顔のむくみが気になる…。
もしかして橋本病?
橋本病の初期症状について、お医者さんに聞いてみました。
症状に気づくきっかけ・顔つきの変化についても紹介するので、橋本病かどうか気になる人は必読です。
監修者
経歴
福岡大学病院
西田厚徳病院
平成10年 埼玉医科大学 卒業
平成10年 福岡大学病院 臨床研修
平成12年 福岡大学病院 呼吸器科入局
平成24年 荒牧内科開業
【体験談】みんなが橋本病に気づいたきっかけ
なかなか2人目を授からず、不妊治療に通い始めたところ、甲状腺が不妊に多少関係しているとの説明をうけたため、血液検査を受けて発覚しました。
痩せにくい、代謝がわるいことは自覚していましたが、日常生活のなかで自分が甲状腺疾患をもっていると自覚することはなかったため驚きました。それ以来甲状腺ホルモンの薬を毎日飲み、半年に一回の検査を受けています。(40代女性)
40代後半で橋本病だと診断されました。幸い症状が重度ではなかったため、ストレスをためないように気をつけ、日光をあびる生活をするようにしました。外出は一人でせず必ず家族と一緒にしました。(50代女性)
20代の頃、健康診断で医師から「甲状腺疾患の可能性がある」と指摘を受けました。専門病院で橋本病と診断を受けたのがキッカケです。そこからホルモン値に応じてチラージンの服薬を毎日行っています。(30代女性)
橋本病とは…
橋本病は、甲状腺の炎症によって「甲状腺ホルモン」の分泌が低下してしまう病気です。
発症すると代謝機能が悪くなるため、倦怠感や冷えなどの体調不良が出てきます。
治療を受けずに長年放置すると、むくみの重症化によって命に関わるリスクもあります。
初期症状の特徴は?
橋本病の初期症状
- 強い倦怠感・疲れやすい
- むくみ
- 体重増加
- 首が腫れているような違和感
- 飲み込むときの違和感
- 声がかすれる
- 寒気
- やる気が出ない
- 気分が落ち込む
- もの忘れ
- 日中の眠気
- 手足がつりやすい
- 筋肉の痛み
- 毛が抜ける
- 肌の乾燥
- 便秘
- 月経異常
など
上記で挙げた症状の中で3つ以上あてはまる場合、橋本病の疑いがあると考えられています。
※橋本病は初期症状が出現しにくいため、何らかの異変に気付いたときには症状が進行している可能性もあります。
顔つきが変わるって本当?
橋本病による顔つきの変化の特徴
- 目が細くなったように見える
- 唇が腫れぼったくなる
- ぼーっとした印象の顔つきになる
- 表情が乏しい印象を受ける
橋本病を発症すると、顔・まぶた・くちびるなどにむくみが生じ、顔つきが変わったように見えることがあります。
橋本病は甲状腺ホルモンが減少する病気です。
全身の新陳代謝が悪くなることで、首の腫れ・顔のむくみを引き起こしやすくなります。
こんなときは「内科」で相談を!
橋本病が疑われる方で、
- 全身のむくみ
- 息苦しい
- うつ症状(無気力)
- 甲状線(首)の腫れ
- 脈が遅くなる(1分間の脈拍数が60以下)
- 倦怠感が続く
等の症状が出現している場合は、内科の受診をおすすめします。
上記の症状がある場合、橋本病の進行が疑われます。
放置すると体調不良がひどくなるだけでなく、心臓に負担を与えてしまうリスクもあります。
心当たりのある方は、早めに医師の診察を受けるようにしましょう。
どんな治療を行うの?
