「ロキソニンなど頭痛薬を二日酔いで飲んでもいいの?」
「二日酔いの症状に特化した薬は別にあるの?」
二日酔いの薬の選び方や、飲みあわせの注意点など、医師が詳しく解説します。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
「頭が痛い…」二日酔いの頭痛薬
二日酔いによる頭痛にも一般で販売されている頭痛薬が使用可能です。
解熱鎮痛剤のひとつ「アセトアミノフェン」は、胃腸にやさしいとされているため、おすすめです。
ただし、アルコールを多量に飲む習慣がある方は、稀に肝機能障害を引き起こすケースがあります。使用する際は、必ず用量・用法を守り、注意して服用するようにしましょう。
ロキソニンは?
二日酔いの頭痛はロキソニンによって緩和されケースもあります。現在、薬局で購入できるようになりましたので、すぐに使用できるのはメリットですね。
ただし、ロキソニンは胃の粘膜を刺激するので、胃腸が弱い方は注意が必要です。
頭痛薬で二日酔い自体を緩和することはできませんが、頭痛がよくなることで、睡眠や食事が摂りやすくなります。
根本的には、頭痛の原因となるアルコールを代謝してできたアセトアルデヒドが分解されないと症状は改善しないので、安静にして水分を多く摂取するようにしてください。
「吐き気が…」二日酔いの胃腸薬
二日酔いの時に吐き気がある際は、胃もたれ・胃痛・胃のムカムカと同様に胃腸薬が役に立ちます。
胃酸を抑える制酸薬や整腸剤・乳酸菌製剤がおすすめです。
アルコールの摂取で胃腸が弱っているので、通常の状態に素早く戻してくれるように働きます。
また、胃腸の調子が戻ると水分補給や食事から栄養分を摂れるようになり、二日酔いもよくなります。
なるべく早く胃腸を回復させて、食べ物から栄養補給できるようにしましょう。
二日酔いを早く治すには
二日酔いを早くよくするには、必要な薬を飲み、水分補給、睡眠を取って、体を休めてください。
特に二日酔いは、疲れている時や免疫が低下していると強く出るようです。お酒を楽しむ時は、体調のいい時に適量を摂取するようにしましょう。
また、水分補給をしながらお酒を飲むことで、二日酔いになりづらくなります。
アルコールは、体内の水分を排出するので、どんどん体は、脱水していきます。
脱水状態では、アルコールの分解も進みにくく、二日酔いになりやすいのです。
ウコンで対処するのもOK
ウコンなどの成分は肝機能を高めたり、アルコール代謝を促したりするものなので、二日酔い予防や対処法として活用できます。
お酒を飲む前や飲んだ後に働きかけるウコンや、ヘパリーゼなど肝臓水解物を成分とする薬も多く市販されています。
「絶対やめて!」薬の注意点
お酒を飲んでいる最中や飲んだ直後に薬を飲むことは、絶対にやめましょう。
薬は、あくまでも二日酔いの頭痛や吐き気に対して使用するようにしてください。また、薬は必ず水と一緒に飲みましょう。
他の薬との飲み合わせについては、同じ働きがないものや添付文書の禁忌の箇所に記載されていなければ大丈夫です。
しかし、薬によっては働きが弱くなったり、逆に強くなったりして体に負担がかかる場合もあります。
市販薬を併用したい場合は、基本的には薬剤師や医師に相談するようにしましょう。
あまりもつらい…病院は何科?
二日酔いは、主に内科・胃腸内科を受診してください。
頭痛薬と胃腸薬など作用が異なるものでも、併用してもいい薬を処方してくれます。
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2021-09-03
「お酒をやめると痩せる?」
「効果はいつからあらわれる?」
禁酒で体重が減るメカニズムを管理栄養士に聞きました。
禁酒ダイエットの効果を高める方法もあわせて解説します。
お酒をやめて痩せた方の体験談もご紹介します。
お酒をやめると痩せるって本当?
