「40代女性なのですが、なんとなく体がだるい…」
「これは何が原因…?」
40代女性に多い「なんとなく体がだるい」原因を、お医者さんに聞いてみました。
サプリや漢方を用いた疲労感の対策方法や、受診をおすすめするケースなども紹介していきます。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
40代女性に多い「なんとなく体がだるい」原因
40代女性の「なんとなく体がだるい」という症状は、更年期によるものであるケースが多いです。
更年期になると、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が不安定になったり、急激に減少したりするようになります。
その結果、自律神経に乱れが生じて血行不良を起こし、各種臓器の機能低下、体温低下、睡眠の質の低下といった症状がおこり、何となく体がだるく感じるようになります。
こんな症状もでていませんか?
更年期症状の場合、「体のだるさ」に加えて以下の症状が現れやすいです。
- 肩こり、腰痛
- 関節痛
- 手足や腰回りの冷え
- ほてり(顔、上半身)、発汗
- 頭痛、めまい
- 動悸、息切れ
- 不眠
- 不安感、憂鬱
このだるさ…いつまで続くの?
更年期の症状には個人差があるため断言できませんが、40歳代から50歳前半くらいまで症状が続くケースが多いと考えられています。
だるくてつらい「なんとかならないの?」
体のだるさは、自律神経の乱れを整えることで症状が緩和することがあります。
自律神経の乱れを整えるためには、
- 心のバランスを整える
- 食生活の見直し、改善
- 適度な運動を行う
- 市販薬を使用する(漢方薬等)
- 体を温める
- 早寝、早起き
- 市販のサプリメントを使用する
- 飲酒習慣の見直し
といったことを行ってみるとよいでしょう。
次から詳しく解説していきます。
対策① 心のバランスを整える
- 深呼吸をする
- 気分転換をする
- 趣味を見つけて楽しむ
- リラックスタイムを作る
等といったことを行い、心のバランスを整えるとよいでしょう。
心のバランスを調整できると、ストレスが緩和されて自律神経の乱れの改善につながります。
対策② 食生活の見直し、改善
栄養バランスの良い食事を1日3回摂るようにしてください。
特にビタミン類、イミダペプチドを豊富に含む食品を摂るようにしましょう。
※イミダペプチドは1日100g程度の摂取をおすすめします
栄養素 |
含まれる食材 |
摂取効果 |
ビタミン類 |
|
|
イミダペプチド |
|
|
対策③ 適度な運動を行う
ウォーキングやストレッチ等、無理なく続けられる運動(有酸素運動)を毎日継続して行うようにしてください。
体を動かすことで血行が良くなったり、筋肉や骨の衰えを食い止めることができ、自律神経の乱れの改善につながります。
また血行改善により、疲労が軽減することもあります。
ただし、疲れている状態でさらに運動すると、疲労が蓄積されやすくなるため要注意です。
対策④ 市販薬を使用する(漢方薬等)
疲労感があるときは、ドラッグストア等で販売されている医薬品、特に漢方薬の使用をおすすめします。
漢方薬の使用により身体全体のバランスを整えると、更年期症状の改善が期待できます。
※市販薬を購入する際は薬剤師に相談し、症状に合うタイプを選択するようにしましょう。
おすすめの漢方薬
- 加味帰脾湯(かみきひとう)
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
- 加味逍遙散等(かみしょうようさん)
対策⑤ 体を温める
じんわり額に汗が出る程度の温度のお湯(40度程度)に10~15分ほど浸かって体を温めてください。
