ひょうそは自然治癒するのかどうか、お医者さんに聞いてみました。
応急処置の方法は?
膿は自分で抜いてもいいの?
そんな疑問にお答えします。ひょうそを治したい人は必読です。
ひょうそは自然に治る?
ひょうそは、ごく初期の段階であれば、市販の消毒剤や抗菌薬で症状が改善するケースがあります。
ただし、爪周囲や指の腹に膿が出ている場合は、自然に治ることは少ないでしょう。
こんなときは皮膚科へ
- 市販薬を5~6日間使用しても症状が改善しない
- 痛みが強くて生活に支障をきたしている
- 薬の使用で、発疹・かゆみなどの副作用が見られる
- 上記イラスト右のように、患部が腫れあがっている
上記に該当する人は、皮膚科を受診してください。
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膿が出たときの応急処置方法
- 清潔なティッシュなどを患部に当てて、表面の膿を拭き取る
- ぬるま湯・水で洗い流す
- 消毒薬を患部に塗る
- ガーゼで患部を覆う
ひょうそができたときは、患部を強く擦ったり、引っ掻いたりしないようにしてください。
また、「素手で水仕事をする」「指や爪を嚙む」といった行動も避けましょう。
ひょうそにオロナインは有効?
オロナインとは、消毒剤が入った軟膏外用剤なので、ひょうそが生じている皮膚表面の雑菌の繁殖を抑える効果が期待できます。
ただし皮膚の中の菌を殺すまでの効果はありません。
抗菌成分入りの市販薬を選ぼう
爪に膿ができたときは、「ポリミキシンB硫酸塩」や「オキシテトラサイクリン」などの抗菌成分が含まれた市販薬がおすすめです。
抗菌薬入りの軟膏を使用する際は、1日1回~数回程度、患部に適量を塗る、もしくはガーゼでのばして貼るとよいでしょう。
ひょうその原因となる細菌の発育を抑制したり、殺菌したりして、症状の改善につながります。
薬を使う前に確認すること
- 炎症が広範囲にわたっている
- 深い傷になっている
- 他の病気の治療中である
- アレルギー反応を起こしたことがある
といった場合は、使用する前に医師か薬剤師に相談しましょう。
自分で膿抜きするのはNG!
ひょうそで膿が出ていた場合、自分で無理に膿を抜く・押し出すのはやめましょう。
炎症が進行するおそれがあるので、病院で適切な処置を受けてください。
一般的な処置であれば保険が適用され、治療費は1,500~3,000円程度と考えられます。
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
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2020-10-06
爪に膿がたまった…!
それはもしかすると、化膿性爪囲炎かもしれません。
原因や対処法、市販薬の選び方など
化膿性爪囲炎についてお医者さんにおうかがいしました。
なにこれ?爪に膿が…!
爪のまわりや、爪の中に膿がたまっています。これは何でしょうか…?
傷から細菌などに感染した、化膿性爪囲炎(かのうせいそういえん)と考えられます。
爪の周りにささくれなどの傷ができると、その傷から黄色ブドウ球菌やレンサ球菌が入り、爪囲炎(爪周囲炎)を起こします。
爪囲炎は、数時間から数日かけて爪の周りの痛み、赤みや腫れを起こします。炎症が進行すると、爪のまわりに膿が溜まって黄色くなり、ズキズキとした痛みも生じるようになります。
爪の根もとに向かって化膿が進み、爪の下に膿がたまるケースもあります。
症状が悪化すると…
感染が指の腹側までおよぶと、ひょう疽(瘭疽)が起こります。指の深い部分にまで感染が進むと、感染性の屈筋腱腱鞘滑膜炎、骨髄炎を起こすことがあります。
化膿性爪囲炎になってしまう原因
ささくれ
深爪
爪のまわりの皮膚の傷
陥入爪(巻き爪)
爪上皮(甘皮)の消失
指や爪を噛むくせ
水や洗剤などの慢性的な刺激による肌荒れ
間違いやすい別の病気に注意!
有棘細胞癌(ゆうきょくさいぼうがん)や壊疽性膿皮症(えそせいのうひしょう)などの皮膚疾患は、爪囲炎に似た症状を引き起こすことがあります。
有棘細胞癌:比較的大きく、ふぞろいな形の皮膚の盛り上がり(紅色)ができ、皮膚の表面にびらん※や潰瘍があります。出血しやすく、つまむとしこりのようなものに触れます。
※びらん:皮膚などの表面がただれて欠損すること。
壊疽性膿皮症:吹き出物や虫刺されに似た赤い皮膚の盛り上がりや水疱ができ、それらが破れると、びらんや潰瘍になって急速に広がります。強い痛みがあります。いくつかのびらんや潰瘍が合わさって、より大きなものになることもあります。
化膿性爪囲炎の対処法
指先を清潔に保ち、爪先の保湿をしましょう。
保湿には、白色ワセリン、ヘパリン類似物質、尿素配合保湿剤などの保湿剤を使用してください。
深爪が原因の場合は、爪を短く切りすぎないようにしてください。爪のはしを四角くなるように切ると、爪が食い込みにくくなります。また、爪切りは清潔なものを使用してください。
爪や指をかむ癖がある場合は、直してください。水仕事は、ゴム手袋を使用しましょう。
市販薬は何を使えばいい?
