「ココナッツオイルって体に悪い?」
「危険性や発ガン性があるって本当?」
危険性の真偽や注意点を栄養士に伺いました。
ココナッツオイルのメリット、一日の摂取量も必見です。
監修者
株式会社Luce
栄養士・食育栄養インストラクター
神原 李奈先生
経歴
株式会社Luce・健康検定協会 所属
CA(客室乗務員)の仕事をきっかけに、健康と食の強い結びつきを実感し、食の世界に興味を持つ。大手料理教室の講師の経験を経て、栄養士を目指すことに。栄養士免許を取得後の現在は、現役CAとして世界中を飛び回りながら、栄養士として健康や食に関する情報を発信している。
ココナッツオイルでダイエットは危険?
ココナッツオイルを食事の一部として少量使用する分には構いません。
ただし「飽和脂肪酸」が多く含まれているため、大量摂取すると、ダイエット効果よりも健康リスクが高いです。
そのため、普段から動物性食品(特にバターや生クリーム、脂身付きの肉など)をよく食べる人は、それらの割合を減らし、置き換えると良いでしょう。
ココナッツオイルの危険性とは?
ココナッツオイルには「飽和脂肪酸」が多く含まれています。
飽和脂肪酸を過剰摂取すると、血液中の悪玉コレステロールが上昇し、循環器疾患の発症リスクが高くなると言われています。
過剰摂取は、こんな病気を招きます
上記は、悪玉コレステロールの蓄積による“動脈硬化”で生じる病気です。
命に関わるケースもあるため、気をつけましょう。
「発がん性」があるって本当?
発がん性があるという報告はありません。
反対に、がんを予防する効果があるかどうかもわかっていません。
そのため、がん予防効果について表示した商品について、消費者庁が景品表示法違反 (表示を裏付ける合理的根拠が示されず、優良誤認に該当)と判断し、措置命令を出したケースもあります。
じゃあ、ココナッツオイルは摂らない方がいい?
適切な量を摂る分には、安全であると考えて良いでしょう。
子ども・妊婦・授乳婦も、通常の食品に含まれる量の摂取であれば、問題ないとされています。
ただし、現段階ではココナッツオイルに関する確かな情報が十分にありません。
いずれにしても、過剰摂取は控えたほうが良いでしょう。
1日の摂取目安はどれぐらい?
目安として、1日約15.6gを目安に摂取しましょう。
一日に2,000kcal摂取する場合、飽和脂肪酸は140kcal(7%)以下に抑える必要があります。
140kcalをグラムに換算すると、調理に使う油や食材自体の脂質を含み、約15.6gになります。
※1日の必要カロリーによっても変動します。
適量のココナッツオイルを摂る「メリット」
ココナッツオイルには
- エネルギーになりやすく、脂肪蓄積しにくい
- 内臓脂肪が減少する
などのメリットがあります。
それぞれ詳しく解説していきます。
メリット① エネルギーになりやすく、脂肪蓄積しにくい
ココナッツオイルには「中鎖脂肪酸」が多く含まれています。
中鎖脂肪酸は、一般的な油に含まれる長鎖脂肪酸(※)よりも約4倍も速くエネルギーに変換されるため、「脂肪が蓄積しにくい」と言われています。
※長鎖脂肪酸…
一般的な油は分子が長い鎖状に繋がった「長鎖脂肪酸」でできています。
「長鎖脂肪酸」は体内で吸収された後に脂肪として蓄積し、ゆっくりとエネルギーに変わります。
過剰摂取すると肥満の原因になります。
メリット② 内臓脂肪が減少につながる
ココナッツオイルに多く含まれる「中鎖脂肪酸」は、食後の代謝量(食事誘発性体熱産生)が高いので、内臓脂肪が減少しやすいと言われています。
食事誘発性体熱産生とは、食後に安静にしていても代謝量が増えることを指し、1日のエネルギー消費量の約10%にあたります。
この代謝が活発になればなるほど、内臓脂肪の減少に繋がります。
ココナッツオイルを摂るとき注意すること
ココナッツオイルを摂るときは、
- 過剰に摂りすぎない
- 食用オイルを肌に塗らない
といったことに注意しましょう。
ココナッツオイルの摂りすぎは、エネルギーや脂質の過剰摂取につながり、肥満の原因となります。飽和脂肪酸が多く含まれることから、循環器の病気を招く恐れもあります。
