「この不調、ホルモンのせい?」
「黄体ホルモンが多いのかも…」
黄体ホルモンが多いとどうなるのか、お医者さんに聞いてみました。
あらわれる症状やホルモンバランスを整える方法なども解説します。
黄体ホルモンが優位になりやすい生活習慣もチェックしましょう。
監修者
経歴
戸田中央総合病院
埼玉医科大学
公立昭和病院
岡村医院
岡村クリニック
黄体ホルモンが多いとどうなる?
黄体ホルモンが多いと、
- 食欲が増加する
- むくみやすい
- イライラしやすい・攻撃的になる
- 肌荒れが起こる
- 便秘になる
などの影響をもたらすがあります。
影響① 食欲が増加する
ホルモンが脳の「摂食中枢」を刺激して食欲が出やすくなります。
黄体ホルモンの分泌が多い時期(生理前)は、食べ過ぎないことを念頭に置いておくのが良いでしょう。
影響② むくみやすくなる
黄体ホルモンは、水分を貯める性質を持っているため、むくみの原因になります。
影響③ イライラしやすい・攻撃的になる
PMSの原因になるのが黄体ホルモンです。
詳しい仕組みはわかっていませんが、黄体ホルモンが増えて卵胞ホルモンが減少する動きによって、イライラなどのPMSを引き起こしていると考えられています。
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2022-12-23
PMSってどんな症状が出るの?
つらいときはどうすればいい?
PMSの主な症状やセルフケア方法など、分かりやすく解説します。
病院へ行く目安も紹介するので、当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
PMSとは
PMS(Premenstrual Syndrome:月経前症候群)とは、月経の3~10日前から始まり、月経が始まると解消する心や体の不調のことです。
PMSが生じる原因は明らかにされていませんが、排卵後に起きる女性ホルモンの分泌量の変化や、ストレスなどが影響しているといわれています。
PMSは誰でもなるの?
日本では、月経のある女性のうち約7~8割が月経前に何らかの症状を抱えています。
また、100人中5人程度の人が「生活に支障が生じるほどつらいPMS」であるといわれています。
思春期の女性でPMSを示す割合が多い、という報告もあります。
PMSになりやすい人は?
真面目
几帳面
我慢しがち
上記に当てはまる人は、PMSになりやすいといわれています。
PMSの主な症状
頭痛
腹痛(下腹部痛)
腰痛
めまい・のぼせ
吐き気
乳房の張り感、痛み
食欲低下
倦怠感
イライラする
など
生理が始まると、「症状が軽くなる」「無くなる」という特徴があります
「PMS」と「PMDD」の違いは?
生理周期に伴う心と体の不調をまとめて、PMS(月経前症候群)と呼びます。
その中でも心の不調が強く出る場合は、PMDD(月経前不快気分障害)と診断されます。
PMSの対処法
1日3食、栄養バランスのとれた食事をとる
1日6~8時間程度の質のよい睡眠をとる
お腹を温める
ストレッチや軽い運動をする
PMSの症状には、上記の方法で対処するとよいでしょう。
対処法① 1日3食、栄養バランスのとれた食事をとる
PMSの症状は、ホルモンバランスの乱れにより悪化しやすくなります。
主食・主菜・副菜の揃った食事をとることで、栄養をバランスよく摂取でき、ホルモンバランスが整いやすくなります。
和定食のイメージで食事をとると、栄養バランスが整いやすいです。
食事を抜くと、体のリズムが乱れやすくなり、エネルギー不足になる可能性があるので、きちんと3食とるようにしましょう。
対処法② 1日6~8時間程度の質のよい睡眠をとる
ホルモンバランスを整えるためには、十分な睡眠時間を確保する必要があります。
毎日6~8時間程度、質のよい睡眠をとることを心がけましょう。
ただし、理想の睡眠時間には個人差があります。朝目覚めたときに疲れがとれていて、日中に眠気を感じない状態になるように心がけましょう。
「深い眠り」を得るためのポイント
朝起きたらカーテンを開けて日光を浴びる
昼寝は15時までに30分以内にする
夜は11時(遅くとも12時)には寝る
夕方以降は「カフェインを含む食品」を控える
夕食は就寝の2~3時間前までに済ませる
飲酒は、就寝の3~4時間前までにする
就寝の2~3時間前に入浴する
就寝前はできるだけパソコン・スマホを触らない
対処法③ お腹を温める
お腹を温めると腹痛の緩和につながります。お腹にカイロをあてて患部を温めるとよいでしょう。
温かい飲み物を飲んで、体の中から温めることもおすすめです。
対処法④ ストレッチや軽い運動をする
