「目やにに充血、喉の痛みまで…。」
もしかして、それはアデノウイルスに感染による「プール熱」かも!
お医者さんに、プール熱の症状や、やってはいけない対処、病院の受診目安も解説します。「仕事に行ってもいいの…?」といった疑問にもお答えするので、ぜひ参考にしてください。
監修者
経歴
川崎医大卒業後、2001年より大阪市大眼科医局入局、
医局人事により公立忠岡病院、城東中央病院、和泉市民病院、
神戸医療センター西市民病院勤務を経た後、医局人事を離れ高石藤井病院へ入職。
大人にもうつる「プール熱」の感染
プール熱は、アデノウイルスが原因で発症する疾患です。
子どもに多いアデノウイルスの感染は、大人にもうつります。
感染後、5~7日後程度で症状が現れます。
免疫力が低下していると発症しやすいと考えられています。
アデノウイルスは感染力が強いため、発症した患者と一緒に生活している人も感染しやすいです。
特に夏に流行しやすいですが、一年を通してみられます。症状が悪化すると肺炎を起こす恐れがあるため、注意が必要です。
プール熱の症状の特徴
- 突然の高熱(39度以上になることも)
- 喉の腫れ(咽頭炎による喉の痛み)充血
- 目やにが増える
- ゴロゴロする異物感(痛み)
- 涙の量が増える等の結膜炎症状
対処法は?正しいセルフケア
目やには指で取ったりせず、ティッシュ等でそっと優しく除去するようにしてください。
ドライアイが目の充血を促進する場合があるため、加湿器等を用いて喉と目の乾燥を防いでください。
喉のケアのために、水分補給やうがいをこまめに行ってください。
ウイルスは粘膜に付着しやすい性質があります。喉からいろいろなところに感染することもあるので、目だけでなく喉の保湿をすることも大切です。
また、喉の痛みに対しては、刺激が強いもの(オレンジジュース、香辛料等)を摂取しないようにしてください。喉ごしのよい食べ物(プリン、ゼリー、豆腐、お粥等)を摂るようにしてください。
<注意>
アデノウイルス感染に対する市販薬はありません。
病院を受診し、処方してもらった薬を使用するようにしてください。
仕事は行っても大丈夫?
社会人の場合、アデノウイルスに感染しても会社等を休まなければいけないという法的規定はありません。しかし…
アデノウイルスは感染力が強く、飛沫感染する恐れもあります。症状が消失するまではできるだけ仕事を休むことをおすすめします。
特に飲食業・接客業・学校の先生など、多くの人と接する必要がある仕事の場合はお休みしましょう。
何日くらい休むべき?
主な症状が消失した後、2日間経過するまでは、できるだけ会社を休み、自宅で安静に過ごすことをおすすめします。
やってはいけない対処
自己判断で市販薬は使わないでください。
手洗いを怠ったり、目やに指でとるのはやめましょう。
また、コンタクトレンズの使用も避けてください。
また、人にうするのを避けるために、家族と同じタオルを使ったり、一緒にお風呂に入るのは避けましょう。
これ以上悪化させないために…
- 十分な睡眠
- 栄養バランスの良い食事
- 手洗いうがいの徹底
などを心掛けることが大切です。
治すためには、自分自身の免疫力を向上させる必要があります。
病院を受診する目安
次のような症状がある場合、病院を受診して、症状に合う薬を処方してもらいましょう。
- 高熱が3日以上続く
- 脱水症状が出ている
- 喉の痛みが強いため飲食物が摂取できない
- 目やにの量が増えた(目やにで目が開かない)
- 呼吸が荒くなっている
- 横になると苦しい
何科を受診すればいい?
眼科の受診をおすすめします。
「症状が消失した」と自己判断して、医師の判断の前に通院や治療をやめないでくださいね。
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2020-12-07
発熱や結膜炎など「アデノウイルス感染で症状がつらい」とき、病院では、どんな治療をするの?
お医者さんに聞いてみました。
受診目安や治療期間の目安についても解説します。
アデノウイルスの「症状」
アデノウイルスは何種類もあります。
そのため、何度でも感染することがあり、目・喉・発熱など、どの症状が強く出るかが異なります。
目に出る症状
目やに
充血
など
目が真っ赤になる「結膜炎」を発症します。
喉にでる症状
腫れ
痛み
など
喉が真っ赤に腫れます。
痛みがあるため、食事を飲み込まない子どもも多いです。
全身に出る症状
高熱がでます。
3~4日程度高熱が続くことが多いです。
アデノウイルス感染症「治療法」
医師が診察をして、お薬を処方するケースが多いです。
アデノウイルスに感染したら、症状を緩和する「対症療法」を行います。
お薬で対処することが一般的なので、“痛い”“怖い”治療は基本的にありません。
目の症状に対する治療
目やに・結膜炎の治療には、点眼薬(目薬)を使用します。数滴を目の中に入れます。
※抗菌薬は市販されていません。医師に処方してもらいましょう。
喉の症状に対する治療
痛みを緩和する鎮痛剤を処方します。
全身症状に対する治療
発熱症状がつらい時は、解熱剤を処方します。
アデノウイルス「治療薬」
アデノウイルス感染症に効く「特効薬」はありません。
通常は、「症状を和らげるお薬」を医師が症状を判断して処方します。
目の症状の治療薬
アデノウイルスに感染し、結膜炎を発症すると目の免疫も落ちています。そのため、他の目の病気に感染しやすくなるので、感染しないように抗菌薬、炎症を抑えるためにテロイド点眼薬などが処方されます。
喉の症状の治療薬
痛み止めの鎮痛薬を処方します。
子どもの場合は、「アセトアミノフェン」がよく使用されます。
全身症状の治療薬
解熱剤を処方します。
こちらは、子どもの場合は、「アセトアミノフェン」が多いでしょう。
治療期間はどれくらい?
