「浮動性めまいが治らないのはなぜ?」
いつまでも症状が治らない場合は、メニエール病などの病気が原因になっているかもしれません。
改善方法や病院を受診する目安などをお医者さんにうかがいました。
監修者
経歴
大正時代祖父の代から続く耳鼻咽喉科専門医。クリニックでの診療のほか、京都大学医学部はじめ多くの大学での講義を担当。マスコミ、テレビ出演多数。
平成12年瀬尾クリニック開設し、院長、理事長。
京都大学医学部講師、兵庫医科大学講師、大阪歯科大学講師を兼任。京都大学医学部大学院修了。
なぜ?浮動性めまいが続く「原因」
毎日のように浮動性めまいが続いている場合
が原因となっている可能性があります。また、様々な病気が原因となっているケースもあるので、注意が必要です。
治らないめまいの「改善方法」
まずは、生活習慣を整えましょう。
- 1日3食、偏らずバランスのよい食事を摂る
- 適度な運動を習慣化する(ジョギング、ヨガ、ストレッチ等の有酸素運動)
- 十分な睡眠時間、休息時間を確保する
などを心がけてください。ストレスを溜めこまないようにすることも大切です。
原因に合った治療を受けることで快方に向かうケースが多いです。
・何日も続くめまい
・季節や体調によって発症するめまい
にお悩みの場合は、病院を受診しましょう。
どんな「病気」の可能性があるの?
生活習慣を改善しても治らない場合や、他にも症状が出ている場合、
- メニエール病
- 突発性難聴
- 良性発作性頭位めまい症
- 内耳炎
- うつ病
の可能性があります。
原因①:メニエール病
ストレス、不眠、疲労などが耳の機能に影響し、平均機能障害、聴覚障害が起こる病気です。
几帳面で、周りに迷惑をかけたくないと考え込む人に多い病気とされていますが、一概には言えません。
症状の特徴
めまい、難聴、吐き気、嘔吐、耳の詰まり感などを度々繰り返します。
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2023-02-28
メニエール病ってどんな病気?
どうしたら治るの?
メニエール病について、分かりやすくまとめました。
症状のセルフチェックや発症しやすい人の特徴も解説するので、メニエール病の可能性がある人は必見です。
メニエール病とは
メニエール病とは、耳の中にある「内耳」という平衡感覚を司る器官に、リンパ液が溜まっている状態です。
平衡感覚に異常が生じ、自分や周囲がぐるぐると回っているような「回転性のめまい」が起こります。
メニエール病の症状チェック
自分や周囲がぐるぐる回るようなめまい
めまいの長さが、「数十分〜数時間以上」
何度もめまいを繰り返す
耳鳴りがする
難聴発作(突然、耳が聞こえにくくなる)
耳の閉塞感
吐き気・嘔吐
上記の症状に当てはまる場合、メニエール病の可能性があります。
一旦治まっても再発することが多く、症状が繰り返しあらわれます。
▼参考
MSDマニュアル
メニエール病について
メニエール病の原因は?どんな人がなりやすい?
原因やきっかけは今のところわかっていませんが、疲労・ストレス・睡眠不足などで発症しやすいといわれています。
30〜50歳代の女性
自分をおさえ、熱心に仕事をする人
ストレスを溜め込みやすい人
忙しい生活をしている人
に多い傾向があります。
メニエール病を疑う場合の対処法
ゆっくり休養を取ることが大切ですが、まずは医療機関で原因を確認しましょう。
メニエール病は、治療しないと治らない病気です。
放置すると、最初は片方の耳のみだった症状が、もう一方の耳にも発症してしまう恐れがあります。
病院で受ける治療法
メニエール病は、薬を使って治療することが多いです。
浸透圧利尿薬・循環改善薬・抗不安薬などを使用します。
「内耳へ直に薬を投与する治療」や「手術療法」を行うこともあります。
耳鼻いんこう科を探す
治るまでの期間は?
早期に治療を開始できれば、2週間程度で快方に向かう人も多いです。
※治療を受けても完全には治らないケースもあります。
早く治すためにはセルフケアも大切!