甲状腺ホルモンが不足している場合には、「甲状腺ホルモン剤*」を使用します。
※「甲状腺刺激ホルモン(TSH)」が10µU/ml以上であれば、治療が必要と考えられています。
また、「ヨウ素の過剰摂取」が甲状腺機能低下の原因として疑われる場合には、ヨウ素制限が行われる事もあります。
生涯にわたって治療が続くことも
甲状腺の機能が低下している方は、生涯にわたって「甲状腺ホルモン剤」の投与が必要になるケースが多いです。
この場合、定期的な検査を通して経過観察を行いながら、必要に応じて薬の量を調節していきます。
病院に行くまでに気をつけること
病状の悪化を招く恐れがあるため、「ヨウ素を多く含む食品」の食べ過ぎは控えましょう。
食事は、栄養バランスのよいメニューを基本としてください。
また、なるべく無理のない生活を心がけ、体に負担をかけすぎないようにしましょう。
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2021-08-05
「全身が筋肉痛でだるい…原因はなに?」
体の痛みと疲労感には、「慢性疲労症候群」といった病気も考えられます。
原因不明の症状でお困りの場合は要注意です。
病院に行く目安や、受診すべき診療科についても解説します。
なぜ?全身筋肉痛でだるい…
全身筋肉痛でだるいと感じる場合、
過剰な運動による「肉体的疲労」
感染症による「発熱の悪寒」
何らかの病気による「自律神経や脳の異常」
のいずれかが起きていると考えられます。
この症状は大丈夫?病院行くべき?
一時的な症状であれば、問題ないケースが多いです。
症状が出て間もない場合は、水分と栄養をしっかり摂って体を休めましょう。
体を冷やさないようにすることも大切です。
ただし、
休養をとっても症状が改善しない
筋肉痛やだるさが悪化していく
といった場合は病気が疑われるため、医療機関の受診をおすすめします。
病院は何科?
原因不明の筋肉痛、疲労感があるときは、まず内科を受診してください。
医療機関を受診すると、症状に合わせた治療によって、苦痛の緩和を図ってもらえます。
また、線維筋痛症やリウマチ性多発筋痛症などの重い病気が隠れている場合、放置すると不快な症状によって日常生活に支障をきたすリスクがあります。リウマチ性多発筋痛症により、巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)を合併すると、失明のリスクがあります。
悪化を防げるよう、早めの受診を心がけましょう。
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考えられる3つの原因
全身筋肉痛でだるくなる病気として
細菌・ウイルス感染(風邪やインフルエンザ)
慢性疲労症候群
線維筋痛症
が挙げられます。それぞれ詳しく解説していきます。
原因① 細菌・ウイルス感染(風邪やインフルエンザ)
感染症にかかると、全身の筋肉痛、だるさが起こることがあります。
この症状は、細菌やウイルスを撃退する免疫機能が活発に働き、免疫系物質であるサイトカイン類が作用することで起こります。
主な症状
だるさ(倦怠感)
全身筋肉痛(関節痛)
発熱
頭痛
鼻水
せき、のどの痛み
どんな人に多い?
睡眠不足な人
疲労が溜まっている人
栄養不足な人
上記に当てはまると免疫力低下するため、感染症にかかりやすくなります。
自分でできる対処法は?
十分な睡眠時間を確保して、体を休めましょう。
また、水分と栄養をしっかり摂るようにしてください。
なお、3~4日ほど経過しても症状が改善しない、高熱があるといった場合は、医療機関の受診をおすすめします。
※ただし、急な高熱によりインフルエンザが疑われる場合には、早めに医療機関を受診しましょう。抗インフルエンザ薬は、発症後48時間以内の使用が必要です。
病院は何科?
感染症は、内科で治療を受けられます。
医療機関では、抗生物質(細菌感染の場合)、鎮痛剤、うがい薬、抗ヒスタミン薬などのお薬を処方して、症状の改善を図ります。
症状によっては、点滴治療が行われるケースもあります。
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原因② 慢性疲労症候群
突然、全身の筋肉痛や倦怠感に襲われ、身動きが困難になる病気です。
しっかり休んでも症状が改善されないため、日常生活に悪影響を及ぼします。
慢性疲労症候群は未解明な部分が多く、細かい発症メカニズムは明確ではありません。
現段階では、分泌されすぎた免疫物質によって体がダメージを受け、ホルモンバランスや自律神経の乱れ、脳の血流障害などが起こるためだと考えられています。
主な症状
だるさ(倦怠感)
全身筋肉痛
抑うつ状態
集中力低下
微熱
頭痛
のどの痛み、腫れ
筋力低下
物忘れ
不眠、過眠
どんな人に多い?
