「咳が止まらない」
「痰が絡んで不快…早く治したい」
たかが咳と思っていても、放っておくと口臭が発生したり、症状が悪化し続けてしまうこともあります。
お医者さんに、咳と痰が止まらない原因と対処法を医師に聞きました。
病院を受診した方がいいケースについても紹介します。
監修者
経歴
福岡大学病院
西田厚徳病院
平成10年 埼玉医科大学 卒業
平成10年 福岡大学病院 臨床研修
平成12年 福岡大学病院 呼吸器科入局
平成24年 荒牧内科開業
なぜ?咳と痰が止まらない原因
一言に「咳がとまらない」といっても、その原因は様々です。
代表的な原因として、
- 風邪・インフルエンザ
- 副鼻腔炎
- 後鼻漏
- 気管支炎
- COPD
が考えられます。
早く治すためには、原因に合った適切な対処が必要になります。
それぞれの症状の特徴と対処法を紹介するので参考にしてください。
1.風邪・インフルエンザ
細菌・ウイルスをなかなか排除できないと、咳や痰の症状が続くことが多いです。
細菌やウイルスに感染すると、ノドの粘膜に炎症が起こり、脳の咳中枢が刺激されて咳が出ます。また、細菌やウイルスを体外に排除するために、粘膜からは粘液が分泌されることで、痰が出ます。
<症状の特徴>
- 発熱
- 悪寒
- 頭痛
- 筋肉、関節の痛み
- 鼻詰まり
- 喉の痛み
対処法
部屋を加湿して、安静にしましょう。
風邪の場合は1週間程度で自然治癒することが多いです。2週間以上治らない場合は病院を受診しましょう。
▼鼻水・ノドの症状がメインのとき
→耳鼻いんこう科
耳鼻いんこう科を探す
▼発熱などの全身症状があるとき
→内科
内科を探す
2.副鼻腔炎
「鼻づまりが治らない」「風邪が長引いているな」と思っていたら、鼻の奥まで炎症が進んで副鼻腔炎にになっていることがあります。
風邪などの細菌の感染で、鼻の奥にある空洞(副鼻腔)と呼ばれる部分の粘膜に炎症が起こる病気です。膿のような黄色~緑色の鼻水や痰が溜まります。膿が鼻の裏からノドに流れ込み、痰がからむ咳が止まらなくなります。
<症状の特徴>
- 発熱
- 臭い鼻水
- 黄色や緑色の痰
- 鼻・頬・額周りの痛み
対処法
水を飲んだりマスクしたりして、鼻を加湿したり、鼻うがいするのがおすすめです。
ただし、治らない場合は病院に行きましょう。
病院では、抗生物質などの適切な処置をしてもらえます。
慢性化してしまうケースもあるので、鼻水が臭う場合や市販薬でも症状が改善しない場合は、早めに病院を受診しましょう。
▼鼻水・ノドの症状がメインのとき
→耳鼻いんこう科
耳鼻いんこう科を探す
▼発熱などの全身症状があるとき
→内科
内科を探す
合わせて読みたい
2023-01-30
副鼻腔炎とは、どのような病気なのかを分かりやすくまとめました。
副鼻腔炎の主な症状も紹介するので、「副鼻腔炎かも…」と思う人は心当たりがないかチェックしましょう。
副鼻腔炎とは
副鼻腔炎とは、副鼻腔(鼻の奥にある空洞)や鼻の粘膜に、細菌やウイルスが侵入し、炎症が起こる病気です。
副鼻腔に膿が溜まったり、腫瘍が発生したりすることで、目の下の骨に痛みが生じることがあります。
副鼻腔炎の症状
鼻がつまる
黄色や緑色の鼻水(膿性鼻水)が出る
発熱する
痰がからむ咳が出る
ほほ、おでこに痛みが出る
頭が痛い
目が痛い
歯が痛い
副鼻腔炎の原因
副鼻腔炎にかかる原因としては、下記が挙げられます。
風邪
ハウスダスト
花粉
カビ
風邪以外の原因に関しては、それらが鼻から入って副鼻腔にまで侵入し、炎症を起こして鼻水が臭うこともあります。
副鼻腔炎になりやすい人
副鼻腔炎は、誰にでも発症する可能性のある病気ですが、次のような人は特に注意が必要です。
75歳以上の高齢者
糖尿病、慢性肺疾患、慢性腎疾患などにかかっている方
ウイルスや細菌感染による鼻症状を繰り返している方
過去一ヵ月に抗菌薬を使用した方
肥満傾向の方
喫煙習慣のある方
ぜんそくや気管支炎のある方
副鼻腔炎に使える市販薬は?
