もし身近な人がインフルエンザに感染して看病するとしたら、どんな食事を用意するのが良いのでしょうか?
さらに、解熱後はどんな食事にしていけば良いのかも気になりますよね。
この記事では、インフルエンザに感染しているときにおすすめの食事はもちろん、インフルエンザにかからないための予防レシピもご紹介いたします。
監修者
経歴
株式会社Luce代表/健康検定協会理事長、山野美容芸術短期大学講師、服部栄養専門学校特別講師、日本臨床栄養協会評議員、ダイエット指導士、ヨガ講師、サプリメント・ビタミンアドバイザーなど栄養・美容学の分野で活動をおこなっている。
インフルエンザに感染した際の食事
インフルエンザの症状が出ているとき
インフルエンザで高熱が出ている場合、通常よりも多くの水分が体外に排出されてしまうため、こまめに水分補給をする必要があります。
水、麦茶、イオン飲料などをこまめに摂りましょう。もし、あまり水分がとれない、脱水がみられるなどのときには経口補水液がおすすめです。
食欲がないときは無理に食べなくてOK
高熱や倦怠感等の症状があり、あまり食べたくない場合には、無理をして食べることはなく、食べたいと思うときに食べられるものを摂るようにしてください。
食べやすいものとしては、ゼリー、ヨーグルト、プリン、おかゆ、雑炊、野菜スープ、よく煮て柔らかくしたうどん等、口当たりや消化のよいものが挙げられます。
解熱後、回復しはじめたとき
回復し始めのころは、まだ胃腸も全快ではありません。胃腸に負担を掛けないように、できるだけ消化の良いものを食べるようにしてください。
おすすめは、具材として野菜、卵、豚肉などをよく煮込んだ雑炊やスープです。
緑黄色野菜(ほうれん草、ニンジン、ブロッコリー等)、卵、豚肉には、免疫力を高めるために必要なビタミンB群、ビタミンC、たんぱく質が多く含まれています。
雑炊もスープも、水分を多く含むため、水分補給にもなります。
<脂肪分・刺激の少ないものを選んで>
この時期には、湯豆腐、茶わん蒸し、白身魚の煮物等、油がすくなくあっさりした料理がおすすめです。
体調が回復してきてすぐの段階は、まだ体力が低下している状態のため、脂肪分や刺激が少ないものを摂るようにしてください。
症状の回復に合わせて、徐々に通常の食事内容に戻していくようにしてください。
脂肪分や刺激が強いものに加えて、アルコールやカフェインの多いコーヒー、紅茶、そして炭酸飲料なども、胃腸に負担を掛けやすいので、控えるようにします。
子どもにおすすめの食事
高熱で食欲がない場合、脱水症状を予防するためにこまめな水分補給が必要です。
麦茶、こども用イオン飲料、経口補水液、薄くした果汁、野菜スープのスープのみ等がおすすめです。
体調が快方に向かい、食欲が出てきた場合、果物ゼリー、すりおろしたりんご、プリン、ヨーグルト、おかゆ、くたくたに煮たうどんなど、消化と喉ごしの良い柔らかい食べ物をあげるようにしてください。
胃腸に負担を掛けずに、必要な栄養分を摂取できるようにします。
インフルエンザ予防におすすめの食事は?
