血尿が出た…。
痛みはないけど、大丈夫?
女性で「痛みなしの血尿」が出たときに考えられる原因を、お医者さんに聞きました。
膀胱ガンなどの命に関わる病気の可能性もあるので、血尿の放置は禁物です。
要注意な症状に心当たりがないか、確認してみましょう。
監修者
経歴
福岡大学病院
西田厚徳病院
平成10年 埼玉医科大学 卒業
平成10年 福岡大学病院 臨床研修
平成12年 福岡大学病院 呼吸器科入局
平成24年 荒牧内科開業
女性の血尿、痛みはないけど大丈夫?心配いらないケースは?
血尿が出ました…。
痛みはないのですが、病院に行った方がよいのでしょうか?
痛みを伴わない血尿には「重い病気」のリスクもあるため、医療機関での受診をおすすめします。
一時的な症状であれば問題のないケースもありますが、自己判断は危険です。
痛みなしの血尿は、
- ストレス・疲労が蓄積している
- 内臓に傷がついている
- 尿路系のガンを発症している
といった原因が考えられます。
特に「血尿と一目でわかるほどの真っ赤な色」は要注意です。
出血量が多い場合、「膀胱炎」「腎臓の異常」「尿路系のガン」などのリスクがあります。
血尿の原因を「見分ける方法」ってある?
血尿の原因は、「色の濃さ」である程度見分けられることもあります。
ただし確定はできないので、病院での検査が必要です。
血尿の色
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疑われる原因
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オレンジ色
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華やかなピンク・赤
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濃い赤色
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※上記はあくまでも目安です
血液が少量の場合は、内臓に少し傷がついたことが原因の可能性もあります。
混ざる血液の量が少ないほど、尿の色は変わりません。
軽症の例としては、「尿道の傷」による出血などが挙げられます。
ただし、オレンジ色の尿に「肝臓の異常」が隠れていたり、ピンクや赤の血尿に「腎臓の病気」や「尿路の腫瘍」が隠れていたりするケースもあります。
命に関わる病気を見落とすリスクもあるため、色だけで自己判断するのは危険です。
ストレスが原因で血尿が出るしくみ
ストレスが直接の原因となって血尿が出わけではありません。
ストレスや疲労によって免疫力が低下し、細菌が繁殖しやすくなることで膀胱炎等を発症し、結果として血尿が出る可能性はあります。
【要注意】こんな症状は「重い病気」の疑いあり
- 血尿が続いている
- 大量の出血が目で認められる(尿が真っ赤である)
- 前置きなく急に血尿が出た
- むくみ・高血圧を伴う
上記症状がある場合、ガンや腎臓病のリスクが高いと考えられます。
躊躇せず、早急に病院を受診しましょう。
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血尿が出たら、病院で検査を受けよう
目で見てわかるほどの血尿の場合、必ず病院で検査を受けましょう。
色が強いほど病気が進行しているリスクが高いので、より注意してください。
血尿の原因には、ガンのように命に関わる病気も考えられます。
また、ガンにかかわらず、病気が進行していればそれだけ、通院や治療に時間も費用もかかります。
「痛みのない血尿」があるときは、早めの受診をおすすめします。
女性の血尿は、何科で相談すればいい?
痛みのない血尿がある女性は、泌尿器科で相談しましょう。
お近くに泌尿器科の医院・クリニックがない場合は、婦人科でも相談できます。
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真っ赤な血尿は大丈夫…じゃない!
鮮血の血尿は、膀胱炎が重症化していたり、重い病気の症状として現れているケースもあるため、できる限り早く病院に行くことをおすすめします。
自然に治ることはないの?
