耳の中にかさぶたができたけど、どうすればいい?
かさぶたが治らなくて気になる…。
かさぶたができる原因をお医者さんに聞いてみました。
「かさぶたを剥いでしまったけど、大丈夫?」「痛みや血がある時は病院に行った方がいい?」といった疑問にもお答えします。
なぜ?耳の中に「かさぶた」ができる原因
耳の中は、皮膚が薄いため、傷がつきやすいです。
そのため、
- 強く耳掃除をして傷つけた
- パーマ液などの薬品の刺激
- お風呂や水泳などで耳に水が入る
といった原因で、皮膚が傷ついて出血し、かさぶたができてしまいます。
また、耳かきや補聴器、イヤホンなどで、耳垢を耳の奥に押し込んでしまうことが原因になるケースもあります。
耳の奥に溜まった耳垢は、お風呂などで耳に入った水を保持しやすく、耳の中の皮膚がふやけます。その結果、傷つきやすくなって出血のリスクが高まります。
耳の中にかさぶたができやすい人
- 毎日耳かきをする
- 水泳などを習慣的にしており、耳に水が入る頻度が高い
- イヤホンや補聴器を日常的に使用している
本来、耳の中には自浄作用があり、耳垢は自然に耳の外側へ排出されます。
しかし、毎日耳かきをしていると、この自浄作用を妨害して、外耳道を傷つける可能性が高まります。
また、イヤホンや補聴器を長期間使用していると耳の中が蒸れやすくなるので、注意が必要です。
耳の中のかさぶたは自然治癒する?
耳のかさぶたは、軽度であれば治療しなくても2〜3日ほどで自然に治ります。
ただし…
- 耳からニオイのある液が垂れてくる
- かゆみが治らない
- 音が聞こえにくい
- 耳から血が出る
上記のような症状がある場合は、「耳の病気」になっている可能性があります。
耳の病気は早めに治療することが重要です。早急に病院に行きましょう。
耳鼻いんこう科を受診してください。
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かさぶたを剥がすのはNG!
かさぶたを剥がすと傷口が大きくなり、回復が遅くなってしまうため、かさぶたは剥がさないようにしましょう。
かさぶたには、傷口を乾燥や刺激から保護する役割があります。
傷口が治癒する過程でかゆみが出ることがあります。ただし、搔いてしまってはよくありません。
かさぶたを剥ぐ行為を繰り返していると、外耳道真菌症や外耳炎へと症状が進行する可能性もあります。
市販薬は使ってもいい?
基本的には、耳の中にできたかさぶたに薬を塗る必要はありません。
しかし、かゆみが強く出る場合は、耳の中を掻きむしってしまい、症状が悪化することがあります。
その場合は、市販薬で対処してもよいでしょう。
耳の中に使用する薬は、
の2種類があります。
市販薬① 点耳タイプの薬
点耳タイプは、耳の中に薬液を入れるので耳の奥の痒みにも対応できます。
現在、市販薬では「パピナリン」が、かゆみ止めの点耳薬として日本で唯一承認されています。
綿棒が8本、スポイトが1本付属しており、症状によって使い分けることが可能です。
鎮痛成分と殺菌成分が配合されており、かゆみだけでなく痛みや耳漏などの症状も緩和します。
市販薬② 皮膚に塗るタイプの薬
塗るタイプの市販薬の「メンソレータムメディックE」は、綿棒を使って耳の中の皮膚に塗ることが可能です。
かゆみ止めと殺菌成分に加え、炎症を抑えるステロイドも配合されています。そのため、炎症を起こしている場合にも対応できます。
かゆみを抑える市販薬を選びたいときは…
かゆみを抑えるためには、抗ヒスタミン成分とステロイドの成分が入ったものを選ぶとよいでしょう。
市販薬の例
- ジフェンヒドラミン(抗ヒスタミン成分配合)
- プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル(ステロイド外用剤)
抗ヒスタミン成分は、ステロイドと比べると炎症を抑える効果が少ないです。
そのため、赤くなっていたり、かゆみが強かったりする場合は、ステロイドが配合されているものを選んだ方がいいでしょう。
※市販薬は、薬剤師に相談してから使用するようにしましょう。
「臭い」「出血と激しい痛み」を伴う場合はすぐ病院へ!
