毎日、生きづらい…。
もしかして、発達障害が原因?
「大人の発達障害」について、お医者さんに聞きました。
発達障害の人が抱えやすい悩みや発達障害の種類、病院での診断・治療法についても解説します。
監修者
経歴
- 横浜医療センター・横浜市立大学病院にて初期研修
- 国立精神・神経医療研究センター病院勤務、tDCS研究に従事
- 都内精神科・心療内科クリニック勤務し心理療法を研修
- さくらライフクリニックにて日中は総合診療に携わりつつ、令和2年11月ライトメンタルクリニック開設・院長就任
悪化する前に気軽な受診を治療指針に掲げるライトメンタルクリニック院長。
朝10時から23時まで診療に没頭しており外来診療経験は都内随一。
精神科や心療内科は、受診の抵抗が高いもの。できるだけ受診したくないという気持ちに寄り添いたいと思っています。
そのために、今すぐ自宅でできるセルフケアを発信していきます。
◆所属学会
日本精神医学会
日本生物学的精神医学会
生きづらいのは「発達障害」が原因?
仕事や人間関係でうまくいかないことが多く、生きづらさを感じています…。
「自分は発達障害なのではないか」と思う機会も多いです。
大人になってから発覚することはありますか?

はい。
大人になって発達障害が判明するケースもあります。
▼発達障害の方に多いお悩み
- コミュニケーションがうまくできない
- 臨機応変な対応ができない
- 曖昧な表現の場合、言葉の真意を理解できない
- 他者の気持ちを理解できない
- 他者と達成感や喜びを共有できない
- 場の空気を読めない
- 周囲の人が難なくできることが、自分にはできない
- 怠けていると誤解されがち
- 集中力がない・じっとしていられない
- 計算等の作業が苦手(遅い)
発達障害の方は、上記のような悩みを抱えているケースが多いです。
これらがキッカケで、仕事・人間関係のトラブルにつながることがあります。
発達障害の種類
発達障害には、
- ADHD(注意欠如・多動性障害)
- ASD(自閉症スペクトラム障害)
- LD(学習障害)
といった種類があります。
いずれの場合も、生まれつきの脳の働きが異なるという共通点があります。
また、同じ障害であっても、特性の現れ方や生活上の悩みは人によって様々です。
① ADHD(注意欠如・多動性障害)
ADHDは、「注意力の欠如」もしくは「多動性・衝動性の症状」、またはその両方の症状が出現する障害です。
神経伝達が正常に行われておらず、特定の脳領域の活動が低下することが原因の一つだと言われています。
ADHD(注意欠如・多動性障害)の特徴
▼不注意
- 集中力がない(注意がそれやすい)
- 約束を忘れてしまう
- 失くし物や忘れ物が多い
- 飽きっぽい
- マルチタスクが苦手
- 興味があることだけには没頭できる
▼多動性
- じっとしていられない
- おしゃべり
- おちつかずソワソワしている
- 場の状況を把握できない
- 人の話を聞かない
▼衝動性
- 考えなしに行動する(浪費・奔放な異性交遊など)
- 事故や怪我が多い
- 怒りっぽい
- 暴言を行う・暴力をふるう
- 時間管理・金銭管理が苦手
- 片づけが苦手
- 順番を待てない
大人になるまで見過ごされることはある?
大人になるまで気が付かないケースもあります。
ADHDは、親や先生の教えを守っていれば特性が目立たないため、子どもの頃は大きな問題にならないこともあるからです。
社会に出て幅広く能力が求められる時に、発症・顕在化する場合が多くあります。
うつやパニックなどの二次障害があった際に、その背景に発達障害の存在が疑われるケースが多いです。
ADHDの人が持つ「長所」
発達障害の特性は、見方を変えれば長所にもなり得ます。
例えばADHDの場合は、
- 衝動性が強い → 行動力・実行力がある・リーダーシップがある
- おしゃべりである → 人懐っこい
- 金銭管理が苦手 → お金に躊躇しない・豪快である
などと捉えることもできます。
② ASD(自閉症スペクトラム障害)
ASD(自閉症スペクトラム障害)は、生まれつき、脳に小さな異常が生じていることが原因で起こる「神経発達障害」の一つと考えられています。
「人とのコミュニケーションが苦手」「独自の強いこだわりにとらわれている」等により、社会生活が困難になるケースが多いと考えられています。
ASD(自閉症スペクトラム障害)の特徴
- コミュニケーションが苦手
- 独自のこだわりに執着する(臨機応変に対応できない)
- 興味のあることや関心事が極端に偏る
- 社会生活に適応しにくい・団体行動が苦手
- 他者との距離感がつかめない
- 他者の感情やその場の空気を読めない(想像力が乏しく、言葉の裏を読めない)
- 曖昧な表現を理解できない
- 運動が苦手・不器用
- 感覚過敏・感覚鈍麻
- 特定領域の記憶力に強い
- 傷つきやすく、フラッシュバックを起こす
- 同じ動作を行うことに没頭してしまう
大人になるまで見過ごされることはある?