爪に膿ができたときは、テラマイシン軟膏を使いましょう。
テラマイシン軟膏には、オキシテトラサイクリン塩酸塩、ポリミキシンB硫酸塩などの抗菌成分が含まれています。
使用方法
使用方法は、1日1~数回、炎症を起こしている部分に適量を塗る、もしくはガーゼなどにのばして貼りつけます。
使用するときの注意点
製品の含有成分や構成物質にアレルギー反応を起こしたことがある、傷が深い場合は使用できません。
病気の治療中、薬によるアレルギーを起こしたことがある、炎症が広範囲という場合は、使用する前に、医師や薬剤師に確認してください。
発疹・発赤やかゆみなどがあらわれたら、副作用の可能性があります。すぐに使用をやめて、医師や薬剤師に相談してください。
また、5~6日使用しても症状が改善されない場合も、医師や薬剤師に相談しましょう。自己判断での長期使用はやめましょう。
こんな状態は病院へ!
次のような場合は病院を受診してください。
市販薬を5~6日使用しても改善しない
炎症が広範囲にわたっている
痛みが強く生活に支障をきたしている
感染がひろがっている、感染性の屈筋腱腱鞘滑膜炎を起こしているなどの可能性があります。また、爪囲炎に似た症状を引き起こす他の病気の可能性も考えられます。
炎症があまりにもひどいときは、爪を抜く処置が必要になることがあります。早期に受診してください。
また、基礎疾患がある方は、爪だけでなく、全身に感染が広がることがあります。特に糖尿病で足えそや末梢循環障害がある方は、爪の処置を間違えると難治性潰瘍になり、最悪の場合、切断する可能性もあるので、注意が必要です。
病院は何科?
皮膚科や形成外科、整形外科を受診しましょう。
皮膚科を探す
▼参考
公益社団法人 日本整形外科学会 「爪周囲炎」
MSDマニュアルプロフェッショナル版 急性爪周囲炎
国立がん研究センター がん情報サービス 有棘細胞がん(ゆうきょくさいぼうがん)
MSDマニュアル家庭版 壊疽性膿皮症
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2023-02-28
ひょうそで指を切断することってあるの?
ひょうそが悪化すると指を切断するケースがあるのかどうか、お医者さんに聞いてみました。
放置すると危険な状態も紹介するので、心当たりがないかチェックしましょう。
「ひょうそが原因で指を切断することがある」ってホント?
ひょうそが原因で指を切断することがあるって本当でしょうか?
本当です。
稀なケースですが、ひょうその症状が急速に進行して、黒色壊死状態(黒くなり壊死してしまう状態)になった場合、指を切断することがあります。
ひょうそを放置して悪化した場合や、抗菌薬が効きにくい菌に感染した場合、黒色壊死状態に陥いることがあります。
こんな症状は病院へ!放置すると…
患部に痛みがある
患部が赤く腫れている
爪の根本を覆う部分(後爪郭)が腫れている
膿が出ている
ひょうそで上記のような状態の人は、皮膚科を受診しましょう。
治療せずに放置すると、症状が悪化して指先の皮下組織を大きく欠損したり、「骨髄炎」や「リンパ節炎」を起こすリスクもあります。
特に、膿が出ている状態は症状が悪化しているサインです。そのままさらに悪化すると、皮膚の深い部分まで感染が広がり、血行障害・神経障害などを起こします。
溜まった膿が皮膚内を圧迫して痛みが強くなることもあります。
初期段階のひょうそは市販薬で対応可能な場合も
ひょうそは、ごく初期段階でケアを行えば市販薬で改善するケースもあります。
軽度のひょうそですぐに病院に行けない場合は、できるだけ早く患部を消毒し、絆創膏やガーゼで患部を保護しましょう。
▼初期段階のひょうそに有効な市販薬の例
オロナイン軟膏
イソジン消毒薬
テラマイシン軟膏
ドルマイシン軟膏
病院で行われるひょうその治療法
ひょうその主な治療方法は、薬物療法と排膿処理です。
薬物療法では消毒を行ったり、「抗菌薬」「鎮痛剤」「点滴治療」「外用薬」などを使用したりします。
また、奥まで膿が溜まっている場合、局所麻酔を行い、メスで切開して患部の膿を取り出します。
ひょうそは何日くらいで治る?
軽度のひょうそであれば、7日~10日程度で改善するケースが多いでしょう。
膿が溜まっていて、病院で切開治療を受けた場合は、2週間の局所安静が必要です。
なお、ひょうそが重症化して、炎症が骨付近まで広がっている場合は、1ヶ月ほどかかるケースが多いです。
早めに病院で治療を受けるメリット
病院を受診することで、市販では買えない抗菌薬を処方してもらえるので、早期改善につながります。
また、ひょうそは自然治癒するケースが少ないです。
重篤な状態に発展するリスクを回避できる可能性もあるので、なるべく早く病院で相談しましょう。
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
公益社団法人 鳥取県医師会 【15)皮膚 等】 2)治りにくいひょうそ