なぜ?「あぐらをかくと股関節が痛い」原因はなに?病院の受診目安も

更新日:2022-06-01 | 公開日:2022-05-30
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なぜ?「あぐらをかくと股関節が痛い」原因はなに?病院の受診目安も

あぐらをかくと股関節が痛い…
もしかして、何かの病気?

「あぐらをかくと股関節が痛い」場合に考えられる原因を、お医者さんに聞きました。

病気によって、股関節の軟骨がすり減ったり、変形したりしている可能性もあります。
悪化して手術が必要になるケースもあるため、股関節に痛み・違和感がある方は要チェックです。

監修者
河合 隆志 先生

フェリシティークリニック名古屋
医学博士

河合 隆志先生

経歴

’97慶應義塾大学理工学部卒業
’99同大学院修士課程修了
’06東京医科大学医学部卒業
’06三楽病院臨床研修医
’08三楽病院整形外科他勤務
’12東京医科歯科大学大学院博士課程修了
’13愛知医科大学学際的痛みセンター勤務
’15米国ペインマネジメント&アンチエイジングセンター他研修
’16フェリシティークリニック名古屋 開設

「あぐらをかくと股関節が痛い」原因は?

医師男性
  • 股関節の軟骨のすり減り
  • 股関節の変形
  • 股関節の脱臼

などにより、痛みが生じているものと考えられます。

歩く、階段を昇る、しゃがむなど、普通に生活しているだけでも股関節には負担がかかっています。
気づかないうちに軟骨のすり減りや変形、脱臼が起きていて、突然痛みを感じるようになることも珍しくありません。

どう対処したらいい?

医師男性

あぐらをかく・長時間歩くなど、股関節に痛みが生じる動きは控えてください

安静にして症状が快方に向かっていくのであれば、問題ないケース多いです。

ただし、

  • だんだん痛みが強くなっている
  • あぐらをかいていなくても痛みがある
  • 痛みで歩けない

といった人は「股関節の病気」も疑われるため、整形外科の受診をおすすめします。
病気が原因の場合、悪化によって歩行困難になるリスクもあります。

整形外科を探す

痛みが続く場合は「病気」の可能性も

医師男性

「あぐらをかくと股関節が痛い」場合、

  • 変形性股関節症
  • 大腿骨頭壊死
  • 股関節唇損傷
  • 股関節亜脱臼
  • 鼠径部痛症候群(グロインペイン症候群)

などの病気も考えられます。

病名

どんな病気か

症状の特徴

変形性股関節症

(へんけいせいこかんせつしょう)

 

股関節の軟骨がすり減って、変形してしまった状態。

変形した軟骨同士がぶつかり合って痛みを生じる。

  • 足の付け根の痛み・違和感
  • 痛みで「足の爪切り」等ができない
  • 歩きはじめ・立ち上がる際に痛む
  • 痛みで夜に目が覚める
  • お尻・太ももの痛み
  • 膝の痛み

大腿骨頭壊死

(だいたいこっとうえし)

大腿骨(太ももにある骨)の一部の血流が悪化することで、骨の組織が壊死した状態。

壊死した骨が骨折したり、骨頭が潰れたりすることで痛みが生じる。

  • 急に足の付け根に痛みが生じる
  • 立ち上がる動き・歩行時に痛みが生じる
  • 痛みで夜に目が覚める

股関節唇損傷

(こかんせつしんそんしょう)

股関節の周りの関節組織に損傷が起きている状態。

悪化することで、変形性股関節症に発展し、痛みを生じる。

  • 足の付け根に痛み・違和感
  • あぐらをかくと痛む
  • 「股関節を深めに曲げる動き」で痛みを感じる
  • 「靴下を履く」「足の爪を切る」等ができない

股関節亜脱臼

(こかんせつあだっきゅう)