体を芯から温めて血行を良くすると、自律神経の乱れの改善につながると考えられています。
\入浴のポイント/
夜入浴する場合、就寝の1時間半前には済ませるようにしてください。
また、43度以上のお湯に肩まで浸かるのは避けましょう。
体温、血圧、心拍数等が急に変化して自律神経に負担を掛ける恐れがあります。
対策⑥ 早寝・早起き
夜はできるだけ22時から0時には就寝し、朝は5時から6時には起きるようにしましょう。
起床後はカーテンを開けて太陽の光を浴びてください。
睡眠のリズムを整え、良質な睡眠を十分とることで、自律神経の乱れの改善につながります。
夜寝つきが悪い場合は、朝起きる時間を決めて毎日同じ時間に起きるようにしてください。
対策⑦ 市販のサプリメントを使用する
大豆イソフラボン(エクオール)・ビタミン等のサプリメントが使用するとよいでしょう。
サプリメントは数多く販売されているため、購入の際は薬剤師さんに相談することをおすすめします。
▼大豆イソフラボン(エクオール)
体内で、女性ホルモンであるエストロゲンと同じような働きをすると考えられています。
▼ビタミン
疲労や新陳代謝の改善に有効と考えられています。
特にビタミンEは、プロゲステロンの材料になり、ホルモン分泌やホルモンバランスの調整に有効に作用すると考えられています。
対策⑧ 飲酒習慣の見直し
アルコールの過剰摂取を控えましょう。
更年期の症状は、アルコール摂取で悪化しやすいと考えられています。
できるだけお酒を控えたほうが良いでしょう。
一度、病院に相談することをおすすめするケース
- 疲労感・倦怠感が続き、ベッドから起きるのがつらい
- 症状が重くて外出が困難
- 頭痛・息切れ・発熱等の症状も出現している
といった場合には、早めに病院で受診してください。
上記症状がある人は、隠れた病気によって「だるさ」を感じているケースも疑われます。
病気の進行を防ぐには、医師の診察を受けることが大切です。
精密検査を受けないと詳細な診断はできませんが、バセドウ病、うつ病、糖尿病など、様々な隠れた病気の可能性もあります。
また、更年期障害が原因であれば、治療を受けることで症状の緩和が期待できます。
つらい症状は我慢せず、病院で相談してみましょう。
「体のだるさ」は何科で相談すればいい?
更年期で体のだるさを感じるときは、婦人科で相談しましょう。
お医者さんに伝えるポイント
- 既往歴
- 服用中の薬剤
- 月経周期や月経期間
- 出現している症状
- 症状が出現するタイミング
- いつから症状が出現しているか
等を伝えると診察がスムーズに進行します。
婦人科を探す
合わせて読みたい
2022-12-23
更年期障害ってどんな症状が出るの?
なりやすい人の特徴は?
更年期障害について、分かりやすくまとめました。
普段の生活で心がけたいポイントや、病院に行く目安も紹介します。
更年期障害とは
女性は40代頃から、卵巣から分泌される「女性ホルモン」が急激に減少します。
これに伴ってあらわれる、さまざまな心身の不調を総称して、更年期障害と呼びます。
更年期障害は何歳から始まる?
更年期とは、閉経前後の5年ずつを指します。
50歳前後での閉経が平均なので、ほとんどの女性が45~55歳で更年期を迎えます。
更年期障害はいつ終わる?
更年期障害が、いつ終わるかは断言できませんが、長くても10年ほどです。
更年期障害の症状をチェック
のぼせ・顔のほてり(ホットフラッシュ)
息切れ・動悸
頭痛
めまい
不安を感じやすい、イライラしやすい
など
上記の症状は、更年期障害の主な症状の一例です。
更年期の症状は多岐にわたるため、上記以外の症状があらわれる人もいます。
「更年期の症状が出やすい人」の特徴は?