ASDは軽度の場合、「先生からよく注意される」「友達とトラブルを起こしやすい」という程度で済むケースも多いです。
そのため、発達障害ではなく “ちょっと問題がある人”と認識されるだけで、気付かずに成長してしまう場合があると考えられます。
一般的には、1~2歳頃に言語発達の遅れが目立ちはじめて、気が付くケースが多いと考えられています。
また、保育園・幼稚園への入園など、集団行動の生活になったタイミングで、何らかの指摘を受けるケースもあります。
ASDの人が持つ「長所」
ASDの場合も、特性が短所となるか長所となるかは、周囲や本人の見方次第です。
例えば、以下のように考えることもできます。
- 空気が読めない → 表裏がない・率直である
- だまされやすい → 素直である
- こだわりが強い → 一貫性がある・専門性が高い
- 過敏である → 細かいことに気が付く
他にも、「優しくて素直な方が多い」「パターン化された作業が得意」「特定の物事に没頭できる(得意分野の場合、暗記力や探求心が発揮される)」等が挙げられます。
③ LD(学習障害)
LD(学習障害)とは、知的発達の遅れや視力・聴覚の異常は確認できないにも関わらず、話す・聞く・書く・読む・計算等の学習能力が低い状態です。
学習障害には、
- 書字障害(ディスグラフィア)
- 読字障害(ディスレクシア)
- 算数障害(ディスカリキュリア)
の3タイプがあります。
LD(学習障害)の特徴
▼書字障害(ディスグラフィア)
- 文字の大きさを揃えて書けない
- 作文用紙の方眼の大きさに合わせて文字を書けない
- 鏡文字になる
- 「てにをは」を使いこなせない
▼読字障害(ディスレクシア)
- 読解力が低い
- 正確に文字を読めない
- 文章をスムーズに読めない
▼算数障害(ディスカリキュリア)
- 数字を覚えられない
- 数字の感覚がつかめない
- 計算式を立てられない
大人になるまで見過ごされることはある?
LD(学習障害)は軽度だと発見されにくく、大人になってから、「読書」「話の理解」「考え方を説明すること」等が苦手で困る人もいます。
一般的には、本格的に勉強が始まる小学生になったところで、周囲に気付かれるケースが多いと考えられています。
一人で悩みを抱えず、まずは医療機関に相談を

発達障害が疑われる場合には、我慢せずに病院を受診して相談してください。
特に、
- 不眠や過眠の症状が出現している
- ストレス過多の状態が続いている
- 強い孤独感を覚えている
- 抑うつ状態になっている
- 強い不安感に襲われる
等の場合には、早目の受診をおすすめします。
放置していると、仕事に行けなくなるなど、日常生活に支障が出る恐れがあります。
また、パニック障害・適応障害などの精神疾患を合併する恐れもあると考えられています。
病院へ行くほどなのか分からない…
自分が発達障害なのか分からない場合でも、思い当たることがあるのであれば、一度病院を受診して相談してみましょう。
どちらか分からない「グレーゾーン」の状態で過ごしていると、それだけでストレスが増えたり、不安感が強くなったりして、さらに心身に負担がかかってしまう恐れがあります。
発達障害は「何科」で相談すればいい?
大人で発達障害を疑う場合は、「精神科」を受診するとよいでしょう。
発達障害の種類によって診断方法は異なりますが、
- 問診(生活上での困りごと・生育歴など)
- 検査(知能検査・心理検査など)
などにより、総合的に判断されることが多いです。
また、周囲の人から見た客観的な情報も重要な診断材料になる場合があります。
発達障害と診断された場合、どんな治療をするの?