ストレスを溜めない
6~8時間の睡眠をとる
水分補給をする
上記3つを心がけましょう。
水を多く飲むことで、内耳の水はけがよくなると考えられています。
男性は1日2リットル、女性は1日1.5リットルほどの水分をとりましょう。
一度に大量に水分を補給するのではなく、こまめに水分をとることが大切です。
原因②:突発性難聴
原因は明らかにされていませんが、ストレス過多、過労、睡眠不足、糖尿病を患っている方に起こりやすい病気です。
幅広い年代で発症しますが、40〜60代の働き盛りの人に多いとされています(ただし、若い方でも発症することがあります)。
症状の特徴
片耳、もしくは両耳の聞こえが突然悪くなります。耳鳴りやめまいを伴います。
原因③:良性発作性頭位めまい症
通常、耳の内耳にある耳石がそこからはがれ、三半規管に入った時に発症します。その後、頭の位置が変わると三半規管が刺激され、めまいを感じるようになります。
加齢によって発症しやすくなる病気ですが、耳の手術・ケガ・病気が原因で発症することもあります。
症状の特徴
起き上がる、かがみ込むなど、頭を動かすときにめまいを感じます。めまい症状は何度も発症しますが、数秒〜数分でおさまることがほとんどです。
浮動性のめまいだけでなく、回転性のめまいを感じることが多い病気です。
吐き気や嘔吐を伴うこともありますが、難聴や耳鳴りは通常ありません。
原因④:内耳炎
細菌感染、慢性中耳炎の悪化、髄膜炎などが原因で、聴感と平均感覚を司っている耳の内耳に炎症が起きる病気です。
免疫の低下している人や高齢者に多い病気です。
症状の特徴
めまいの他に、難聴、耳鳴りなどが生じます。
一度この病気で聴力が悪くなると、取り戻すのは難しいと考えられています。
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原因⑤:うつ病
うつ病になると、精神面での症状が現れる前に体に影響が出て、めまいの症状があらわれることがあります。
うつ病とめまいの関係は、まだよくわかっていないこともありますが、不眠と密に関わっていると考えられています。
真面目で責任感が強い人はうつ病を発症しやすいとされていますが、一概には言い切れません。
症状の特徴
ふわふわとしためまいや頭重感があらわれることが多いです。
すぐに病院を受診したほうがよいケース
めまい以外に、
などの症状があらわれている場合は、念のため、病院を受診しましょう。
要注意な症状
めまいに合わせて…
などの症状があらわれている場合は、脳梗塞や脳出血を起こしている可能性があるので、救急で受診してください。
浮動性めまいは何科に行く?
基本的には、耳鼻いんこう科を受診しましょう。
耳鼻いんこう科を探す
めまい以外に手足の痺れがある場合は、脳出血・脳梗塞の恐れがあるので、早急に脳神経内科や脳神経外科、または救急で受診しましょう。
脳神経外科を探す
他の思い当たる原因がなく、うつ病の可能性がある場合は、心療内科を受診しましょう。
心療内科を探す
※病気の状態や各医療機関の設備によって、違う診療科目を紹介される場合があります。心配な場合は、電話等で事前に確認してみましょう。
お医者さんに症状を伝えるポイント
診察では、次のことを伝えられるようにしておくといいでしょう。
- めまいがあらわれるようになった時期
- めまいを感じやすいタイミング(横になっている時、大きな音を聞いた時、首を回したときや上を向いた時 等)
- めまいの感じ方(ぐるぐるする、フラフラする 等)
- めまいを感じる時間はどのくらいか
- めまい以外の症状(吐き気、痺れ、脱力感など)
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2020-05-21
初めて心療内科に行くけど…実際には何を話すの?
心療内科で初診を受ける際の流れについて、お医者さんに聞きました。
当日準備していくことをはじめ、初診でかかる料金、診断書はもらえるのかどうかも解説します。
心療内科の初診の流れ
初めてで緊張する方もいらっしゃるかと思いますが、基本は一般の内科などと変わりません。
問診→診察という通常の病院受診と同じ流れで行われます。
<治療開始までの流れ(一例)>
電話やウェブで予約
来院、問診表を書く
診察を受ける
必要であれば検査
治療の開始
心療内科の予約のしかた
電話予約が一般的かと思われますが、最近ではウェブ予約ができるところも増えてきています。
時間がなくて電話ができない、電話が苦手という方でも予約することができます。初診は日時が決まっているところが多いため、調べてから行くのがよいでしょう。
心療内科を探す
受診前に準備しておいたほうがいいことはある?
