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肩こりや捻挫、ちょっとした怪我をした時など、痛みを抑える時に活躍してくれる湿布薬。飲み薬の痛み止めとは違って気楽に使っている方も多いのではないでしょうか?でも、湿布薬には副作用はないの?
市販もされているため入手しやすく、使いやすい湿布薬だからこそ、きちんと正しく使えているのかあまり気にしないかもしれません。湿布薬を使っているけど、なかなか痛みが引かないなあ。ひょっとして使い方間違っていませんか?この記事では湿布薬の正しい使い方について、特にその効き目を発揮する時間に注目してまとめたいと思います。
薬剤師
山本 高大先生
広島大学医学部総合薬学科 卒業
広島大学大学院 修了
調剤薬局の薬剤師として勤務
チェーン薬局のエリアマネージャーとして勤務しながら学会発表、研修、看護学校講師などを務める
現在は在宅医療を中心として行う薬局で管理薬剤師として勤務、健康教室の講師などを通じて地域活動にも参加している。
湿布薬(湿布剤)は大きく3つに分けられます。冷湿布、温湿布、そして現在主流の痛み止めが配合されている湿布(第二世代の湿布薬)です。
いわゆる湿布薬として古くから使われている白くて柔らかい厚手のタイプのものを指します。布に有効成分と水分を染み込ませたものです。含有している水分が蒸発することによる気化熱の効果で皮膚の表面の温度を下げる効果を持ちます。
冷湿布とは冷感タイプの湿布のことを指します。主な成分はサリチル酸メチル、l-メントール、ハッカ油。消炎剤のサリチル酸メチルに加えて清涼感を与えるメントールやハッカ油が配合されているため皮膚表面に冷感を与えてくれます。
温湿布は温感タイプの湿布です。主な成分はサリチル酸メチル、トウガラシエキス。消炎剤のサリチル酸メチルに加えてトウガラシエキス(添加物としてノニル酸ワニリルアミドを含むこともある)を配合することで皮膚を刺激し温感を与えてくれます。
ポイントはあくまでも「冷感」「温感」を与えるというところです。l-メントール、ハッカ油、トウガラシエキス(ノニル酸ワニリルアミド)により皮膚は冷感・温感を受けますが、それはあくまでも感覚で、湿布本体の水分による気化熱で実際にはどちらのタイプでも皮膚の温度は下がります。また、消炎剤として配合されているサリチル酸メチルによる鎮痛作用は弱く、冷感・温感や血流改善作用などの組み合わせで痛みを緩和します。
現在主流となっているのが解熱鎮痛薬である非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)を有効成分としている湿布です。NSAIDsは第一世代の湿布に含まれるサリチル酸メチルとは異なり、単独で鎮痛作用や解熱作用を発揮します。
第一世代の湿布薬と同じように厚手で水分を含んだ柔らかいタイプの湿布です。水分が蒸発することによる気化熱の効果も期待できるのでNSAIDsの解熱鎮痛作用に加えて気化熱の効果でも患部を冷やす事ができます。柔らかいので比較的剥がれやすいのが欠点です。
薄い布に有効成分を含ませたタイプの湿布です。水分が少ないので気化熱による効果は期待できませんが、しっかりと皮膚に密着するため剥がれにくいのが特徴です。ただその分、皮膚に負担がかかりやすくなっています。
湿布薬を作用時間で分類すると2つに分けられます。用法に注目すればわかるのですが、「1日1回貼付」のものと「1日2回貼付」のものとに分けられます。イメージとしては、「1日1回貼付」のものは効果が約1日(24時間)持続、「1日2回貼付」のものは効果が約半日(12時間)持続すると思ってください。1日1回貼るタイプのものを半日貼って剥がしても、成分の多くは皮膚にすでに浸透しているため、はがした後も効果が持続します。
作用時間ごとに代表的な湿布薬を分類してみます。
1日1回貼付(1日持続)
・モーラス®︎テープ
・モーラス®︎パップXR
・ロキソニン®︎パップ/テープ
・ボルタレン®︎テープ
・ナボール®︎/パップ
・ロコア®︎テープ など
1日2回貼付(半日持続)
・モーラス®︎パップ
・アドフィード®︎パップ
・セルタッチ®︎パップ/テープ
・カトレップ®︎パップ/テープ
・フェルナビオン®︎パップ/テープ など
湿布薬を貼るのに適したタイミングがあるのでしょうか?
