「足のしこりを押すと痛い…。これは何?」
足のしこりの原因を、お医者さんに聞きました。
まれに、悪性腫瘍が発生するケースもあるため、油断は禁物です。
監修者
経歴
北里大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
横浜市立大学病院 形成外科、藤沢湘南台病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
横浜栄共済病院 形成外科
2014年 KO CLINICに勤務
2021年 ルサンククリニック銀座院 院長
を経て2024年JUN CLINIC横浜 就任
足にしこりができて、押すと痛い!これって大丈夫…?
足にできた「押すと痛むしこり」は良性疾患によるしこりの可能性があります。
良性疾患であれば心配ないのですが、まれに悪性疾患(ガン)の可能性もあります。
このしこりは…良性?
良性のしこりの特徴としては、
- 少し盛り上がっている
- 痛みは少ない
- しこりの中央に黒い点のような開口部がみられる
- 1個~数個、多発するケースもある
- 数mm~数cmの大きさ
- 押すと動く
といったことが挙げられます。
悪性疾患の場合は、しこりに痛みや腫れがあります。良性か悪性かを自己判断するのは危険です。
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2021-01-04
腕や顔、首などにできた「押すと痛いしこり」。
これは一体何…?
体にできる、押すと痛いしこりについて、お医者さんにお聞きしました。
皮膚のしこりは、良性と悪性、両方の可能性が考えられます。
病気とご自身の症状を、照らし合わせてみましょう。
押すと痛いしこり…これ大丈夫?
ごくまれに悪性腫瘍のケースがあり、検査をしない限り大丈夫とは言いきれません。
ただ、皮膚の押すと痛いしこりは、良性腫瘍がほとんどです。痛みがあるのは、細菌が感染して、炎症を起こしている可能性があります。
よくある「押すと痛いしこり」の3つの原因
皮膚にできる、押すと痛いしこりは
粉瘤(アテローム)
石灰化上皮腫
神経鞘腫
の可能性があります。
原因① 粉瘤(アテローム)
アテロームとは、皮膚の下にできた袋状のもの(嚢腫)に、皮膚の角質や皮脂がたまってできた腫瘍のことです。
押すと痛いのは、しこりに細菌が侵入して、化膿しているためです(炎症性もしくは化膿性粉瘤)。その場合、しこりは赤く腫れ、痛みを伴います。
発症しやすい人に特徴はありませんが、体を清潔に保っていても、できやすい体質の人がいます。
しこりの特徴
角質や皮脂は袋にどんどん蓄積していき、時間とともに徐々に大きくなっていきます。アテロームは、数mm~数cmの半球状で、強く押すと、臭いのするドロドロとした物質が出てくることがあります。顔や首、耳のうしろ、背中などに発生しやすいです。
1個~数個できるのが一般的ですが、たくさんできることもあります。
自然に治る?
アテロームは、放置したり、市販薬を塗ったりしても消えません。
放っておくと、さらに大きくなることがあります。
粉瘤は、良性腫瘍なので、切除するかどうかは本人の自由ですが、取らない限りはなくなりません。
しこりに細菌が侵入して化膿することがあり、赤く腫れ、痛みを生じます。
さらに化膿すると、しこりの内容物が破壊されて膿がたまり(膿瘍)、膿を出す必要があります。
病院での治療法
メスを使って粉瘤を表面の皮膚ごと切り取り、縫いあわせる手術を行います。
大きくなってから切除すると傷跡も大きくなるので、小さいうちに切除するとよいでしょう。
原因② 石灰化上皮腫(せっかいかじょうひしゅ)
皮膚の一部が石灰のように硬くなる病気です。
はっきりとした原因はわかっていませんが、毛根にある毛母細胞が原因となっていると考えられています。
細菌感染により、炎症を起こしていると、痛むことがあります。
子どもや若年者が発症しやすいです。
しこりの特徴
しこりは石のように硬く、表面は少しゴツゴツとしています。無症状のことが多いですが、かゆみを感じたり、押すと痛んだりすることがあります。
しこりの上の皮膚が薄い場合は、しこりが透けて、青黒い色や黄白色に見えることがあります。境界がはっきりとしていて、皮膚の表面から触って動かすことができます。
しこりは、顔や首、腕にできやすいです。細菌に感染した場合には、赤く腫れることがあります。
自然に治る?