次のことが伝えられるように準備しておくと良いでしょう。
今、何に困っているのか
受診に至った経緯
いつから困っているのか
どのようなときに、どのような症状がでるか
思い当たるストレス要因 等
初診で聞かれること
(症状や状態にもよりますが)ストレス要因に関連するような質問をされる可能性があります。
例えば、家族との関係や本人の職業・仕事内容、交友関係や休日の過ごし方、趣味などの話です。あくまで関連のある事柄に対してなので、あまり言いたくないことは言わなくても大丈夫です。
いずれにしても専門家がお話を聞くので、安心して相談してみてください。秘密は守られます。
初診で持っていくもの
心療内科の初診には、次のものを持参すると良いでしょう。
保険証
お薬手帳(あれば)
現状「困っていること」や「医師に相談したいこと」を受診の経緯をスムーズに話せるようにメモを持っていくのもよいでしょう。
初診の費用目安
自己負担3割の方で、初診時は約2,500円~3,000円、2回目以降は1,500円程度です。
薬を処方された場合、診察とは別に薬代が5000円前後かかります。
検査を行った場合には別途1,000~3,000円かかりますが、検査の種類にもよります。
こんなときは、悩まず心療内科に相談してください
「ストレスで胃が痛い」「悩み事があり夜眠れず、不眠気味だ」「ストレスが多く髪が抜ける」「イライラが収まらない」などの症状がある場合は、早めに専門医に相談してみましょう。
心配事や悩み事、ストレスがあり、気持ちや情緒が不安定で「いつもと違う」と感じられているのであれば、受診することをお勧めします。
辛い、苦しい、不安な状態を長く我慢してしまうと、症状がより重いものになる可能性もあります。
早期受診のメリット
早期に治療を始めることで、治療期間が短く済む、正常な状態に戻るのも早くなる、通院の回数や医療費も安く済むというメリットがあります。
ストレスが要因の病気は特に、放置し続けることで症状が悪化してしまうケースが多く、うつ病もそのうちの一つです。
何よりも、軽い症状のうちに治療を受けた方が心身の負担もあまりかからずに済みます。
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はじめての心療内科「よくある質問」
「診断書はもらえるの?」「心療内科に行ってはいけないと言われるのはなぜ?」
心療内科に関するよくある質問にお答えします。
質問1.診断書が欲しいのですが…
休職等の申請に診断書が必要な場合、すぐにもらえるものなのでしょうか?
診断書は本来診断がついて初めて発行されるものです。しかし診断書は医師に申し出れば、比較的速やかに発行されるところも多いです。
休職や職場に提出が必要な書類として、すぐに必要な場面が多いためです。病院によっては別に窓口が設けられている場合もあるため、受診の際に確認すると良いでしょう。
質問2.よく「心療内科に行ってはいけない」と言われるけど…
「行ってはいけない」「行ったら最後」と言われているのは、なぜなのでしょうか?
「行ったら最後」ということはありません。
そう言われるのは、精神科や心療内科のお薬を服用すると、患者さん自身の判断で勝手にやめることができず、飲み続けなければならないことが要因となっている可能性があります。
もしくは、薬の副作用が強くて日常生活により支障が出るなどという想像での発言かもしれません。
また、精神科・心療内科に行って診断を受けた時に、自分が精神病患者なのだと認めてしまうのが怖いと思ったり、周りの目を不安に感じる方もいらっしゃいます。
精神科や心療内科は、重い精神疾患を持つ人が行く場所というネガティブなイメージが少なからずあるというのが背景にあるようです。
つらい時は我慢せずに病院に行った方が良いのでしょうか?