また、食品基準と化粧品基準の品質検査は異なるため、食用のオイルを肌に塗ることはやめましょう。
肌トラブルの原因になることもあるので、オイルを肌に塗りたいときはスキンケア用の製品を使用してください。
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2019-10-18
はちみつの栄養成分には、どのようなものが含まれているのでしょうか。
「砂糖よりも健康に良いの?」「加熱調理しても栄養価は変わらないの?」こういった疑問に管理栄養士がお答えします。
はちみつの栄養効果を高めるレシピや、はちみつに潜む危険性についても解説しています。
糖質の塊?だけじゃない!はちみつの栄養価
はちみつは甘味料、砂糖と同じ、主成分は“糖質”です。
糖質の塊だからといって身体に悪いものではありません。
糖質以外にもビタミンやミネラル等、栄養が豊富です。
主成分はブドウ糖と果糖
ブドウ糖と果糖は、消化に負担のかからない、胃に優しい糖質です。
ブドウ糖はそのままの形ですぐに吸収されてエネルギー源となります。
果糖はブドウ糖よりもゆっくり吸収されるので、食後の血糖値の上昇が緩やかになります。
はちみつは砂糖よりも血糖値の上昇が緩やかで、エネルギー源としても活用されますので、脂肪になりにくい糖質でもあります。
良いビタミン
美肌に良いとされるビタミンB1、B2などのビタミンが豊富に含まれています。
特に注目すべきは、その90%以上が良質なビタミンのため、少量でも体内で働いてくれる優れたビタミンなのです。
色でわかるミネラル
ナトリウムや鉄、カルシウムなどのミネラル類も豊富です。
色が濃いほどミネラルが多いはちみつと言われています。
特に多いミネラルがカリウムです。これは塩分と対をなす栄養素で、カリウムが塩分の余剰分を排出してくれる働きがあります。
その他、マグネシウムや鉄など、血液循環に必要な栄養素も多く含まれています。
体内で作れないアミノ酸
体内で作れないアミノ酸であり、たんぱく質の元となるもの、それが9種類の必須アミノ酸です。
食事からのみ摂取できる必須アミノ酸ですが、不足すると疲れが取れない、肌荒れなど、様々な症状が現れます。
はちみつにはこの必須アミノ酸が多く含まれています。
アンチエイジングにポリフェノール
はちみつにも花粉由来のものが多く含まれています。
多種類のポリフェノールが含まれており、抗酸化作用、動脈硬化の予防に良いとされています。
美人の有機酸
はちみつの有機酸のうち、70%が「グルコン酸」です。
これはブドウ糖が酸化された物質、糖酸の一種で、有機酸の中でも唯一、ヒトの大腸まで届いて善玉菌を増やして悪玉菌を抑えられる、整腸作用のある有機酸です。
また、有機酸には殺菌・消毒作用もあります。
天然の酵素
はちみつには蜜蜂由来の天然酵素が約80種類も含まれています。
酵素は体内に多く存在しており、タンパク質等の消化や吸収を手助けしてくれます。
はちみつを日常に取り入れよう
はちみつは過剰摂取による健康障害は今の所報告はされていません。また、副作用も報告されていません。
健康維持のために取り入れるのであれば、ティースプーン1杯(約10g)、1日3回をお勧めします。
ただし、間食や加工品が多い食生活だと、糖質を多く摂取してしまいがちなので、バランスを考えて摂取しましょう。
加熱はNG!
ビタミンや酵素などは、長時間の加熱や、60度以上の高温に弱いので、加熱している最中に入れず、冷めてから入れるなど、工夫をしましょう。
金属には触れさせないで
はちみつは金属に触れると変質してしまうので、ハニーディッパーや金属以外のスプーンを使うようにしましょう。
寝る1時間前と食前に
ブドウ糖は成長ホルモンを分泌して、寝ている間に疲れをとって体を回復させています。
疲労回復のために寝る1時間前に食べると良いです。また、食前に食べると消化不良を防げます。
はちみつを使ったおすすめレシピ
はちみつレモン
はちみつに不足しているビタミンCを補うと、ビタミン補給ができます。
はちみつ紅茶
はちみつは保湿効果がとても高く、風邪のひき始め等に暖かい飲み物に入れて飲むと、喉を保湿し、体も温めてくれます。
はちみつ=薬?