市販の鼻炎薬を使用することで、回復することもあります。
市販薬の例
アレルギー性副鼻炎の場合…
ナシビンメディ:佐藤製薬
アルガード鼻炎クールスプレーa:ロート製薬
風邪による副鼻炎の場合…
パブロン鼻炎アタックJL:大正製薬
アレルギーによる場合には、副鼻腔炎だけでなく鼻閉(鼻づまり)も併発している可能性があるため、点鼻薬がおすすめです。
また、最近では漢方薬による副鼻腔炎の治療薬も出始めています。
蓄膿症の漢方薬としても用いられている辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)がおすすめです。
こんな症状は早く病院へ
副鼻腔炎が悪化している場合、自然に治りにくいです。症状が2週間以上続いているときは、早めに受診しましょう。
副鼻腔炎が悪化すると、症状の慢性化や中耳炎を発症するリスクがあります。
中耳炎は聴力に悪影響を及ぼす恐れがあるため、注意したいものです。
さらに、重症化して髄膜炎(※)を引き起こすケースも稀にあります。放置しないようにしましょう。
※「髄膜炎」…頭蓋骨と脳の間にある「髄膜」という膜に、細菌・ウイルスなどが感染し、炎症を起こす病気。頭痛や嘔吐、錯乱などの症状が現われ、最悪の場合命に関わることもある。
病院は何科?
副鼻腔炎の症状は、耳鼻いんこう科で相談しましょう。
耳鼻いんこう科を探す
副鼻腔炎の治療法
薬の処方、点鼻噴霧ステロイド、鼻洗浄を行います。
処方するお薬には、鼻の中の環境を整える「抗菌薬」、痰を出しやすくする「去痰薬」などがあります。
症状によっても異なりますが、2〜3ヶ月程度で治るケースが多いです。
なお、薬物療法で改善が見られない場合には、内視鏡での手術も検討されます。
3.後鼻漏
鼻水がノドの方に落ちてしまう症状です。鼻水がノドを刺激するため咳がでます。
風邪、アレルギー、副鼻腔炎などが原因になります。
<症状の特徴>
- 鼻水が喉の奥に落ちていく感覚
- 口臭がきつくなる
- 声がかれる
- 喉の違和感
対処法
水を飲んだりマスクをしたりして鼻を加湿したり、鼻うがいがおすすめです。
なかなか治らない場合は、病院を受診し、鼻水の原因(風邪・アレルギー・副鼻腔炎など)を診断してもらいましょう。
▼鼻水・ノドの症状がメインのとき
→耳鼻いんこう科
耳鼻いんこう科を探す
▼発熱などの全身症状があるとき
→内科
内科を探す
4.気管支炎
風邪やインフルエンザなどのウイルス・細菌感染によって、気管と気管支に炎症が起こる病気です。
気道内に侵入してきた異物を排除するために、咳や痰が出ます。
<症状の特徴>
- 発熱
- 鼻水
- ノドが痛い
- 粘り気のある痰
- 咳をすると胸が痛い
- 冷えた空気を吸うと咳がでる
対処法
急性気管支炎の場合は、自然に治ることが多いです。
水を飲んだりマスクをしたりして、鼻を加湿し、安静にして過ごしましょう。
ただし、子どもや喫煙者は慢性化・重症化しやすいです。
呼吸がおかしい、ゼーゼー息をしているなど、「おかしいな」と思ったら病院を受診しましょう。
内科を探す
5.COPD
気道が狭くなる状態が続く肺の病気です。
たばこの煙、大気汚染物質(PM2.5など)、化学物質が原因で起こります。
COPDの90%以上は、たばこが原因といわれています。
タバコなどに含まれる有害な物質によって、気道の粘膜表面にある線毛という部分が傷つけられます。
線毛が傷つくと、痰を外に出しにくくなります。また、有害物質を排出するために痰の分泌量も増えて、さらに痰が溜まってしまいます。
溜まった痰を出すために、咳の症状もひどくなります。
<症状の特徴>
- 息切れしやすい
- 呼吸が苦しい
- ヒューヒュー、ゼーゼー呼吸
- 体重が減る
- むくみ
対処法
COPDが疑われる場合は、病院を受診してください。
風邪をひいていないのに痰・咳・息切れが続く場合には、早めに病院を受診してください。
内科を探す
止まらない咳と痰の対処法
まずノドを加湿しましょう。
また、仰向けで寝ると咳がでやすくなるので、横向きで寝るようにしましょう。
<自分でできる4つのケア>
- 部屋を加湿する
- マスクをつける
- 温かい飲み物を飲む
- 体を横向きにして寝る
市販薬はどんなものを選ぶ?