急性膀胱炎や尿道結石は、軽症であれば自然治癒も見込める病気です。ただし、血尿が出るほど症状が進行している場合は、自然に治すことは困難です。
泌尿器科を受診して相談しましょう。
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必ず病院へ!真っ赤な血尿を放置するリスク
「忙しくて病院に行く時間がないから…」
「泌尿器科ってなんだか行くのが恥ずかしい…」
と言って血尿を放置していると、次のようなリスクが生じます。
症状が悪化して重症化する
慢性化や再発を繰り返しやすくなる
合併症を引き起こす恐れがある
がんなど重篤な疾患を見逃す
血尿の原因を特定するためにも、早く病院に行きましょう。
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排尿時に「痛みがある」血尿のケース
排尿時に痛みがある血尿は
急性膀胱炎
出血性膀胱炎
尿道炎
の可能性があります。
1.急性膀胱炎(尿路感染症)
膀胱内に、尿道を通して細菌(大腸菌等)が入り込むことで炎症が起きて発症します。
<この病気になりやすい人>
女性に多い
幅広い世代に発症する病気で、特に20~30歳代に多い
免疫力が低下している人(風邪、睡眠不足、疲労過多等)
ストレスが多い人
冷え性の人
<主な症状>
排尿時(特に排尿が終わる頃)チクチクするような痛みを伴う
はっきりした痛みがなくても、なんとなく下腹部の違和感がある
頻尿
血尿
残尿感
尿が濁る
まれに微熱を伴う場合がある
痛みや頻尿の症状が強いときは早めに病院に行きましょう。
発熱、全身倦怠感、背中の痛み等の症状を伴う場合は特に注意が必要です。
細菌による炎症が腎臓まで広がる「腎盂腎炎」を起こしている可能性があります。
<病院での治療例>
抗生物質による治療
2.出血性膀胱炎
ウイルス感染、ウイルス感染によるアレルギー性炎症、抗がん剤投与、放射線による治療等が原因で発症します。
子どもの場合は、アデノウイルス感染によるものが多いと考えられています。
<この病気になりやすい人>
子どもに多く発症する
放射線治療の経験がある人
抗がん剤など使用歴のある人
<主な症状>
血尿
排尿時の痛み
頻尿
残尿感
尿が出にくい
微熱
重症化すると、膀胱内の血の塊が出る場合がある
血の塊が尿路を閉塞して尿が出せなくなる(膀胱タンポナーデ)
出血性膀胱炎の特徴に該当するものがある場合は病院に行きましょう。
特に、膀胱タンポナーデの症状がある場合は要注意です。
<病院での治療例>
ウイルスやアレルゲンなど、発症原因の除去
血尿が続く場合、膀胱洗浄や止血を行う
膀胱内の凝血塊などの除去も行う 等
3.尿道炎
真菌や細菌による感染が原因で発症します。
性感染症(クラミジア尿道炎、淋菌性尿道炎等)によるものが多いです。
軽症の場合気付かない場合もありますが、自然治癒することは少なく、放置すると尿道狭窄を起こし、排尿障害になる恐れがあります。
<この病気になりやすい人>
男性に多い
<主な症状>
※性感染症(クラミジア尿道炎、淋菌性尿道炎等)が原因の場合
排尿をはじめてすぐに焼けるような痛み
尿の出始に血尿が出る
かゆみ
発熱
尿道から膿が出る(尿が濁る)
頻尿
発熱を伴う激しい排尿痛あったり、尿が濁るという場合は病院に行きましょう。
<病院での治療例>
適切な抗菌剤を用いた治療
原因となる疾患の治療薬の投与 等
排尿時に「痛みがない」血尿のケース
排尿時に痛みがない血尿は
膀胱腫瘍
前立腺がん
の可能性があります。
1.膀胱腫瘍
鮮血の血尿を伴う膀胱腫瘍は、悪性の膀胱がんであることがほとんどです。
膀胱腫瘍の発症原因ははっきり分かっていませんが、喫煙者は非喫煙者の2~3倍発症しやすいと考えられています。
また、化学薬品や染料を使用する職種の人、膀胱結石が長期間ある人も慢性的刺激により発症する場合があります。
<この病気になりやすい人>
男性に多い
50~70歳代に多い
喫煙者
<主な症状>
血尿(ずっと続くわけではなく、止まることもある)
痛みを伴わない場合が多い
頻尿
残尿感
膀胱腫瘍の特徴に該当するものがある場合は、早急に病院に行きましょう。
<病院での治療例>
手術
抗がん剤・放射線療法 等
2.前立腺がん
