「便が出口で止まる…どうすれば出るの?」
止まった便の出し方を、お医者さんに聞きました。
便秘に効くおすすめの市販薬も併せて解説します。
病院に行く目安、受診すべき診療科も確認しましょう。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
便が出口で止まって出てこないときの“出し方”
- 腹部をマッサージして、腸の動きを促す
- ウォシュレットの弱めの水流で肛門を刺激する
といった方法があります。
ただし、ウォシュレットの使用には注意が必要です。
長時間当て続けたり、排便のたびに刺激すると、痔の原因になることもあります。
便を出しやすくする「3つの生活習慣」
- こまめに水分を補給する
- 食物繊維の多いものを積極的に食べる
- 食後にトイレに行く
といった習慣を心がけましょう。
水分は、便を柔らかくするために必要です。
食物繊維には腸の動きを活発させる作用があります。
海藻・きのこ・野菜などをしっかりと食べるようにしてください。
また、便意が起こりやすい食後には、排便を試みる習慣を持つとよいでしょう。
薬はどんなものを選べばいい?
便が止まってしまっているような重い便秘は、「刺激性下剤」で改善することもあります。
ただし、つらい症状があるときのみ、一時的に使用しましょう。
このタイプの下剤を使用しすぎると、薬の耐性が体についてしまい、腸の運動機能が弱くなってしまいます。
これにより、便秘の悪化を招くこともあるため、使用には注意が必要です。
病院に行ったほうがよい目安
- 5日以上にわたって排便がない
- 便秘がつらい
- お腹が張って痛い
といったときは、医療機関の受診をおすすめします。
治療を受けることで、症状のより早い改善が期待できます。
つらい便秘でお困りのときは、医師に相談してみましょう。
何科で受診すればいい?
便が出口で止まる症状があるときは、内科・消化器内科を受診してください。
医療機関を受診すると、下剤の処方や生活習慣の見直しによって症状の改善を図ってもらえます。
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便が出口で止まる症状には、「こんな原因」も考えられます
頻繁に便が出口で止まってしまう場合、
- 直腸膣壁弛緩(ちょくちょうちつへきしかん)
- 加齢による筋力低下
などの原因も考えられます。
原因① 直腸膣壁弛緩(ちょくちょうちつへきしかん)
便が入って袋状になった「直腸」が、膣壁に飛び出してしまう病気です。
便が膣壁の袋の方に溜まっていくため、通常の排便が困難になります。
便を排出する場合、膣に指を入れて押し出すといった処置が必要です。
出産や加齢が関わって発症すると考えられていますが、詳しい原因はわかっていません。
どう対処すればいい?
まずは医療機関を受診して、診断を受けましょう。
直腸膣壁弛緩は、手術が必要なケースもあります。
症状に心当たりがある場合は、肛門外科を受診しましょう。
どんな治療を受けるの?
直腸膣壁弛緩の場合、
- 水分を多く摂る
- 食物繊維を多く摂取する
- 骨盤底筋体操(※)
などのセルフケアを促すことがあります。
症状が重い人の場合は、これだけではよくならないため、手術などの治療も検討されます。
※骨盤底筋体操の方法
- 仰向けになり、肩幅の広さに膝を立てる
- 骨盤底筋(尿道、膣、肛門付近)に力を入れて5〜10秒ほどキープ
徐々に時間を長くしましょう。1日10セットを目安に行いましょう。
骨盤底筋は、子宮や膀胱などを支えている筋肉で、加齢や出産など影響で衰えやすいです。
この部分を強化すると、直腸膣壁弛緩の症状が緩和されることがあります。
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原因② 加齢による筋力低下
加齢によって便を押し出す腸の筋肉が衰えると、便が出にくくなります。
特に、
- 水分の摂取が少ない
- 運動不足
- 食物繊維、乳酸菌の摂取不足
などに当てはまる人は、症状が悪化しやすい傾向があります。
どう対処すればいい?
こまめな水分補給を心がけ、食事で食物繊維と乳酸菌を積極的に摂るようにしましょう。
食後にトイレに行く習慣をつけると、排便が促されやすいです。
ただし、なかなか改善がみられないときは、内科・消化器内科の受診をおすすめします。
長引く便秘の症状には、大腸の病気が隠れているケースもあるため、注意が必要です。
どんな治療を受けるの?