日常的にお酒を多く飲んでいる人は、禁酒することで減量につながる可能性があります。
お酒をやめると痩せる理由として、
食べ過ぎがなくなる
肝機能がよくなる
腸内環境がよくなる
といったことが挙げられます。
禁酒で痩せる理由① 食べ過ぎを避けられる
お酒を飲んだ状態だと、満腹感を感じる「満腹中枢」が麻痺するため、ついつい食べ過ぎる傾向があります。
また、おつまみに唐揚げ・もつ煮・ポテトチップなど、味が濃いものやハイカロリーなものを食べがちです。
さらにアルコールも1gあたり7Kcal とカロリーがあり、お酒を飲んでいる分、摂取カロリーが増えます。
禁酒をすると満腹中枢が正常に働くだけでなく、「このくらいで食べるのは止めよう」と理性も働くため、食べ過ぎの防止につながります。
禁酒で痩せる理由② 肝機能がよくなる
禁酒すると、肝臓での体脂肪の代謝が円滑になるため、痩せやすくなります。
お酒を飲んでいる時はアルコールの代謝を優先されます。
アルコールは肝臓で代謝されますが、代謝しきれないアルコールは体脂肪としてため込まれるため、飲み過ぎは肥満の原因になります。
禁酒で痩せる理由③ 腸内環境がよくなる
禁酒すると腸内の悪玉菌が減り、腸内環境がよくなります。
腸内環境がよくなると、善玉菌から作り出される「短鎖脂肪酸※」が増えて、痩せやすい状態になります。
※短鎖脂肪酸…
善玉菌から作り出される物質。脂肪の吸収を抑える働きがあります。
禁酒してから痩せるまでの期間は?
個人差がありますが、1ヵ月程度継続すると、変化を感じ始めるでしょう。
もともと飲んでいたお酒の量が多い人ほど、早く痩せはじめます。
ただし、短期間では痩せないので、途中で諦めずに継続していくことが大切です。
禁酒ダイエットの効果を高めるためには?
禁酒に加え、
しっかり水分を摂る
栄養バランスのよい食事を摂る
運動する
といった点を心がけると、よりダイエット効果を高めることができます。
その① しっかり水分を摂る
喉が渇くと、ついついお酒に手が伸びてしまうものです。
喉が渇く前にこまめに水分を補給すると、お酒への欲求も減らすことができます。
1日2リットル程度、こまめに水分補給しましょう。
水分補給の習慣がない人は、ペットボトルや水筒を持ち歩くと、水分摂取量を把握しやすいのでおすすめです。
その② 栄養バランスのよい食事を摂る
栄養バランスのよい食事をすることで、代謝が上がって痩せやすくなります。
主食(ご飯・パン・麺など)
主菜(肉・魚・豆腐など)
副菜(野菜)
上記3つが揃ったメニューを心がけてください。
ほどよい満腹感を感じる、腹八分目を意識しましょう。
毎日同じ食品にならないよう、いろいろなものを食べるとよりよいです。
その③ 運動する
お酒が飲めないストレスによって、食欲を増進させる「グレリン」というホルモンの分泌が増加する場合があります。
ストレスによる暴飲暴食を防ぐためにも、適度な運動で気分転換しましょう。
毎日20〜30分程度、ウォーキングやランニングなどの有酸素運動を行ってください。
外出した際に遠回りするなど、日常的に体を動かすのもおすすめです。
禁酒するとダイエット以外のメリットも!
