「飲み薬と塗り薬、どっちがいいの?」
「子どもにも使える市販薬は?」
蕁麻疹による耐えがたいかゆみの症状は、一刻も早く抑えたいですよね。
この記事では、蕁麻疹におすすめの市販薬や、病院に行く判断基準まで薬剤師が解説します。
監修者
経歴
国際医療福祉大学薬学部卒業
2014年6月〜2015年11月 虎の門病院薬剤部 非常勤薬剤師
2015年12月〜2018年8月 東京大学医学部附属病院 研究補助員
2015年8月〜現在 メディカルライター
2018年7月〜現在 東京ビューティーアート専門学校 非常勤講師(科目:美容保健)
2018年9月〜現在 東京医科大学病院 研究補助員 (東京大学でも継続兼務)
「飲み薬」と「塗り薬」どっちがおすすめ?
確かな効果を期待するのであれば、内服薬をおすすめします。
塗り薬では、部分的な痒みの軽減程度しか効果が期待できないと言われております。
蕁麻疹には「花粉症用の飲み薬」が使える
蕁麻疹による内服薬は、花粉症の薬を使うことができます。
具体的には、アレグラ、クラリチン、アレジオン、エバステル、ジルテックとなります。
「漢方薬」が効くケースも
西洋薬の効きがイマイチな時にオススメしたいのが、十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)です。
蕁麻疹に漢方薬を使うのも効果的です。
4週間ほど継続的に 使用することで蕁麻疹が和らいでいきます。
基本的には医師、薬剤師の指示通りの飲み方をします。
初回の場合は1週間ほど服用して様子をみることが多いでしょう。
治った場合は服用をやめていいです。
よくある質問「眠くならないお薬はどれ?」
アレグラとクラリチンには眠くなる副作用がほとんどないとされています。
眠気を誘発するのは、抗ヒスタミン薬です。
第一世代の抗ヒスタミン薬は、即効性は高いですが眠気の副作用が強く出ます。
そのため、第二世代では即効性が多少落ちても、眠気の副作用を減らす目的で開発されました。
しかし、第二世代の中でも眠気の副作用に差があり、人によっても変わってきます。
よくある質問「ストレス性の蕁麻疹にも効く?」
少なからず有効だと思います。
しかし、根本的な要因はストレスな訳ですから、そこが解消されない限り、薬だけで沈めるにも限度があると認識しましょう。
よくある質問「子どもでも使える薬はある?」
内服薬の場合には子ども用の市販薬がありますので、そちらを使うようにしましょう。
かゆみが増してきた時に使う外用薬の場合には、大人と同じものを使って構いません。
しかし、子ども用の多くは第一世代の抗ヒスタミン薬で副作用の眠気が出やすいものが多いです。
よくある質問「授乳中でも使える薬はある?」
第二世代の抗ヒスタミン薬の中では、アレグラとクラリチンを用いることができます。
しかし、十分に判断ができない場合には、ドラッグストアの薬剤師、または受診している産婦人科で処方していただくのが安心です。
急な蕁麻疹「薬がないとき」の対処法
温めるとかゆみが増すとも言われているので、冷やすのがいいでしょう。
かゆみは冷やすことで和らぎます。
冷蔵庫に水で絞ったタオルを何本か入れて置き、かゆくなりだしたら、軽くあてて冷やしてください。
冷たい水や氷を直接肌に当てたりすると逆に刺激になってしまうこともあるので注意しましょう。
病院に行く判断基準
1日経っても治らなければ病院を受診しましょう。
麻疹の発疹は数時間から1日で消退します。
蕁麻疹かどうかわからない場合や、蕁麻疹が翌日まで続く場合は、医療機関を受診しましょう。
病院は何科に行けばいい?