はちみつを売っている場所として、ドラッグストアがあります。
その理由として、日本薬局方で第3類医薬品として販売されています。
抗菌・殺菌作用が高いため、口唇の亀裂や荒れがあった場合、そのまま患部に塗って使います。
また栄養価も高いため、栄養剤や甘味剤として、そのまま、またはうすめて使います。
食用のはちみつを塗っても、医薬品と同じ働きが期待できるとは限りませんので、傷口には医薬品のものを使うようにしましょう。
はちみつに潜む危険
栄養価の高い食品ですが、落とし穴があります。食べ方や人によっては死の危険もあるので、ご注意ください。
1歳未満の赤ちゃんには危険!
はちみつの注意書きに、“1歳未満の乳幼児には与えないでください”とあります。
これは「ボツリヌス菌」という強い毒素を持つ細菌がはちみつに含まれている可能性があるためです。
大人の腸内では、ボツリヌス菌が他の腸内細菌によって相殺されるので害はありませんが、赤ちゃんの場合、まだ腸内環境が整っておらず、ボツリヌス菌の毒素が体内に悪影響を及ぼします。
これにより、乳児ボツリヌス症を発症するリスクがあり、死に至る危険性もあります。また、ボツリヌス菌は熱にも強いため、加熱しても死滅しない菌でもあります。
1歳未満の赤ちゃんには与えないようにしましょう。
花粉症の方も注意が必要
腸活にも、美容にも、疲労改善にも良い栄養豊富なはちみつですが、特定の果物や野菜に含まれるアレルゲンの構造は、花粉のアレルゲンと構造がよく似ているため、花粉症の方も注意が必要です。
特によもぎアレルギーの方は、はちみつにより口腔アレルギーになりやすいことがわかっており、多くの人は、口の中で刺激感やかゆみ、喉の奥が詰まるような感じの口腔アレルギー症候群を発症することが分かっています。
天然毒素
天然毒素であるピロリジジンアルカロイドがはちみつに含まれています。
国外では、天然毒素を大量に摂取することによる健康被害が多く報告されているようです。
日本では今の所、この毒素による健康被害は報告されていないとのこと。
日本に流通しているはちみつにおいては、通常の範囲で食べても健康に悪影響を及ぼす懸念はないという報告がされています。ただし、海外ではちみつを食べる場合は注意が必要です。
<参考>
はちみつの甘さと栄養成分/はちみつ/山田養蜂場の蜜蜂健康科学研究所
https://www.bee-lab.jp/megumi/honey/index.html
なぜ、はちみつは栄養たっぷりなの?/はちみつブローカー
http://www.honey-is.jp/trivia/t50.html
はちみつの摂取量って1日どれくらいなの?ベストな量を紹介!
http://shiitaka.com/2018/03/06/hatimitu-sesshuryou/
食品中のピロリジジンアルカロイド類に関する情報/農林水産省HP
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/naturaltoxin/pyrrolizidine_alkaloids.html
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2021-09-17
消化酵素を節約し代謝酵素の量を増やすことや代謝酵素の働きをサポートする役割が食べ物に含まれている「食物酵素」です。
栄養士さんに「おすすめの食べ物」や「食事メニュー」を聞きました。
サプリやドリンクでも体内酵素を節約できるのかどうかも紹介していくので、併せてチェックしましょう。
体内酵素を節約する食べ物は?
