「寝てる時に歯をくいしばる原因は何?」
「自分でできる対策はある?」
寝てるときに歯を食いしばる原因について、歯医者さんに聞きました。
考えられる原因や自分でできる対策法、歯医者さんでの治療についても解説します。
監修者
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歯は健康に欠かせません。美味しいものを食べる・会話をする・美しい表情を保つ…、健康な歯は人生の質を高めます。歯の正しい知識を知って、より健康な日々を手に入れましょう。
寝ている時に歯を食いしばってしまうのはなぜ?
寝ている時に歯を食いしばるのは、
- ストレス
- 嚙み合わせ・骨格の問題
- 逆流性食道炎
などが原因として考えられます。
それぞれ詳しく解説します。
原因① ストレス
日中に強いストレスや緊張を感じていることで、無意識に歯を食いしばってしまう場合があります。
日中に感じたストレスや緊張を、就寝中に歯を食いしばることで発散していると考えられています。
他にもこんな症状ありませんか?
- 全身の倦怠感・疲労感がある
- 胸が痛む・動悸
- 胃もたれ・吐き気・嘔吐
- 下痢・便秘・お腹が張る
- 肩こり
- 頭痛・めまい
- 多汗
- よく眠れない
どんな人に多い?
- ストレス・疲労を溜め込みやすい
- 睡眠不足
- 強い緊張を感じる場面が多い
- 細かいことが気になる
- 心配性で気が抜けない
- 責任感が強い
などの人に多くみられます。
原因② 嚙み合わせ・骨格の問題
噛み合わせ・骨格の問題で顎筋肉の緊張のバランスが崩れると、寝ているときに食いしばってしまう場合があります。
噛み合わせ・骨格の問題は、歯並びの悪さ、虫歯の放置、詰め物の欠損などで起こりやすいです。
また、歯が抜けたまま義歯をつけないでいることで、噛み合わせに異常が出る人もいます。
他にもこんな症状ありませんか?
- 頭痛
- 肩こり・腰痛
- 歯の欠損
- 歯がすり減った・欠けた
- 口が開けにくい(顎関節症)
- 歯茎が腫れて痛む(歯周病)
- 顔が歪んできた
どんな人に多い?
- 歯並びが整っていない
- 歯の欠損・虫歯を放置している
- 歯の詰めもの・被せものが合っていない
- 歯磨きを怠っている
- 片側の奥歯のみでものを噛むクセがある
- 頬杖をつくクセがある
などの人に多くみられます。
また、遺伝的要因によって、噛み合わせに異常がでる人もいます。
原因③ 逆流性食道炎
胃酸が逆流してしまう病気です。
胃酸が食道まで上がってきたときに、唾液分泌量を増やすために、無意識に食いしばりが起こる場合があります。
この食いしばりは、胃酸で酸性傾向になった口の中を、唾液によって中性状態に戻そうとする働きで起こります。
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2023-01-30
逆流性食道炎とはどのような病気なのか、分かりやすくまとめました。
逆流性食道炎の主な症状や原因、なりやすい人の特徴も紹介するので、心当たりがないかチェックしましょう。
逆流性食道炎とは
逆流性食道炎とは、胃酸や胃の中の食べ物が食道に逆流することで食道で炎症が起こり、胸やけなどの症状があらわれる病気です。
逆流性食道炎の症状チェック
胸焼け(空腹時や夜間に多い)
胃もたれ
げっぷ
呑酸(※1)
喉の違和感
咳
声のかすれ
睡眠障害
(※1)胃酸により、口の中や喉が酸っぱく感じること
症状が長く続いている場合、睡眠障害を起こし、日常生活に支障をきたすことがあります。
症状が一つでもある場合は、早めに受診して、検査をおこなうことが大切です。
逆流性食道炎の原因
逆流性食道炎はストレスや肥満、更年期が原因となっているケースが多いです。
原因① ストレス
