風邪のとき、いつもよりやたらと「目やに」が出るけれど、これって別の病気?
「目やにで目が開かない」
「目やにが多いし充血もしている」
「片目だった症状が両目になった」
このような、風邪の症状に伴う目の不調にお困りの方は必見です。
この記事では、風邪のときに出る「目やに」の原因や対処法、さらに風邪の他に考えられる病気の可能性まで詳しく解説しています。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
風邪の時に出る目やにの原因
目やにを伴う風邪症状がある場合は、「アデノウイルス感染症」の可能性が高いです。
このウイルスは、50種類を超える種類があるため、一度かかっても何度も同じような症状の風邪にかかります。
市販の目薬は効く?
眼精疲労やドライアイ用の目薬では、この症状には働きかけません。
病院では、主に抗菌剤やステロイド点眼薬が処方されます。
風邪薬は目やにの症状に作用しない
風邪薬は、解熱や鼻づまりを緩和したり、咳を良くしたりしてくれますが、アデノウイルス感染の原因菌を殺菌することはできません。
アデノウイルス感染の特効薬はありません。
他の症状が落ち着けば、目やにも落ち着いてくるので、諸症状が快方に向かうまで 安静にしている必要があります。
目やには、他の症状によって起こっているので、目やにだけが治らない場合は他の疾患かもしれません。
自然治癒する?
症状が軽い場合は自然治癒することもあります。
目やにが増える病気
目やにの特徴やその他の症状別に、可能性のある病気をご紹介します。
感染性結膜炎
感染性結膜炎には、ウイルス性と細菌性の二種類があります。
ウイルス性結膜炎
プール熱とも呼ばれる感染性の病気です。
風邪症状のほかに、目やになど目の症状が出る場合もあります。
片目に発症して、そのまま隣の目に感染してしまう場合が多いです。
子どもに多い病気ですが、子どもから大人にうつってしまうことも珍しくありません。
原因:アデノウイルス
目やにの特徴:ベタベタした黄色い目やにが大量に出る。
目やに以外の症状:涙が出る、目の充血、発熱や高熱、咽頭発赤が現れることもある。眼瞼腫脹がみられる。目のそばのリンパ腺が腫れて痛みを生じることがある。
細菌性結膜炎
原因:細菌(黄色ブドウ球菌、クラミジア、淋菌など)
目やにの特徴:白~黄色っぽい目やにで、ウイルス性よりドロっとしているのが特徴。
目やに以外の症状:充血したり、目の周りが腫れることもある。
ウイルス性結膜炎はと細菌性結膜炎は症状も似ており、患者さん自身で判断するのは難しいです。
ただし、細菌性の方が感染力が弱いため、うつりにくく、発症頻度も低いです。
アレルギー性結膜炎
一年を通してアレルギー症状が現れる人や花粉の時期に限定して両目に症状が出ます。
はじめての時は、風邪と間違える症状が多いですが、関節痛や発熱などを伴いません。
アレルギー検査で確定できます。
原因:ハウスダスト、花粉など
目やにの特徴:水のような、涙のような水っぽい目やにが出る。
目やに以外の症状:目の強い痒み、目の充血、異物感、落涙、鼻症(くしゃみ、鼻水)状が出る人もいる。
病院は何科を受診するべき?
咳や発熱、倦怠感などの全身症状が重い場合は、内科を受診してください。
目の症状には眼科の受診が必要です。
内科を探す
眼科を探す
まとめ
ウイルス性結膜炎はアデノウイルスが原因です。
風邪症状と結膜炎の症状が現れ、大人でも子どもからうつる場合も多くあります。
子どもの感染が確認できたら、顔を拭いたタオルの共有はしない・目を拭ったティッシュはすぐ捨てる・手洗いをこまめに行う・一緒に入浴しないなどを行い、感染を防ぎましょう。
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2020-03-24
「なんだか最近風邪をひきやすくなった…」
こんな風に感じている方も多いのではないでしょうか?