本来、しっかりとはめこまれているはずの大腿骨頭と臼蓋(きゅうがい)がずれてしまって、痛みが生じている状態。

  • 足の付け根の痛み
  • あぐらをかくと痛みが生じる
  • 歩行が困難なほどの痛み

鼠径部痛症候群

(そけいぶつうしょうこうぐん)

股関節周辺の筋肉や関節の柔軟性の低下、骨盤を支える筋力の低下によって、痛みが生じている状態。

サッカー・ラグビーなどのボールを蹴る競技で発症することが多い。

  • 足の付け根とその周囲の痛み
  • キック・ランニング等の動作で痛みが生じる

上記の病気は、病院の受診が必要となるケースが多いです。
それぞれ詳しく解説するので、心当たりがないかチェックしてください。

病気① 変形性股関節症(肥満の人に多い)

変形性股関節症の症状チェック 

  • 足の付け根の痛み・違和感
  • お尻の痛み
  • 太ももの痛み
  • 膝の痛み

初期の段階では、「違和感程度の痛み」「こわばり感」「股関節周りが重い感じ」を自覚するケースが多いです。
次第に歩き始め・立ち上がりの際に、痛みを感じるようになります。

医師男性

変形性股関節症は、「骨盤と大腿骨をつなぐ部分の軟骨」がすり減り、股関節が変形してしまった状態です。

変形した軟骨がぶつかり合って、痛みが生じると考えられています。

悪化して症状が進行すると、強い痛みが生じるようになり、1日中痛みが続く場合もあります。

どんな人がなりやすい?

医師男性
生まれつきの「臼蓋形成不全(※)」や「骨盤の発育不全」が原因のことが多いです。

この他、

  • 重労働
  • 肥満(体重の増加)
  • 運動不足
  • 激しすぎる運動
  • ケガ(股関節周辺の骨折等)
  • 加齢による軟骨のすり減り

などの原因も考えられます。

※臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)…骨盤の形に異常があること。股関節に不具合が生じやすい。

「変形性股関節症」かも…どうすれば?

医師男性

変形性股関節症が疑われる場合は、一度「整形外科」で受診することをおすすめします。

症状が進行すると、手術が必要になるケースもあります。

セルフケアでは、「長時間の歩行」「正座」「階段の昇り降り」など、痛みが生じやすい動きは控えるようにしてください。
肥満によって股関節に大きな負担がかかっている場合は、減量することで症状が改善する可能性があります。

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病気② 大腿骨頭壊死

大腿骨頭壊死の症状チェック 

  • 股関節の痛み
  • 歩行が困難なほどの痛み

最初に痛みが生じた後は、少しずつ痛みが軽減するケースが多いです。
その後、症状を繰り返しつつ、股関節の変形や障害が進行することが多いと考えられています。

医師男性
大腿骨頭壊死とは、何らかの原因によって血流が悪化し、「大腿骨の先端にある丸い部分」の一部が壊死した状態です。

大腿骨頭の一部分が壊死して状態が悪化すると、大腿骨頭が潰れて変形します。
骨頭が潰れたり、壊死した骨が骨折したりすることで、股関節に痛みが生じるようになると考えられています。

どんな人がなりやすい?

医師男性

大腿骨頭壊死は、

  • 薬剤(ステロイド等)の多量使用
  • 長期間にわたるアルコールの過剰摂取

などで引き起こされます。

「大腿骨頭壊死」かも…どうすれば?

医師男性

大腿骨頭壊死が疑われる場合は、早急に「整形外科」を受診してください。

手術が必要になるケースもあります。

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病気③ 股関節唇損傷(運動する人に多い)

股関節唇損傷の症状チェック 

  • あぐらをかくと痛い
  • 「股関節を深く曲げる動き」をすると痛む(靴下を履く・足の爪切り等)
  • 立ち上がる動作で痛む場合がある

※「違和感程度の痛み方」から「激しい痛み」など、痛みの程度には個人差があります。

医師男性

股関節の周りにある「股関節唇(※)」に損傷が起きている状態です。

関節が不安定な状態になって軟骨のすり減りが悪化すると、「変形性股関節症」へと発展して痛みが生じると考えられています。

(※)股関節唇は、…大腿骨頭の安定化を維持する働きを担っている組織。ゴムパッキンのような役割がある。

どんな人がなりやすい?

