子どもが「朝に起きられない」「午前中は調子が悪そう」というとき、親はどう対処してあげればいいのか、お医者さんに聞きました。
本人の気合いではどうにもならない「病気」のケースもあります。
最後まで読んで、子どもにとってよい選択をしてあげられるようにしましょう。
監修者
経歴
公益社団法人 日本小児科学会 小児科専門医
2002年 慶應義塾大学医学部を卒業
2002年 慶應義塾大学病院 にて小児科研修
2004年 立川共済病院勤務
2005年 平塚共済病院小児科医長として勤務
2010年 北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室勤務
2012年 横浜市内のクリニックの副院長として勤務
2017年 「なごみクリニック」の院長として勤務
2020年 「高座渋谷つばさクリニック」院長就任
子どもが朝起きられない「原因」
朝起きられないという場合、単純に睡眠が足りていないという原因が子どもには多くあります。
睡眠が足りなくなる要因としては…
- 寝る時間が遅い
- 睡眠環境が整っていないため、熟睡できない(寝具や部屋の温度など)
また、寝つきが悪くなる要因には…
- 眠る間際まで、ゲーム、パソコン、テレビ、スマートフォンなどの液晶画面を見ているので睡眠が浅い
- 日中に体を適度に動かしていない
などが考えられます。
スッキリ起きるには?
夜は、眠る1〜2時間前にはスマホ・テレビなどの液晶画面から目を離して、気持ちをリラックスさせましょう。
朝起きたら、朝日を体で浴びて、水を1杯のみ体を目覚めさせましょう。
ママ・パパができる工夫
子どもが早寝できるように、子どもが気になるTVを消す、スマホから手を離すようにしましょう。
また、眠るまで一緒にいてあげたり、眠る前に1日の話を聞くなどして、リラックスさせてあげましょう。
ちょっと待って!「起きられない病気」のケースも
朝起きられない原因が「病気」のケースもあります。
これらの場合は「怠け」と誤解されて、子どもが傷ついている場合も多いです。
起きられない…「起立性調節障害」とは
小学校中学年~中学生の子どもに多い「自律神経が正常に働かない病気」です。
起立性調節障害の症状チェック
- 立ちくらみがある
- 長時間立っていられない
- 午前は調子が悪く、午後に改善することが多い
- 入浴のときに、気持ち悪くなる
- 夜に活動的になり、寝つけない
- 顔色が青白い
- 食欲が出ない
- 乗り物に酔いやすい
- 頭痛・腹痛・倦怠感
- 少し動くと動悸や息切れ
どう対処すればいい?
遅刻や欠席が増えたり、学校の活動に支障をきたしている場合など、不登校の状態では小児科を受診しましょう。
かかりつけの小児科に相談するのもよいでしょう。
小児科から、「起立性調節障害」を専門としている医師を紹介されることもあります。
病院では、症状にあわせて生活指導や内服薬を処方したりします。
また、改善のためには「水分」「塩分」「バランスのよい食事」も必要となります。塩分量は子どもの性別・年齢によって適切量が変わるため、医師の指示を仰ぎましょう。
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病気は「気合い」や「根性」でどうにかなるものではありません。
当てはまる症状がある場合は、まず親が病気を理解してあげましょう。そして医師と一緒に、子どもに寄り添ってあげることが大切です。
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「明日も朝早いのに眠れない…」
「すぐに眠れる方法が知りたい!」
公認心理師・臨床心理士の赤田太郎先生が、スムーズな入眠をサポートする方法をご紹介。
寝付けなくてお困りの方は、ぜひお試しください。
※動画による解説は記事末尾から
今すぐ寝たいときは「漸進的筋弛緩法」を試してみよう
最近寝つきが悪くて困っています。
明日も仕事で朝早いのに…。すぐに眠れる方法ってないのでしょうか?