一般的に、1週間程度で快方に向かいます。
病院行くべき?行かなくてもいい?
意識がはっきりして元気がある場合や40度以下の熱であれば、通常は自宅療養してもらいます。
ただし、次のような症状が出ている場合は、病院を受診してください。
「目の症状」の受診目安
結膜炎による充血・痛み・目やにがひどいという状況が2日以上続く場合は受診しましょう。
また、痛みが強い場合は、他の病気の疑いもあるので早急に受診してください。
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「喉の症状」の受診目安
喉が腫れて飲むことができないということが半日〜1日あれば、すぐに受診してください。
脱水症状を引き起こす可能性があります。
保護者の方は、スプーンに水や飲み物をのせ、口に含ませるだけでもこまめに行ってください。体が小さな子どもほど、脱水が進むのは早いです。水分補給はこまめに行います。
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全身症状の受診目安
40度以上の発熱が2日以上下がらないときは、病院で診察を受けましょう。
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子どもの様子は、こまめに確認しましょう。
子どもの年齢・体格・体調によっては、急変する場合もあります。
通常、アデノウイルス感染は、数日〜1週間程度でよくなりますが、元々の体調が悪いとウイルスに体が負けてしまう場合があります。
病院は、何科に行けばいい?
目の症状は、眼科を受診しましょう。
喉の症状は、耳鼻いんこう科、小児科を受診しましょう。
発熱などの全身症状は、小児科を受診してください。
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入院基準は?
高熱が下がらない
食事が入らない
全身症状が強い
という場合は、入院で経過を見ることもあります。
高熱は、急な体調変化や脳症を発症することがあります。急変に備えて入院してもらい、いつでも治療が受けられるようにします。
▼参考
Dr.365こどもの病気相談室
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2020-02-27
風邪のとき、いつもよりやたらと「目やに」が出るけれど、これって別の病気?
「目やにで目が開かない」
「目やにが多いし充血もしている」
「片目だった症状が両目になった」
このような、風邪の症状に伴う目の不調にお困りの方は必見です。
この記事では、風邪のときに出る「目やに」の原因や対処法、さらに風邪の他に考えられる病気の可能性まで詳しく解説しています。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
風邪の時に出る目やにの原因
目やにを伴う風邪症状がある場合は、「アデノウイルス感染症」の可能性が高いです。
このウイルスは、50種類を超える種類があるため、一度かかっても何度も同じような症状の風邪にかかります。
市販の目薬は効く?
眼精疲労やドライアイ用の目薬では、この症状には働きかけません。
病院では、主に抗菌剤やステロイド点眼薬が処方されます。
風邪薬は目やにの症状に作用しない
風邪薬は、解熱や鼻づまりを緩和したり、咳を良くしたりしてくれますが、アデノウイルス感染の原因菌を殺菌することはできません。
アデノウイルス感染の特効薬はありません。
他の症状が落ち着けば、目やにも落ち着いてくるので、諸症状が快方に向かうまで 安静にしている必要があります。
目やには、他の症状によって起こっているので、目やにだけが治らない場合は他の疾患かもしれません。
自然治癒する?
症状が軽い場合は自然治癒することもあります。
目やにが増える病気
目やにの特徴やその他の症状別に、可能性のある病気をご紹介します。
感染性結膜炎
感染性結膜炎には、ウイルス性と細菌性の二種類があります。
ウイルス性結膜炎
プール熱とも呼ばれる感染性の病気です。
風邪症状のほかに、目やになど目の症状が出る場合もあります。
片目に発症して、そのまま隣の目に感染してしまう場合が多いです。
子どもに多い病気ですが、子どもから大人にうつってしまうことも珍しくありません。
原因:アデノウイルス
目やにの特徴:ベタベタした黄色い目やにが大量に出る。
目やに以外の症状:涙が出る、目の充血、発熱や高熱、咽頭発赤が現れることもある。眼瞼腫脹がみられる。目のそばのリンパ腺が腫れて痛みを生じることがある。
細菌性結膜炎
原因:細菌(黄色ブドウ球菌、クラミジア、淋菌など)
目やにの特徴:白~黄色っぽい目やにで、ウイルス性よりドロっとしているのが特徴。
目やに以外の症状:充血したり、目の周りが腫れることもある。
ウイルス性結膜炎はと細菌性結膜炎は症状も似ており、患者さん自身で判断するのは難しいです。
ただし、細菌性の方が感染力が弱いため、うつりにくく、発症頻度も低いです。
アレルギー性結膜炎
一年を通してアレルギー症状が現れる人や花粉の時期に限定して両目に症状が出ます。
はじめての時は、風邪と間違える症状が多いですが、関節痛や発熱などを伴いません。
アレルギー検査で確定できます。
原因:ハウスダスト、花粉など
目やにの特徴:水のような、涙のような水っぽい目やにが出る。
目やに以外の症状:目の強い痒み、目の充血、異物感、落涙、鼻症(くしゃみ、鼻水)状が出る人もいる。
病院は何科を受診するべき?
咳や発熱、倦怠感などの全身症状が重い場合は、内科を受診してください。
目の症状には眼科の受診が必要です。
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まとめ
ウイルス性結膜炎はアデノウイルスが原因です。
風邪症状と結膜炎の症状が現れ、大人でも子どもからうつる場合も多くあります。
子どもの感染が確認できたら、顔を拭いたタオルの共有はしない・目を拭ったティッシュはすぐ捨てる・手洗いをこまめに行う・一緒に入浴しないなどを行い、感染を防ぎましょう。