放っておいても、自然に消えることはありません。
病院での治療法
皮膚を木の葉状に切り取り、しこりを取り除き、縫い合わせる手術を行います。
原因③ 神経鞘腫(しんけいしょうしゅ)
神経の近くにできる良性の腫瘍です。
神経細胞は束になっていますが、主にその中のひとつに形成されます。
発症する原因は、はっきりとわかっていません。
神経のそばなので、腫瘍ができることで痛みを感じる場合があります。皮膚表面にできた場合は、押したときだけ痛む、押すと神経のある方向へ痛みを感じることがあります。
しこりの特徴
皮膚表面に発生すると、膨らみがわかることがあります。
頭、手、足、顔など、様々な場所に発生します。
発症する人の多くは大人ですが、子供が発症することもあります。
自然に治る?
自然にはなくなりません。
ただ、大きくなることも少ないので、気になる症状がなければ、経過観察となります。
病院での治療法
手術による摘出が主な治療法です。
大きくなり、神経を圧迫して痛みや痺れがある場合は、摘出されます。完全に摘出が行われれば、基本的に再発はありません。
こんなしこりは要注意!悪性腫瘍(がん)の特徴
悪性腫瘍が疑われるしこりは、成長スピードが速い、皮膚の表面から触って動かそうとしても動かないことが多いなどの特徴があります。
また、直径5cmをこえる大きさで硬いしこりや、表面が凸凹しているしこりは、悪性腫瘍の可能性があります。
悪性腫瘍ができやすいのはどこ?
悪性腫瘍は手足にできやすいです。
病院に行く目安
しこりが赤くなってきたり、痛みが強くなってきたりしたら、すぐに受診しましょう。
しこりは小さいうちに対処したほうが、傷が小さくて済むことが多いです。早めの受診をおすすめします。
悪性腫瘍が疑われる場合も、早急に受診してください。
何科を受診する?
皮膚のしこりが気になるときは、皮膚科や形成外科を受診しましょう。
形成外科を探す
▼参考
公益社団法人 日本皮膚科学会 アテローム(粉瘤)
一般社団法人 日本形成外科学会 石灰化上皮腫
病院は何科?
足にしこりがある場合、まずは皮膚科を受診しましょう。
しこりに気付いたら、医療機関で診てもらいましょう。
出ている症状から「良性か悪性か」を自己判断するのは難しいです。まれですが、「足にできたしこりがガンだった…」というケースもあります。
しっかりと医療機関で検査をしてもらうことをおすすめします。
皮膚科を探す
整形外科を探す
よくある2つの原因
足にできた押すと痛いしこりは
- 粉瘤
- ガングリオン
が原因となっているケースが多いです。
それぞれの特徴を詳しく解説します。
その① 粉瘤
袋状のもの(嚢腫)が皮膚の下にでき、通常では皮膚から剥げ落ちるはずの角質や皮脂が、剥げ落ちずに袋の中にたまってしまうため、しこりができます。
粉瘤ができやすい体質の人がいます。
体質の関係上、体を清潔に保っていたとしても、粉瘤ができてしまいます。
しこりが痛むのはなぜ?
粉瘤は、何もしていないときは無痛です。
炎症を起こしているため、押したときに痛みを感じます。
「粉瘤」のしこりの特徴
- 少し盛り上がっている
- 数mmから数cmの半球状の形をしている
- しこりの中央に、黒い点のような開口部がみられる
- 強く押すと、臭くてドロドロとした物質が出てくる
- 時間の経過に伴って少しずつ大きくなる
しこりの数は1個の場合もあれば、多発する場合もあります。
自然に治る?