以下、それぞれの項目ごとに2~3個ずつ当てはまる場合、更年期障害を発症しやすいと考えられています。
▼睡眠
24時以降に眠り、10時以降に起床する日が週に3日以上ある
低血圧で、朝起きるのがつらい
夜中に目が覚めやすい
寝る前にスマートフォンやパソコンを使っている
浅い眠りしかとれず、熟睡感がない
▼食事
1日3食はとらない(よく欠食する)
食事の時間がバラバラ
食事量を過度に制限するなど「極端なダイエット」をしている
暴飲暴食している
好き嫌いがあり「偏った食生活」になっている
▼性格
人に比べて神経質
何事にも真面目
完璧主義
仕事などを頑張りすぎてしまう
怒りっぽく、些細なことでもイライラしやすい
▼その他
疲れやストレスが多い生活を送っている
休みが少なく、心身ともにリラックスできる時間がない
体が冷えやすい
運動する習慣がない
産後うつ・月経前症候群が重かった
※これらの症状に当てはまらない場合でも、更年期障害を発症する可能性はあります。
今からできる!更年期の症状を和らげる「5つの対策」
1日3食、主食・主菜・副菜の揃った食事をとる
1日7〜8時間程度の質のよい睡眠をとる
週3~4日、有酸素運動を行う
入浴のときは「湯船に浸かる」
こまめにストレスを発散させる
更年期の症状を和らげるには、自律神経を整えておくことが大切です。
上記の点を意識して、生活習慣を見直していきましょう。
こんな症状があったら「婦人科」で相談を!
眠れないことで憂うつな気分が続く
強い不安感がある
食欲がなく、体重が減った
息切れ・動悸がする
めまい・吐き気がする
激しい頭痛がある
上記のような症状が出ている方は、一度「婦人科」に相談してみましょう。
放置していると、症状が悪化して仕事に行けなくなるなど、日常生活に支障をきたす恐れがあります。
また、更年期症状の影響により不眠が続くと、睡眠に対するこだわりが強くなり、眠れないことへの恐怖心から症状が慢性化する恐れもあります。
どんな検査を受けるの?
更年期症状で病院を受診した場合は、一般的に、
問診
身長・体重・血圧の測定
検査(血液・子宮・卵巣・甲状腺・心臓等の検査)
を行い、患者さんの症状に合わせて治療が選択されます。
※検査内容等は、受診する医療機関によって異なることがあります。
どんな治療法があるの?
治療法としては、エストロゲン・プロゲステロンなどの女性ホルモンを飲み薬・塗り薬・貼り薬で補う「ホルモン補充療法(HRT)」や、「漢方薬」を使った治療法があります。
うつ症状が強く表れているときは、抗うつ薬や抗不安剤などの「向精神薬」が処方されます。
※飲み合わせの関係でホルモン補充療法や他の薬が使いにくい場合もあります。治療中の病気や飲んでいる薬は医師に伝えたうえで、薬を処方してもらいましょう。
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
婦人科を探す
合わせて読みたい
2022-02-17
「寝ても寝ても眠い原因はストレス…?」
「うつ病の可能性もあるの…?」
心の不調で起こる日中の眠気について、お医者さんに聞いてみました。
過度のストレスが疑われる症状、眠気の対処法なども併せて解説します。
「寝ても寝ても眠い」のは体からの“ストレス限界”サインかも
極度のストレスが原因で、「寝ても寝ても眠い」レベルの異常な眠気を感じることもあります。
ストレスは自律神経を乱して、交感神経を強く働かせてしまいます。
脳や体が興奮状態になると睡眠の質が悪くなるため、日中の眠気を引き起こしやすいです。
過度のストレスを受けると、脳の「大脳新皮質」などの働きが低下します。
運動や知覚機能、自律神経、内分泌など全ての中枢は脳です。
そのため、ストレスで脳の働きが悪くなると体の制御が難しくなります。
「うつ病」の疑いも
「うつ病」が睡眠の質が悪くさせ、日中の眠気を引き起こすこともあります。
これは、自然な眠りを誘う作用がある「メラトニン」や、脳を覚醒させる作用がある「セロトニン」の分泌障害によるものだと考えられています。
ストレスが「うつ病」につながるしくみ
脳や体へのストレス過多の状態が続くと、脳が正常に働かなくなり、気持ちが落ち込みやすくなります。
その結果、体内のホルモン動態が影響を受けて「うつ病」の発症につながります。
ストレスが限界の症状例
ストレスが過多になると、「心の症状」や「身体的な症状」がでることがあります。
「心の症状」の例
気分が落ち込む
不安感が強くなる
イライラして、怒りっぽくなる
やる気が出ず、集中できない
何に対しても興味が持てない
緊張状態が続く
物事を「楽しい」と思えなくなる
「体の症状」の例
肩こり
頭痛
腹痛、胃痛
胸が苦しい
息苦しい
だるくて体が動かない
食欲不振、または食欲過剰
下痢、便秘
のぼせ・冷え
涙が止まらなくなる
不眠、または過眠
“異常な眠気”の対処法
「異常な眠気」を感じていても、どうしても起きていなければいけない場合、
仮眠をとる
カフェインを摂取する
窓を開けて日を浴びる
などを試してみましょう。
真面目な人ほど注意して!こんな悪循環に陥っていませんか?
