女性に多いと言われる口唇ヘルペス。発症する原因は?
リップメイクは関係ある?
ストレスがかかると発症するってほんと?
女性が口唇ヘルペスになる原因や、ケア方法、市販で使える薬などを医師が詳しく解説します。
監修者
経歴
日本皮膚科学会、日本抗加齢医学会所属。専門分野は精神医療、皮膚科。
産業医 ・抗加齢医学会専門医 ・公認心理師の資格を持ち、著書「発達障害ママの子育てハック」の監修も行っている。
女性が口唇ヘルペスになる原因
口唇ヘルペスの原因は「ウイルス」
口唇ヘルペスの原因は、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)というウイルスです。
ほとんどは無症状での潜伏感染ですが、
などによって、身体の免疫力・抵抗力が弱まった時に、ウイルスが再活性化して症状が現れます。
女性特有の原因もある
口唇ヘルペスは免疫力が低下した時に症状が出やすいため、女性の場合は
などの女性ホルモンのバランスが乱れる時期に症状が出やすくなります。
口紅やメイクなどにより唇や口周りのお肌が刺激を受けやすいため、ただれなどの皮膚症状が長引いたり、跡に残りやすくなることもありえます。
男性よりも女性の方がなりやすい
口唇ヘルペスは男性よりも女性の方がなりやすいと言われていますが、その原因は明らかではありません。
原因の一つとして、女性は月経、妊娠出産、更年期など、ホルモンバランスの影響が大きいために、免疫力が低下してウイルスが再活性化しやすく、口唇ヘルペスの症状が出やすいということが考えられます。
一般的に20代~30代頃の女性に多いとされていますが、これは事実ではなく、口唇ヘルペスの症状があらわれる年齢にはばらつきはないようです。
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「唇に水ぶくれができたのはなんでだろう…」
「口の周りがピリピリ痛い!」
口唇ヘルペスかもと思ったら、すぐに病院へ行きましょう。症状のチェックから、放置した際のリスクまで医師が解説します。
口唇ヘルペスは、何科に行けばいい?
口唇ヘルペスになったと思ったら、皮膚科を受診しましょう。
できるだけ早い段階で治療を始めることが望ましいです。
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「口唇ヘルペスかも」の時点で病院へ
「口唇ヘルペスかも」と、わかった時点で病院に行くのをおすすめします。
早めに病院を受診し、適切な治療を受けることで、かゆみや痛みなどのつらい症状をやわらげることができます。
その他にも、次のような様々なメリットがあげられます。
早く治すことができる
重症化を防ぐことができる
傷跡が残るのを防ぐことができる
再発を予防できる
二次感染を防ぐことができる
入院しなくて済む
命を守ることができる
口唇ヘルペスの症状チェック
以下の症状があるときは、口唇ヘルペスを発症している可能性が高いです。
<水ぶくれが現れる前の症状>
ピリピリ、チクチクとした痛みがある。
むずむずとした違和感やかゆみ、ほてりなどがある。
唇や口の一部が赤く腫れている。
<水ぶくれが現れた後症状>
唇に水ぶくれがある。(水ぶくれは、通常は一か所にまとまってできる。初めての感染では大きな水ぶくれができる。)
症状を繰り返す。
口内炎ができている。
唇以外の症状がでている。(頭痛、発熱、あごや耳付近のリンパの腫れなど)
※水ぶくれが現れ始めた頃も、現れる前の症状が継続することがあります。
一般的には2週間ほどで抗体ができてウイルスの力が弱まるため、自然に治ることが多いといわれています。
しかし、必ずしも全員が自然治癒するというわけではありません。また、唇に傷跡が残ったり、体の他の部位に感染が広がることもあります。
放置すると…入院治療のケースも
口唇ヘルペスは重症化することがあり、肺や脳など別の器官に感染して、脳炎等の合併症を引き起こす可能性もあります。重症化すると、入院して治療をすることもあります。
その他にも、以下のようなリスクがあります。
治りが遅くなる。
えぐれたような傷跡が残る。
再発を繰り返す。(大人に多い)
口の中に感染し、口内炎ができる(頭痛や発熱、全身の痛みなどの症状もあらわれる)。
性器に感染する(発熱や倦怠感、便秘、排尿痛などがあり、感染部位の痛みも強い)。
食道に感染する(食べ物を飲み込む際に痛みを生じる)。