医師男性
  • サッカー・ゴルフ・ランニング等をしている
  • 先天的な要因で「骨盤の形」に異常がある
  • 転倒事故等により衝撃を受けた

といった人は、股関節唇損傷を発症しやすい傾向があります。

「股関節唇損傷」かも…どうすれば?

医師男性
股関節を深く曲げるような動きを避けて、できるだけ安静にしてください。

立ち上がるときや車の乗り降りの際に、股関節に手を添えると負担軽減につながります。
痛みがない場合は、無理のない範囲でトレーニングを行い、股関節周りの筋肉を鍛えるとよいでしょう。

病気④ 股関節亜脱臼(運動する人に多い)

股関節亜脱臼の症状チェック 

  • 足の付け根の痛み
  • 強い痛みで歩行困難になる
医師男性

股関節亜脱臼とは、「太ももの骨の先端部分」と「骨盤の窪んでいる部分」が外れかけている状態です。

何らかの強い力・衝撃が与えられたことで起こるケースが多いです。

通常股関節は、大腿骨(太ももにある骨)の大腿骨頭という骨が骨盤の窪んでいる部分(臼蓋)にはまり込むような形になっています。
大腿骨頭と臼蓋がずれてしまうことで、痛みが生じていると考えられています。

どんな人がなりやすい?

医師男性
  • 激しい運動をする
  • 重労働をしている
  • よく転倒する

といった人は、股関節亜脱臼を発症しやすい傾向があります。

「股関節亜脱臼」かも…どうすれば?

医師男性

早急に「整形外科」を受診してください。

痛みが強いケースが多いため、患部を動かさず安静にしましょう。

完全に関節が外れた状態の場合、元に戻さず放置すると、大腿骨頭壊死を起こすリスクが高まると考えられています。

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病気⑤ 鼠径部痛症候群(ボールを蹴る運動で発症しやすい)

鼠径部痛症候群(グロインペイン症候群)の症状チェック

 

・足の付け根とその周囲の痛み(鼠径部の痛み)

・軽い痛みが続く

・動かしていなくても痛みが生じる

・強い痛みで歩行困難になることもある

医師男性

鼠径部痛症候群は、足と骨盤をつなぐ「鼠径部」に痛みが起こっている状態を指します。

検査を行っても、患部に異常が見つからない点が特徴です。

足首の捻挫・下肢の打撲・下肢の肉離れ・腰痛等がきっかけになることが多いです。
ケガのある状態で運動を繰り返すことで、鼠径部に過度の負担がかかり、痛みが起こると考えられています。

どんな人がなりやすい?

医師男性
過度に激しい運動をしている人に多く見られます。

特に、

  • サッカー
  • ラグビー
  • アメリカンフットボール

などの「ボールを蹴るスポーツ」をしていると、発症しやすい傾向があります。

「鼠径部痛症候群」かも…どうすれば?

医師男性

早めに「整形外科」を受診してください。

痛みが強いケースが多いため、患部を動かさず安静にし、アイシングなどの応急処置を行いましょう。

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こんな症状は「整形外科」で相談を!

医師男性
  • 足の付け根に激痛が生じている
  • 歩行困難なほどの痛みが生じている
  • 股関節が変形している
  • 1日中痛みが続く
  • 脱臼している恐れがある
  • 明らかにケガをしている

等の場合は、早急に整形外科を受診してください。

放置すると、股関節の変形が進行してしまい、「激痛に襲われる」状態まで悪化する恐れがあります。
悪化によって「足を引きずって歩くようになる」「歩行困難になる」など、日常生活に支障をきたすケースもあります。

痛みが強い・痛みが続くときは、早めに病院で診てもらいましょう。

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