眠れないときには、「漸進的筋弛緩法(ぜんしんてききんしかんほう)」がおすすめです。
意識的に筋肉の緊張と弛緩(緩める)を繰り返すことで、体と心の緊張をほぐしていきます。
体全体がリラックスするので、スムーズな入眠に繋がりますよ。
漸進的筋弛緩法のやり方
まずは楽な姿勢で座ります。
その後、体の各部位の「筋肉を緊張させる⇒脱力する」という行為を2回ずつ繰り返していきます。
手・腕
頭部(額・目・顎)
首肩まわり
上半身(胸・お腹)
足
の順に行いましょう。
大切なのは、緊張した筋肉が緩んでいく感覚を意識することです。
ここからは詳しい手順を解説していきますので、ぜひ実践してみてください。
※漸進的筋弛緩法の注意点※
漸進的筋弛緩法は、著しく体力が低下している方や治療中の疾患・ケガのある方が行うと、不快感が生じたり、症状が強くなったりする可能性があります。特に現在通院中の方は、必ずかかりつけ医に相談してから実践するようにしましょう。
1. 手・腕の筋弛緩
▼手の筋弛緩のやり方
椅子やベッドで楽な姿勢で座り、目を閉じる。
右の拳を、体を痛めない程度に、少し強めに握る。
指と腕の力を抜いていく。
①~③を2回繰り返す。
左手も同様に行う。
▼腕の筋弛緩のやり方
右腕の肘を曲げて力を入れる。
腕をゆっくり伸ばして、緊張を緩める。
緊張のある状態とない状態の違いを感じながら、リラックス感を深める。
①~③を2回繰り返す。
左腕も同様に行う。
目を閉じるのが不安な人は、開いたままでも構いません。
「力を入れたときの緊張」と「脱力するときの弛緩」の違いを味わうようにしましょう。
2. 頭部(額・目・顎)の筋弛緩
▼額の筋弛緩のやり方
額にシワを寄せるようにして力を入れる。さらに力を入れる。
だんだんと額の力を抜く。額全体のシワがなくなっていくことをイメージする。
①~②を2回繰り返す。
▼目の筋弛緩のやり方
目を強く閉じる。目やまぶた以外の部分に力が入らないようにする。
目を閉じたまま、力を抜いていく。
①~②を2回繰り返す。
▼顎の筋弛緩のやり方
歯を食いしばる。
顎を固めて、唇も強く閉じる。
だんだんと力を緩めて顎と口をリラックスさせる。
①~③を2回繰り返す。
額・目・顎の筋弛緩トレーニングを行うことで、顔全体が自然とゆったりして、表情がリセットされます。
顔の筋肉を滑らかにして、穏やかな気持ちを味わいましょう。
3. 首肩まわりの筋弛緩
▼首の筋弛緩のやり方
首をできるだけ後ろに曲げて、首の緊張を感じる。さらに強く緊張させる。
ゆっくりと首を楽な位置に戻す。
①~②を2回繰り返す。
▼肩の筋弛緩のやり方
肩をすくめて上にあげる。
さらに肩を上にあげながら、胸を開くように肩を開く。
ゆっくりと肩の緊張を緩める。
①~③を2回繰り返す。
リラックス感が、顔・腕・肩・背中に染み渡るのを感じましょう。
4. 上半身(胸・お腹)の筋弛緩
▼胸の筋弛緩のやり方
楽に呼吸を続ける。息を吐くとき、体全体が緩んでいくことを感じる。
深く息を吸う。
しばらく息を止めて緊張を感じる。
ゆっくりと胸の緊張を緩めて、息を吐きだす。
自然に呼吸しながら、体全体をゆったりさせる。
①~⑤を2回繰り返す。
▼お腹の筋弛緩のやり方
腹筋に力を入れてお腹を固くする。
力を抜いて腹筋を緩める。
①~②を2回繰り返す。
5. 足の筋弛緩
両足をつま先まで精いっぱい伸ばして、足を突っ張る。
同時に足全体とおしりにも力を入れる。
ゆっくりと自然に足の力を抜く。
①~③を2回繰り返す。
全部終わったら、大きく深呼吸をします。ゆっくりと長い深呼吸をして、リラックス感を味わいましょう。
最後にもう一度深呼吸をして、体全体の筋肉をゆったりさせます。
全身の筋肉が緩んだら、5~1までの数字を心の中で数えてください。1まで数えると、頭がすっきりして気分爽快になります。
眠気が強い方は、そのままお休みください。
毎日の習慣にすると効果的!
漸進的筋弛緩法は、初めてすぐには効果を実感しにくい可能性があります。
まずは1週間続けてみることをおすすめします。
効果を感じた場合もすぐにやめるのではなく、毎日の習慣にして、できるだけ長く続けるといいですよ。
▼動画による解説はこちら
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