肺に感染し、肺炎を起こす(咳、息切れなどの症状がある)。
眼の角膜に感染する(目のかすみ、腫瘍などの症状がある。治療をしないと、視力が低下する恐れがある)。
脳に感染する(発熱やけいれんなどを起こす)。
妊娠している場合、胎児や新生児に感染する(死亡や脳の障害を起こす可能性がある)。
入院して治療をうけることになる。
最悪の場合、死に至る。
家族など接触が多い人にうつしてしまう。
チクチクとした痛みや水ぶくれができた場合は、病院を受診するようにしてください。
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▼参考
日本臨床皮膚科学会 ひふの病気
今すぐ治したい!口唇ヘルペスの対処法
できるだけ早く病院受診をして、症状が出て48時間以内に治療を開始するのがベストです
病院では、基本的には抗ウイルス薬の内服薬を使い治療します。
病院に行けない時の対処法
事情があって病院にも薬局にも行けない場合、病変部を保護して、刺激を与えないようにしましょう。
唇はワセリンで保湿をします。
また、免疫力をアップさせることが大切なので、規則正しい生活を心がけて、休息をしっかりととって栄養バランスの良い食事をとるようにしましょう。
口唇ヘルペスの市販薬
薬局には、病院で処方されるような内服薬はありませんが、「アラセナS」「アクチビア軟膏」などの抗ウイルス薬の配合された外用薬(軟膏やクリーム)があります。
アラセナSには「ビダラビン」、アクチビア軟膏には「アシクロビル」といった、ヘルペスウイルスの増殖を抑える作用のある成分が含まれています。
※どちらかの成分が優れているということはなく、合う合わないには個人差があります。
薬の形状としては、クリームは軟膏よりも塗りやすいというメリットがありますが、汗などで流れ落ちやすいというデメリットもあります。薬がしっかりと患部に留められるという点でも、患部の保護という点でも、軟膏がおすすめです。
ステロイドは使わない
「炎症を抑える薬」としてステロイドの入った薬を自己判断で使ってしまうと、ヘルペスが重症化するリスクや、細菌などの二次感染を起こすリスクがあります。ステロイドの入った薬は避けた方がいいでしょう。
口唇ヘルペスに使える市販薬
アラセナS
アクチビア軟膏

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「市販薬での治療は初めてだから不安…」
「口唇ヘルペスの飲み薬はあるの?」
口唇ヘルペスの市販薬の選び方から、種類や購入方法、値段まで医師が詳しく解説します。
市販薬が使えるのは「再発時のみ」
口唇ヘルペスを市販薬で治療を行えるのは、再発・医師の診断を受けた方のみとなっています。
そのため、口唇ヘルペスを初めて発症したと思われる場合の治療は、基本的には病院を受診してください。
自然に治るのを待ってもいい?
ヘルペスは、ウイルス感染によるもののため、自然治癒を待つよりも早期に病院を受診するようにしましょう。
再発・医師の診断を受けた方であっても、市販薬で症状が改善しない場合は、早期受診をして内服薬で治療を行いましょう。
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市販薬の選び方
口唇ヘルペスは、外用薬しか市販薬には存在しません。
治療後に残ってしまった、または免疫が弱くなって再発したヘルペスウイルスの増殖を部分的に抑える薬です。
※子どものヘルペスの場合でも、外用薬は大人と同じ薬を使用しても大丈夫です。対象年齢や用法用量を守って使用しましょう。
市販薬の例
市販薬には、
アラセナS
アクチビア
ヘルペシアクリーム
アラセナSクリーム
などがあります。全てウイルスの増殖を抑える効果を持ちます。
どの市販薬がよいかは、個人の使い勝手や体質によって異なります。
違いとしては「アラセナS」「アラセナSクリーム」は医療用アラセナ-3%と同じ濃度の有効成分を配合しており、「アクチビア」は少々苦味を感じやすいということがあります。
市販薬は、ドラッグストアや、最近ではオンラインでも購入が可能です。
オロナインは効く?
オロナインは、ヘルペスウイルスを抑える働きはありません。
オロナインは尿素を含んだ保湿剤であり、かゆみを抑える外用薬です。
市販薬の値段
一本あたり800~1300円程度です。
値段の違いで治療効果が大きく違うことはありません。メーカーの希望価格の差だといえます。
こんな場合は病院へ!