感染症にかかった人
怪我をした人
ストレスが溜まっている人
お酒を飲み過ぎる人
睡眠不足の人
運動不足の人
ビタミンやミネラルが不足している人
に発症しやすいと考えられています。
ただし、健康状態に問題がなかった人に発症するケースもあります。
自分でできる対処法は?
十分な休養を取ると、症状が改善する場合もあります。
ただし、基本的には治療が必要であるため、できるだけ早めに医療機関を受診してください。
原因不明の筋肉痛、疲労感が1週間以上続く場合は、一度検査を受けましょう。
病院は何科?
慢性疲労症候群は、内科で相談できます。
医療機関では、漢方薬、ビタミン剤(ビタミンB12、ビタミンC等)、鎮痛薬、抗うつ薬などのお薬を用いた治療が行われることが多いです。
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原因③ 線維筋痛症
脳の機能の異常によって、炎症がない部分に痛みを感じてしまう病気です。
原因不明の筋肉痛、だるさを生じる場合があります。
主な症状
全身の痛み(筋肉痛、関節痛)
強い倦怠感、疲労感
頭痛、めまい
体のこわばり、しびれ
不眠
不安感
便秘、下痢
冷え
頻尿
口、目の乾燥
どんな人に多い?
30~50歳代の女性に多くみられます。
また、
睡眠不足
精神的・社会的ストレス
筋肉の過剰な緊張
激しい運動
怪我
などが発症に関わっていると考えられています。
しかし、発症の明確な原因は未だわかっていません。
自分でできる対処法は?
ご自身での対処は難しいため、医療機関を受診しましょう。
体の広範囲の痛みが3か月以上続いている、ほんの少しの動きで激しく体が痛むといった場合は、線維筋痛症が疑われます。
悪化すると仕事に支障をきたしやすいため、心当たりのある方は早めの受診をおすすめします。
病院は何科?
体の症状だけがあるときは、内科を受診してください。
気分の落ち込みなど精神症状を伴うときは、心療内科・精神科を受診しましょう。
診療では、痛みの感知機能を正常にする薬、鎮痛薬、抗うつ薬などを用いた薬物治療が行われるケースが多いです。
患者さんの状態に合わせて、認知行動療法、運動療法を加える場合もあります。
▼体の症状のみの場合は「内科」へ
内科を探す
▼精神的な症状を伴う場合は「心療内科・精神科」へ
心療内科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
一般社団法人 日本神経学会 (症状編) 筋肉の痛み
厚生労働省疲労研究班 厚生労働省(旧厚生省)慢性疲労症候群診断基準
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2022-07-08
高齢者が「急に歩けなくなる」のはなぜ?
もしかして、何かの病気?
高齢者が急に歩けなくなる病気について、お医者さんに聞きました。
歩けないことで寝たきりなってしまうと、余命が短くなる恐れもあります。
心当たりのある症状をチェックして、早めに病院を受診しましょう。
高齢者が「急に歩けなくなる」原因
高齢者が急に歩けなくなる場合、
廃用症候群(筋力の低下)
腰部脊柱管狭窄症(下半身の痛み)
特発性正常圧水頭症(脳の病気)
などの原因が考えられます。
これらは、加齢による「体全体の機能低下」「骨・靭帯の変形」「脳の異常」により引き起こされます。
※急に歩けなくなったときに、無理に歩いたり、運動をしたりすると、転倒するリスクがあるのでやめましょう。
原因
症状の特徴
廃用症候群
長く歩けない
筋力低下
腰部脊柱管狭窄症
足の痛み・しびれ
歩くと痛みが出るので長く歩けない
特発性正常圧水頭症(iNPH)
歩きにくい
物忘れの進行
トイレに間に合わない
原因① 廃用症候群(筋力の低下)
廃用症候群(はいようしょうこうぐん)は、体の運動に必要な筋力が減少してしまっている状態です。
主に、寝たきりで過ごした期間の後に起こります。
高齢者が、ケガ・病気などで一時的に寝たきり状態の生活をしていると、筋力が一気に落ちやすくなります。
寝たきりの生活は、「骨・関節の萎縮」も進みやすいため、歩行する力が落ちてしまうことが多いです。
「廃用症候群」かも…今できる対処は?
