「皮膚に茶色い斑点ができた…。」
「これって病気…?」
皮膚に茶色い斑点ができる原因を、お医者さんに聞いてみました。
急にできた斑点は「皮膚ガン」も疑われるので要注意です。
心当たりのある症状がないか確認してみましょう。
皮膚にできた茶色い斑点。これはシミ?それとも病気?
「シミ」の特徴
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「皮膚病」の特徴
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- シミのような斑点が多数できる
- 斑点が合わさって、大きくなる
- 皮膚が剥けてカサカサする
- かゆみを伴う
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茶色い斑点があるだけで他に症状がない場合は、シミの可能性が高いです。
一方、斑点が広がる・かゆみを伴うといった場合は、皮膚病が疑われます。
シミにもいろんな種類がある!
シミの種類
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特徴
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原因
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日光黒子
(にっこうこくし)
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肝斑
(かんぱん)
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大人になってからできるシミには、
などの種類があります。
最も一般的なシミである「日光黒子」は、中年以降に多く発生します。
紫外線を浴びる部分にできやすく、顔・腕・背中等でよく見られます。
一方、妊娠を経験した方・ピルを服用する方に発生しやすいのが、「肝斑」です。
肝斑の場合、シミ取りのレーザー治療が逆効果になってしまうケースもあると考えられています。
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2022-08-05
「シミが気になる…」
「皮膚科のシミ取りって保険適用になるの?」
皮膚科のシミ取りは保険が適用されるかどうか、お医者さんに聞きました。
「保険適用の条件となる病気」や、保険診療・自由診療の場合の「料金の目安」についても解説します。
皮膚科での「シミ取り」は保険適用になる?ならない?
保険が適用する
生まれつきのシミの一部
小さい頃からあるシミの一部
ケガによってできたシミの一部
病気によるシミ
保険が適用されない
「紫外線」で肌がダメージを受けてできたシミ
「加齢」に伴うシミ
シミ取りの保険適用範囲は、上記のような基準で定められています。保険適用となる治療も限られています。
「美容目的」のシミ治療は、基本的に保険適用外となります。
保険が適用される病気・症状
太田母斑(青アザ)
扁平母斑(茶色いアザ)
異所性蒙古斑(お尻以外にできる蒙古斑)
外傷性色素沈着(傷が原因のシミ・アザ)
上記のケースでは、皮膚科でのシミ取り・アザの除去に保険が適用されることがあります。
この他、皮膚にできた悪性腫瘍(ガン)が疑われるシミを治療する場合も、保険が適用されます。
※同じ疾患の治療でも、保険適応となるレーザー機器以外を使用する場合は、自由診療となります。
保険適用① 太田母斑(青アザ)
太田母斑(おおたぼはん)とは、額・目の周り・頬・鼻などにできる青アザのことです。
通常、顔の片側にできますが、両側にできることもあります。
この青アザは、メラニンという色素を作る「メラノサイト」が増えることで発生します。
生後半年以内にできることが多く、思春期頃に色が濃くなるケースもあります。
また、20〜40歳代で発症するケースもあります。
基本的に自然治癒はしません。
人体に影響することはありませんが、アザが濃く目立つため、見た目に影響を与えます。
太田母斑の治療方法