主に、「環境調整」と呼ばれる治療が中心となります。
環境調整とは、自身の特性で適応できそうなところ、または特性への配慮が受けられるところに生活の場を移すという方法です。
「発達障害支援センター」で相談会に参加したり、同じ境遇の人々と触れ合ったりするなかで、そのヒントを探すこともあります。
この他、発達障害の種類に応じて、薬を用いる「薬物療法」や、ものの受け取り方・考え方に働きかけてストレスに対応できるようにする「認知行動療法」などが行われるケースもあります。
なお、発達障害の特性がキッカケとなって、抑うつ・強い不安感などの精神的な症状(二次障害)が現れている場合は、それらも治療の対象となります。
治療の目的は、本人が「生きやすくなる」こと
発達障害は生まれ持った特性です。
そのため、それらを「治す」のではなく、本人が「生きやすいようにする」ことが治療の目的となります。
症状に合った治療を受けることで、生きづらいと感じる部分を少しでも減らしていくことができ、それにより、安定的な役割(仕事等)や居場所の確保につながると考えられています。
精神科を探す
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2022-02-24
「大人の発達障害」は診断を受けたほうが良いのか、お医者さんに聞いてみました。
「仕事でミスが多い…」
「人間関係が上手くいかない」
といった悩みがある方は、症状リストをチェックしてみましょう。
発達障害だと診断される基準、診断を受けられる診療科も併せてご紹介します。
発達障害かも「診断を受けるべきか」
「自分は発達障害かもしれない」と思うことがよくあります。
大人の場合でも、病院で診断を受けた方が良いのでしょうか?
今後のトラブルを防いでいくためにも、まず「発達障害か否か」を明らかにすることが大切です。「脳のエラー」が原因の場合、薬の服用などで改善を図れます。
人間関係が上手くいかない
同じことで注意されても直らない
仕事でミスを繰り返す
など日常生活で困ることが多い人は、一度医療機関で相談してみましょう。
うまくいかない理由がわかることで「気持ちが落ち着いた」というケースもあるので、気になる方は受診してみると良いでしょう。
【体験談】私が受診を決めたキッカケ
昔からずっと人見知りで中々グループに馴染めませんでした。ある日知り合いから「発達障害じゃないか」と指摘を受けたので受診を決意しました。
(30代男性)
何個か仕事を頼まれた時にどれから手をつけていいかわからずパニックになってしまいました。
頼まれた業務内容を書き出すことで順調に進められたため、「もしかして」と思い受診をしました。
(20代女性)
新卒で入社してから事務仕事で、ケアレスミスばかりしていて、同僚や上司に怒られることが多々ありました。
何度教えてもらっても覚えが悪いので、上司から大人の発達障害を疑われて精神科に行くように言われたのがキッカケです。
(50代女性)
大人の発達障害の症状チェック
発達障害の症状には以下のようなものがあります。
当てはまる数が多いほど、発達障害の疑いが強くなるといえます。
▼「日常生活」で起こりやすい症状
物音に敏感
数字や時刻表などに意味なく惹かれる
集中すると他のことが目に入らない
スケジュール通りに動くのが苦手
衝動買いをしてしまう
▼「仕事」で起こりやすい症状
臨機応変な対応が苦手
物事を最後までやり遂げられないことが多い
作業を順序立てて考えられない
長時間座っているのが難しい、体を動かしてしまう
不注意が多い
同じ間違いを繰り返し、指摘されることが多い
▼「人間関係」で起こりやすい症状
人と関わることが苦手
考えたことをすぐに口に出してしまう
「おしゃべりが多い」と言われる
丁寧に話していても他人から注意される
他人の考えていること想像できない、同調できないことが多い
約束や用事を忘れやすく、「物忘れが激しい」と注意される
子供の頃から人とのトラブルが多い
医師が「発達障害だ」と診断する基準目安
ASD(自閉症スペクトラム)のケース
対人関係を上手く築けない
興味がパターン化する
こだわりが強い
感覚の偏りがある
などが見られる場合、ASD(自閉症スペクトラム)と診断されることがあります。
※上記は特徴的な症状の例です。診断は、診察・カウンセリング・検査(スクリーニング検査、評価や診断の検査、認知機能検査)を通して行われます。
ASD(自閉症スペクトラム)ってどんな発達障害?