生真面目な人ほど、昼間の眠気を感じることを「怠けている」と考え、起き上がれない自分に対してストレスをさらに感じるという悪循環に陥る傾向があります。
「仕事・学校にも行けないで寝ているのは悪い」
「夜にしっかり眠ったのに、昼間に動けないのは悪い」
などと、ご自身に暗示をかけていませんか?
心身が疲れ切っているときには、お仕事や学校を休んでゆっくり体を休めましょう。
起きられない状況が何日も続いて困っている場合は、同じ時間に起きることから始めるとよいでしょう。
なかなか改善しない場合は医療機関で相談してみてください。
心療内科を探す
根本的に“ストレス症状”を解決するには…
ストレスそのものを軽減するためには、以下の手順でセルフケアを行うとよいでしょう。
1.まず、休む
まずは、身体と心をゆっくり休めましょう。
この期間はストレスに感じる物事から離れましょう。
体力が戻ってきたら、ストレスの原因を解消するために少しずつ行動をとってみるとよいでしょう。
2.次に、規則正しい生活をおくる
早寝をし、同じ時間に起きるようにしましょう。
日中にしっかり動くと夜眠れるので、日中に適度な運動をする習慣を付けましょう。
眠る前の激しい運動は、逆に神経を高ぶらせてしまうので控えてください。
また、食事は定期的にバランスのよいものをとるようにして、胃腸を動かすとよいでしょう。
眠気が1週間以上続くときは、一度病院に相談に行こう
風邪や感染症などの症状はないのに、
日中の眠気が1週間以上続いている
倦怠感や疲労感が取れない
といった場合は、早めに医療機関に相談しましょう。
上記の症状には、脳の働きや自律神経の異常が考えられます。
心の病気、過眠症などの病気も疑われるため、早めに受診することをおすすめします。
病院は何科?
「ストレスが原因の眠気」があるときは、心療内科での相談をおすすめします。
医療機関では
いつ頃から眠気が取れないのか
ここ数日の日中の行動と眠る時間(以前との変化)
夜はよく眠れているか
眠気以外にある体の異常
などを聞かれることが多いです。
心療内科を探す
▼参考
厚生労働省 うつ病
更年期障害の治療法
▼保険診療の例
治療法 |
治療内容 |
ホルモン補充療法 |
分泌が減少しているエストロゲンを補充する治療法 |
漢方薬を用いた治療 |
・ 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
・ 加味逍遥散(かみしょうようさん)
・ 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
等の漢方薬を用いた治療法 |
プラセンタ注射
(保険適用には条件がある) |
ヒトの胎盤から抽出したプラセンタエキスを注射する治療法 |
▼自由診療
治療法 |
治療内容 |
プラセンタ純末エキス |
1日1本を目安に、プラセンタエキスを服用する治療法 |
エクオール |
エストロゲンと似たような作用をもつ大豆イソフラボンをサプリメントとして摂取する治療法 |