インフルエンザにできるだけかからないためには日頃からの食事管理が大切です。
- たんぱく質
体づくりに大切なたんぱく質は、免疫力や抵抗力を向上させたり、ウイルスや細菌を除去したりする働きをもつ栄養素です。
魚類(特に鮭、いわし、マグロ、アジ等)、卵、肉類、納豆、豆腐(大豆製品)、牛乳、バナナ等に多く含まれています。
上記の食材を2種以上組み合わせて使用すると、効率的にたんぱく質を摂取できると考えられています。
雑炊や茶わん蒸し、煮込みうどん等の材料に使うのがおすすめです。
- ビタミンB1
疲労回復を促進する働きがあります。
特に豚肉には豊富に含まれているので、雑炊やうどん等の食材として使用するのがおすすめです。
- ビタミンC
体の中に侵入したウイルスを撃退する、寒さへの抵抗力をつける、免疫力を高めるなどの働きをもつ抗酸化性のビタミンです。また、発熱時は消耗しやすいビタミンでもあるので、積極的に取り入れたい栄養素です。
ほうれん草、ブロッコリー、キャベツ、ジャガイモ、いちご、キウイ、みかん等に多く含まれています。
柔らかく煮てスープにしたり、雑炊やうどんと共に煮込んだりして食べるのがおすすめです。デザートや間食に果物を食べるのも良いですね。
- ビタミンA
のどや鼻の粘膜を正常な状態に保つ働きをもつビタミンです。
卵、乳製品(ヨーグルト、牛乳)、レバー、ウナギ等に多く含まれています。
- ビタミンD
バリア機能を高め、免疫を調節したり、アレルギー症状を改善したりする働きがあります。
近年、インフルエンザはもちろん、風邪や気管支炎や肺炎などの発症や悪化の予防に働きかけることがわかり、注目の栄養素です。
きくらげやしいたけなどのキノコ類や鮭やいわしなどの魚類に多く含まれています。
上記の栄養素を効率的に摂取できるおすすめの食事として豚汁が挙げられます。
豚肉、野菜、キノコ類、豆腐等を組み合わせて摂ることができます。
インフルエンザ予防におすすめのレシピ
豚汁
(材料 4人前)
豚ロース薄切り肉 150g(一口大に切る)
ニンジン 1/2本
里芋またはじゃがいも 2個
大根 200g
ごぼう 1/2本(ささがきにして水にさらす)
長ネギ 小口切り適量
だし汁 5カップ分
酒 大1
味噌 大3〜4程度
醤油、みりん 少々
ごま油 少々
(作り方)
① 野菜を食べやすい大きさに切る。
② 鍋にごま油を入れて豚肉を炒める。
③ ②に野菜を加えて炒め合わせる。
⑤ ③にだし汁、醤油、みりんを入れて具材に火が通るまで煮る。
⑤ 灰汁をとってから火を止めて味噌を溶かし入れる。
⑥ ひと煮立ちする。
納豆の雑炊
(材料 2人前)
ごはん 200g
納豆 2パック
きのこ 1/2袋分
★合わせ調味料
だし汁 3カップ
酒 大1
みりん 大2
醤油 小2
塩 小1/4
こしょう 少々
(作り方)
① ごはんを流水で洗いぬめりをとってざる等にあげておく。
きのこは食べやすい大きさに切る。
② 合わせ調味料を鍋に入れて煮立て、きのこも入れて軽く煮る。
③ 粘りが出るくらいまで混ぜた納豆(添付のたれとからしも入れる)を②に加える。
④ ごはんを加えてひと煮立ちする。
野菜たっぷりスープ
(材料)
ニンジン 1本
ジャガイモ 1個
キャベツ 1/4個
玉ねぎ 1個
ピーマン 1個
ツナ缶 1缶
ニンニク 1かけ分
しょうが 1かけ分
塩、こしょう 少々
コンソメ 固形1〜2個
オリーブオイル 適量
(作り方)
① ニンニクをみじん切りにし、しょうがをすりおろし、各野菜は1cm程度の大きさに切る。
② ①とツナを鍋に入れて、オリーブオイルで炒める。
③ 野菜がしんなりしてきたら、水600mlとコンソメを入れて野菜に火が通るまで煮る。
④ 塩、こしょうで味を調える。
上記のレシピは全て、溶き卵を加えたり、いろいろな緑黄色野菜を入れたりとアレンジしやすいので、ぜひ作って、元気な体づくりに役立ててください。
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2019-11-26
インフルエンザがうつる期間はいつからいつまでなのでしょうか?