風邪をひきやすくなるのは、疲労など生活習慣の乱れをはじめ、隠れた病気の可能性もあるので、注意が必要です。
体質を改善して、風邪をひきにくくする方法もご紹介します。
風邪をひきやすい原因
風邪をひきやすい人の特徴
睡眠不足
睡眠時間が短い場合、免疫グロブリン(IgA)※の分泌量が低下しやすくなると考えられています。
※免疫グロブリン(IgA)
血液中や組織液中に存在している免疫に関わる物質
激しい運動をしている
運動強度が強いほど、免疫グロブリン(IgA)が低下するため、免疫力も低下すると考えられています。
不規則な生活習慣
生活習慣が乱れると、自律神経やホルモン分泌の制御を行っている体内時計も乱れてしまい、免疫力が低下しやすくなると考えられています。
ストレスが溜まっている
過度のストレスを抱えている場合、自律神経のバランスが崩れて、免疫グロブリン(IgA)の分泌が低下して免疫力が弱くなる場合があります。
栄養が偏っている
骨や筋肉等、体の組織を構成しているタンパク質、細胞やホルモンを生成する元となる脂質等と一緒にバランスの良い食べ物を摂るようにしてください。
ドライマウス
口腔内が乾燥し、粘膜も乾燥していると、免疫グロブリン(IgA)の働きが鈍くなり、ウイルスや細菌が侵入しやすくなるため、風邪をひきやすくなります。
冷え性
体温が低下すると免疫力も低下するので、風邪をひきやすくなります。
痩せすぎ
体温維持、身体にビタミンを運ぶ、女性ホルモン調節等の役割を担っている脂肪が少ないと、風邪をひきやすくなります。
腸内細菌のバランスが悪い
腸内細菌のバランスが悪いと、便秘を起こしやすくなる、免疫力が低下する等になり、風邪をひきやすくなると考えられています。
糖質制限をしている
人が生きていくために必要とされているエネルギー源の約半分を糖質が占めています。
その糖質を必要以上に制限すると、身体のエネルギー量が減少します。
すると、体力維持が困難になり、風邪をひきやすくなる等が起こると考えられています。
加齢で免疫細胞が減少している
加齢に伴い、正常に機能してくれる免疫細胞が減少する、新たに生成された免疫細胞の機能も低い等により、免疫力が低下して、風邪をはじめとする感染症を起こしやすくなります。
女性特有の原因
ホルモンの影響
生理前になるとプロゲステロンの分泌が多くなります。
この期間は、免疫力が低下しやすいため、風邪をひきやすくなると考えられています。
妊婦中
妊娠中は、次の理由で免疫力が低下しやすい状態です。
ホルモンバランスが不安定になりやすい
つわりがある場合は食事を十分摂取できず栄養不足になりやすい
ストレスを溜めやすい
睡眠不足になりやすい 等
また、お腹にいる胎児を異物として捉えないように、NK細胞やマクロファージ等の細胞性免疫が相対的に減ると考えられています。
産後
産後は、女性ホルモンが減少し、ホルモンバランスが崩れやすくなります。
また、赤ちゃんのお世話に追われ、睡眠不足、疲労、ストレス過多状態になりステロイドホルモン※の分泌が多くなる場合があります。
その結果、免疫力が低下し風邪をひきやすくなります。
※ステロイドホルモン
炎症や免疫を抑制する働きがあるホルモン
赤ちゃんは風邪をひきやすい?
赤ちゃんは、母乳を通してママから免疫をもらっています。(IgA等)
しかし、その免疫が有効に作用する期間は6か月程度と考えられており、それ以降は自力でウイルスや細菌から自分自身を守らなければなりません。
自分を守る免疫力は、いろいろな病原体等に曝されて少しずつ獲得できるものなので、乳幼児はまさに免疫を得る過程にあることで風邪等の感染症を発症しやすいと考えられています。
風邪をひきやすい体質は改善できる?