耳が「臭い」場合は…
耳の中のかさぶたができて臭い場合や、臭い液が出ている場合は、患部が膿んでいる可能性があります。
ニオイのあるかさぶたを放置すると、痛みが強くなってしまう恐れや、「耳だれ」や「難聴」にまで症状が進行することもあります。
治療が難しくなる可能性もあるため、早めに耳鼻いんこう科で受診しましょう。
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「出血と激しい痛み」がある場合は…
少量の出血があり、激しい痛みがある場合は、鼓膜が破れている可能性があります。
鼓膜が破れても多くの場合、自然治癒しますが、手術しなければならないケースもあります。
また、「ニオイを伴う出血」や「耳だれが混ざった血液」が出る場合は、外耳道炎や中耳炎など耳の病気を発症している可能性があります。
上記の症状が出ている場合には、耳鼻いんこう科で受診をしましょう。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
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2021-08-04
「耳の中にニキビができた…!」
「潰れてしまったけど大丈夫?」
ニキビの原因や何科で受診するべきかを、医師が解説します。
粉瘤やいぼなど病院での治療が必要な病気の可能性もあるので、要注意です。
なぜ?耳の中にニキビができる原因
耳の中にも毛穴・汗腺が存在するため、ニキビができることはよくあります。
耳の中が不衛生な状態になっている
ホルモンバランスが乱れている
耳の中に傷ができている
といった場合に、ニキビができやすくなります。
原因① 耳の中が不衛生な状態になっている
耳の中にホコリや耳垢などがたまると、それらが毛穴につまり皮脂が詰まって、ニキビを発症します。
耳の中が不衛生になる行動
入浴後やプール後に、耳の中や周りの水を拭き取っていない
何日も同じ寝具やタオルを使っている
汚れたイヤホンを使用している
原因② ホルモンバランスが乱れている
ホルモンバランスが乱れると、皮脂の分泌が増えます。
耳の中や耳の皮脂分泌も増えて、汚れが付着しやすくなりニキビの原因となります。
ホルモンバランスが乱れる要因
妊娠、出産
更年期
ストレス・疲労過多
不規則な生活(食事の乱れ・不眠など)
原因③ 耳の中に傷ができている
耳の中に傷ができていると、毛穴の傷口から細菌が入り込み、膿んでニキビになってしまう場合があります。
耳の中に傷ができる行動
耳かきのやりすぎ
綿棒以外のもので耳の中を引っ掻く(ペンや爪楊枝など)
痛い・かゆい!「耳ニキビの治し方」を教えて!
触らず、潰さず、様子を見ましょう。
顔のニキビと同じで、触ったり潰したりするのは悪化させる原因です。
痛みが強い場合は、医療機関で治療を受けましょう。
ニキビが潰れてしまったら…どうすれば?
潰れてしまっても、触らないでください。
そのままにしておけば自然治癒することが多いですが、触るとそこから細菌感染を起こし、症状が悪化する恐れがあります。
こんな症状は病院で相談を
痛みが強い
2、3日以上経過しても、症状が良くならない
何度も繰り返し耳の中にニキビができる
という場合は、医療機関で治療を受けましょう。
粉瘤など皮膚の病気が原因の場合、治療を受けなければ除去できないケースもあります。
気になる症状は一人で抱え込まず、医師に相談しましょう。
病院は何科?
