「かかとが痛い…これは内臓の不調のせい?」
かかとの痛みと内臓の関係を、お医者さんに聞きました。
体のむくみを伴う方は、腎臓病の疑いもあります。
病院に行く目安や、受診すべき診療科も確認しましょう。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
かかとの痛みと内臓って関係あるの?
内臓の病気によって体の機能が低下し、間接的な影響を受けて、かかとに痛みが生じる可能性はあります。
例としては、腎臓の不調によって足がむくみ、足に負担かかって、かかとが痛むケースが挙げられます。
病院に行く目安は?
- かかとの痛みが3日以上取れない
- 痛みが強くなっている
- かかとが腫れてきた
いった場合は、早めに医療機関を受診しましょう
上記の症状には、腎臓病や痛風など何らかの病気も疑われます。
病院は何科?
まずは整形外科を受診して、かかとに怪我や異常がないかを診てもらいましょう。
ただし、内臓の不調(血尿、倦怠感など)があるときは、内科を受診してください。
内臓の病気が隠れていた場合、放置すると痛みが広がったり、体調を大きく崩したりする恐れがあります。
病気の悪化を防げるよう、早めの受診を心がけてください。
▼かかとの痛みは「整形外科」へ
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▼内臓の不調の症状があるときは「内科」へ
内科を探す
かかとに痛みが生じる2つの病気
かかとに痛みを生じさせるのは、
- 足底筋膜炎(腎臓の不調)
- 痛風
といった病気が考えられます。
病気① 足底筋膜炎
足底筋膜炎とは、かかとから足の付け根にある「足底筋膜」に炎症が起こっている状態です。
かかとの下を含む足の裏に痛みが生じます。
足底筋膜炎は、運動で足の裏を酷使していると発症しやすい病気ですが、腎臓の疲労が影響して発症するケースもあります。
これは、腎機能低下によって水分の排出が滞り、体全体がむくんで足裏に負担がかかることで起こります。
腎臓の不調の場合、
- 立ち仕事をよく行う
- 夜間の仕事に就いている
- 肥満傾向
といった人に、足底筋膜炎が起こりやすいです。
腎機能低下の原因には、高血圧症や糖尿病、肥満、疲労などが影響します。
不規則な食生活・生活リズムなどが引き金になる病気が多く、特に働き盛りの中高年男性、仕事が忙しい女性に発症しやすい傾向があります。
足底筋膜炎の症状の特徴
歩いたときに、地面にかかとをつけると痛みます。
また、腎機能が低下している場合、
- 体のむくみ
- 尿量の減少、または増加
- 尿、夜間尿
- 血尿
- 全身の倦怠感
- めまい(貧血症状)
などを伴います。
自分でできる対処法は?
まずは負担のかかる「歩く・立つ」という行為を控えましょう。
安静にすることで、痛みが引きやすくなります。
なお、腎臓の不調が原因の場合、根本的な改善には内科の治療が必要です。
悪化を避けられるよう、早めの受診をおすすめします。
病院は何科?
かかとの痛みだけがある場合は、整形外科を受診しましょう。
ただし、腎臓病を疑う場合は、内科で検査・治療を受けてください。
足底筋膜炎には、薬物療法(痛み止め)、リハビリテーション、装具治療(インソール)などが行われます。
重度の場合、ステロイド注射をかかとに直接注射します。
個人差がありますが、足を休ませ、治療を受けると数日で徐々に痛みが良くなります。
なお、腎臓病は進行度合いによって治療期間が異なります。
糖尿病や高血圧症が隠れていた場合、生活習慣の影響が大きいので長期的に治療が必要となることも多いです。
▼かかとの痛みだけの場合
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▼腎臓の異常を疑う場合
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病気② 痛風
痛風とは、尿酸の結晶が蓄積することによって起こる関節痛です。
この発作によって、かかとが痛むこともあります。
症状の特徴
突然の激しい痛みに襲われ、患部が赤く腫れあがります。
足の付け根に起こるケースが多いです。
痛風の原因
痛風は、血中の尿酸値が上がると発症します。
尿酸値が上がる原因には、
- 脂肪分の多い食生活
- プリン体の多い食生活(ビール、えび、干物、白子など)
- 急激な運動、または運動不足
- 肥満
などが挙げられます。
成人後に発症しやすい病気ですが、食生活の欧米化によって10代での発症も近年増えています。
また、男性の病気と考えられていますが、女性でも生活状況によっては痛風を発症します。
自分でできる対処法は?
痛む部分を冷やしましょう。
また、かかとを高い位置に保ちながら、安静にしてください。
足元にクッションなどを置いて、横になると良いでしょう。
痛風の痛みは、数日から10日程度で引いていきますが、根本的な治療を受けないと再発します。
また、治療を受けないと再発の頻度は徐々に狭まります。
痛風を疑うときは、一度医療機関を受診することをおすすめします。
病院は何科?
