りんご病は、正式には伝染性紅斑と言います。ヒトパルボウイルスB19に感染すると発症します。5歳〜10歳くらいの幼児に多いですが、赤ちゃんにも発症します。
赤ちゃんのりんご病の症状や、発熱やかゆみの対処法をお医者さんに聞きました。
監修者
経歴
公益社団法人 日本小児科学会 小児科専門医
2002年 慶應義塾大学医学部を卒業
2002年 慶應義塾大学病院 にて小児科研修
2004年 立川共済病院勤務
2005年 平塚共済病院小児科医長として勤務
2010年 北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室勤務
2012年 横浜市内のクリニックの副院長として勤務
2017年 「なごみクリニック」の院長として勤務
2020年 「高座渋谷つばさクリニック」院長就任
赤ちゃんのりんご病の症状
りんご病が流行っている時にいつもより機嫌が悪い・よく泣く・ミルクをあまり飲まない・鼻水・発熱が見られたらりんご病の可能性があります。
りんご病は、頬が赤くなる1週間ほど前に「風邪のような喉の痛み、鼻水、発熱、倦怠間、関節の痛み」などを感じる場合があります。
自然に治る?
自然治癒します。頬の赤み、手足や全身への紅斑があらわれた後、1週間程度で引いていきます。
頬の赤みは治ってきているサイン
りんご病は、頬に赤みが出る(紅斑)が出たときには、すでに感染力はなく、治癒してきている証拠でもあります。
頬に赤み(紅斑)がでた時にりんご病と気がつきますが、すでに身体の不快感や症状は、なくなっている場合が多くあります。
赤ちゃんのりんご病の対処法
りんご病は特別な治療は必要がありません。
自然治癒を待つので、機嫌が悪い時は、よく抱っこしてあげて落ち着かせましょう。
熱を出している時や鼻水、喉が赤く痛みがあるといったときは、病院へ行く以外の外出は避け、部屋を暖かくして加湿しましょう。
加湿していると喉が楽になります。ミルクは欲しがるだけあげましょう。
高熱出ている場合
あまりありませんが、38度以上になったら病院を受診してください。
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発疹・かゆみがある場合
かゆくて掻いてしまい、傷をつけるのを避けるために、爪を切ってあげましょう。
保湿剤、かゆみ止めの外用や内服で、かゆみがおさまりやすくなります。できるだけ医師に処方されたものを使いましょう。
ない場合は、薬剤師に相談して、ドラッグストアで買える市販薬でも大丈夫です。
お風呂は入れてもいいの?
りんご病特有の赤み(紅斑)は出ていても、入浴可能です。
ただし、体調が悪い時に無理して入れる必要はありません。
かゆみがある場合、お風呂で温まるとかゆみが強くなりますので、あまり温めないようにしてください。
保育園の登園は?
頬のあかみや体に紅斑があっても感染しませんので、登園可能です。
風邪のような症状や発熱、いつもと体調が違うという時は、様子を見てお休みさせましょう。
赤ちゃんから大人にうつる?
咳や唾液を介して感染します。
赤ちゃんのお世話をする時はマスクをする、その後手洗いを行い予防しましょう。
しかし、りんご病は、1度感染すると2度と感染しないので、小さな頃に済ませている人がほとんどでしょう。
注意が必要なのは、妊婦さんです。妊娠中にりんご病に感染すると胎児に感染して、まだ免疫力の低い胎児の流産や死産の原因となる場合があります。
病院を受診するタイミング
元気で、食欲もあり、よく眠るという時は、様子を見ても良いでしょう。
りんご病で高熱が出るのは稀ですが、38度以上の高熱・ぐったりして無反応・意識がないといった場合は、すぐに病院を受診しましょう。
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病院での治療法
りんご病に特効薬はなく、対症療法が行われます。
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2019-12-04
赤ちゃんの鼻水が止まらない…!
鼻づまりが苦しそう。
そんなとき、どう判断したらいいのか、お医者さんに「鼻水タイプ」ごとの原因と対処法を聞きました。
赤ちゃんは「鼻水が出やすい」
赤ちゃんは、ちょっとした刺激で鼻水の量が増えてしまいます。また、まだ十分に鼻毛がはえていなかったり、鼻と耳をつなぐ通路(耳管)が太く水平のため、細菌やウイルスが入りやすい構造なのです。
鼻づまりが続くと、苦しそうなのはもちろんですが、うまく母乳やミルクが飲めなくなったり、目が腫れてしまうことがあります。赤ちゃんの鼻水は、こまめに排出してあげることが大事です。
タイプ1.サラサラの鼻水が出る
アレルギーの疑いがあります。
粘着質ではないサラサラとした鼻水は、鼻に侵入してきた何か(チリ・ホコリ・花粉など)を洗い出そうとしている可能性があります。
サラサラ鼻水の対処法
部屋の掃除をこまめに行い、ハウスダスト対策をしましょう。
花粉やホコリは大量に付着するので、カーテンも定期的に洗いましょう。
赤ちゃんを床に布団を引いて寝かせている場合、周りを歩いた時にホコリが飛び、赤ちゃんが吸い込んでいる場合もあります。少し高めの位置に寝かせるように工夫してみましょう。