耳の中のニキビができたときは、耳鼻いんこう科の受診をおすすめします。
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皮膚の病気が隠れているケースも…
耳の中のできものには、
粉瘤(アテローム)
いぼ(尋常性ユウゼイ)
ホクロ
といったニキビ以外の原因も考えられます。
病気① 粉瘤(アテローム)
発生原因は不明で、皮膚に袋状のしこりができ、皮脂や汗が溜まっている状態です。
中身が出ても、繰り返し同じように内容物がたまるので、何度も再発する場合は粉瘤が疑われます。
ニキビとは違って自然治癒しないため、医療機関で切開して直接袋を取り除くしか治療はできません。
できものの特徴
押すと中身が出て、悪臭を発生させます。
発症しやすい人
老若男女、誰にでもできる可能性があります。
病気② いぼ(尋常性ユウゼイ)
いぼは、ウイルス感染によって発症します。
ウイルスは傷口から侵入するケースが多いです。
できものの特徴
白っぽいものが多いです。
ぷくっと膨らむものや平べったいものがあります。
発症しやすい人
健康な皮膚には感染しにくく、傷口などから侵入して感染するので、耳をかく癖がある人に多いと言えます。
病気③ ホクロ
耳の中にもホクロはできます。
ホクロは、部分的な新陳代謝の異常などが影響して発生します。
大きなホクロが耳の中にできた場合、切除が必要になるケースもあります。
できものの特徴
茶色や黒色で盛り上がっていることが多いです。
発症しやすい人
誰でもできますが、加齢にともなって新陳代謝が衰えてくるとできやすいです。
放置は危険!傷跡が残ることも
放置して症状が悪化すると、皮膚がえぐれて傷痕が残ってしまう恐れがあります。
耳の中は湿気がこもりやすく、細菌感染を起こすと長引く傾向が強いです。
「耳の中にできものができたかも…」と思うときは早めに医療機関で治療を受け、悪化させないようにしましょう。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
公益社団法人日本皮膚科学会 ニキビ
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2020-01-06
「耳の中がゴロゴロ・カサカサする…」
「耳垢が取れそうで取れない!」
音がする原因や、耳垢が取れないときの対処法を医師が解説します。
外耳炎といったトラブルを招く場合もあるため、耳掃除のしすぎには注意しましょう。
何の音?耳の中でゴロゴロ・ガサカサ
耳の中でゴロゴロ、カサカサと音がする正体は、ほとんどの場合「耳垢」です。
耳を傾けたときに動く感覚がしたり、物を噛むとき、耳が動いたりするときに音を感じることもあります。
この場合、すでに皮膚からはがれた角質が、排出されずに穴の中でこすれていると考えられます。
耳垢は通常、一定の期間で皮膚からはがれるため、ある程度放っておいても外に排出されます。
しかし、取れなくなって溜まってしまう場合もあります。
この状態を「耳垢栓塞(みみあかせんそく)」と言います。
虫・鼓膜の傷のケースも
音がする原因には、虫が入ってしまった、耳かき・綿棒で鼓膜を傷つけてしまった、というケースも稀にあります。
耳垢トラブルが生じやすい人
耳かきの頻度が多い人
乾燥肌の人
新陳代謝がよく耳垢が出やすい人
アトピー体質の人
イヤホンを使う人
大音量で音楽を聴く人
などは耳への過剰な刺激が起こりやすいため、ゴロゴロ・ガサガサと違和感が生じやすいです。
イヤホンやヘッドホンを長時間使うと、外耳道の中が高温多湿となりカビがはえる「外耳道真菌炎」や、耳の細胞が傷つく「音響外傷」などで、耳鳴りのように聞こえることもあります。
耳垢が取れないとき…どう対処すればいい?
耳垢がゴロゴロ、カサカサする場合は、基本的に放っておいても大丈夫です。
しばらく、時間がかかっても外に排出されます。
耳かきや綿棒を使ってもいい?