対人関係が苦手である、興味・行動のこだわりが強いといった傾向を持つ先天性の脳機能障害のことです。
多くの遺伝的な要因が複雑に関与して起こります。
ADHD(注意欠如多動症)のケース
不注意(ミスを繰り返す・物忘れなど)
多動(落ち着きのなさ)
衝動的な行動
などが見られる場合、ADHD(注意欠如多動症)と診断されることがあります。
ADHD(注意欠如多動症)ってどんな発達障害?
「不注意」と「多動・衝動性」を主な特徴とする発達障害の概念のひとつです。
※上記は特徴的な症状の例です。
診断は、診察・カウンセリング・検査(スクリーニング検査、評価や診断の検査、認知機能検査)を通して行われます。
受診時に伝えるとよいこと
初診では医師に、
現在悩んでいること(実際にあったトラブルや悩みの事例)
今までの事故や注意された事柄
成長過程で悩んでいたこと(幼少期や思春期など)
などを伝えるとスムーズに診察が進行します。
大人の発達障害って…何科?
大人の発達障害は、精神科で相談できます。
また、「発達障害の専門外来」を設けている医療機関もあります。
※医療機関により専門が異なる場合があるため、事前にウェブサイトや電話・メールで確認してから受診をすることをおすすめします。
精神科を探す
もし「発達障害だ」とわかったら?
発達障害の症状はお薬を服用したり、トラブル回避のために対策を立てたりすることで改善を図れます。
主治医と相談しながら、ご自身に合った改善策を考えていきましょう。
「日常生活での対策」の例としては、
忘れ物を防止するために必ずメモを取る
人の話を最後まで聞き、よく考えて行動する
などが挙げられます。
うまく対処できるようになると、次第に対人関係や仕事でのトラブルが減り、自信を持って生活できるようになります。
「診断を受けるべきか」迷っている方へ
発達障害は脳の障害であり、性格ではありません。
トラブルを避けるためには、まず診断を受けて原因を明らかにすることが大切です。
発達障害の人は周りから理解されないことが多く、普通の生活を送るだけで精一杯になってしまう人もいます。
最近では発達障害の医療体制もすすみ、「どのように行動すれば良いか」をアドバイスする医療機関や施設も多数あります。
人生をより自信を持って歩めるよう、自分自身を深く理解して少しずつ対応手段を身につけていきましょう。
精神科を探す
▼参考
厚生労働省 発達障害
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2022-12-27
「うつ病がなかなか治らない…」
「このまま一生治らなかったらどうしよう…」
府中こころ診療所の院長であり、YouTubeで動画配信も行っている精神科の医師、春日雄一郎先生が、うつ病や適応障害の症状が長引く理由を解説します。
うつ病や適応障害が治らず焦りを感じている方は必見です。
※動画による解説は記事末尾から
うつ病・適応障害が治りにくい4つの原因
うつ病・適応障害がなかなか治らない場合
生活習慣の乱れ
環境がよくない
考え方のクセ
躁うつ病(双極性障害)を発症している
などの原因が考えられます。
原因① 生活習慣の乱れ
昼夜逆転した生活
過度な飲酒
ほとんど家から出ない
上記に当てはまる場合は、うつ病が治りにくくなる可能性があります。
「不規則な生活リズム」「お酒の飲みすぎ」「外出せずほとんど体を動かさない」などの習慣が続くと、心身の調子が悪くなり、うつ病・適応障害の改善の遅れを招きます。
【対処法】一定の生活リズムを習慣化しよう
うつ病や適応障害を改善するためには、「どういう行動習慣を積み重ねていくか」ということが重要です。
睡眠や食事の時間を一定にする
お酒を控える
日中は外出して体を動かす
上記を習慣化して、治療にとってプラスになる行動を積み重ねていきましょう。
生活習慣を整えることで、心身の調子が整いやすくなります。
また、その行動の積み重ねが脳への刺激になり、うつ病や適応障害の改善につながると考えられます。
原因② 環境がよくない
職場に相性のよくない上司がいる
家に居場所がない
子育て・介護などでストレスを感じている
上記のように、職場や家庭の環境がよくない人は、うつ病や適応障害が治りにくくなることがあります。
うつ病・適応障害の症状は、日々の行動だけでなく、環境からも大きな影響を受けます。ストレスの多い環境で過ごす時間が積み重なると、症状の改善が遅れる原因となります。
【対処法】「転職・異動」「支援サービスの利用」を検討しよう
環境がよくないと感じる場合、
転職・異動の相談をする
