2022-02-25
「もしかして自律神経太りかも…」
「なかなか痩せない…どうして?」
自律神経太りの人向けのダイエットについて、お医者さんに聞いてみました。
ダイエットをする上でやったほうがよいこと、効率よく痩せるためにできることなども解説します。
”自律神経太り”セルフチェック
自律神経太りしやすい人の習慣には傾向があります。
一つでも当てはまる場合は、自律神経が乱れている疑いがあります。
睡眠時間が4時間以下
食事の時間が不規則
欠食している(特に朝食を抜いている人は注意)
湯船につからずシャワーだけ
夜更かししてしまう
朝起きるのが遅い
休みの日は、昼まで寝ている
仕事や人間関係のストレスを抱えている
ストレスを発散するのが苦手
物事をつい考えすぎてしまう
運動をする習慣がない
体に“自律神経の乱れ”のサインが出ることも…
自律神経が乱れていると、体からのサインがあらわれることがあります。
次の体調変化がある方は要注意です。
食べ過ぎていないのに太る
足や顔のむくみ
日中の頭痛
便秘がち
疲れやすい
”自律神経太り”とは
寝不足やストレス状態が続くと自律神経が“司令塔”の役割を正常に果たせなくなります。
すると、あらゆる体の機能に影響を及ぼし、胃腸の働きの低下・血流の悪化・代謝の低下などが起こり、体重が増加してしまうということが起こります。
これがいわゆる“自律神経太り”です。
まず、自律神経は主に「交感神経」と「副交感神経」の2つに分かれています。
交感神経:活動している時に活発になる
副交感神経:休んでいる時に活発になる
本来であれば、昼間は交感神経が働いて、夜は副交感神経が働くのが正常な自律神経のリズムです。
しかし、寝不足やストレス状態が長期間続くと、副交感神経が働いている時間にも交感神経が活発になり、全体的な自律神経のバランスが崩れてしまいます。
「太るしくみ」をさらに詳しく解説すると…
交感神経には、胃腸の働きを抑制したり、血管を収縮させたりする作用もあります。
胃腸の働きが抑制されると、食べたものの消化が滞り、便秘になり、ぽっこりお腹になりやすくなります。
血管が収縮すると、血液が流れにくくなり、代謝が下がります。代謝が下がると、老廃物がうまく排出されなくなり、脂肪を溜めやすい体質になってしまいます。
「痩せたい!」どうやったら…改善できる?
自律神経太りの根本的な原因は、“不規則な生活”です。
自律神経太りを解消して痩せるためには、生活リズムを整えることを意識しましょう。
特に睡眠不足は自律神経のリズムを乱す大きな原因となります。また、精神的なストレスや肉体的な疲労も自律神経に影響を及ぼします。
「生活を整える」だけで本当にいいの?
はい、特定のダイエットを行なうよりも、生活を整えることが基本です。
自律神経は、血圧や内臓の働きを調整しています。
自律神経が整うと、血流がよくなり、代謝がスムーズになります。
また、胃腸も正常に働くようになり、食べたものがしっかりと消化されるようになります。
つまり、生活を整えると、基礎代謝が上がりエネルギー消費量が増え、不要なものはきちんと体外に出せるようになるのです。“自律神経が乱れた状態”と比較すると、エネルギー消費量が違うため、同じ量を食べていても太りづらくなります。
「生活リズムと整える」って何をすればいいの?
朝
決まった時間に起きる
起きたら日光を浴びる
顔を洗って、脳を目覚めさせる
ご飯を食べる
通勤・通学は15分以上歩く
昼
定期的に席を立つ・歩く
長時間の昼寝はしない(するなら午後の早い時間に30分以内)
夜
夜ふかししない(7~8時間は寝るようにする)
就寝の2~3時間前にお風呂にはいる
ストレッチをする
寝る前に腹式呼吸をする
ベッドに入ったらスマートフォンを触らない
休日
平日と同じくらいの時間に起きる
なるべく家から出る
体を動かす
仕事のことは考えない
好きなことをしてストレス発散する
朝は日光を浴びましょう。
日光を浴びることで、集中力を高め、ストレスを緩和してくれるホルモンであるセロトニンが分泌され、1日を穏やかに過ごせるようになります。
朝ご飯をしっかりと食べることも重要です。
バナナやヨーグルトなどの手軽なものでいいので、朝に何かを食べる習慣からつけるようにしましょう。
昼間は活動量を増やしましょう。
座ってばかりにならないよう、意識をして立ち上がったり、歩いたりするようにするとよいでしょう。
夜はなるべく早く寝るように心掛けます。
就寝の2~3時間前にお風呂にはいりましょう。
38度のぬるめのお湯→25〜30分程度
42度の熱めのお湯→5分程度
湯船につかると、リラックスして副交感神経のスイッチが入り、眠りにつきやすくなります。
また、布団に入ってから5~10分ほど腹式呼吸を行うことで、同様に副交感神経を優位にして心地のよい眠りにつきやすくなる効果が期待できます。
仕事や家事、子育て、人間関係などのストレスはなくなるものではありませんが、1日のうち30分~1時間は何も考えずに過ごせる時間を作るようにしましょう。趣味に没頭するなど好きなことをするのもおすすめです。
また、休日はなるべく仕事のことは考えず、好きなことをするようにするとよいですね。ストレス発散のために外出をする、スポーツをするなど体を動かしてもよいでしょう。
無理なく“続ける”ことが大事
身体はすぐに変化するわけではないため、継続が必要です。
即効性があるわけではないということを念頭に入れておくことで、結果が出づらくても焦らずに続けられます。
また、「生活を正さなくては」とストイックに考えてしまうこともストレスの原因となります。まずは無理のない範囲でスタートして、続けていくことが大切です。
自律神経が整うと、「痩せやすい体質になる」以外にも、「風邪をひきにくくなる」「集中力が上がる」等のメリットがたくさんあります。ぜひ、できることから取り組んでみてくださいね。
▼参考
木村公喜「自律神経活動と健康づくり」日本経大論集第42巻第1号,17-22,2010.
清水徹男「24時間の自律神経活動リズム」生体医工学46(2):154-159,2008.
厚生労働省 e-ヘルスネット「ストレスと食生活」
Inadequate sleep as a risk factor for obesity: analyses of the NHANES I
小西正良、吉田愛実「セロトニン分泌に影響を及ぼす生活習慣と環境」Journal of Osaka Kawasaki Rehabilitation University Vol.5,pp.11-20, 2011.
大正製薬「疲れに効くコラム『自律神経を整える入浴法』」
厚生労働省 e-ヘルスネット 快眠と生活習慣
厚生労働省 健康づくりのための睡眠指針 2014