体内の酵素を増やすためには、
生の野菜や果物、ナッツ類
発酵食品
を摂るといいでしょう。詳しく解説していきます。
その① 生の野菜・果物・ナッツ類
酵素は、食べ物の中でも特に生野菜や果物に多く含まれています。
生野菜や果物から酵素を摂取すると、もともと体内にある酵素の消費量が抑えられます。
その結果、体内酵素を節約できると考えられています。
具体的には、以下の食材を取り入れるようにしてみましょう。
野菜
トマト、ほうれん草、レタス、小松菜、ブロッコリー、大根、ニンジン、アボカド等
果物
バナナ、イチゴ、キウイフルーツ、いちじく、りんご、パパイヤ、マンゴー等
ナッツ類
生アーモンド、生カシューナッツ
その② 発酵食品
微生物の力で発酵が促進された食べ物の中には、食物酵素が豊富に含まれています。
そのため発酵食品を積極的に摂取すると、体内酵素を補うことができます。
その結果、酵素を作り出す腸内細菌の活動も活性化します。
具体的には、納豆、味噌、醤油、酢、ヨーグルト、チーズ、漬物、キムチ、麹、鰹節、発酵玄米などを毎日の食事に取り入れることをおすすめします。
いつ、どんな風に食べるのがいいの?
食べた物がすぐにエネルギーとして使用される朝食時に摂ることがおすすめです。
特に果物に含まれている果糖は、体内への吸収が早く、素早くエネルギーに変換されます。
果物は食後に食べるイメージがありますが、食前または食間に食べる方が、果物がもつ栄養分を十分吸収できると考えられています。
また、ボリュームの多い食事や遅い夕食の前に摂っておくことで、消化がスムーズになります。
より効果が実感できる「おすすめの食べ方」は?
<野菜、果物の場合>
野菜、果物は新鮮なものをそのまま生で食べる
旬の食材を食べる
大根は生のまますりおろして使用する(ニンジン、タマネギもおすすめ)
果物はいろいろな種類を加えてミキサーで混ぜてスムージーやジュースにする
※生の食べ物には、熱に弱い酵素が多く、加熱(多くの場合50度以上)によって失活します。また、植物性の酵素を含む栄養分は細胞膜に包まれているため、細胞膜を破る食べ方(すりおろしやジュースなど)をすることで活性化します。 また、旬の食材はその時の栄養価が一番高いものを旬というので、酵素も多く含まれていると考えられます。
<発酵食品の場合>
納豆とキムチを合わせる
味噌と酒粕を合わせた粕汁(野菜も加える)
甘酒とヨーグルトを合わせる
酢とオリーブオイルを合わせてドレッシングとして活用する
体内酵素は、サプリやドリンクでも補える?
酵素配合のサプリメントやドリンクの摂取をしても、酵素による健康効果は期待できません。
口から摂取した酵素は、自身がもつ消化酵素により分解されてアミノ酸として吸収されるため、そっくりそのまま酵素としては吸収できません。
酵素を体内で増やすには、たんぱく質の材料となる栄養素やサポートする栄養素(ビタミン、ミネラル等)を摂ったり、腸内環境を整え腸内細菌酵素を活性化する必要があります。
そのため、栄養補助や整腸を目的としたサプリ・ドリンクであれば、酵素を増やすサポートができます。
他にも、こんなことを心がけよう
酵素の機能を向上できるよう、
体を冷やさない
ストレスを溜めない
生活習慣を見直す
といったことを心がけましょう。
その① 体を冷やさない
体を温めることで酵素の働きが活性化すると、大量に酵素を使用しなくても活動できるようになり酵素の無駄使いを抑制できます。
具体的には、
首、足、腹部等を温める
半身浴をする
足湯をする
冷たい飲食物を摂り過ぎない
薄着をしない
等、体が冷えないようにしてください。
その② ストレスを溜めない
過剰なストレスが掛かると酵素の機能が低下します。
ストレスを溜め込まないように、することで、代謝や体温が上昇し、酵素が活性化します。
ストレスを感じないようにするのは難しいため、そのストレスを上手に発散する方法を見つけて実践するようにしてください。
ウォーキング、ヨガ、ストレッチ、腹式呼吸等を無理のない範囲で行うことがおすすめです。
その③ 生活習慣を見直す
上記に加えて、十分な睡眠時間を確保する、食べ過ぎない等も心掛けるようにしてください。
酵素は眠りについている時間に作られるため、十分な睡眠時間を確保する
食べ過ぎると、消化するために多くの消化酵素を消費してしまう
▼参考
一般社団法人 日本ローフード協会 ローフードとは?
大正製薬ダイレクト 体の中から健康チャージ 食習慣で体は変わる!