次のことを実践して、体質改善に努めましょう。
喉の潤いを維持する(水分をこまめに摂る)
加湿する(加湿器、マスク等)
体を温める(湯船に浸かる等)
適度に運動する(ストレッチ、ヨガ、ウォーキング等)
良質な睡眠を十分とる(抗体を作るリンパ球の働きは睡眠時に活発になる)
手洗い、うがいを徹底する
栄養バランスの良い食事を摂る
体質改善におすすめの食べ物
次の栄養素を積極的に摂りましょう。
ビタミンB1
豚肉、マグロ、レバー、ゴマ、ほうれん草、卵、海苔等
ビタミンE
イワシ、サバ(青魚)、たらこ、かぼちゃ等
上記に加え、生姜、にんにく、ねぎもおすすめです。
風邪をひきやすくなる病気
免疫不全症候群
先天的原因と後天的原因(HIVウイルスによるエイズ)に分けられています。
細菌やウイルス等に対する抵抗力や免疫力がないことで、感染症を繰り返しやすくなる状態です。
糖尿病
血糖値が高いため、白血球や免疫細胞の働きが弱まり病原体等と闘うことができない状態になり、感染症に罹りやすいと考えられています。
自律神経失調症
自律神経のバランスが崩れると体温調節が困難になり、身体が衰弱して風邪等を起こしやすくなると考えられています。
肝臓疾患、腎臓疾患(亜鉛吸収障害)
肝臓疾患や腎臓疾患等を発症すると亜鉛不足(亜鉛吸収障害)を起こす場合があります。
亜鉛が不足すると、免疫力が低下して風邪をひきやすくなると考えられています。
白血病
正常な白血球が減少することで、風邪(感染症)に罹りやすくなると考えられています。
癌や恒常性疾患
癌や甲状腺疾患の治療で、二次的に風邪をひきやすくなる場合があります。
治療に用いられる薬によって免疫が下がり、風邪をひきやすくなります。
こんな症状があれば病院へ
次のような症状が現れたら、医療機関を受診しましょう。
2週間以上せきが続く場合
咳をすると胸に痛みが生じる場合
血痰がでる場合
高熱(38度以上)が3日以上続く場合
一回症状が回復しても、数日後にまた体調が悪化した場合
体がガタガタ震えて止まらない場合(悪寒戦慄)
上記以外にも、普段と何か違うと感じる場合は、早めに医療機関(内科)を受診してください。
内科を探す
(参考URL)
http://www.nagasaki.med.or.jp/mini_info/index.htm#a_01
長崎県医師会 かぜ対策
https://www.nagahama.jrc.or.jp/care/medical-checkup/himan-yase
日本赤十字社 長浜赤十字病院 肥満と病気、やせと病気
https://www.mcfh.or.jp/netsoudan/article.php?id=1468
公益財団法人 母子衛生研究会 病気・予防接種
http://www.kracie.co.jp/ph/k-kampo/hikihajime_no_hikihajime/results3.html
クラシエ こんなときは早めの対処を!知っておきたいかぜのサイン
https://www.otsuka.co.jp/b240/mechanism/reason2.html
大塚製薬 免疫力低下の原因
http://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/070/070/01.html
糖尿病情報センター 糖尿病と感染症のはなし
https://www.mcfh.or.jp/netsoudan/article.php?id=317
公益財団法人母子衛生研究会 病気・予防接種
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO3942922027122018000000/?page=3
日本経済新聞電子版 一見「風邪」だが実はちがう 受診すべき6つの症状
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2019-11-01