風邪が原因の場合は、市販の咳止めや去痰薬などで症状がよくなる場合があります。
※発熱がない場合には、総合風邪薬(総合感冒薬)よりも、ノドの症状に特化した薬(鎮咳去痰薬)がいいでしょう。
※咳の原因がわからない場合は、市販薬はおすすめしません。無理に咳を止めてしまうと、症状が長引いたり、医師が正確に診断しにくくなることがあります。
合わせて読みたい
2020-07-10
なぜ?透明のネバネバした痰が出る…。
喉に張り付いて気持ち悪い…!
この正体は何?
不快な痰の症状を、どうやって解消したらいいのかお医者さんに聞きました。
病気の可能性や、病院に行く目安もご紹介します。
透明のネバネバ痰は何のサイン?
透明でネバネバした痰が出ている場合、なんらかの原因によって、気管支に炎症などが起こっていると考えられます。
どう対処すればいい?
ネバネバの痰が絡んだり、喉に張り付くときは、水分をしっかりとりましょう。痰の粘度が下がり、出しやすくなります。
また、痰は乾燥していると出にくくなり、加湿することで出しやすくなります。加湿器やマスクを使用すると良いでしょう。
咳をしすぎると喉をいためてしまうため、痰を出そうとして無理に咳を出すのは避けましょう。
<痰を出しやすくするコツ>
横向きに寝て、床についている方の手を反対側のわきの下に置く。
鼻から息を吸い、口から息を出す。(どちらもゆっくり、深く呼吸する。)
痰があがってくるのを待つ。(あがってこなければ、再度②を行う。)
息を大きく吸い、勢いよく「ハー!ハー!」と口から息を出す。
大きく息を吸って、咳をする。
※疲れるため、1日2~3回まで、1回20分以内にしましょう。
自然に治る?
痰の原因がウイルス性の急性気管支炎であれば、1週間程度で自然と快方に向かいます。
ただし、痰の症状に伴って咳が2週間以上続いたり、高熱など他の症状も現れている場合には、病院を受診することをおすすめします。
透明のネバネバした痰がでる病気
透明のネバネバした痰が出ている場合、
急性気管支炎
気管支喘息
COPD(慢性閉塞性肺疾患)
慢性副鼻腔炎
になっている可能性があります。
1. 急性気管支炎
ウイルスや細菌に感染し、気管支が炎症を起こすことで発症します。
<症状の特徴>
風邪の症状に続いて、咳や痰などの症状が現れます。
初期症状として、粘り気のある透明の痰がでます。熱や食欲不振、倦怠感がある場合もあります。
2.気管支ぜんそく
気管支が慢性の炎症を起こし、何らかの刺激により気管支が狭くなる発作を起こす病気です。
気道の感染症や、ハウスダストやカビなどのアレルギー、運動やアルコール、ストレスなどによって起こります。
<症状の特徴>
急に咳や痰がでるのが特徴です。
ヒューヒュー・ゼーゼーという音がして、息苦しくなります。発作が出やすいのは、夜から朝にかけての時間帯です。
3.COPD(慢性閉塞性肺疾患)
慢性気管支炎と肺気腫の総称で、主な原因は喫煙です。タバコの煙により、気管支が炎症を起こすことで発症します。
喫煙している人のうち15~20%がCOPDになると言われています。その他、排気ガスや遺伝的な異常が原因となることがあります。
<症状の特徴>
慢性的な咳と痰の症状があり、秋から冬にかけてひどくなる傾向があります。(慢性気管支炎)
咳や痰に加え、運動時に息切れがみられます。病気が悪化するにつれ、症状もひどくなります。(肺気腫)
4.慢性副鼻腔炎
鼻の奥にある「副鼻腔」という空洞に、慢性的な炎症が起こる病気です。細菌感染やアレルギーなどにより発症します。
<症状の特徴>
鼻汁が喉まで落ちてきて、痰のように感じることがあります。(後鼻漏)
こんな症状があるときは病院へ!