ネット上でも多くの情報が錯綜していますが、自分の体の声を聞き、本当に辛い、苦しいと感じていて、日常生活に支障が出ているのであれば、相談だけでもいいので受診してみてください。
実際に、精神的な症状や心身症が現れているにも関わらず、受診を躊躇している方が多くいらっしゃいます。
しかし、自己判断で市販の漢方薬などの薬を飲み続けていたとしても、根本的な治療にはなりません。その点、専門の医師に相談することで、症状の要因をふまえた治療を受けることができます。
一人で抱え込まずにまずは相談してみましょう。
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参考URL
・心療内科で初診を受ける場合の流れを分かりやすく解説!/ひだまりこころクリニック栄院
https://hidamarikokoro.jp/sakae/blog/心療内科で初診を受ける場合の流れを分かりやす/
・精神科・心療内科の診察料金 | こころみ医学
https://cocoromi-cl.jp/knowledge/other/psychiatry/cost/
・診察にはどれくらいの費用がかかりますか? | 心療内科・精神科
https://namba-minato.com/faq/faq09/
・心療内科に行くべきかどうか迷う。受診すべき兆候とは?/神楽坂こころのクリニック
https://www.kagurazaka-mc.com/colum/psychosomatic-medicine/
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2020-12-09
めまいがして、冷や汗も出てきた…。
血の気が引いて立っていられない…。
それは「迷走神経反射」かもしれません。
突然気を失いそうになるのはなぜなのか、お医者さんに詳しく聞きました。
まずはこう対処しよう
めまいが起きたときは、まず安静にしてください。
しゃがむ、座る、横になるなどして、一旦様子を見ましょう。
刺激を避けられるよう、暗く静かな場所で休んでください。
なお、
激しい頭痛がする
ろれつが回らない
顔や手足にしびれ
物が二重に見える
といった場合は、早急な受診が必要です。
内科を探す
血の気が引くめまいは「迷走神経反射」かも
自律神経の乱れによるめまい・立ちくらみ・失神を、「迷走神経反射」と言います。
副交感神経が過剰反応することによって、脳に十分な血液が届かなくなっている状態です。
症状が治まるまでの時間は?
迷走神経反射は、30秒~5分で治まるケースが多いです。
迷走神経反射が起こりやすいタイミング
精神的ストレスを受けたとき
強い痛みを感じたとき
せきこんだとき
排便しているとき
長時間立っているとき
腹部の内臓疾患による刺激が加わったとき
迷走神経反射になりやすい人
若い女性(特に生理中)
ストレスを感じやすい人
疲労が溜まっている人
立ち仕事を習慣にとしている人
睡眠が足りていない人
激しい運動を行う人
下痢、嘔吐の症状がある人
こんな症状が出たら失神に注意
めまい、立ちくらみ
冷や汗
血の気が引く
頭痛
吐き気
視野がぼやける
ふわふわする感じになる
手足のしびれ
過呼吸
眠くなる
上記症状が出たときは、すみやかに安全な場所に移動してください。
道路などで失神が起こると、事故に遭う恐れがあります。
症状を繰り返さないために
バランスの良い食生活
十分な睡眠
適度な運動
で、迷走神経反射を防ぎましょう。
実際に「どのように対策をすればいいのか」を解説します。
①バランスの良い食生活
自律神経を整えるには、栄養バランスの良い食事が大切です。
特に、血流改善の作用がある青魚やビタミンEを、積極的に摂ってください。
\おすすめ食材/
青魚
マグロ、サンマ、サバ
ビタミンE
かぼちゃ、アーモンド、アボカド
また、1日3食、毎日決まった時間での食事を心がけてください。
特に朝食は、自律神経を切り替えるスイッチとして役立ちます。
また、お酒を控えて、水分補給をしっかり行ってください。
②十分な睡眠をとろう
しっかりと睡眠をとり、心身に溜まった疲れを回復させましょう。
夜に入浴すると、質の良い睡眠を摂りやすくなります。
③適度な運動をしよう
脳の血流不足を防げるよう、運動で血行を促進させてください。
ストレッチやスクワット、ウォーキングなど無理なく継続できる運動がおすすめです。
また、立ち上がるときにめまいが起こる方は、起立調節訓練も行いましょう。
起立調節訓練のやり方(1日2回が目安)
立った状態で壁に背中をつける
かかとだけを、壁から15cm程前に出す
そのままの状態で30分間キープ
※気分が悪くなったら、すぐに中断してください。
注意!病気の可能性も
迷走神経反射には、
心臓の病気(不整脈、狭心症)
消化器の病気(胃潰瘍、腹部大動脈瘤破裂)
脳の病気(脳腫瘍、脳梗塞、てんかん)
肺の病気(肺動脈血栓症)
などが隠れていることも考えられます。
めまいだけでなく、次のような症状もある場合は、早急な受診が必要です。
<特に注意する症状>
胸の痛み
激しい頭痛
吐き気、嘔吐
麻痺や痺れ
物が二重に見える
息切れ、息苦しさ
受診するのは何科?
内科、脳神経内科を受診しましょう。
内科を探す
不安な症状は早めに病院へ
めまいには、重い病気が隠れているケースもあります。
病気の進行を防ぐには、早期受診が重要です。
症状が心配な方は、一度病気で検査を受けてみましょう。
▼参考
日本救急医学会 迷走神経反射
一般財団法人 北海道心臓協会 失神とは?
土浦市医師会 めまいを起こす病気について