一般に湿布を貼るのはお風呂上がりがいいと言われています。皮膚の汚れや油分が洗い流された状態なので湿布がしっかりと吸着しやすいですし、かぶれも起こりにくくなります。また、体が温まり、血行が促進されている状態だと湿布が効果を発揮しやすいのもメリットです。ただし、貼る部分の水分はしっかり拭いて乾いてから貼ってくださいね。汗をかいている場合は少し時間をあけて落ち着いてからにしてください。
ここで注意して欲しいのは温湿布を使う場合です。温湿布に含まれているトウガラシエキスの皮膚に対する刺激が強いため、最低でもお風呂上がり30分くらい経ってから貼るようにしてください。
湿布薬はいつ剥がすべきなのでしょう?次の湿布を貼る直前まで前の湿布を貼り続けている人が多いのじゃないかと思います。実は湿布薬ってずっと貼り続ける必要はないのです。1日1回貼り替え(1日持続)タイプであれば、薬にもよりますが大体8〜12時間くらい貼れば成分の多くは皮膚に浸透し、はがした後も効果が持続します。1日2回貼り替え(半日持続)タイプであれば4〜6時間でOKです。皮膚が弱くかぶれやすい方などは皮膚への負担を軽減するためにも早めに剥がした方がいいです。皮膚が弱くない方でも、毎日同じ場所に貼り続けるのであれば少なくとも1時間は貼っていない時間を作るなどして皮膚を休ませてあげる時間を作ってください。
湿布薬だから副作用は気にせず安心して使えるって思っていませんか?確かに飲み薬に比べれば副作用の頻度は少ないかもしれませんが、湿布薬にだって副作用や注意点はあります。
湿布薬は皮膚に直接薬剤を粘着させるものです。常に薬剤や添加物が皮膚に接するため、それが刺激となって皮膚炎を起こしてしまう事があります。粘着剤などの皮膚に対する直接的な刺激で起こる接触性皮膚炎、薬剤や添加物に対するアレルギーにより起こるアレルギー性皮膚炎があります。湿布を使用する際は皮膚が炎症を起こしていないか注意してください。
医療用の湿布薬の中でも有名なものとしてモーラス®︎という湿布薬があります。有効成分にケトプロフェンという物質を使用している湿布なのですが、このケトプロフェンについては紫外線に対して注意する必要があります。ケトプロフェンが浸透している皮膚に紫外線が照射される事で過敏症が起きてしまう事があります。これを光過敏症と言い、モーラス®︎などケトプロフェンを含有する湿布を貼った部分だけが激しく炎症を起こしてしまいます。ですので特に夏場、ケトプロフェンを含有する湿布を使用する場合は日光に直接さらされる部分は避けるようにしてください。はがした後も4週間は皮膚に成分が残っているので紫外線を避け続ける必要があります。
比較的新しい湿布薬にロコア®︎テープというものがあります。この湿布薬は有効成分の吸収性が非常に高く強い効果が期待できます。ですが、その性質故に、「貼るのは1日最大2枚まで」、「使用中は飲み薬との相互作用に注意する」必要があります。2枚貼る事で痛み止めの飲み薬を飲んでいるのと同じくらい血液中に成分が浸透してしまいます。そのため、2枚を越して貼るのは禁止されていますし、1枚貼っているだけでも、他の飲み薬との飲みあわせに注意する必要があります。
今回は湿布薬の使い方や注意点について、特に効果の持続時間に注目してまとめてみました。湿布薬の特徴や意外と知られていない注意点なんかもあったのではないかと思います。副作用を気にしなくてもいいなんてことはありませんが、それでも湿布薬は身近な薬だと思います。それだけに使い方を理解して、効果はしっかりと発揮させつつ、安全に使用してくださいね。
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