タイプ2.透明でネバネバの鼻水が出る
風邪のひき始めかもしれません。
「母体から受け継いだ免疫があるから風邪をひかない」といイメージがありますが、赤ちゃんでも、風邪をひきます。
ママからもらった免疫が働いてはいますが、風邪の症状を引き起こす細菌やウイルスは多く、免疫でまかないきれずに赤ちゃんでも風邪を引く場合があります。
“ネバネバ鼻水”の対処法
出てくる鼻水をそのままにはせず、ハンカチやタオル、ガーゼなどでふき取ってください。
鼻水をとってあげるとは鼻通りも楽になります。
ミルクや母乳を飲みやすくなるので、栄養を補給して早く体調も回復します。
タイプ3.咳・くしゃみを伴う鼻水
風邪をひいていると思われます。
風邪が進行すると発熱や咳を赤ちゃんでも出します。
息苦しくしていないか・熱はないか・元気はあるか・呼吸しているかなどを確認してください。
咳・くしゃみ鼻水の対処法
熱を測り、体調に異変がないかはチェックしましょう。
風邪の場合、基本的には安静にさせて様子を見ても大丈夫ですが、熱が38.0度以上になるようであれば、すぐに小児科を受診しましょう。
赤ちゃんは、まだ体力がないので一気に体調が悪くなる場合があります。高熱の場合は医師の診察が必要です。
タイプ4.黄色・緑色の鼻水が出る
風邪が治りかけているサインだと考えられます。
風邪の後、ウイルスと戦った白血球が大量に死骸となり鼻水に混ざります。白血球の死骸が混ざると黄色や緑色の粘っこい鼻水になります。
緑色の鼻水の対処法
出てくる鼻水を拭き取ってあげてください。
鼻水が粘っこくなると詰まりやすくなります。鼻水吸引器を使用するのも良いでしょう。
鼻水が粘っこくなると詰まりやすくなります。鼻水吸引器を使用するのも良いでしょう。
タイプ5.鼻水に血が混じっている
赤ちゃんは好奇心で鼻に指を入れて、自分で傷をつけてしまう場合もあります。
赤ちゃんは、鼻の粘膜が弱く、少しの刺激で細い血管が破れて出血する場合があります。
血が混じる鼻水の対処法
少量の血が混じっている程度でしたら、ふき取ってあげるだけで大丈夫です。
大量の鼻血が止まらない場合は、早急に医療機関を受診してください。
鼻づまりが気になって、鼻に指を入れて、鼻の中を傷つけてしまうこともあります。赤ちゃんの鼻水ケアはしっかりしてあげましょう。
赤ちゃんの鼻水の取り方
ティッシュやガーゼで、外に出てくる鼻水をやさしく拭き取りましょう。
鼻の中に鼻水がみえても、奥までほじったり、無理やり鼻水を出したりしなくても大丈夫です。
ティッシュやガーゼを当てるときは、力を入れないようにしましょう。ゴシゴシこすると、鼻周りの皮膚が荒れてしまいます。鼻周りが荒れそうなときは、ワセリンなどで保湿してあげるとよいでしょう。
市販の「鼻吸い器」もおすすめ
ネバネバの鼻水は、なかなか取りづらいですよね。
赤ちゃんの鼻づまりがひどい、夜に寝つけないほど鼻水がでる場合は、鼻吸い器を使うのもよいでしょう。
鼻吸い器は使用する鼻吸い器にあった月齢であれば使用可能です。素早く、正確に行うのが嫌がらせないコツです。
▼鼻水をとった後に気をつけること
鼻水をとったティッシュ等は、フタ付のゴミ箱にすぐに捨てましょう
鼻水をとったら、手を洗いましょう
赤ちゃんの鼻水から、風邪などをもらってしまうことがあります。
「鼻づまりで寝られない」…どうすれば?
赤ちゃんが鼻水が苦しそうで眠れないみたいです…。
どう対処してあげたらよいでしょうか。
蒸しタオルを鼻の根元にあてて、鼻水を出してあげるとよいでしょう。
また、鼻水が出やすいように、お部屋を加湿してあげましょう。
また、苦しそうであれば、横に寝かせておくよりも縦に抱っこしてあげた方が、鼻は通りやすくなります。
▼部屋の湿度の目安
夏:45~60%程度
冬:55~65%程度
▼加湿器がない場合の代用方法
お湯を沸かす(赤ちゃんに熱気・熱湯ががかからないように注意してください。)
洗濯ものを干す
濡れタオルを干す
鼻水が出ているけど…お風呂は入っていい?
風邪や鼻水のみ症状の場合は、入浴しても大丈夫です。
お風呂にはいることで、お鼻が温められて、鼻水が出やすくなることもあります。
ただし、38度以上の発熱を伴うときは、入浴はお休みしましょう。その場合は、ホットタオルで体を拭く程度にしてください。
病院に行くタイミング
赤ちゃんの鼻水が止まりません。
どれくらい続く場合は、病院に行った方がよいでしょうか。
1週間以上経っても鼻水の量が減らない場合は、医療機関を受診して、適宜必要な治療を受けましょう。
放置すると、鼻呼吸ができないためうまくミルクを飲めなくなったり、「中耳炎」や「副鼻腔炎」などの病気を誘発してしまったりすることもあります。
こんな症状がある場合も病院へ!
鼻づまりがひどく、苦しそうに息をしている
哺乳をする力が弱い
発熱がある
病院は何科?
耳鼻いんこう科や小児科を受診しましょう。
鼻水の症状のみの場合は、耳鼻いんこう科を受診しましょう。
発熱がある場合や、元気がない場合は、小児科を受診しましょう。
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<参照>
りんご病 伝染性紅斑 東京都福祉保健局
http://www.guide.metro.tokyo.jp/sick/ringo/index.html