「インフルエンザの症状がだいぶ落ち着いたからもう人に会っても大丈夫!」
こんな風に、自己判断をしてしまうのはとても危険です。
この記事では、インフルエンザウイルスが感染力を持つ期間、また、A型とB型ではうつる期間に違いがあるのかについて、詳しく解説します。
インフルエンザがうつる期間
インフルエンザが人にうつるのはいつからいつまで?
インフルエンザウイルスを含んだ咳やくしゃみに触れ、そのウイルスが鼻や口から侵入して感染します。
症状が現れるまでは平均1日程度空くのですが、実はインフルエンザウイルスは、感染したらすぐに体内で爆発的に増え、感染力を発揮します。一般的に潜伏期間と呼ばれる期間にも感染する力を持っているので、感染を防ぐためには感染者が出てから気をつけるのではなく、インフルエンザ流行期の秋〜春先までは常に気をつけている必要があるのです。
一番感染力が強いタイミングは…
症状が現れて一気に体調が悪くなっていく時が、感染力が最も強いと考えられます。
インフルエンザを発症すると、急激に全身の悪寒・関節痛や筋肉痛・喉の痛み・発熱など症状が現れます。
その後3日間程度、38度を超えるような高熱が出ます。
このタイミングが最も感染のリスクが高いです。
うつる期間はインフルエンザA型・B型も同じ
どちらも同様に潜伏期間から感染力があります。
その後、症状が重く出る数日間が感染力も強くなります。
薬で感染力は弱まるの?
「ゾフルーザ」と「タミフル」のウイルス排出時間の違い
インフルエンザの薬は、体の中からインフルエンザウイルスを排出して早い体調の快方が期待できます。
現在の研究では、インフルエンザの発症後に薬を服用した場合、体からインフルエンザウイルスの排出が始まるのが最も早いのが「ゾフルーザ」の約24時間後からで、「タミフル」は約72時間後からでした。
ゾフルーザの方が今までの薬よりも早くウイルスを排出させてくれるので、感染期間も平均48時間ほど短くできるということになります。
また、ゾフルーザは細胞内で増殖したインフルエンザウイルスの拡散をさせないという今までの薬の働きとは大きく異なり、細胞内でのインフルエンザウイルスの増殖を抑えてしまうので、さらに早い快方が期待できる場合があります。
うつる確率|潜伏期間、発症後、回復期
インフルエンザウイルスに感染する確率は、感染する人の年齢や体力、体質、部屋の大きさや湿度など、様々な状況によって変わります。
そのため、うつる確率を数字で解説するのは難しいですが、感染する可能性が高い順に並べると、下記となります。
① 発症後
② 潜伏期間
③ 回復期
インフルエンザの感染率は発症の1日前から上昇するので、潜伏期間の方が回復期より感染しやすいということになります。
感染率を下げる方法
インフルエンザウイルスは、くしゃみや咳の場合、2メートル範囲内にいるとウイルスを含んだ唾液が飛び、感染しやすくなります。
感染者とは2メートル以上の距離を取るようにしましょう。
2メートル以上離れていても、密閉された空間では空気中をウイルスが飛び回り空気感染しやすくなります。
職場や家庭内でも定期的な換気が感染率を下げる方法と言えるでしょう。
出席・出勤停止期間を過ぎても人にうつる可能性は?