「レーザー治療」により、多くなったメラノサイトを壊します。
保険適用② 扁平母斑(茶色いアザ)
扁平母斑(へんぺいぼはん)とは、生まれつきある「茶色いアザ」を指します。
手のひら・足の裏以外、体中どこにでもできる可能性があります。
扁平母斑は、皮膚が“ほくろ”のように盛り上がりません。
放置しても、人体に悪影響を及ぼすことはありません。
扁平母斑の治療方法
見た目を綺麗にするために「レーザー治療」を行います。
再発した場合は、「ドライアイス治療」や「手術」を行うこともあります。
※扁平母斑は再発率が高いアザです。
保険適用③ 異所性蒙古斑(お尻以外にできた蒙古斑)
異所性蒙古斑とは、お尻以外にできた「蒙古斑」のことです。
生まれたての赤ちゃんにあるお尻のアザを「蒙古斑」と呼びますが、お尻以外にできている場合は、異所性蒙古斑と呼ばれます。
お尻の蒙古斑は自然と消えますが、お尻以外にできたアザは消えずに残ることが多いです。
このシミは、人体に悪影響を与えないため、放置しても大丈夫だとされています。
異所性蒙古斑の治療方法
「レーザー治療」が基本となります。
保険適用④ 外傷性色素沈着(傷が原因のシミ・アザ)
外傷性色素沈着とは、ケガなどの傷が原因でできたシミやアザのことです。
傷口から入った異物が皮膚内に残り、色素沈着を起こしています。
よくあるキッカケとしては、
転んで砂が皮膚の中に入り込んでしまった
鉛筆の芯が刺さった
などが挙げられます。
このシミは自然に消えることはありませんが、健康への悪影響もないと言われています。
外傷性色素沈着の治療方法
「レーザー治療」を行います。
飲み薬・塗り薬は基本的に使用しません。
皮膚科で行うシミ治療の種類
皮膚科では、
レーザー治療
飲み薬・塗り薬による治療
光治療
などの方法で、シミの改善を図ります。
その① レーザー治療(保険適用のケースあり)
レーザーにより、皮膚の内側にある「メラニン色素」や「メラノサイト」を破壊します。
太田母斑・扁平母斑や、病気の治療を目的とした「レーザー治療」の場合のみ、保険が適用されます。
ただし、使用するレーザーの機器によっては、保険が適用されないこともあります。
レーザー治療には、赤み・色素沈着などの副作用のリスクがあります。
その② 飲み薬・塗り薬による治療(自由診療)
▼「飲み薬」
「メラニンの産生を抑える薬」を内服します。
体の内面からシミを薄くしたり、新たにシミができたりするのを防ぐ効果が期待できます。
吐き気・下痢などの副作用のリスクがあります。
▼「塗り薬」
「ターンオーバーを促す薬」などを塗布し、皮膚の表面からシミを目立たない状態にします。
かゆみ・湿疹などの副作用のリスクがあります。
その③ 光治療(自由診療)
特殊な光をあてて、「メラニン色素」を破壊する治療法です。
保険適用外の治療となります。
光治療には、赤み・ほてりなどの副作用のリスクがあります。
シミ治療の料金目安
治療法
料金目安
レーザー治療
(保険診療)
1回6,000〜12,000円
※部位の大きさによる
レーザー治療
(自由診療)
2,000〜100,000円程度
※部位の大きさや使用する機器、使用回数によって大きく異なる
「飲み薬」による治療
(自由診療)
おおよそ1,500円〜
※飲む量、飲む薬によって異なる
「塗り薬」による治療
(自由診療)
おおおよそ3,000円〜
※塗る量、塗る薬によって異なる
光治療
(自由診療)
1回15,000〜30,000円程度
上記の料金は、あくまで目安です。医療機関によって料金は異なります。
レーザー治療は、どの機械を使用するかで料金が大きく変わってきます。
納得のうえで治療を受けられるよう、費用について事前に確認をとることをおすすめします。
皮膚科を探す
▼参考
日本形成外科学会
茶色い斑点が出る「皮膚の病気」
皮膚に茶色の斑点が出ている場合、
などの病気も考えられます。
病名
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症状の特徴
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放置するとどうなる?