痛風の場合は、内科を受診しましょう。
医療機関では、薬を使った治療を中心に行い、痛みの改善と尿酸値の低下を図ります。
使用する薬には、痛み止め薬、尿酸の排泄を促す薬、尿酸生成を低下させる薬などがあります。
治療を受けると、発作の痛みは数日で楽になります。
痛みが落ち着いた後は、痛風の原因となっている高尿酸血症の治療が必要です。
食事指導やダイエットを行う場合もあるため、治療期間はそれぞれに異なります。
▼痛風を疑う場合は「内科」へ
内科を探す
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2021-06-18
「かかとの後ろがズキズキ痛い…」
「かかとが腫れている…」
なぜ痛むのか原因をお医者さんに詳しく解説。
対処法や何科で受診すべきかもあわせて聞きました。
かかとの後ろが痛い…!この痛み、大丈夫?
腫れなどがなく、いつもよりもたくさん歩いた・足を使ったという場合であれば様子を見ましょう。
一時的な痛みであれば問題ありません。
ただし…
かかとが腫れている
ズキズキする痛みを感じる
熱を持っている
といった症状がある場合は注意が必要です。
整形外科の受診をおすすめします。
かかとの後ろが痛くなる原因
かかとの後ろが痛む時は、かかとの筋肉や骨に何らかの異常が生じ、炎症が起きていると考えらます。
この炎症はかかとへの慢性的な負担が原因となっているケースが多いです。
こんなことに心当たりはないですか?
ハイヒールやサイズの合わない靴を着用している
かかとに負担のかかるスポーツをしている(陸上競技・サッカー・バレーボール・バスケットボールなど)
太っている
などに心当たりがある人は、普段から足に負荷がかかっています。
「① 足底腱膜炎」「②滑液包炎」といった病気を発症する可能性が高いです。
病気① 足底腱膜炎
足の裏にある、板のように張った「足底腱膜」という膜が炎症を起こしています。
かかと・土踏まず・足の指の付け根あたりに炎症が起きることが多いです。
起床後など足を床につく時・立ち上がる時・運動中などに痛みます。
悪化すると、痛みにより歩行困難になることもあります。
「足底腱膜炎」になりやすい人
中高年以上の男女
日常的に足をよく使うスポーツをしている人(陸上競技・サッカー・バレーボール・バスケットボールなど)
ジョギングをしている人
太っている人
長時間立ち仕事をしている人
自分でできる対処法
クッション性の高い靴を履いたり、靴にインソールを入れたりしましょう。
痛みがなくなるまで、運動は控えてください。
また、お風呂で体をあたためて、足の疲れをとってください。足の負担を減らすために、痛みが治まるまでは歩幅を小さめにしいましょう。
それでも症状が改善しない場合は、医療機関での治療が必要です。
病気② 滑液包炎
かかとの上あたりにあり、関節の動きを滑らかにする「滑液包」が炎症を起こしている状態です。
悪化すると、動かさなくともかかと周辺に痛み・腫れ・熱感を感じます。
滑液包炎になりやすい人
かかとの形状と合っていない靴を履いている人
日常的にかかとに負荷をかけるスポーツ・仕事をしている人(陸上競技・サッカー・バレーボール・バスケットボールなど)
自分でできる対処法はある?
軽度の場合、数日~1週間程度、かかとに負荷をかけなければ改善する可能性があります。
病院は何科?
かかとの後ろが痛む時は整形外科を受診しましょう。
放置すると、痛みが慢性化してしまうこともあります。
歩いたり、起き上がったりの日常動作に支障が出てしまうリスクも大きくなるので、痛みがある場合は早めの受診を心がけてください。
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痛風でもかかとが痛くなるって本当?
痛風の痛みは、かかとにも出るのでしょうか?
はい。痛風でかかとが痛む人もいます。
足の親指が痛くなるのは有名ですが、かかと・肘・膝にも痛みが出ます。
血中尿酸値が上がることにより、関節内に尿酸結晶が生まれます。
この尿酸結晶が関節に蓄積し、炎症引き起こすため、痛みが生じます。
痛風の主な症状
足の親指の付け根に痛みが出る
関節が腫れる など
痛風の痛みは3~10日程度で治まりますが、治療せずに放置すると高血圧を併発したり、動脈硬化が進んだりするリスクがあります。
こんな人は要注意!
暴飲暴食・肥満・激しい運動を行う人は注意が必要です。
中年以降の男性に多いとされていますが、最近は食事の欧米化に伴い女性も発症することがあります。
病院は何科?
痛風が疑われる時は内科を受診しましょう。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
厚生労働省e-ヘルスネット 高尿酸値血症
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。