なぜ?体のあちこちが痛い…。
それは、男性の特有の病気が原因かもしれません。
「病院は何科?」「どうやって治すの?」
お医者さんに痛みを緩和する方法を聞きました。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
全身が痛いときの「5つの対処法」
痛みがあるときは、次の対処法を試してください。
- 痛みのある部分をカイロなどで温める
- 適度な運動を無理なく行う
- 湯船に浸かり、体を温める
- 無理せず、ゆっくり休みを取る
- 十分な睡眠をとる
市販薬を使用してもいい?
痛みの原因はさまざまです。自己判断での使用は控えましょう。
症状を悪化させてしまう可能性があります。
体があちこち痛くなる原因は?
全身に痛みを感じる原因には、次のものが考えられます。
- 繊維筋痛症
- 関節リウマチ
- 男性更年期障害
原因① 線維筋痛症
体のあちこちで痛みが起こるだけでなく、疲労感や不眠、頭痛などが3ヵ月以上もの長期間続く病気です。
症状の特徴
原因
原因はまだ明らかになっていません。
治療法
特効薬はありませんが、薬や漢方を服用し、症状を緩和させる治療を行います。
また、運動療法や認知行動療法などを行い、痛みを軽くする方法もあります。
原因② 関節リウマチ
関節で炎症が起こって、激しい痛みを感じます。軟骨や骨などが破壊され、関節の機能が低下する病気です。症状が進むと、関節が変形を起こします。
症状の特徴
- 手足のしびれ
- 手足の関節痛
- 関節の変形
- 微熱
- 貧血 など
原因
原因はわかっていませんが、喫煙や遺伝などが関係していると言われています。
自己免疫が異常に働き、正常な細胞を攻撃するため体に不調が生じます。
治療法
薬物での治療・手術・リハビリテーションなどが必要となります。
原因③ 男性の更年期障害(LOH症候群)
40代後半ごろから発症し、男性機能の低下・多汗・のぼせなどの身体的症状のほか、不眠・無気力・イライラといった精神的症状があらわれます。
症状の特徴
- 倦怠感
- 集中力の低下
- 不安感
- イライラする
- 頭痛
- ほてり
- 多汗
- めまい
- 筋力の低下
- 勃起障害
原因
加齢による男性ホルモンの低下が原因です。
治療法
男性ホルモンの補充療法が一般的です。
強く現れる症状にのみ対処療法を行うこともあります。例えば、うつ傾向が強い場合は、抗うつ剤を使用するなどの治療をします。
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40歳以降の男性は、だれでも「男性更年期障害」になってしまう可能性はあります。
「なんとなく調子がおかしい状態が続く」
「突然、汗やほてりがでてきた」
という場合は、男性更年期障害の可能性があります。
放置すると、「うつ」を発症することも…。
つらい症状は我慢せず、病院を受診することをおすすめします。
「男性更年期障害」と診断される基準は?
男性ホルモンの量を調べたり、どんな症状がでているかを聞いたりして診断します。
具体的には、血液検査(フリーテストステロンの値の検査)と、問診を通して診断します。
フリーテストステロンの値が基準未満(8.5pg/mL未満)だったり、更年期障害の症状の症状が強くでていると、「男性更年期障害」と診断されることが多いです。
男性更年期障害の症状例
不安感が増して、気分が落ち込む
イライラして、怒りっぽくなる
集中力の低下
判断力の低下
記憶力の低下
意欲の低下
性欲の低下
眠れない
疲れやすい
筋肉痛・関節痛
肥満(メタボリックシンドローム)
頻尿
発汗・ほてり など
男性更年期障害の「治療方法」
男性更年期障害の主な治療は
男性ホルモン補充
生活指導
お薬の処方
です。
男性ホルモン補充療法
男性ホルモン(テストステロン製剤:エナント酸テストステロン)を注射で投与する治療方法です。
直接、血液中に男性ホルモンを補填するので、即効性があります。1ヶ月に1回~2回程度、腕やお尻などに注射します。
ただし、テストステロンを注射することで、精巣機能が低下することがあるため、子どもを希望する場合は、テストステロンに替わる別のホルモンを注射することもあります。
また、ホルモン投与量が多すぎると、脳梗塞のリスクにつながることもあります。そのため、治療中は血液検査を定期的に行ないます。
生活指導
食生活
運動
睡眠
ストレス対策
など、日常生活の観点から「症状改善につなげる方法」をアドバイス・指導します。
お薬の処方
症状が比較的軽いときは、飲み薬で治療もできます。症状に合わせて、漢方薬を処方することもあります。
治療にかかる費用は?保険適用?