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母斑
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放置しても問題ないが、取り除きたい場合は治療が必要
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脂漏性角化症
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- 数mmから5cm程度の大きさ
- イボのように盛り上がる
- かゆみを伴うことがある
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放置しても問題ないが、大きくなる場合がある。
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癜風(でんぷう)
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- 斑点が多数あらわれる
- 斑点が合わさって大きくなる
- カサカサする
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感染症によって斑点が広がっていく。
(広がった斑点は治るのに長期間かかる)
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① 母斑(生まれつきある斑点)
母斑の特徴
- 人によって色や形はさまざま
- イボのように隆起することもある
- 蒙古斑のように、自然に消えることもある
母斑は、メラニン色素が増えることで発生する「生まれつきのあざ」です。
思春期から発生するケースもあります。
② 脂漏性角化症(イボのように盛り上がる/かゆみを伴う)
脂漏性角化症の特徴
- 円形や楕円形などさまざまな形をしている
- 数mmから5cm程度の大きさをしている
- ツルツルしているものもあれば、カサカサしているものもある
- 隆起し、イボになる
- かゆみを感じることもある
脂漏性角化症は、紫外線の影響・皮膚の老化によってあらわれる茶色い斑点です。
手の平など、足の裏以外の皮膚であればどこにでもできます。
中高年以降の高齢の方に発症しやすく、早い人は20代から出始めます。
③ 癜風(斑点が広がる/カサカサする)
癜風の特徴
- 淡い黄褐色・褐色・サーモン色・白色の斑点が多数あらわれる
- 斑点が合わさって、大きくなる
- 角質層が剥けてカサカサする
- 首や胴体部分にできやすい(顔面にできることもある)
皮膚の色が薄い人は、比較的色の濃い斑点や薄い斑点があらわれる場合があります。
紫外線を浴びて周囲の皮膚が日に焼けると、斑点が目立って見えます。
癜風(でんぷう)は、真菌に感染して発症する皮膚感染症です。
高温多湿の環境にいたり、免疫力が低下していると発症しやすくなります。
食事に偏りがある人・皮脂の分泌が多い人・汗っかきの人などは、発症リスクが高いと考えられています。
皮膚科に行ったほうがいい?
癜風(でんぷう)を放置すると、斑点がさらに広がるリスクがあります。
一度斑点ができてしまうとなかなか消えないため、早めに皮膚科で受診したほうが良いでしょう。
医療機関では、「抗真菌薬の飲み薬・塗り薬」や「高濃度の硫化セレンシャンプー」を使用して治療を行います。
皮膚を清潔にして、悪化を防ごう
癜風が疑われる方は、
- 汗をかいたら濡れタオルで拭く
- 汗をかいたらシャワーを浴びる
- 通気性の良い服や下着などを身につける
- 汗をたくさんかいたら、下着や服を変える
などを意識して、皮膚を清潔に保ちましょう。
皮膚が不潔な状態だと、感染が広がりやすくなります。
皮膚科を探す
【要注意!】皮膚ガンが疑われる症状
- 形が左右非対称である
- 輪郭がギザギザして整っていない
- 色のにじみ出しがある
- 長径が6mm以上ある
- 大きくなっている
- 色や形・症状が変化している
上記症状があらわれている場合、皮膚ガンも疑われます。
皮膚ガンは命に関わる病気ですので、悪化させないことが重要です。
症状に心当たりがある方は、早急に皮膚科で診てもらいましょう。
皮膚科を探す
茶色い斑点が気になるときは、皮膚科で相談を
皮膚の茶色い斑点は、シミではなく皮膚病も疑われる症状です。
特に「斑点が広がっている」「斑点が大きくなっている」といった場合は、早めに皮膚科で相談しましょう。
シミ・皮膚病のいずれの場合も、斑点が自然に消えることはほとんどありません。
シミ取りの場合は自由診療となりますが、気になるときは治療を受けてみることをおすすめします。
皮膚科を探す
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2022-05-31
「お腹に茶色のシミがたくさんができた…」
「原因は何?」
お腹に茶色いシミができる原因をお医者さんに聞きました。
お腹に茶色のシミがたくさん…原因は?
腹部にできるシミは
服・下着との接触
皮膚の洗浄不足
皮膚の老化
などが原因となって発生することが多いです。
腹部はズボン・スカート・タイツ・下着などが接触する部分です。
「服を脱ぐとウエスト部分に跡が残っていた」という経験がある方も多いでしょう。
腹部はそれだけ刺激を受ける機会が多いため、シミができやすくなります。
また、洗浄不足で残った「酸化した皮脂」が刺激となり、シミを作ることもあります。
体を丁寧に洗わない人は、皮脂が原因となっている可能性も考えられます。
加齢によるシミは「40代から」現れてくる!