以下のような症状がある場合は、できる限り早く病院を受診しましょう。
2週間以上せきが続いている
発熱している
痰の状態がおかしい(色が濃い、粘りが強い、血が混じるなど)
ゼーゼー・ヒューヒューなどの呼吸音がする
横になれないほど息苦しい
苦しくて動けない
会話することが難しい
今までに
・呼吸器の病気にかかったことがある
・糖尿病・心臓病・膠原病等の持病がある
・高齢者
・子ども
の場合も早めに病院に行きましょう。
受診するのは何科?
透明のネバネバ痰がでている時は、呼吸器内科を受診してください。
呼吸器内科を探す
熱や鼻水など風邪の症状が目立つ場合は、まずは内科を受診するのもいいでしょう。
内科を探す
参考
一般社団法人 日本臨床内科医会 わかりやすい病気のはなしシリーズ6 せきとたん
https://www.japha.jp/doc/byoki/006.pdf
一般社団法人 日本呼吸器学会 急性気管支炎
https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=3
独立行政法人 環境再生保全機構 COPDかも…。どうしたらわかりますか?
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/copd/about/04.html
一般社団法人 日本呼吸器学会 閉塞性肺疾患に関するQ&A
https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=148
一般社団法人 日本臨床内科医会 わかりやすい病気のはなしシリーズ7 慢性気管支炎・肺気腫
https://www.japha.jp/doc/byoki/007.pdf
一般社団法人 日本呼吸器学会 急性気管支炎
https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=3
こんな症状は早めに病院を受診しよう!
次の場合には、セルフケアや市販薬に頼らず、早く病院に行きましょう。
- 高熱がある
- 呼吸が苦しい
- 2週間以上咳が続く
- 日常生活に支障をきたしている
- 咳や痰の量が多い
- 市販の薬を服用しても、症状が良くならない
何科を受診する?
内科、呼吸器内科、耳鼻いんこう科のいずれかを受診しましょう。
どの診療科を受診すればよいかわからない場合は、まず内科を受診しましょう。
詳しい検査が必要な場合には、専門の呼吸器内科や耳鼻科に紹介されると考えられます。
▼発熱など全身症状を伴う
内科を探す
▼咳の症状が強い
呼吸器内科を探す
▼鼻水・ノドの症状が強い
耳鼻いんこう科を探す
合わせて読みたい
2020-09-24
痰がしつこく絡んで、のどがすっきりしない。
何度も吐き出したのに、また痰が絡んで困る。
そんなお悩みの対処法を紹介しています。
どうして痰がしつこく絡んでいるのか、病院を受診した方がいいのかなどをお医者さんにお聞きしました。
しつこい痰に困っていたら、ぜひ参考にしてください。
痰絡みの「基本の対処法」
痰が絡みやすいときは、水分を多く摂取しましょう。水分を多くとると、痰が出やすくなります。
痰を排出しやすくする去痰薬も市販されています。
薬剤師に相談し、使用上の注意を確認してから使ってください。
痰が長引く原因かも「NG行為」
たばこやアルコールは、気道の線毛細胞を破壊する働きがあります。
痰症状が出ているとき、出やすい人は、禁煙・節酒をしてください。
気道の粘膜上にある線毛細胞は、痰の排出を促す働きがあります。たばこやアルコールの影響で、線毛細胞が破壊されるので注意してください。
痰が治らない原因は?