大人の場合は皮膚科、子どもの場合は小児科を受診しましょう。
蕁麻疹は、ストレスだけでなく食事や金属、化粧品などによっても悪化することがあります。
日常生活を見直しながら薬とお付き合いいただければと思います。
皮膚科を探す
小児科を探す
合わせて読みたい
2020-06-02
「赤ちゃんに蕁麻疹が…!」
「すぐ消えるけど…よく繰り返す」
蕁麻疹は、赤い小さなプツプツが出て、その腫れがくっ付いて大きな腫れになります。赤ちゃんに蕁麻疹が出たときの親がすべき対処法をお医者さんに聞きました。
応急処置や、病院に行くべき目安についても解説します。
なぜ?赤ちゃんの蕁麻疹の原因
赤ちゃんの体は未発達で刺激に弱く、様々なことが蕁麻疹の原因となります。
食物アレルギー
細菌感染
ウイルス感染
寒暖差
紫外線
ストレス
物理的な刺激(振動や運動など)
発汗(入浴、運動など)
薬(解熱剤や抗生物質など)
蕁麻疹は、母乳が原因?
母乳が原因になっているんじゃないかと不安です。
ママが食べた物は数時間で母乳に移行しますが、その量はとても微量です。それが蕁麻疹を引き起こすとは考えにくいです。
ただし、もし飲ませるたびに蕁麻疹が出るというような場合は、早めに病院に相談してください。病院では、ママの食べ物の偏りがないか、赤ちゃんのアレルギーがないかを確認し、食生活指導などが行われます。
※授乳するときは肌が密着して赤ちゃんの体温が上がるので、寒暖差によるアレルギー反応のケースもあります。
蕁麻疹の原因がわからない!
原因を特定するためには、蕁麻疹が出た前の行動を記録につけておくとよいでしょう。病院で医師が判断する基準になります。
初めての蕁麻疹の後は、
直前に食べたもの
直前の行動
環境(温度・シチュエーション・近くにあるもの等)
を記しておきましょう。何度も蕁麻疹を繰り返す場合は、皮膚科を受診し、医師に皮膚状態を確認してもらいましょう。
それでも原因が特定できない場合もあります。
また、汗や運動といった避けられないことが原因となっていることも多いです。
蕁麻疹は長時間続くものではないので、応急処置を覚えて対処するようにしましょう。
また、何度も繰り返す場合は皮膚科の医師に相談をしましょう。
皮膚科を探す
蕁麻疹の応急処置
腫れとかゆみだけであれば、患部を冷やしてあげましょう。
腫れているとびっくりすると思いますが、冷たいタオルやタオルで包んだ保冷剤をあてて、かゆみを抑えてあげましょう。
※保冷剤を直接赤ちゃんの肌にあてるのはやめましょう。
ケース1.蕁麻疹がすぐ消える
通常は、蕁麻疹はすぐに消失します。
蕁麻疹は、短ければ数十分程度で無くなってしまいます。1度出た程度であれば心配しなくても大丈夫です。
ただし、かゆみだけではなく「息苦しそう」「意識が朦朧としている」といった症状がある場合は、すぐに救急で病院を受診しましょう。
ケース2.蕁麻疹を繰り返す
蕁麻疹を繰り返す場合は、皮膚科の医師の診察をうけましょう。
蕁麻疹の原因がわからず何度も繰り返す場合、「疲れ」や「体調不良」が要因になっていることもあります。蕁麻疹が出た後は、無理をさせずに安静にして静かに過ごしましょう。
皮膚症状のみであれば、成長とともに蕁麻疹は減少していくケースが多いです。
しかし、蕁麻疹とともに発熱などの症状がある場合は内臓疾患が原因となっていることもあります。一度、医師に相談をしましょう。
皮膚科を探す
病院の受診目安
・蕁麻疹を繰り返す
・皮膚以外にも症状がある(発熱など)
という場合は、一度皮膚科を受診しましょう。
特に、呼吸がおかしい・意識が朦朧としているといった場合には、早急に病院受診が必要です。
お医者さんへの説明のしかた
赤ちゃんの蕁麻疹をどう説明したらいいのかわかりません…。
1.蕁麻疹が出る前の行動の詳細
2.蕁麻疹が出た後の赤ちゃんの様子
を伝えるのがよいでしょう。
例えば、
蕁麻疹が出たときにいた「場所」、「やっていたこと」、「食事内容」を伝えましょう。
蕁麻疹が出た後に、赤ちゃんの体調の変化があれば、あわせて伝えてください。
皮膚科?小児科?どっち?
皮膚科を受診しましょう。
もし近くにない場合は、小児科でもかまいません。
皮膚科を探す
参考
公益社団法人日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 蕁麻疹Q13蕁麻疹の治療方法は?