睡眠の質が上がる
むくみがなくなる
肌の調子が整う
などのメリットがあります。
その① 睡眠の質が上がる
禁酒すると、体と一緒に肝臓も休めることができ、睡眠の質が上がります。
特に寝る前の飲酒は、質の悪い睡眠の原因になります。
これは寝ている間も肝臓でアルコールの代謝が行われ、体が休まっていない状態になるためです。
その② むくみがなくなる
お酒を飲む人は、水の飲みすぎや塩分の多いおつまみによって、むくみが出やすくなります。
禁酒をすると、これらが原因となるむくみを防げます。
お酒を飲んだ後に水を飲みたくなるのは、摂取したアルコールの分解に水分が必要になるからです。
また、塩分は水分を体にため込みやすくするので、むくみの原因になります。
その③ 肌の調子が整う
お酒を控えると、腸内環境が整って栄養素の吸収が良くなり、代謝も上がります。
これにより便通が改善するとともに、肌のターンオーバーも正常になりやすいため、肌の調子もアップします。
体験談「お酒をやめたら痩せました!」
1か月くらい禁酒したら、2~3キロ減りました。顔のむくみも少し改善された気がします。(20代女性)
お酒をやめてから、半年ほどで8キロ痩せました。お酒以外の飲食も大幅に見直すことになり、より健康的になったと思います。(50代女性)
半年で5キロ痩せました。食事が美味しく感じるようになりました。(40代男性)
2か月で3キロ減って、肌がきれいになった。(30代男性)
実際にお酒をやめて痩せた人の体験談によると、減量するまでに、だいたい1~2か月ほどかかった人が多いようです。
ダイエット以外にも、「肌つやがよくなった」「よく眠れるようになった」「節約できた」などのメリットを感じたという声が多く寄せられました。
協力:ミルトーク
▼参考
e-ヘルスネット
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2020-01-24
お酒を飲むと、すぐに酔ってしまって楽しめなかったり、具合が悪くなってしまったり…。
「もっとお酒が強かったら…」と思うことはありませんか?
この記事では、お酒に強くなるにはどうしたら良いのか、また、強くなると言われている方法の真偽について解説します。
おすすめの薬やサプリメントもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
お酒に弱い人が強くなれる可能性は?
アルコール代謝能力は、性別、年齢、体質、体調などにより個人差がありますが、基本的に強くなるとは考えにくいです。
長い期間飲み続けると強くなったと感じる場合も
体に吸収されたアルコールは、通常肝臓でアルコール脱水素酵素とアセトアルデヒド脱水素酵素により、代謝されます。
しかし、長期間連続でアルコールを摂取した場合、他の酵素による代謝が促進されるため、強くなったと感じることがあります。
お酒に強くなる方法のウソ・ホント
吐くと強くなる!?
ウソです。
繰り返し吐いていると、食道と胃の境目部分が出血することもあります。
お酒に強くなることを目的に、吐く行為はやめてください。
また、吐いてスッキリしたからといって、その後も飲酒を続けるという行為は危険です。
吐くことで胃や食道が強酸にさらされ、荒れる原因となります。
毎日お酒を飲むと強くなるって本当?
アルコール代謝能力があがることは基本的にはありません。
先述したように、毎日お酒を飲んだからといって強くなるということは考えにくいでしょう。
しかし、長い期間お酒を飲み続けた場合、別の酵素による代謝が促されるために、強くなったと感じる可能性があります。
筋トレをするとお酒に強くなる?
筋トレをしてもアルコール代謝能力が上がるわけではありません。
しかし、体の大きい人は体内の水分量も多く、アルコール濃度が上がりにくいため、お酒に強い傾向はあります。
体脂肪が多いとアルコール濃度が高くなりやすい
ただし、体が大きくても脂肪の多い人は、アルコール濃度が高くなりやすいと考えられます。
というのも、アルコールは脂肪に溶けにくい性質を持ち、体脂肪の多い人は少ない人に比べて相対的に水分量が少なくなるからです。
出産後はお酒が強くなるって本当?
ウソです。
出産することでアルコール代謝能力があがることはありません。
お酒に強くなる手術や注射ってあるの?