痰が長引く場合は、次の病気になっている可能性があります。
原因①気管支炎
「急性気管支炎」の多くは、細菌やウイルスが感染することで、痰が絡んだ咳が頻繁に出る病気です。
「慢性気管支炎」の場合は、喫煙や排気ガスなどの大気汚染によって起こります。
生活な不規則で免疫力が落ちている人、幼児、高齢者などが発症しやすい病気です。
自分でできる対処法
出てくる痰は吐き出します。しっかりと休暇を取り、栄養のある食事をとりましょう。
また、痰や咳が出ている間は、嗜好品(たばこ、アルコールなど)は控えてください。
原因②肺炎
細菌やウイルスの感染によって、咳や痰、発熱などの症状が出ます。
生活が不規則で免疫力が落ちている人、高齢者、幼児などが発症しやすい病気です。
黄色い痰や茶褐色の痰など色のついた痰などが出るときもあります。
肺炎では、咳や痰だけでなく、咳をすると胸が痛む、呼吸が浅くなるといった症状が出ることがあります。
自分でできる対処法
3、4日激しい咳が続くなど、症状が快方に向かわないときは、自己判断せず、早めに病院で診察を受けましょう。
原因③慢性閉塞性肺疾患(COPD)
主に長年の喫煙習慣が原因で、慢性的な痰や咳の症状や、歩いたり、階段を登ったりした際に息切れが出ます(労作時呼吸困難)。
喫煙者の15~20パーセントの人が、慢性閉塞性肺疾患を発症するとされています。
長期間の喫煙によって、慢性的に咳や痰が出ます。
また、気管支が炎症を起こし、肺が壊れ、気管支が狭くなるため、酸素を取り入れる働きが弱くなります。場合によっては、二酸化炭素を排出する機能も低下します。
自分でできる対処法
禁煙が必須です。
禁煙だけでは、一度失った肺機能を元に戻すのは難しく、同時に病院で治療を行い、症状を軽くしていきます。
原因④肺がん
喫煙者に多い病気です。
喫煙、受動喫煙、衣食住での環境、薬品などが原因になります。
咳、痰、倦怠感、胸痛、体重減少、血痰などの症状があらわれます。ただし、変化がないことも多いです。
自分でできる対処法
禁煙が必要です。家族に喫煙者がいる場合も、禁煙をします。
同時に必要ながん治療を受けます。肺がんは、見つかった時点で他の臓器に転移していることが多く、転移がある場合は、抗がん剤やその他のがんに対する薬物治療や放射線治療などを組み合わせて治療が行われます。
病院へ行くタイミング
痰以外に、咳・発熱を含む症状が4~5日続き、よくなる傾向がない場合は、病院で診察を受けましょう。
また、熱がなくても2週間以上も痰や咳で呼吸が苦しい状態が続くときは、病院を受診してください。慢性閉塞性肺疾患や肺がんなどの可能性があります。
病院は呼吸器内科・内科を受診しましょう。
内科を探す
▼参考
般社団法人日本呼吸器学会 呼吸器の病気 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=12
一般社団法人日本呼吸器学会 呼吸器の病気 肺がん
https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=25
お医者さんへの上手な症状の伝え方
医師に的確に伝えるために、次の4ポイントを伝えるとよいでしょう。
- いつから症状があるか
- 週に何日くらい症状があるか
- どんな時に症状が出るか(寝ているときに悪化する、咳の出やすい時間帯など)
- 咳の種類(ゼーゼーと音がする、痰がからんでいる、など)
合わせて読みたい
2020-01-09
「痰が喉に張り付く…」
「いつまで痰の症状は続くの?」
「風邪は治ったのに咳と痰が出続ける…なぜ?」
風邪による痰が出る仕組みから、喉に痰が絡む対処法まで、医師に詳しく解説してもらいました。
風邪による痰の症状にお悩みの方は必見です。
なぜ?風邪で「痰が出る原因」
「痰」は、ウイルスや細菌による喉の炎症が考えられます。
「咳」は、呼吸器を守ろうとする防御反応や、痰を排出しようする働きで起こります。
痰や咳が出るときの過ごし方
痰や咳が出るときは
部屋を加湿する
水で濡らしたマスク(濡れマスク)をつける
横向きに寝て、気道を確保する
温かい飲みものを飲む
といったことを実践してみましょう。
痰が絡む咳は「治りかけの合図?」
痰が絡む咳は、風邪が治りかけている合図です。
乾いた咳の後、2~3日でさらさらとした白っぽい痰に変化します。
その後、黄色や緑色の痰となり、再び白い痰に変化したら治ってきている証拠です。
風邪の咳や痰、「いつまで続く?」
風邪の後の咳や痰は、通常であれば風邪の症状が落ち着いた後、1週間くらいで快方に向かいます。
風邪の症状はおさまったのに、咳と痰だけがよくならない場合は、喉の粘膜に病原菌がいて炎症が続いている可能性があります。
痰の上手な出し方
水分を摂ると痰が水分を含んで柔らかくなり、出しやすくなります。
あまり無理をすると咳で疲れるので、少しずつ出しましょう。
痰を出した後は、手を洗いましょう
痰をティッシュにくるんだ後は、石鹸できれいに手を洗いましょう。
痰にはウイルスや細菌が含まれており、他人に風邪をうつしてしまうことがあります。
痰は出した方がいい?
