出血しないことが多いです。

① 切れ痔になると、なぜ血が出る？

「切れ痔」の場合、肛門の皮が裂けて出血します。

その結果、鮮やかな赤色をした血便に付着します。
大量に血が出ることはありませんが、排便する時に痛みをともなうことが多いです。

② いぼ痔になると、なぜ血が出る？

「いぼ痔」は、肛門の周りの血流が滞ることで、こぶのような腫れ（イボ）が生じます。
排便時のいきみが原因で出血し、便に血が付着します。

肛門の内側にできるいぼ痔を内痔核、外側にできるいぼ痔を外痔核と呼びます。
いぼ痔の場合、便に血がつく程度の少量の出血から、便器が赤く染まるほどの大量の出血がある場合もあります。

痛くなくても…痔なの？

肛門の内側にできるいぼ痔（内痔核）は、痛みを感じないことが多いです。
この場合、痛みを感じないのに突然出血することがあります。

「内痔核」ができる部分は、痛みを感じる神経がありません。そのため、初期症状で痛みを感じることはあまりありません。

内痔核になりやすい人

• 同じ姿勢で座り続ける時間が長い人
• 便をする時に強くいきむ人
• 下痢が続いている人
• 出産後の女性

痔は自分で治せる？

痛みが少ない場合は、市販薬の使用で改善できるケースもあります。
ただし、市販薬を1～2週間使用しても症状が良くならない場合は、肛門外科を受診しましょう。

おすすめの市販薬は？

痛みを抑える成分の「リドカイン」や、炎症を抑える成分の「ステロイド」「グリチルレチン」が含まれる、「ボラギノールA（天藤製薬）」や「プリザエース（大正製薬）」がおすすめです。

市販薬には塗り薬や座薬、注入軟膏、内服薬などのタイプがあります。

「内痔核」の場合は内服薬、「外痔核」の場合は外用薬を選ぶとよいでしょう。
市販薬はあくまで短期間の使用にとどめ、症状の改善がみられない場合は、必ず医療機関を受診してください。

わからないこと・不安なこと・使用方法について、薬剤師に相談するといいでしょう。

痔を早く治すためにできること

なるべく、肛門への負担を減らし、血流を良くするような生活習慣を心がけましょう。
座るときにはドーナツ型のクッションを敷くと、肛門への負担が少なくなります。

排便時は「刺激を控えめに」！

排便は3～5分以内にし、肛門に圧をかけないようにしましょう。
排便後は、優しく拭き取る、あるいはウォシュレットを使用し、肛門を清潔に保つことが大切です。
※ただし、過剰にウォシュレットを使用すると肛門の潤いが低下し、痔になりやすくするため注意が必要です。

便秘を予防する！

豆類・きのこ類・海藻類などの食物繊維が多い食材を意識して摂ってください。
1日1.5ℓ以上の水分を摂りましょう。
朝起きてすぐにコップ1杯の水を飲んでください。腸を刺激し、動きを活発にする効果があります。

便秘は排便の時間が長くなったり、いきんだりするため、痔の原因になります。

血流を良くする！

血流を良くするために、ウォーキングなどの軽い運動を1日30分程度行いましょう。
シャワーではなく38～40度のぬるめのお湯にゆっくりと浸かり、体を温めましょう

出血がある痔は病院へ

「出血がある」「痛みが強くて座れない」場合は、肛門外科を受診してください。

痔を放置して悪化すると、肛門の周りがかぶれて強いかゆみを起こしたり、内痔核が脱出して痛みが生じたりします。
そうなると、処置に麻酔が必要になり、体への負担も増え、治療の時間もかかります。
大掛かりな手術を防ぐためにも、「これくらい大丈夫だろう」と自己判断せず、早めに専門医のいる医療機関で相談することが大切です。

また、「痔かと思っていたら…他の疾患があった！」というケースもあります。血便が出ている場合、大腸がん（※1）やクローン病（※2）などの可能性もあります。これらは早急に治療を始める必要があります。

※1大腸がん…
直腸・S状結腸・上行結腸・盲腸にできるがんの総称です。
血便（黒っぽい色）・便表面にゼリーのような粘液が付く・便が細くなるといった症状があらわれます。

※2クローン病…
腸壁に炎症が起こる病気です。
下痢・腹痛・発熱・食欲不振・体重減少といった症状があらわれます。

治療は何科に行けばいい？

便の表面に血が付いている場合、まずは肛門外科を受診してください。

お近くに肛門外科がない場合は、消化器外科または外科を受診してください。
かかりつけの医療機関がある場合は、一度相談してみるのも良いでしょう。

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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。