あまりにも気になるという人は、耳かきや綿棒で取っても構いません。
ただし、耳掃除は耳の入り口までで十分です。
綿棒は、線がついているところまでを入れる程度に留めてください。
皮膚や耳の内部を傷つけてしまう可能性があるので、「耳垢が取れないから」と力を込めたり、綿棒・耳かきを奥まで入れたりするのは止めましょう。
気になる場合は綿棒で保湿を
どうしてもカサカサ音を抑えたいのであれば、綿棒にローションやクリーム をつけて、耳の中を保湿しましょう。
耳垢がしっとりした皮膚について、音が一時的になくなることがあります。
しっとりとしたテクスチャーのものや、ベビーオイルを使用するのがおすすめです。
サラサラとしたローションやクリームは耳の奥にたれる可能性があるので、控えましょう。
綿棒で保湿した後は、病院で耳垢を取ってもらいましょう。
無理に取ろうとすると、ケガをするので奥に入れすぎないようにしてください。
耳かき方法・頻度に気をつけよう!
耳掃除をしすぎると、過度の刺激によって外耳炎の発症を招きます。
耳垢がたまりやすい人は、週に1回程度、ローションやクリームを綿棒につけて耳掃除をしましょう。
耳垢が気にならない人は、月に1回程度でよいでしょう。
優しく撫でる程度の力加減で行いましょう。ゴシゴシこする必要はありません。
耳かき棒は、耳かき専用のものであれば大丈夫ですが、固すぎるものや耳を傷つけそうなものは避けてください。
鼓膜についた耳垢の取り方は?
鼓膜に耳垢がついている感じがして気になる場合は、医療機関を受診しましょう。
ご自身で取ろうと奥にまで耳かき・綿棒を入れると、鼓膜を傷つける危険性があります。
また、耳垢は通常前に出てくるものなので、自然に取れてしまうことも多くあります。
こんな場合は、耳鼻いんこう科へ!
耳の聞こえが悪くなる
痛みや耳垂れといった症状がある
などの症状がある場合は、「耳垢栓塞」「中耳炎」「外耳炎」の可能性があります。
早めに耳鼻いんこう科を受診しましょう。
\病気ではなくても、耳垢は病院で除去できます/
どうしても耳垢が気になる場合や、耳垢が大量に詰まっている場合は、きれいに取ってくれる医療機関で治療を受けましょう。
耳垢に関する治療は、耳鼻いんこう科を受診してください。
保険適用となり、1,000円~2,000円程度の支払いとなります。
事前に料金を問い合わせることも可能です。
治療の痛みに関しては、個人差はあるものの、一般的には痛みはありません。
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「耳垢栓塞」の可能性があるケース
カサカサの乾いた耳垢の人よりも、湿っぽいタイプの耳垢(湿性耳垢)の人の方がなりやすい傾向にあります。
遺伝により湿っぽい耳垢していると、耳垢の排出がなかなかスムーズにいかず、掃除をしないと固まってしまい発症します。
また、幼児や赤ちゃんも新陳代謝が良いので、耳垢が大量に出ることで耳垢栓塞になることがあります。
治療にかかる費用は?
費用は保険適用で1,000〜2,000円ほどかかります。
使う薬剤や処置方法、医療機関によっても変わるので、気になる場合は受診先に問い合わせてみましょう。
「中耳炎・外耳炎」の可能性があるケース
耳垂れが出ている場合は、中耳炎や外耳炎を発症している可能性があるので、早めに医療機関を受診しましょう。
中耳炎・外耳炎は、耳への刺激、カビ、アレルギーが原因で発症することが多いです。
リンパ組織が大きい人・鼻水をすする人・耳抜きをできない人に発症しやすい病気です。
治療にかかる費用は?
初期段階で治療した場合、保険適用で1回1,000〜2,000円ほどかかります。
治療には初めは週に2、3回、通院が数ヶ月必要な場合もあります。
また、重度の中耳炎と診断されて手術が必要になった場合、10万円ほどかかることもあります。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
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