保険適用の場合、治療は数千円で済みます。
ただし保険適用外の治療を希望する場合は、組み合わせる治療によって金額が異なります。
保険適用になるケース
医師に「男性更年期障害」と診断されて治療を受けた場合は保険適用です。
保険適用の検査は1万円程度、その後治療に1ヶ月あたり数千円〜2万円程度かかるのが目安です。
保険適用外になるケース
予防やアンチエイジングのために治療を行う場合は、保険適用外になります。
また保険適用薬となっているエナント酸テストステロン以外の薬を使った場合も、自費になります。
男性更年期障害の治療は何科で受ける?
泌尿器科や内科で診療をしていることが多いです。
事前にHPなどで対応しているか確認してください。
内科を探す
改善するために日常でできること
男性更年期障害の症状を改善させるために、
筋トレをする
ストレス・疲れをためない
といったことを意識するとよいでしょう。
その① 筋トレで下半身を鍛える
ウォーキングなどの有酸素呼吸運動よりも、筋力トレーニングがより効果的です。
腹筋や太ももの筋肉など、大きな筋肉を鍛えるようにしましょう。
大きな筋肉がある下半身を動かすと、男性ホルモンの分泌量が増えるといわれています。
また、基礎体力をつけるためにも毎日の生活の中で、「1万歩以上歩く」「1駅分は歩く」と決めたり、ジョギングや水泳などを習慣的に取り入れるのもよいでしょう。
その② ストレスや疲労をためない
すっきりと日々生活できるようなストレス発散方法を作りましょう。
よく眠ることでストレス発散する人もいますし、趣味を楽しむ人もいます。
仕事や体の不調を忘れて、すっきりできる独自のストレス発散を行ってください。
男性更年期障害を放置すると…「うつ」になるリスクも
長い期間、男性更年期障害のつらい症状を我慢していると、「うつ病」や「自律神経失調症」になってしまう人もいます。
おかしいなと感じたら、男性更年期障害を疑い、早めに治療を受けましょう。
男性ホルモンは「健康の大事な相棒」です
男性ホルモンの減少は、様々な病気につながるという研究結果がでています。
例えば、「うつ状態」「認知症」「糖尿病」「骨粗しょう症」「動脈硬化」などに影響するという報告や、「男性ホルモンの量が多い人ほど、長生きする傾向がある」という報告もあります。
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▼参考
一般社団法人日本内分泌学会 男性更年期障害(加齢性腺機能低下症、LOH症候群)
病院に行く目安
- 微熱や手足の動かしにくさ、こわばりのような痛みが1週間以上続く
- 日常生活に支障が出ている(痛み、イライラ、集中力の欠如、多汗、不安感、落ち着かないなど)
という症状が出ている場合は、病院を受診しましょう。
病院は何科に行けばいい?
自覚している症状に合わせた診療科を受診してください。
倦怠感、体の痛みやこわばり、関節痛が強くあらわれている
→リウマチ科や整形外科
男性の更年期障害が疑われる
→泌尿器科
体の不調は少なく、精神的症状が強い
→心療内科
リウマチ科を探す
泌尿器科を探す
心療内科を探す
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2020-05-21
初めて心療内科に行くけど…実際には何を話すの?
心療内科で初診を受ける際の流れについて、お医者さんに聞きました。
当日準備していくことをはじめ、初診でかかる料金、診断書はもらえるのかどうかも解説します。
心療内科の初診の流れ
初めてで緊張する方もいらっしゃるかと思いますが、基本は一般の内科などと変わりません。
問診→診察という通常の病院受診と同じ流れで行われます。
<治療開始までの流れ(一例)>
電話やウェブで予約
来院、問診表を書く
診察を受ける
必要であれば検査
治療の開始
心療内科の予約のしかた
電話予約が一般的かと思われますが、最近ではウェブ予約ができるところも増えてきています。
時間がなくて電話ができない、電話が苦手という方でも予約することができます。初診は日時が決まっているところが多いため、調べてから行くのがよいでしょう。
心療内科を探す
受診前に準備しておいたほうがいいことはある?