胃と自律神経系は深い関わりがあり、ストレスを受けるとその刺激が自律神経系に伝わります。自律神経系の働きによって胃酸の分泌が過剰になり、食道に逆流しやすくなります。
胃の粘膜には胃酸から粘膜を守る仕組みがありますが、食道にはその仕組みがありません。
さらに、ストレスによって胃や食道の運動機能が落ちているため、胃酸にさらされる時間が長くなり、炎症が起こりやすいと考えられています。
原因② 肥満
お腹が圧迫されると、胃の中の圧も高くなるため、胃酸が食道に逆流しやすくなります。
肥満の人は、脂肪でお腹が圧迫されやすいため、逆流性食道炎の原因となる可能性があります。
また、肥満の人は食道裂孔ヘルニアになりやすく、食道裂孔ヘルニアになると胃に圧がかかりやすい状態であるため、逆流性食道炎を発症しやすいといわれています。
原因③ 更年期
更年期になると胃酸や胃の内容物の逆流を防ぐ下部食道括約筋が衰え、逆流性食道炎を発症しやすくなります。
さらに、食道の働きの衰え・唾液の量の減少も加わり、逆流した胃酸を胃へ戻しにくくなるため、逆流性食道炎を起こしやすくなっています。
逆流性食道炎になりやすい人は?
過食
早食い
肥満
脂肪を多く含む食品をとり過ぎている
お酒をよく飲む
炭酸飲料をよく飲む
タバコを吸う
逆流性食道炎は自力で治せる?
脂肪分を控える
酸味の強いものも控える
満腹まで食べない
重いものを持たない(腹圧が強くかかるため)
ベルトを締めすぎない
といったセルフケアで、改善が期待できます。
ただし、上記のケアで改善が見られない、不調が悪化している、といった人は医療機関で相談してください。
逆流性食道炎の治し方|食事・市販薬など
しばらくの間は、油っこくない、さっぱりとした食事を心がけましょう。
また、早食いや食べ過ぎ、食後すぐに横になる行為は控えてください。
調理方法は「蒸す」「茹でる」を中心にすると、油の摂取量を減らすことができます。
食事の際は、一口ずつよく噛んで、ゆっくりと時間をかけて食べてください。
また、就寝の3時間前に食事を済ませるようにしましょう。
食後2~3時間は体を起こしておくと、発症予防になります。
市販薬で治るの?
逆流性食道炎(胸やけ)に向けた市販薬は、医療薬から転用されたスイッチOTC薬※「H2ブロッカー」です。
ただし、H2ブロッカーは完全に胃酸の分泌を抑える処方薬ではないので、あくまで症状を徐々に和らげるものと考えてください。
※処方薬だった成分が、処方箋がなくても一般薬として薬局・薬店で購入できるようになった薬
商品名は各メーカーにより異なりますが、パッケージや添付文書に「H2ブロッカー胃腸薬」「H2受容体拮抗剤」と表記されています。
こんな症状は早く病院へ
胸焼け
酸っぱい液体が上がってくる、ゲップが出る
せき
のどの不快感
上記のような症状が見られる場合は、病院を受診しましょう。
病院は何科?
胃腸内科や消化器内科を受診しましょう。
症状に関しての相談は内科でも行う場合がありますが、検査は胃腸専門の病院が良いでしょう。
消化器内科を探す
病院での治療法は?
病院では、薬物療法や外科的治療を行います。
薬物療法では、胃酸の分泌を抑制する薬、胃や食道の運動を高める薬、粘膜を保護する薬を使用する場合が多いです。
薬物療法で改善が見られない場合、手術により逆流を防止する治療を行うケースもあります。
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
他にもこんな症状ありませんか?
- 胸焼け・胃もたれ
- 前傾姿勢になると胸痛が起こる
- 胸が締め付けられる感じがする
- 酸っぱいものが喉の方に上がってくる感じがする
- お腹が張っている感じがする
- ゲップが増える
- のどに違和感がある
どんな人に多い?
