不妊治療を受けてみたいけど、費用はどのくらいかかるの?
不妊治療に必要な平均的な費用を、お医者さんに聞きました。
保険適用の治療や、国から助成金が出る治療についても解説します。
※2022年4月からは不妊治療の標準治療が保険適応になりました。
本文は不妊治療が保険適応以前の記事です。
監修者
経歴
医療法人社団 石野医院
日本医科大学
日本医科大学付属病院
日本医科大付属第二病院
国立横須賀病院
東部地域病院
石野医院
不妊治療の初診の費用はどのくらい?
不妊治療の初診は保険適用ですか?
現在は保険適用外です。(2021年3月現在)
不妊治療の初診料はどのくらいかかる?
初診料は平均2,000~3,000円が一般的です。
各医療機関によって違うので、事前に電話等で問い合わせておくといいでしょう
初めて受診する場合、初診料以外にも費用はかかる?
初診料に各種検査費用が入るため、10,000円〜20,000円ほど加算されると想定しておくとよいでしょう。
※各医療機関によって、料金には差があります。
また、選択する治療などによっても、料金は上下します。
不妊治療の方法
不妊治療の方法は「タイミング法」「人工授精」「体外受精」「男性の不妊治療」などがあります。
それぞれの治療方法と費用について、それぞれ詳しく解説していきます。
①「タイミング法」の費用
タイミング法の場合、検査回数や検査内容など個人差がありますが、一回につき数千円となります。
超音波検査によって排卵日を予測し、その時期に合わせて性交渉するよう指導します。
タイミング法は保険適用になる?
初診の「超音波検査」のみ保険が適用され、それ以降は自費となります。
タイミング法は国や自治体による助成の対象なる?
通常は、補助の対象となります。
タイミング法での年間の治療費
卵胞の発育状態によって異なりますが、通常月1回の受診が基本になります。
検査や薬の処方のなどの費用を含め、トータル数万円程かかります。
②人工授精の費用
人工授精での治療は一回につき2~4万円程度の設定の病院が多いです。
事前に採取した精子を、排卵のタイミングに合わせて女性の体内に直接注入します。
タイミング法で妊娠しなかったカップルが次の段階として、人工授精を行うことが多いです。
人工授精の呼び方の違い
人工授精は精子を注入する場所によりそれぞれ呼び方が異なります。
- 精子を子宮腔内に直接注入する「人工授精」
- 精子を子宮頸管に注入する「子宮頸管内人工授精」
- 精子を卵管内に注入する「卵管内人工授精」
- 腟から腹腔内(ダグラス窩)に精子を注入する「腹腔内人工授精」
人工授精の中でも「卵管内人工授精」は精子が卵管の端まで届きやすいことから、妊娠の確率が高くなると言われています。
人工授精は保険適用になる?
人工授精は保険適用外です。
人工授精は国や自治体による助成の対象なる?
一部、補助となる場合が多いです。
各地方自治体によっても異なるので、お住まいの市役所に問い合わせるといいでしょう。
人工授精での年間の治療費
個人差はありますが、平均して月に2回程度の受診が必要になります。
診察や検査、薬の処方のなどの費用を含めると、トータルで10万円程かかります。
回数が増えれば金額も増えます。
③体外受精の費用
年齢や卵子・精子の状態によって費用は上下しますが、一回につき20~30万程度かかります。
体外に取り出した卵子を精子と受精させ、子宮に戻して着床を促します。
例:体外受精でしか妊娠できないと判断された方、タイミング法や人工授精で妊娠しなかったカップルが次の段階として体外授精を行うことが多いです。
体外授精は保険適用になる?
体外受精は、保険適用外です。
体外受精は国や自治体による助成の対象なる?
通常、助成の対象となります。
回数や金額は各自治体によって異なるので、お住まいの市役所に問い合わせるといいでしょう。
体外受精での年間の治療費
個人差はありますが、平均して月に3回程度の受診が必要になります。
診察や検査、薬の処方のなどの費用を含めると、トータルで30万円程かかります。
回数が増えれば金額も増えます。
④男性の不妊治療の費用
検査代金を入れると一回につき5万円程度かかる場合が多いです。
まず精子や精巣の状態を検査し、不妊の原因を調べます。
その後、原因に合わせて生活指導を行ったり、薬を処方したりします。
精巣の上にある「精索部」などに異常があれば、手術する場合もあります。
男性の不妊治療は保険適用になる?