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa9/q13.html
合わせて読みたい
2020-09-24
蕁麻疹が治らない…。
薬を飲んでもダメ…どうすればいいの?
長引く「慢性蕁麻疹」の原因と対処法を、お医者さんに聞きました。
蕁麻疹の不快なかゆみでお困りの方は、ぜひ最後まで読んでください。
なぜ?「慢性蕁麻疹」の原因
蕁麻疹が全然治りません…。
原因として、どんなことが考えられますか?
「慢性蕁麻疹」の原因としては、
アレルギー
物理的刺激
発汗や発汗を促す刺激
感染症
内臓・全身性疾患
ストレスや疲労
が考えられます。
しかし、蕁麻疹のメカニズムはまだ明らかにされておらず、特定するのは難しいのが現状です。
なぜ?薬を飲んでも治らない…
物理的刺激(寒さや暑さ、日光による刺激)が原因で起こる成人の蕁麻疹は、薬の効果が得られない場合があります。
また、薬の作用には個人差があり、効き目を感じるまでに数日から数週間かかることがあります。
一つの薬を1~2週間は継続しましょう。
悪化させないために「自分でできる対処」
悪化を防止するためには、蕁麻疹の原因と思われる物質や刺激などを取り除くことが大切です。
肉類や魚介類を食べる際には新鮮なものを選び、防腐剤などの添加物を含むものは控えましょう。
また、ストレスや疲労によって悪化する可能性があるので、しっかりと体を休めて、リラックスするよう心がけてください。
強いかゆみがある場合には、かくのを控え、冷やすといいです。
※寒冷刺激が原因と思われる蕁麻疹は、冷やさないでください。
締め付けの強い服や下着も刺激となりますので、ゆったりとした着心地のものを選ぶようにしましょう。
「病院の受診」をおすすめするケース
蕁麻疹の症状が1か月以上続く、もしくは繰り返す場合は病院に行きましょう。
また、皮膚症状のほかに、全身倦怠感や発熱、関節痛などを伴う場合や、蕁麻疹のせいで生活に支障をきたしている場合は、病院に行きましょう。
皮膚科を探す
「蕁麻疹の原因」はどうやって突き止める?
まずは問診を行い、疑われる原因別に検査を行います。
<アレルギーの検査>
血液検査や皮膚を用いたテストを行います。皮膚を用いたテストは、蕁麻疹の原因と思われる物質を皮膚に注射したり、皮膚に載せて針で突いたりするものです。
<物理的刺激の検査>
蕁麻疹を引き起こしている刺激を加えて、蕁麻疹があらわれるかどうか確認します。
<薬品の検査>
皮膚を用いた検査以外に、少量の薬品を飲んだり注射したりして反応を確認することがあります。
上記以外には、内科的な検査を行います。
※ただし、一ヵ月以上続く慢性の蕁麻疹で、皮膚以外に症状がない場合、異常が見つからず、原因が特定できない場合が多いです。
病院は何科?
皮膚科を受診しましょう。
皮膚科を探す
どうやって治療するの?
抗アレルギー薬を使用します。必要に応じて、漢方薬や免疫反応を調整する薬などを使用することもあります。
お医者さんに伝える5ポイント
病院では、次のような情報を医師に伝えると、原因の特定や治療がスムーズになります
いつから蕁麻疹が出ているのか
症状が良くなっているのか、悪くなっているのかな
どんな時に悪化するか
蕁麻疹以外の症状の有無
他の病院の受診や薬の服用の有無
参考
日本皮膚科学会 麻疹診療ガイドライン 2018
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/urticaria_GL2018.pdf
公益社団法人 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 蕁麻疹
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa9/q04.html
田辺三菱製薬 「蕁麻疹(じんましん)」ひどくなった時の対処法
https://hc.mt-pharma.co.jp/hifunokoto/solution/106
広島大学病院 皮膚科 抗ヒスタミン薬が効く蕁麻疹と効かない蕁麻疹
http://dermatology.hiroshima-u.ac.jp/uploads/2017/09/Histamine-antagonizing_hives.pdf
TMクリニック西新宿 蕁麻疹(じんましん)の正しい治療についてー基本の治療から、最新の治療まで専門医が解説ー
https://tmclinic.net/?p=904