鼻水、咳や喉の痛みなど、つらい風邪の症状をできるだけ早く治すためには、どうすればいいのでしょう。
この記事では、風邪に効く食べ物・飲み物や、市販薬の選び方、控えるべきNG行動まで医師が解説します。
日頃から免疫力をアップさせて風邪を引かないようにするため、ぜひ参考にしてみてくださいね。
風邪を早く治すための「食べ物」
風邪を早く治すには
ネバネバ系の食べ物(水溶性食物繊維・糖たんぱくが豊富)
フルーツ(ビタミン・ミネラルが豊富)
卵・緑黄色野菜(ビタミンAが豊富)
などの食べ物を摂取しましょう。
ネバネバ系の食べ物(水溶性食物繊維と糖たんぱくが豊富)
里芋・なめこ・オクラ・納豆などに含まれています。
おかゆなどに細かく刻んで、入れたり、スープに入れたりして摂りましょう。
風邪といえば、鼻水の症状が出ますが、鼻水は病原体を洗い流し、奥に入れないように働いてくれています。
風邪になってしまってからも鼻粘膜にいい食事を摂ることで、鼻の粘膜の機能が正常に働き、強化することができます。
フルーツ(ビタミン・ミネラルが豊富)
フルーツには、ビタミンやミネラルなど風邪で消耗しやすい栄養素が多く含まれています。風邪のときに食べるといいでしょう。
体を冷やすイメージがあるフルーツですが、かき氷や氷水のようなものでなければ、食べ物で急に体が冷えるということはないので、風邪のときに食べても大丈夫です。
卵・緑黄色野菜(ビタミンAが豊富)
皮膚粘膜を強化、免疫力をアップさせてくれるビタミンAは、卵や緑黄色野菜に豊富です。人参・ほうれん草・かぼちゃなども食べてください。
風邪を早く治すための「飲み物」
ビタミンCの摂取ができる、レモネードが風邪の時にはおすすめです。
ホットで飲めば体も温まります。
ビタミンCは、体の免疫力である白血球の働きを高めてくれます。また、抗酸化の働きがあり、風邪予防にもぴったりです。
市販薬の選び方
辛い症状があると食事が取れない場合もあり、そのような時には、咳や鼻水などの症状を個別で緩和してくれるものを選ぶといいでしょう。
風邪は、多くの症状が現れます。
しかし、結局は、風邪自体を治療することはできません。自分の免疫力でウイルスを撃退する必要があるのです。
また、市販薬は、一概に価格が高い方がいいとは言い切れません。後発品であったり、容量の違いであったり、様々な要因で価格が決められています。
どの市販薬にすればいいのかと悩む場合は、薬剤師に相談しましょう。
漢方薬の選び方
漢方薬も様々あり、風邪のひき始めにいいもの(葛根湯)や長引く風邪のときに飲むといいタイプ(竹茹温胆湯、柴胡桂枝湯など)などがあります。
普通の薬と漢方薬、併用してもいい?→NGです!
漢方薬は、薬です。他の薬と同様に併用しての使用はおすすめできません。
併用の場合は、事前に薬剤師、医師に相談して確認してください。
お風呂は入ってもいい?
お風呂に入っていけないことはありませんが、無理をするのはやめましょう。
汗をかくためにと、風邪の時に入浴する人がいますが、熱があるときやふらつく際には、入浴で立ちくらみや貧血を起こす場合も多いです。
普段、貧血症状がない人も、発熱により症状が出る可能性があります。
しかし、身体を清潔に保つためにも、昔言われていたように「風邪だとお風呂に入ってはいけない」という事はありません。
ただし、入浴やシャワーは短めにして、脱水、血圧低下などには注意してください。
これはNG!控えるべき3つの行動
体を冷やす外出
過度の飲酒
喫煙
このような行動はNGです。
風邪を早くよくするには、自己の免疫力が必要です。
体を冷やせば、免疫力が上がらずよくなりません。
また、「冷え」は体を冷やし、風邪にかかりやすくします。肩や首周り、足首などを冷やさないように着るものや服装にも気をつけてください。
過度の飲酒は、眠りを妨げ、体力低下を招きます。
また、風邪で喉に負担がかかっているのに喫煙を行えば、さらに喉への負担がかかります。