初回の症状として、口周りがかゆくてたまらない・水ぶくれができた・痛みが我慢できないくらいの場合は、早めに皮膚科を受診しましょう。
また、再発の場合は、市販薬を使用して1週間くらい使用しても変わらない、悪化する場合は病院へ行きましょう。
皮膚科を探す
口唇ヘルペスの再発予防
再発を予防するためには、疲労やストレスを減らすこと、免疫力を低下させないような生活習慣を心がけることが大切です。
食事においては、抗酸化力が高いビタミンC(いちご、ピーマン等)、ビタミンE(ナッツ、ごま 等)、βカロテン(緑黄色野菜等)や、皮膚の元となるタンパク質(肉類、魚類)などを積極的に摂ることをおすすめします。
他の人に感染を広げないために…
他の人と食器類・食品の共有は感染させることにもなりますのでやめましょう。
治癒してしまえば他の人に移す可能性はほぼないですが、念のため、1週間ほどは注意しておくのが安心です。
▼参考
薬の選び方を学び 実践する OTC薬入門〔改訂第5版〕 (薬ゼミファーマブック)
リップメイクは控える
症状がある時はできるだけ刺激を控えたいので、リップメイクはやめましょう。リップについている細菌によって二次感染が起きる可能性もあります。色などがついていないワセリンで優しく保湿をするのがおすすめです。
口唇ヘルペスの症状が出ている時にリップメイクをすると、お肌の乾燥や刺激によって、症状が治りにくくなったり、跡が残ったりしてしまう可能性があります。
乾燥は避けたいので、刺激の少ないワセリンを優しく塗って保湿するのがいいでしょう。
どうしてもリップメイクをする必要がある時は、ワセリンなどで保護をしてからその上に薄く口紅を付けるのがいいでしょう。
お肌への刺激をできるだけ少なくするように心がけることが大切です。
直前に使っていたリップは、自分自身で使うのなら問題ない
自分自身で使うのであれば、直前まで使っていたリップ等を使い続けることは問題ないです。
すでに感染している方は、ウイルス自体は体の中の神経節に潜伏しているので、ウイルスが付着している口紅をまた使ったからといって症状が出ることはありません。
あまり神経質にならず、使い続けていいでしょう。
ですが、口唇ヘルペスに感染したことがない人が使用してしまうと、口唇ヘルペスに感染してしまう恐れがあります。
リップクリームに限らず唇に触れたものを、家族を含めて他の人と使い回すといったことは避けましょう。
【どれぐらいで治る?】治癒までは10日前後
適切な治療を行えば、通常は10日前後で治ることが多いです。
前駆症状として、唇のかゆみや、ピリピリ、むずむずした感じといった違和感があらわれます。その後、数日してから赤みや水疱ができます。
その後、適切な治療を行えば通常は10日前後で治ることが多いのですが、治療の遅れや免疫力の低下などにより長引くこともあります。
キスはかさぶたや痛みが治まってから
唇表面の水疱やかさぶた、痛みといった症状がおさまったら、通常通りの生活に戻って問題はありません。
口唇ヘルペスの水疱の内容液にはウイルスが多数存在します。
水疱ができている時や水疱が破れてただれている時は、周りの人を感染させないよう気を付けましょう。直接の唇の接触はもちろんのこと、唇に触った手にも注意が必要です。唇や唾液に触れたらこまめに手洗いをするようにしましょう。
ヘルペスは無症状の時でも、唾液などが感染力を持つこともあります。炎症を起こしている時より感染リスクは低いですが、キスはかさぶたや痛みが治まってからにしましょう。
【女性】再発させないための対処法
抵抗力が落ちないようにしよう
ヘルペスは、一度感染するとずっと神経節に潜み続けます。身体の免疫が弱るとウイルスが暴れ出すので、免疫力が低下しないように生活することが大切です。
免疫力を保つために、長時間紫外線を浴びたり、疲労やストレスを避けることが大切です。十分な休養、睡眠をとって、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。
リップメイクの仕方に気を付けよう
唇への物理的な刺激で症状が出やすくなることもあるため、お肌に合わない成分の含まれる化粧品やリップなどはできるだけ避けてください。ゴシゴシと強く塗ったりするのも刺激になるので、優しく塗るように心がけましょう。
口唇ヘルペスの症状をなるべく出ないようにするには、とにかく唇への刺激を避けることが大切。普段から紫外線や乾燥、擦りすぎなどには気を付けましょう。
普段から唇に触れるものは低刺激の化粧品を選び、清潔に保つことも重要。不衛生なリップが唇に触れると刺激になるため、清潔に保つように心がけてください。
リップは横に動かしてゴシゴシと塗ると物理刺激が強くなってしまうため、縦に動かして優しく唇にのせるようにしましょう。
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。