- 肥満傾向
- 食べ過ぎてしまう
- 食べるスピードが速い
- 食後すぐ横になる
- ストレスが溜まっている
- よく眠れない
- アルコールを頻繁に飲む
- タバコを吸う
- 油っぽい食ベものが好き
などの人に多くみられます。
どう対策すればいい?
寝ている時に歯を食いしばる場合、
- マウスピースを使う
- ストレスを溜め込まない
- 睡眠環境を整える
といった対策をするとよいでしょう。
対策① マウスピースを使う
自身の口に合うマウスピースを装着すると、食いしばりの力を弱めることができる・歯のすり減りを予防できるなどの効果があります。
マウスピースを作りたいときは、歯医者を受診しましょう。
歯医者では、口の中や歯の状態を確認したうえで、歯型をとってもらえます。
対策② ストレスを溜め込まない
ストレスによる食いしばりには
- 適度な運動をする(ヨガ・ウォーキング など)
- 寝る前にリラックスできる時間を作る(入浴・読書 など)
- 口周りの筋肉をほぐす(「あ」「う」と口を開閉させる)
などの対策がおすすめです。
心と体の緊張を上手く和らげましょう。
対策③ 睡眠環境を整える(質の良い睡眠をとる)
浅い睡眠が歯の食いしばりを助長する場合があるため、できるだけ良質な睡眠がとれるように睡眠環境を整えることが重要です。
具体的な方法として、
- 寝る前のアルコール・コーヒーの摂取を控える
- 寝る直前までスマホやパソコンの画面を見ない
- 喫煙を控える
- 仰向けで寝るようにする
- (うつ伏せで寝ると、歯や顎に圧が掛かり食いしばりを悪化させる場合があるため)
- 枕を低めにする
などをおすすめします。
歯医者さんで相談するメリット
歯医者さんでは、寝ている時に歯を食いしばる原因を調べてもらえます。
原因に合わせた治療を受けることで、食いしばりを根本的に改善しやすくなります。
特に、こんな症状は早く歯医者へ
- 歯茎や歯の痛み・腫れがある
- 歯がしみる
- 喉の痛みがある
- 顎に違和感がある
- 口が開けにくい
- 歯が欠ける・割れる
などの症状がある場合には、早めに歯科を受診しましょう。
放置すると、虫歯、口内炎、歯周病、顎関節症などを引き起こし、さらに治療が必要になることもあります。
また、頭痛やめまいなど、つらい全身症状の原因となるケースもあるため、早めの治療をおすすめします。
歯科を探す
どんな治療を受けるの?
歯医者では、次のような治療を行う場合が多いです。
- マウスピースを作成する治療(個人の口に合わせたナイトガードと呼ばれるマウスピースを作成する)
- 歯の矯正治療(歯の噛み合わせを改善し、上下の歯が噛み合う力のバランスを調整する)
- ボトックス注射による治療(ボツリヌス菌の投与によって筋肉の動きを抑える)
治療にかかる費用は?保険適用?
「マウスピースを作成する治療」の費用の目安
マウスピースの作成は保険が適用される場合があります。
保険適用範囲のマウスピース作成費用は、3,000~5,000円程度のケースが多いです。
自費の場合は10,000円以上になる場合があります。
※保険適用になるかは、受診する歯科に確認しましょう。
「歯の矯正治療」の費用の目安
歯の矯正治療は基本的に保険適用外です。
一般的には数十万円以上の費用がかかるケースが多いです。
ただし、歯の高さの調整等の処置は保険適用になるケースもあるため、受診する歯科で確認してください。
「ボトックス注射による治療」の費用の目安
ボトックス注射による治療は自費の場合が多いです。
治療を受ける医療機関や症状により異なりますが、10,000円以上になるケースが多いです。
治療にかかる期間は?
食いしばりが起こる原因、治療方法、歯の状態等により、治療期間には個人差があります。
そのため、治療前に歯科で治療期間の目安を確認することをおすすめします。
歯科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。