飲み込んでも問題ありませんが、痰が多いと具合が悪くなる人もいるので、出せる場合は出しましょう。
痰には風邪のウイルスや細菌が混じっていますが、飲み込んでも胃液で通常死滅します。
市販薬は「去痰薬」を選んで
市販薬を使用する際は、「去痰薬」という痰を出しやすくしてくれる成分が入っている薬を選びましょう。
「去痰薬」には、咳を緩和する成分が同時に配合されているものが多いです。
◆痰を出しやすくする成分
ブロムヘキシン塩酸塩
L-カルボシステイン
グアヤコールスルホン酸カリウム
桜皮抽出物(オウヒ)
キキョウ
マオウ
◆咳を緩和する成分
アミノフィリン
テオフィリン
dl-メチルエフェドリン塩酸塩
メトキシフェナミン塩酸塩
ジヒドロコデインリン酸塩
コデインリン酸水和物
去痰薬と風邪薬は併用しない
市販の風邪薬は去痰成分が入っているものが多いため、去痰薬と併用すると同じ成分を過剰摂取してしまう場合があります。
風邪薬によっては併用可能なものもあるため、服用の際には薬剤師に相談しましょう。
緑・黄色の痰は「体が戦っている証拠」
緑や黄色の痰は、粘液に細菌やウイルスと白血球が混ざったものです。
この痰が出たからといって、風邪が快方に向かっているとは言えませんが、白血球とウイルスや細菌が戦っている証拠です。
熱はないけど緑色の痰が出るのはなぜ?
喉にウイルスや細菌の感染を起こすと、発熱していないのに緑色の痰が出ることがあります。
これは、ウイルスや細菌が入り込んできているところで、白血球が戦っている状態です。
風邪には特効薬がありません。
白血球に頑張ってもらうためにも、バランスが偏らないようしっかりと栄養を摂り、 体を無理に動かさないようにして休めましょう。
「血が混じっている」痰は“喉の粘膜が切れている”
咳で喉の粘膜が切れて血が混ざる場合があります。
自然に治ることも多いので、まずは水分補給を行い、無理に喉を使わないようにして加湿した部屋で安静にしてください。
血痰は「風邪以外の病気」かも
何度も血が混ざる・血の量が増えているといった場合は
上気道炎
気管支拡張症
肺がん
肺結核
肺炎
肺アスペルギルス症
肺梗塞
心不全
などの可能性があります。医療機関を受診しましょう。
こんな症状を伴うときは要注意!
血痰だけでなく、
胸痛
呼吸が苦しい
喉が腫れている
喉の異物感
咳が出る
胃痛
声のかすれ
などの症状を伴うときは、風邪以外の病気も考えられます。
重い病気が原因となっているケースもあるため、注意が必要です。
1週間以上も、咳・痰が続く場合は病院へ
1週間以上、咳・痰の症状が続く
咳が悪化している
息をするのがつらい
食欲がなくなってきた
といった場合は、一度医療機関を受診してください。
原因は風邪じゃないかも
咳・痰が長引く場合、肺炎・結核・肺がんなどの可能性があります。
検査を受けましょう。
病気① 肺炎
肺胞という肺の末端にウイルスや細菌が感染する病気です。
症状
黄色や緑色の痰が出る
38度以上の熱が数日間続く
寒気がする
倦怠感が生じる
呼吸困難になる
病気② 結核
結核菌という細菌が肺で増殖する病気です。
症状
咳と痰が出る
微熱が数日間続く
息苦しさを感じる
胸が痛む
食欲がなくなる
体重が減る
病気③ 肺がん
肺の細胞ががん化していく病気です。
症状
痰に血が混じる
熱が数日間続く
息苦しさを感じる
胸が痛む
動悸がする
病院は何科?
医療機関は内科や呼吸器内科を受診してください。
内科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。