PMSによる頭痛には、肩や首回りの筋肉をほぐし、血流をよくすることがおすすめです。
ストレッチや軽い運動で、体をほぐしましょう。
ただし、体を動かしていて、ズキンズキンと血流に合わせて頭痛が起きたら、体を動かすのをやめて楽な姿勢で休みましょう。
病院に行く目安
体や精神面の不調によって「つらい」と感じているときは、医療機関の受診をおすすめします。
特に、
PMSのつらい症状が毎月起こる
日常生活や対人関係に支障が出ている
痛みや倦怠感が重く、仕事や学校を休むことがある
といった場合は、早めの受診をおすすめします。
PMSが悪化すると、脳機能のバランスを崩し、うつ病を発症するケースもあります。
心当たりのある方は、放置しないようにしましょう。
PMSの治療法
PMSで受診した場合、病院では飲み薬・低用量ピル・漢方薬などを用いて治療をします。
低用量ピルを使うと、生理前と後のホルモンの量の差を軽減できるため、PMSの症状がかなり楽になります。
ただし、妊娠を望んでいる場合には、低用量ピルが使用できないため、生活指導を中心とした治療になります。
婦人科を探す
影響④ 肌荒れが起こる
黄体ホルモンは、皮脂分泌を増やすので肌荒れやニキビを起こしやすくなります。
影響⑤ 便秘になる
黄体ホルモンの影響で便の水分が減り、便が出にくくなる人もいます。
黄体ホルモンが多いのはこんな人
- 油分の多い食べ物を頻繁に食べる
- 食事の栄養が少なく、偏っている
- 運動不足
- ストレスが多い
上記のような生活習慣の人は、黄体ホルモンが優位に偏りやすいです。
特に肌荒れ・むくみなどでお悩みの場合は、黄体ホルモンが多くなっている可能性が高いです。
「黄体ホルモンが整っている人」の特徴
黄体ホルモン(プロゲステロン)が正常に分泌されていると、月経も整い、健康的な状態の人が多いです。
また、妊娠が可能な状態であるとも言えます。
女性の体は、黄体ホルモン・卵胞ホルモン2つのホルモンの影響を受けています。
黄体ホルモンの一番重要な働きとしては、卵胞ホルモン(エストロゲン)と拮抗して2つの女性ホルモンのバランスを取ることです。
黄体ホルモンを“整える”方法
健康的に過ごすためには、「黄体ホルモン」と「卵胞ホルモン」のバランスを整えることが大切です。
そのためにも、
- バランスの良い食生活
- 十分な睡眠をとる
- 疲れやストレスはためない
などを心がけましょう。
対策① バランスのよい食生活
ビタミンやミネラル豊富な「野菜」、体を作るたんぱく質の「肉・魚」、卵胞ホルモンに似た働きをする「大豆製品」をバランスよく食べましょう。
女性ホルモンも食べ物からできているため、バランスのよい食事は、ホルモンバランスを整えるためにも大切です。
食生活が整っていると、黄体ホルモン優位の時期が来ても便秘や肌荒れを起こしにくくなります。
こんな食生活は控えましょう
油分や糖質が多い食生活は、ホルモンバランスを悪化させてしまうことがあるため、控えましょう。
対策② 十分な睡眠をとる
質の良い眠りをとるためにも、
- 眠る直前の暴飲暴食は避ける
- スマホやテレビも眠る数時間前にやめる
- 日中に体を動かしておく
などを心がけましょう。
眠りが足りないと、イライラや攻撃的になる、PMSを悪化させる要因にもなります。
睡眠は常に不足しないように生活を整えましょう。
対策③ 疲れやストレスはためない
疲れやストレスを溜め込まないために、
- 無理せず休憩を挟む
- 適度な運動を取り入れる
- 体を冷やさない
などを心がけましょう。
疲れやストレスの蓄積は、ホルモンバランスを崩してしまいます。
健康的な生活を送り、適度に体を休めてあげましょう。
「肌荒れやイライラが続く」のときは婦人科へ相談を
肌荒れやイライラ、便秘などの体調不良が2週間以上続いているという女性は、一度婦人科に相談しましょう。
長引く不調は、ホルモンバランスの乱れが影響しているかもしれません。
特に、生理不順・不正出血といった症状が出た場合は、できるだけ早く婦人科で受診してください。
受診のときに伝えておくとよいこと
- どんな不調があるか
- 生理不順や不正出血などがあるか(いつからか)
- 妊娠出産の記録
- 妊娠の希望
上記の点を伝えることで、スムーズに診察しやすくなります。
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2022-03-31
「体重が増えた…」
「これって生理前だから?」
生理前の体重増加はいつからなのか、栄養士さんに聞いてみました。
体重が増えるメカニズム、生理前に太りすぎないための対策なども解説します。
おすすめのおやつも必見です。
生理前、体重が増え始めるのはいつから?