加齢によるシミは「脂漏性角化症」と呼ばれるもので、健康な人にも起こる皮膚の老化現象です。
一般的に40代頃から見られる傾向があり、早い人では30代から発生する人もいます。
お腹のシミを予防するために
お腹のシミを予防するために
腹部をこする、締め付ける衣類を避ける
衣類は通気性の良いものを身につける
ことを普段から心がけましょう。
腹部のシミは、衣類の接触が原因で起きる場合があります。
ストッキング・タイツ・ベルトは締め付けが少ない物を使用してください。
帰宅したらすぐに「ゆるいラインの衣類」に着替えましょう。
特にかぶれやすい人は、ワンピースなどできるだけ腹部に刺激を与えない服装にしましょう。
汗をかいたら、シャワーを浴びよう!
「汗」や「酸化した皮脂」はシミを作る原因になります。
汗をかいたら衣類を変える・こまめにシャワーを浴びるなどの対策で、汗や皮脂が肌に触れている時間を短くしましょう。
お腹の大量のシミは、皮膚科に行くべき?
放っておくと、シミが徐々に色濃くなって目立ってくることもあります。
シミが自然に消えることほぼないので、気になる場合は皮膚科で治療を受けるとよいでしょう。
市販のクリーム等でセルフケアをするよりも、「専用の医療機器」で治療するほうがシミ取りに効果的です。
ただし、シミ治療は自由診療のケースが多いため、費用面で負担がかかりやすい点がデメリットといえます。
※老化によるシミ(脂漏性角化症)の場合、保険適用になるケースもあります。
「急にシミが大きくなっている」は皮膚ガンの疑いも
急激にシミが大きくなる
湿疹のようなものが数ヶ月以上続く
形が変化している
といった症状がある場合は、皮膚ガンの疑いがあります。
心当たりのある方は、早めに皮膚科で診てもらいましょう。
皮膚ガンの場合、進行すると体中にがん細胞が拡がっていきます。
命を守るためにも、早めの受診で早期発見につなげることが大切です。
皮膚科を探す
皮膚科ではどんな治療を受けるの?
皮膚科では
薬剤による治療
レーザー治療
凍結療法
などでシミの除去を図ります。
治療法
保険適用or自由診療
費用目安
薬剤による治療
自由診療
2,000~3,000円
レーザー治療
自由診療
※脂漏性角化症には保険適用される場合もある
数千円〜数万円(自由診療)
2,000~3,000円(保険診療)
凍結療法
(脂漏性角化症に行われる)
保険適用
2,000~3,000円
治療法① 薬剤による治療
「ハイドロキノン」を配合した塗り薬をシミに塗り、シミの色を薄くさせます。
ハイドロキノンには、シミの元となる「メラニン」の生成を抑えたり、メラニンを生成する「メラノサイト」そのものを減少させたりする効果があります。
「ハイドロキノン」を含む市販品と、どう違うの?
医療機関で取り扱う薬の方が、ハイドロキノンの濃度が高いです。
「シミにしっかりと働きかける」という点で、市販品よりも優れているといえます。
費用は?
薬剤を使ったシミ治療は保険適用外です。
医療機関によって差はありますが、2,000円〜3,000円程度の場合が多いでしょう。
治療法② レーザー治療
色の濃いものに反応するレーザーをシミに照射します。
1週間ほどでシミがかさぶたのようになり、はがれ落ちると色が薄くなります。
費用は?
基本的に保険適用外です。
シミ1つにつき数千円〜、数が多い場合は数万円などの様々な料金設定があります。
※脂漏性角化症の場合は保険適用となり、イボの個数にもよりますが2,000〜3,000円です。
治療法③ 凍結療法(脂漏性角化症の場合)
液体窒素を使ってシミを凍結させ、切除します。
「脂漏性角化症(加齢によるシミ)」と診断した場合に検討される治療法です。
費用は?
脂漏性角化症の場合は保険適用です。
シミの個数にもよりますが、2,000〜3,000円です。
皮膚科を探す
▼参考
一般社団法人日本形成外科学会 しみ