加齢による筋力低下が原因の場合、
などの治療方法によって、改善を図ってもらえます。
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2020-11-27
何日間も排便がない!
いつまでも便秘が続くのは、何かの病気の徴候?
便秘が何日以上も続いたら危険?
不安になるくらい長く続く便秘…。
便秘で不安になってしまう方のために、お医者さんが便秘の解消法や、便秘で病院を受診する目安などを解説します。
便秘は何日続くと危険?
5日以上排便がなくてつらい場合に、病院を受診して診察を受けましょう。
ただし便秘は『慢性便秘症診療ガイドライン』(南江堂)で「本来体外に排出すべき糞便と十分かつ快適に排出できない状態」とされ、何日以上排便がない場合という定義はありません。
そのため、本人が「便秘だ」と感じる状態が便秘です。
何日かおき(または毎日)にあった排便がなく、お腹が苦しい、痛みがある、我慢できない不快感がある、といった場合は、病院を受診して相談しましょう。
こんな症状にも注意
強い腹痛
吐き気
発熱
排便時に血が混じっている
排便時に肛門が切れて出血する
という症状がある場合は、病院を受診しましょう。
この場合は、ただの便秘ではなく、病気によって便秘が起きている可能性があります。
便秘が長引く原因は?
飲む水分の量が減ったり、急激なダイエットで食べ物が減ったりすると、便秘になる場合があります。
体がストレスを受けていると、腸の動きが不安定になり、便秘が続くこともあります。ストレスは、反対に下痢の原因になる場合もあります。
他にも、次のような原因から便秘になることがあります。
排便習慣がついていない
すぐにトイレに行けない状況で、便意を我慢する癖がある
痔があり、排便時に痛みがあるので我慢している
先生教えて!便秘解消の方法
便秘を解消するため、次の方法を試してください。
「食物繊維」と「水分」をたっぷり摂取する
食物繊維は便のかさを増やし、水分は便を柔らかくして便の排出を促します。
リンゴや野菜、海藻、キノコ類などをメニューに取り入れましょう。水分は、こまめに摂取してください。
また、スープや汁物を食事のメニューに1品プラスすると、食事から無理なく水分補給できます。
※ただし、ストレス性の便秘の場合は、不溶性食物繊維(ごぼう、大豆、穀類 等)は控えましょう。
朝は「水分補給」と「軽い運動」を
朝は、腸を目覚めさせるために水分補給を行いましょう。
軽いストレッチや散歩をした後に朝食をとると、腸が活発に動き始めます。
「の」の字マッサージ
腹部に手の甲を当てて、下腹部に向かって下ろし、また上がるという「の」の字に動かします。痛くない程度の力加減で、5~6回繰り返します。
空いている時間に行ってみてください。
即効性のある方法って…ある?
次の3つを意識してみましょう。
冷たい飲み物を飲む(腸が動き出す)
水分補給を行い、軽いジョギングやストレッチ、ピラティスなどで体を動かす
食事を3食規則正しくとる
また、食事量が足りていなかった場合、食事を摂ることで、排便が促されます。
便秘の市販薬、使い続けて大丈夫?
市販の便秘薬を使用するときは、注意が必要です。刺激性下剤※は、つらい便秘に対して一時的に使用しましょう。
毎日使用すると薬の成分に耐性ができてしまい、腸の蠕動運動が弱くなることがあります。
排便は、自分の力で出せるように、生活リズムをつけていきましょう。薬はつらいときだけ使用してください。
※刺激性下剤とは、「コーラック」「タケダ漢方便秘薬」などの、ビサコジル、ピコスルファートナトリウム水和物、センナ、ダイオウといった成分を含む下剤のことです。
便秘は何科を受診すればいい?
便秘に悩んでいるときは、胃腸内科、消化器内科、内科を受診してください。
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受診するときは、次のことをお医者さんに伝えると診察がスムーズに進みます。
最後に排便したのはいつか、何日出ていないのか
便秘以外の症状(吐き気、腹痛、食欲の有無など)
いつものの排便リズム
便秘の原因となる、最近変わったことがあったか
▼参考
あたらしい栄養事典 (単行本)
https://www.nihonbungeisha.co.jp/book/b329423.html
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。