家族と話し合いをする
自治体のサポート窓口を利用する
といった方法で、環境を変えることが選択肢の一つとなります。
環境の変化には良い面も悪い面もあるため、一概に「環境を変えるべき」というわけではありません。
ただし、「どうしても今の環境と相性が悪い」と感じる場合は、選択肢の一つとして考えてみるといいでしょう。
職場の環境が合わないと感じる場合は、「転職を検討する」「上司や人事部に異動の相談をする」などの方法もあります。
家庭内でストレスを感じている場合は、まずは家族と話し合うことが必要なケースもあります。
子育てや介護などでお悩みの場合は、自治体のサポート窓口を活用してみるのもいいでしょう。
子育てや介護に関するお悩みは、お住まいの自治体の子育て支援センターや、地域包括支援センター※などの機関で相談可能です。
※地域包括支援センターとは
主に自治体が設置する高齢者の健康や生活をサポートする施設。
▼参考
地域包括ケアシステム(厚生労働省)
原因③ 考え方や性格のクセ(完璧主義・人と比べる)
自分を責めてしまう
完璧主義
他人と自分を比べる
上記のような考え方・性格のクセがある人は、うつ病や適応障害の治療が遅れる可能性があります。
「考える」ということも一種の行動です。自責や他人との比較など、自分にダメージを与える思考を繰り返すことも、病気の改善を妨げる行動を積み重ねる行動になります。
【対処法】「前向きになれる考え方」を練習しよう
自分にダメージを与える考え方のクセがある人は、「自分も他人も責めない」「前向きになれることを考える」といったことを意識するといいでしょう。
ただし、考え方が根強いクセになっている場合、すぐには変えにくいこともありますよね。
その場合は、
出てきた考えを真に受けすぎず、なるべく受け流す
否定のクセを薄めて、成功体験を徐々に積み重ねる
この2つを心がけてみてください。これらの思考を積み重ねていくことが、結果として、否定的な考えが出てくる頻度を減らすことに繋がります。
原因④ 躁うつ病(双極性障害)を発症している
抗うつ薬などによる治療を続けていて、生活習慣・環境・考え方などの見直しを行っているにもかかわらず、症状の改善が見られない場合は、躁うつ病(双極性障害)を発症している可能性があります。
躁うつ病ってどんな状態?
躁うつ病とは、気分が高揚して活動的になる「躁状態」と、気分が沈んで意欲がなくなる「うつ状態」を交互に繰り返す状態です。
人によっては、躁状態の症状が軽くて期間が短く、うつ状態が長く続く「双極性障害Ⅱ型」のケースもあり、この場合は一般的なうつ病との区別がつきにくいです。
うつ病と躁うつ病は使う薬が違うので、この見極めができていないと、病気が長引く恐れがあります。
躁うつ病かを判断する4つのヒント
過去を振り返って、躁気味な時期があった
家族に躁うつ病の人がいる
周期的にうつ病を繰り返している
抗うつ薬を使うと躁状態になる傾向がある
躁うつ病かどうかを判断するヒントとして、上記の4つが挙げられます。
「ある時期だけ妙に活動的だった」「ある時期だけ妙にお金を使っていた」など、過去に躁気味な期間があった場合は、躁うつ病である可能性が出てきます。
自分ではわからなくても、『ちょっといつもと違う』『いつもより妙に元気だね』などと、周りの人から言われる時期があったかどうか、ということも参考になります。
また、家族に躁うつ病の人がいると、発症の可能性が少し高くなると言われています。
その他、周期的にうつ病の症状を繰り返す場合や、抗うつ薬を使ったときに躁状態になる傾向がある場合も、躁うつ病を発症している恐れがあると考えられます。
躁うつ病を疑う場合は主治医に相談を
躁うつ病の発症を疑う場合は、早めに主治医に相談しましょう。
うつ病と躁うつ病では、治療に使う薬が違います。そのため、うつ病か躁うつ病かを的確に判断することは、症状を早く改善するために、非常に重要であると考えられています。
▼動画による解説はこちら
※本記事は、チャンネル運営者の許可を得て作成しています。
≪チャンネル紹介≫
こころ診療所チャンネル【精神科医が心療内科・精神科を解説】
府中こころ診療所の院長であり、YouTubeで動画配信も行っている精神科の医師、春日雄一郎先生が、うつ病・適応障害・パニック障害など、こころの不調やその対策について、わかりやすく解説。
こころの不調を抱える方が、少しでも症状を改善するヒントとなるような情報の提供を目指しています。
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。