一般的には生理の約1週間前から増えやすくなります。
ただし、生理前の体重増加はホルモンバランスの影響が大きく、通常は生理が終われば元に戻るものなので、あまり気にする必要はありません。
増えた体重はいつ戻る…?
生理が始まってから徐々に減っていき、生理が終わってから約1週間で元に戻っていることが多いです。
また、生理後約1週間は特に痩せやすい時期となります。
そもそも、なぜ生理前は体重増加するの?
生理前の体重増加は、
むくみ
便秘
食欲増進による食べ過ぎ
が原因になることが多いです。
原因① むくみ
生理前に増加するプロゲステロン(女性ホルモン)は、水分を溜め込みやすくするため「むくみ」を引き起こします。
原因② 便秘
また、生理前は腸の働きが弱くなるため「便秘」になりやすい時期です。
原因③ 食欲増進による食べ過ぎ
生理前になると血糖値が低下しやすく、血糖値を上げようとして食欲が増すため、食べ過ぎてしまいます。
特に甘いものを欲するようになるケースが多いです。
また、妊娠に備えて栄養を体に溜め込むようになることも、体重増加の原因となります。
何キロくらい太る?
個人差がありますが2~3㎏程度が一般的です。
体重増加が多い人でも3~4㎏程度の増減の人が多いです。
生理前の体重増加は「止められない!?」
ホルモンバランスが原因での体重増加を止めることは難しいことです。
しかし、食欲をコントロールすることで、体重増加を緩和させることはできます。
食欲をコントロールするには、
「血糖値」を安定させる
「むくみ」を解消させる
ストレスを溜めずにリラックスする
ことがポイントです。
生理前は、「むくみ」や「食べ過ぎ」を予防して、体重が元に戻らない程に太りすぎないようにしましょう。
生理前に「太りすぎない」ための5つの対策
食事を「少量頻回食」にする
甘いものを控える
睡眠をしっかりととる
軽めの運動を習慣づける
お風呂に浸かってリラックスする
対策① 食事を「少量・頻回食」にする
食事全体の量を増やさずに、小分けに食べるようにします。
1日に3回食べていた人は6回にするなど、食事の回数を増やしましょう。
生理前は、血糖値が安定しにくいため、食欲が増します。
食事の回数を増やして小分けに食べることで、血糖値の急上昇が抑えられ、食欲が安定しやすくなります。
「1日のトータル食事量は増やさない」ことが大切です。
1回の食事量を変えずに回数だけ増やす
毎回満腹になるまで食べる
などの方法は、体重増加につながるためNGです。
対策② 甘いものを控える
甘いものを食べたいだけ食べてしまうと、太る原因になります。
甘いものが食べたくなったら、甘みを感じる食べ物を少量摂取するだけに留めましょう。
甘いものが食べたいときの「おすすめのおやつ」
フルーツヨーグルト
高カカオポリフェノールチョコレート
キシリトールの飴
ガム
※これらも食べ過ぎには注意が必要です。
対策③ 睡眠をしっかりととる
睡眠時間は7~8時間を目安に、遅くとも12時までには寝るように心がけましょう。
生理前はイライラしやすい時期です。
イライラしている状態が続くと、ストレス発散のために食欲が増すことがあります。
ストレスを軽減させるためにも、睡眠をしっかりととり体を休ませましょう。
対策④ 軽めの運動を習慣づける
ウォーキングやヨガ、ストレッチなど軽い運動を行いましょう。
生理前は、むくみやすい時期です。ヨガやストレッチなど軽い運動を行うことで血流がよくなり、むくみの解消につながります。
また、体を動かすことで気分転換にもなり、食べ過ぎを防ぐことにもつながります。
対策⑤ お風呂に浸かってリラックスする
シャワーだけで済まさずに、お風呂に浸かって身体を温めましょう。
生理前は、むくみやすく体も冷えやすい時期です。
お風呂に浸かって体を温めることで、血流もよくなりむくみの解消にもつながります。
生理前の体重増加は「気にしすぎない」ことも大事
生理前の体重増加は、生理後にはまた元に戻ることが多いです。
気にしすぎずに、ご自身の身体を労わってあげる期間にしましょう。
気にしすぎるとストレスになって余計に食欲が増したり、無理な食事制限で貧血などの体調不良を招く恐れもあります。
管理栄養士から「生理前の過ごし方」のアドバイス
生理前は、体重のことを考えないように
別のことに集中できるような環境を作る
リラックスできる時間を作る
などして過ごすのがいいでしょう。
また、好きなものも我慢しすぎないほうがストレスにならず、過食を防ぐことができます。
体重が気になりすぎる人は、生理が終わるまで体重計に乗らないという手段もおすすめです。
▼参考
公益財団法人日本産婦人科学会