次のことが伝えられるように準備しておくと良いでしょう。
今、何に困っているのか
受診に至った経緯
いつから困っているのか
どのようなときに、どのような症状がでるか
思い当たるストレス要因 等
初診で聞かれること
(症状や状態にもよりますが)ストレス要因に関連するような質問をされる可能性があります。
例えば、家族との関係や本人の職業・仕事内容、交友関係や休日の過ごし方、趣味などの話です。あくまで関連のある事柄に対してなので、あまり言いたくないことは言わなくても大丈夫です。
いずれにしても専門家がお話を聞くので、安心して相談してみてください。秘密は守られます。
初診で持っていくもの
心療内科の初診には、次のものを持参すると良いでしょう。
保険証
お薬手帳(あれば)
現状「困っていること」や「医師に相談したいこと」を受診の経緯をスムーズに話せるようにメモを持っていくのもよいでしょう。
初診の費用目安
自己負担3割の方で、初診時は約2,500円~3,000円、2回目以降は1,500円程度です。
薬を処方された場合、診察とは別に薬代が5000円前後かかります。
検査を行った場合には別途1,000~3,000円かかりますが、検査の種類にもよります。
こんなときは、悩まず心療内科に相談してください
「ストレスで胃が痛い」「悩み事があり夜眠れず、不眠気味だ」「ストレスが多く髪が抜ける」「イライラが収まらない」などの症状がある場合は、早めに専門医に相談してみましょう。
心配事や悩み事、ストレスがあり、気持ちや情緒が不安定で「いつもと違う」と感じられているのであれば、受診することをお勧めします。
辛い、苦しい、不安な状態を長く我慢してしまうと、症状がより重いものになる可能性もあります。
早期受診のメリット
早期に治療を始めることで、治療期間が短く済む、正常な状態に戻るのも早くなる、通院の回数や医療費も安く済むというメリットがあります。
ストレスが要因の病気は特に、放置し続けることで症状が悪化してしまうケースが多く、うつ病もそのうちの一つです。
何よりも、軽い症状のうちに治療を受けた方が心身の負担もあまりかからずに済みます。
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はじめての心療内科「よくある質問」
「診断書はもらえるの?」「心療内科に行ってはいけないと言われるのはなぜ?」
心療内科に関するよくある質問にお答えします。
質問1.診断書が欲しいのですが…
休職等の申請に診断書が必要な場合、すぐにもらえるものなのでしょうか?
診断書は本来診断がついて初めて発行されるものです。しかし診断書は医師に申し出れば、比較的速やかに発行されるところも多いです。
休職や職場に提出が必要な書類として、すぐに必要な場面が多いためです。病院によっては別に窓口が設けられている場合もあるため、受診の際に確認すると良いでしょう。
質問2.よく「心療内科に行ってはいけない」と言われるけど…
「行ってはいけない」「行ったら最後」と言われているのは、なぜなのでしょうか?
「行ったら最後」ということはありません。
そう言われるのは、精神科や心療内科のお薬を服用すると、患者さん自身の判断で勝手にやめることができず、飲み続けなければならないことが要因となっている可能性があります。
もしくは、薬の副作用が強くて日常生活により支障が出るなどという想像での発言かもしれません。
また、精神科・心療内科に行って診断を受けた時に、自分が精神病患者なのだと認めてしまうのが怖いと思ったり、周りの目を不安に感じる方もいらっしゃいます。
精神科や心療内科は、重い精神疾患を持つ人が行く場所というネガティブなイメージが少なからずあるというのが背景にあるようです。
つらい時は我慢せずに病院に行った方が良いのでしょうか?
ネット上でも多くの情報が錯綜していますが、自分の体の声を聞き、本当に辛い、苦しいと感じていて、日常生活に支障が出ているのであれば、相談だけでもいいので受診してみてください。
実際に、精神的な症状や心身症が現れているにも関わらず、受診を躊躇している方が多くいらっしゃいます。
しかし、自己判断で市販の漢方薬などの薬を飲み続けていたとしても、根本的な治療にはなりません。その点、専門の医師に相談することで、症状の要因をふまえた治療を受けることができます。
一人で抱え込まずにまずは相談してみましょう。
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参考URL
・心療内科で初診を受ける場合の流れを分かりやすく解説!/ひだまりこころクリニック栄院
https://hidamarikokoro.jp/sakae/blog/心療内科で初診を受ける場合の流れを分かりやす/
・精神科・心療内科の診察料金 | こころみ医学
https://cocoromi-cl.jp/knowledge/other/psychiatry/cost/
・診察にはどれくらいの費用がかかりますか? | 心療内科・精神科
https://namba-minato.com/faq/faq09/
・心療内科に行くべきかどうか迷う。受診すべき兆候とは?/神楽坂こころのクリニック
https://www.kagurazaka-mc.com/colum/psychosomatic-medicine/