インフルエンザウイルスは、発熱がおさまっても2日程度はうつす可能性があります。(幼児は、3日間)
出席停止期間は、発熱がおさまってから2日間を確認して、解除されます。
そのため、感染力はなくなっていると考えられます。
家族・周りの人にうつさないように気をつけること
インフルエンザウイルスの症状を感じたらすぐに病院を受診しましょう。
インフルエンザの薬は、発病から48時間以内に使用した場合に働きを発揮します。
なるべく部屋から出ないようにして、無理に会社や学校へ行かないようにしてください。家の中でもマスクを着用し、他の家族への感染を食い止めましょう。
また、うがい手洗いを忘れずに行い、触ったものにウイルスが付着するのを少しでも減らしましょう。
内科を探す
小児科を探す
まとめ
インフルエンザウイルスは、発症前から感染力があり、さらに熱が下がった後も2日間ほど感染力をもちます。家族間での感染を抑えるためにも早い段階で受診しましょう。
<参考>
https://www.fnn.jp/posts/00385580HDK
(FNNPRIME 1回飲めばOK インフルエンザに注目の新薬登場)
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2019-10-28
インフルエンザを発症したとき、風邪薬を服用しても良いのでしょうか。
「風邪だと思って市販の風邪薬を飲んだけど、実はインフルエンザだった!」「インフルエンザに風邪薬は効くの?効かないの?」
こういった疑問に薬剤師がお答えします。
インフルエンザ発症時に風邪薬を飲んでしまった場合のリスクや対処法もご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
インフルエンザのとき、風邪薬を飲んでも良い?
そもそもインフルエンザに風邪薬は効くの?
インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染すると発症します。比較的ゆっくりと進行する風邪とは異なり、急激に症状が進行します。発熱も40度を超える高熱となる場合が多く、全身痛、筋肉痛、関節痛、強い咳が現れます。風邪のような鼻水やくしゃみと言った症状は、初期ではなく後期に発症する場合が多くなります。
風邪薬は、総合感冒薬といい、風邪の時の対症療法に使用されるもので、風邪のウイルスそのものを殺すような作用はありませんが、インフルエンザの時に使用すると咳の緩和や解熱の働きを果たす場合もあります。しかし、インフルエンザの時に風邪薬や市販の薬の使用は避けていただくようにしています。理由は、次の項目で詳しく説明します。
風邪薬を飲まない方が良い理由
市販の風邪薬や解熱剤含まれているアセチルサリチル酸は、インフルエンザ脳症を引き起こす危険があるとわかっています。
加えて、特に鎮痛剤の中でも働きの強いジクロフェナクやメフェナム酸は、インフルエンザ発症者への使用は禁止とされています。こちらの成分もまた、インフルエンザ脳症を引き起こす場合があるからです。
インフルエンザ脳症は、異常行動や、痙攣、意識障害が起こり最悪の場合、死亡します。安易に市販薬を飲むとこれらの成分が含まれており、取り返しのつかない症状を発症してしまう恐れがあるのです。
解熱鎮痛剤を使う場合は必ず薬剤師に相談を!
家にある解熱鎮痛剤を使うときでも、自己判断せずに、医師や薬剤師にまずは、相談しましょう。
インフルエンザ脳症は大人も罹患しますが、子どもの方が罹患リスクが高いので、特に注意が必要です。
風邪薬を飲んでしまったときの対処法
インフルエンザなのに、市販のお薬を自己判断で飲んでしまった場合は、まず、早急に病院を受診しましょう。体調に異変はないか、おかしな症状がないかを確認し、インフルエンザ脳症の可能性がある症状が現れた場合にすぐに対応できるようにします。
自己判断はNG!必ず病院へ
インフルエンザは、通常の風邪よりも重度の症状が現れやすく、小さなお子さんや高齢者、妊婦などの免疫が低い人が感染すると重症化しやすいので、インフルエンザが疑われる症状が現れた場合は、すぐに病院を受診してください。自己判断で、家にある風邪薬を服用するのは避けましょう。
内科を探す
小児科を探す
ワクチンで予防&重症化を避けよう
インフルエンザは、予防することも大事です。インフルエンザワクチンを接種して、重症化を避けましょう。特に小さなお子さんは、インフルエンザで脳症を発症する可能性が高いので、予防接種は是非受けるようにしてください。
(参考URL)
東京都福祉保健局 東京都こども医療ガイド
http://www.guide.metro.tokyo.jp/sick/inful/index.html
一般財団法人海外邦人医療基金
https://jomf.or.jp/include/disp_text.html?type=n100&file=2005020104
SGホールディングスグループ健康保険組合
https://www.kenpo.gr.jp/sgh/contents/03hoken/influenza/04.html