残念ながら、現在そのような手術や注射はありません。
肝機能改善注射やニンニク・ビタミン注射などは、肝臓の働きをサポートしたり、二日酔いの予防・改善には作用します。
しかし、決してお酒に強くなるためのものではありません。
お酒に強くなる・酔いにくくする方法
これまでお伝えしたように、根本的にアルコール代謝能力を上げ、お酒に強くなることは難しいです。
ただ、飲み方や食事により酔いにくくするなどの対策はできます。
薬やサプリメント
根本的にお酒に強くなるわけではないという前提ですが、ヘパリーゼはアミノ酸を多く含むため、アルコールの代謝を助ける可能性はあります。
肝臓エキスやオルニチンを含有するサプリメントも、アルコール代謝を助けて酔いにくくするので、健常者の服用はおすすめです。
ウコンなどの栄養ドリンクは?
ウコンは肝臓保護作用があると言われていますが、今のところヒトでの研究結果がありません。
前述したように、肝臓エキスやオルニチンを含む栄養ドリンクは、アルコール代謝を助けて酔いにくくしてくれるでしょう。
お酒に酔いにくくなる飲み方
お酒に強くなることはできなくても、酔いにくくすることは可能です。
次のようなことに気を付けましょう。
大量に飲まない
たくさん飲めば、当然ですが酔います。また、飲みすぎは二日酔いを招きます。
厚生労働省が示している「節度ある適度な飲酒」とは、一日当たり平均して純アルコール20g程の飲酒です。
では、純アルコール20g程とはどのくらいの量なのでしょうか?
お酒の種類ごとにご紹介しますので、一日当たりに飲む量の目安として参考にしてみてください。
<一日当たりの目安量>
ビール中瓶
1本(500ml)純アルコール20g
清酒
1合(180ml) 22g
ウィスキー、ブランデー
ダブル(60ml)純アルコール 20g
焼酎
1/2合(35度90ml)純アルコール25g
ワイン
2杯 純アルコール24g
あくまでも目安なので、個人差があります。
普段お酒をあまり飲まない人、アルコールの代謝能力が低い体質、女性、高齢者はより少ない量が良いでしょう。
ゆっくり飲む
時間をかけて飲むことで、お酒を大量に飲むことを防ぐことができます。
水やお茶を飲む
血中のアルコール濃度を下げるためにも、お酒ばかり飲まずに、水やお茶も飲みましょう。
脱水症状の予防にもなります。
アルコール度数を下げられるのでおすすめです。
飲酒の前に食べる
空腹でお酒を飲むと、アルコールの吸収が速く、酔いやすくなります。
胃の粘膜も傷つけることになるので、何かお腹に入れてから飲むようにしましょう。
お酒に酔いにくくなる食べ物
お酒を飲む時は、一緒におつまみを食べる事で、アルコールの吸収を抑えたり、肝臓の機能を助けたりできます。
刺身、カルパッチョ、から揚げ、焼き鳥、卵焼き、チーズ、枝豆、冷ややっこなど
アミノ酸を含むたんぱく質が多く、アルコール代謝を助けます。
チーズ、ナッツ、レバーパテ、揚げ物、アヒージョなど
脂質を多く含み、胃の粘膜保護、アルコール吸収抑制に繋がります。
豚の角煮、鰻の蒲焼、焼きたらこなど
アルコール代謝に必要なビタミンB1を含みます。
貝の酒蒸し、いくら、レバー焼きなど
肝機能を助けるビタミンB12を含みます。
《参考文献》
アルコール代謝
慶応義塾大学病院 医療・健康情報サイト KOMPAS
http://kompas.hosp.keio.ac.jp/sp/contents/medical_info/about_medicine/care/alcohol.html
医歯薬出版株式会社 NEW エッセンシャル 法医学
https://www.ishiyaku.co.jp/corrigenda/731890/731890_01.pdf
サッポロホールディングス株式会社 上手な飲み方、付き合い方 酔いの仕組みとアルコール代謝
https://www.sapporoholdings.jp/csr/alcohol/drunkenness.html
アルコール 食道
厚生労働省 e-ヘルスネット[情報提供] アルコールの消化管への影響
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-01-010.html
飲酒量の目安
厚生労働省 e-ヘルスネット[情報提供] 飲酒量の単位
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-02-001.html