家族や周囲の人がサポートして、一つずつ弱っている体の部位を動かしてあげましょう。
再び歩けるようにするには、ゆっくりと筋力をつけていくことが大切です。
必要でないのに安静な状態を継続してしまうと、症状がさらに進みます。
急に改善する方法はないので、少しずつ、時間をかけて取り組みましょう。
病院に行く目安
歩くことが難しく感じて、やる気が起きない
一歩も歩けない
といった場合は、早めに医療機関に相談しましょう。
内臓疾患が無い場合は、「整形外科」で相談してみましょう。
運動機能の診療、およびリハビリテーションが行えます。
内臓疾患があり治療を受けている方は、まずはかかりつけ医に相談してください。
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原因② 腰部脊柱管狭窄症(下半身の痛み)
腰には、脊柱管(せきちゅうかん)という神経の束が通る管があります。
その管が狭くなると、神経が圧迫されて、歩くと痛みが出るようになります。
腰椎脊柱管狭窄症の「特徴」
足のしびれ・痛みを感じる
歩いていないときは痛みがない
腰部脊柱管狭窄症を発症すると、痛みが出るため、長い距離を続けて歩くことができなくなります。
この病気は、加齢によって起きやすいので、誰もが発症する可能性があります。
「腰部脊柱管狭窄症」かも…今できる対処は?
痛みが出にくい、「前かがみの姿勢」で歩いてみてください。
杖やカートを使うのもよいでしょう。
また、歩かない時は、筋力をつけるために良い姿勢を保ちましょう。
病院に行く目安
「歩くと痛む」という症状がある場合は、早めに整形外科で受診してください。
放置すると、歩く機会が減ることで筋力が低下し、さらに歩きにくくなる恐れがあります。
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原因③ 特発性正常圧水頭症(脳の病気)
特発性正常圧水頭症(iNPH)は、本来一定に吸収されていくはずの「脳の髄液」が溜まってしまう病気です。
特発性正常圧水頭症の「特徴」
歩けない
物忘れが多くなる
トイレに間に合わなくなる
髄液が脳を圧迫することで、上記のような症状が現れます。
特発性正常圧水頭症は、加齢に伴って発症しますが、原因はわかっていません。
症状が、この病気ではない高齢者にもよくみられるものであることから、見逃されてしまうことも多いです。
病院に行く目安
歩行困難に加え、認知症の症状・尿失禁が急に増えてきたら、早めに「脳神経内科」を受診してください。
特発性正常圧水頭症は、病院で治療しないと改善が見込めません。
悪化すると寝たきりになるリスクがあるため、放置は禁物です。
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歩けない・立てない「余命との関係は?」
歩けないことで「寝たきり」状態になると、体の機能が全体的に弱っていってしまいます。
その結果、間接的に余命が短くなってしまうリスクがあります。
症状がつらい場合は、体を動かす気力がなくなり、引きこもりがちになります。
少しずつでよいので、周囲のサポートを受けながら運動して、筋力を戻すのがいいでしょう。
また、早めに医療機関を受診して適切な診断を受け、病気の治療やリハビリを始めることも大切です。
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▼参考
日本整形外科学会 腰椎脊柱管狭窄症
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。