治療内容になって異なり、保険適用とそうでないものがあります。
保険適用になる治療方法
- 薬物療法(漢方等)
- 手術療法(精索静脈瘤に対する結紮術や閉塞性無精子症に対する精路再建術等)
保険適用にならない治療方法
- 顕微鏡下精巣内精子回収法(MD-TESE)
- 手術用顕微鏡を用いて精巣内より精子を回収する方法 など
男性の不妊治療は国や自治体による助成の対象なる?
精密検査の結果により、補助を受けられる場合があります。
男性の不妊治療での年間の治療費
不妊の原因によって異なりますが、平均すると月に2回程度の受診が必要です。
診察・検査・薬の処方のなどの費用を含めると、トータルで10万円〜20万円程かかります。
手術料やそれに伴う検査料・処方料など含めると、15万円~40万円程加算されます。
まずは婦人科を受診して相談を
不妊治療は、不妊の原因や程度によって経済的負担が異なります。
不妊にお悩みの場合は早めに一度病院で検査を受け、医師と相談しながら、ご自身の状況に合わせた解決法を探してみると良いでしょう。
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本文は不妊治療が保険適応以前の記事です。
不妊治療はいつから始めるべき?
不妊治療を受けるべきか迷っています…。
どのくらい妊娠しなかったら受けたらいいでしょうか?
定期的な性交渉を行っても3か月以上妊娠しない場合は、一度病院で相談してみることをおすすめします。
まだ若いけど…不妊治療を受けた方がいい?
20代でも、不妊治療を受けた方がいいのでしょうか?
望んでいてもなかなか妊娠しない場合は、早期治療をおすすめします。
一般的に、不妊治療によって妊娠する確率は20代が一番高く、30代・40代と年齢を重ねるごとに確率は低くなっていきます。
産後・二人目の場合は?
性交渉を3ヶ月程度続けても妊娠しない場合は、一度検査をお勧めします。
産後の2回目の生理以降から、妊娠するように性交渉を行ってください。
流産の後は?
生理再開後に治療を開始できます。
体の調子や精神が落ち着いてから行いましょう。
初診のタイミングは?
不妊治療の初診は、生理周期のどのタイミングで行くべきでしょうか?
特にいつがいいという時期はありません。
あなたの心の準備が整ったタイミングで受診してください。
生理中は避けた方がいい?
生理中は受診を避けた方がよろしいのでしょうか?
生理中でも生理後でも構いません。初診時はカウンセリングと治療や検査のスケジュールを立てていきます。
不妊治療は予約制をとっていることが多いので、電話やネットで確認・ご予約してから行きましょう。
婦人科を探す
どんな検査を受けるの?
不妊治療では、まず問診で「生理周期」や「性交渉の頻度」などを確認します。
その後、必要に応じて「超音波検査」「エコー検査」「血液検査」等を行い、患者さんに合わせた治療法を提案します。
治療方法は?
不妊治療には
タイミング法
人工授精
体外受精
顕微鏡受精
薬物療法(男性)
手術療法(精索静脈瘤に対する結紮術や閉塞性無精子症に対する精路再建術)(男性)
などがあります。
タイミング法
排卵のタイミングを病院で確認し、妊娠確率が高い日に性交渉を行うように指導します。
人工授精
採取した精子を人工的に女性側の体内に入れる方法です。
体外受精
事前に採取した卵子と精子を体外で受精させ、子宮に戻す方法です。
顕微鏡受精
体外受精の一つで、卵子に注射針等で精子を注入させるなど人工的に受精させます。
その後、受精卵を子宮に戻し、妊娠を目指します。
薬物療法(男性)
海馬補腎丸や補中益気湯などの漢方薬の服薬を行います。
精索静脈瘤に対する結紮術や精路再建術(男性)
精索静脈瘤に対する結紮術は、精巣やその上の精索部に静脈の拡張がある場合に、腹部横切開をして精巣静脈の血管をしばって血行を止める方法。
精路再建術は精管閉塞部を手術用顕微鏡を使用して再吻合する手術です。
治療法によっては、保険適用のものや助成金がもらえるものもあります。
通院の頻度は?
不妊治療の通院回数は、その人に必要な検査や治療によっても異なりますが、平均して月2回程度は受診が必要になると考えておいてください。
年齢や体調、仕事の状況によって、通院回数や治療期間は変わってきます。
通院頻度を含む不安なことは、初診時にお医者さんに聞いてみてください。
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▼参考
厚生労働省 不妊治療と仕事の両立サポートハンドブック
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