前立腺がんは、遺伝や高齢によるホルモンバランスの崩れなどが要因と考えられていますが、はっきりとした原因は不明です。
<この病気になりやすい人>
男性
50~70歳代に多い
<主な症状>
初期症状がない場合が多い
頻尿
血尿
排尿困難
自覚症状がない場合が多いため、自主的に定期検診を受けるようにすることをおすすめします。
<病院での治療例>
ホルモン療法
放射線治療
化学療法
手術 等
「脇腹・腰・背中の痛み」を伴う血尿のケース
「脇腹・腰・背中の痛み」を伴う血尿は
腎盂腎炎
尿道結石
腎腫瘍
の可能性があります。
1.腎盂腎炎
腎臓が細菌に感染することで起こります。膀胱炎が悪化して発症することが多いです。
ひどくなると血尿を生じることがあります。
背中の痛みというよりは、腎臓がある箇所の腹部から腰部あたりに痛みが生じることがあります。
<この病気になりやすい人>
女性
尿路の閉塞(前立腺肥大、尿路結石などがある)の方
糖尿病やステロイド治療、抗がん剤治療 など免疫力が低下している方
膀胱炎を放置しがちな方
<主な症状>
排尿時の痛み、下腹部痛
残尿感
頻尿
膿尿
38度以上の高熱
腰痛 等
※慢性の際には自覚症状はあまりありません。
腎盂腎炎の特徴に該当するものがある場合は、早急に病院に行きましょう。
<病院での治療例>
入院治療(痛みが強かったり、高熱が続いている場合)
腎盂腎炎の原因となる疾患があれば、その疾患の治療など。
腎盂腎炎の原因となる疾患があれば、その疾患の治療など。
2.尿路結石
腎臓、膀胱、尿管等、尿の排泄経路に小さい石が作られることで発症する病気です。
<この病気になりやすい人>
動物性たんぱく質や脂肪を多く含む食品を多く摂る人
約半数の人は原因が不明
<主な症状>
血尿
排尿時の痛み
脇腹から背中にかけて強い痛みが生じる
頻尿
残尿感
血尿や排尿痛がだんだんひどくなる場合は病院に行きましょう。
<病院での治療例>
1cm以下の大きさの石の場合、自然排石する可能性があるため、水分摂取と鎮痛薬で様子を観察する場合がある
自然に排石できないようであれば、体外衝撃波治療※が行われることもある
※体外衝撃波治療…結石に対し体の外から衝撃波を与えて粉砕して、自然に排出される大きさにすること
3.腎腫瘍
発症原因ははっきり分かっていませんが、喫煙、性ホルモン等が関与していると考えられています。
<この病気になりやすい人>
男性に多い
40~70歳代に多くみられるが、30歳以下でも発症する場合がある
肥満や喫煙などが原因として考えられている
<主な症状>
初期は自覚症状がない場合が多い
腎腫瘍が大きくなると、血尿、腰の痛み、腹部のしこり等がみられる
発熱
体重減少
貧血
膀胱腫瘍の特徴に該当するものがある場合は、早急に病院に行きましょう。
<病院での治療例>
手術療法
免疫療法
化学療法(抗がん剤) 等
参考
一般社団法人 日本泌尿器科学会 排尿痛がある、排尿時に痛い
https://www.urol.or.jp/public/symptom/21.html
シオノギ製薬 膀胱がん
http://www.shionogi.co.jp/tsurasa/type/bladder/
慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト 糸球体腎炎
http://kompas.hosp.keio.ac.jp/sp/contents/000406.html
日本腎臓学会 血尿診断ガイドライン
https://cdn.jsn.or.jp/jsn_new/iryou/free/kousei/pdf/JJN7-50_12209.pdf
今日の臨床サポート 出血性膀胱炎
https://clinicalsup.jp/contentlist/2233.html
国立がん研究センター がん情報サービス 前立腺がん
https://ganjoho.jp/public/cancer/prostate/index.html#a8
五本木クリニック おしっこ(尿)に血が混じる(血尿)
https://www.gohongi-clinic.com/hinyoukika/condition/1_/
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。