粉瘤は自然には治りません。
一度たまった角質や皮脂は袋の外に出られないため、どんどん蓄積し、しこりは大きくなります。
粉瘤を放置するとどうなる
皮膚の表面を切り開き、膿を出す手術が必要になります。
しこりを発見しだい、皮膚科・形成外科へ行きましょう。
しこりの開口部から細菌が入ると化膿し、赤く腫れて痛みが生じます。
さらに悪化すると、しこりの内容物が破壊され膿がたまります(膿瘍)。
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その② ガングリオン
「関節液」や腱と腱鞘の潤滑油である「滑液」が濃縮してゼリー状になり、しこりが発生します。
ガングリオンは、とくに、足首にできやすいです。
20~50歳の女性が発症しやすいです。
女性は男性の3倍発症すると言われています。
しこりが痛むのはなぜ?
神経のそばにガングリオンが発生すると、神経を圧迫して痛みを生じることがあります。
ガングリオンは体操選手によく見られることから、関節のケガを繰り返していたり、物理的ストレスがあると、発症リスクを高めると考えられます。
「ガングリオン」のしこりの特徴
- 皮膚の下に盛り上がった円形や楕円形の腫れ
- 表面は滑らかで硬い
- しこりの中には、ゼリー状の透明な液体が含まれている
- 不快感がある
- しこりの大きさは1~3cm程度
- しこりの境界がはっきりとしている
- しこりを押すと動く
自然に治る?
ガングリオンの多くは、放っておくと自然に治ります。
無症状であれば心配はなく、とくに治療の必要もありません。
ただし…
- 外見的に問題がある
- 不快感がある
- 大きくなり続けている
- 神経が圧迫されて神経症状がある(運動障害や痛みなど)
など生活支障をきたす場合は、整形外科を受診しましょう。
整形外科を探す
足のしこりは早めに病院で相談を
「足にできたしこりが悪性腫瘍(がん)だった…」というケースもまれにあります。
病気の悪化を防ぐには、早期受診が重要です。
自己判断は危険なので、足のしこりが気になる場合は、早めに医療機関(どこに行けばいいか迷う場合は皮膚科)で相談しましょう。
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受診すべき診療科、腕のしこりの正体などを、お医者さんに詳しくお聞きしました。
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このしこりは大丈夫なの…?
腕のしこりは、ほとんどが良性ですが、ごくまれに悪性腫瘍の場合があり、検査をしない限り大丈夫とは言いきれません。
良性のしこりは、皮膚の角質や皮脂がたまったもの、脂肪の塊であるケースが多いです。
よくある2つの病気
腕のしこりは
粉瘤(アテローム)
脂肪腫
のケースが多いです。それぞれ詳しく解説していきます。
病気① 粉瘤(アテローム)
アテロームとは、皮膚の下に袋状のできもの(嚢腫)ができ、皮膚から剥げ落ちるはずの角質や皮脂が、剥げ落ちずに袋の中にたまってできた腫瘍のことです。
アテロームができる原因は、今のところ原因ははっきりとわかっていません。
しこりの特徴
アテロームは、時間が経つにつれて、しこりは少しずつ大きくなっていきます。
一度できると、たまった角質や皮脂は袋の外に出られないため、どんどん蓄積していきます。
アテロームは、腕以外にも、顔や首、耳のうしろ、背中などにできやすいです。しこりは、数mm~数cmの半球状で、中央に黒い点のような開口部がみられることが多いです。
強く押すと、臭くてドロドロとした物質が出てくる場合があります。しこりは、1個から数個まででき、多発する場合もあります。
自然に治る?
残念ながら、自然に治ることはありません。
放置すると…
放置すると、さらに大きくなる可能性があります。
また、しこりの中央の開口部から細菌が侵入すると、化膿する場合があります(炎症性もしくは化膿性粉瘤)。
化膿すると、しこりは赤く腫れ、痛みがあります。さらに悪化すると、しこりの内容物が破壊され、膿がたまります(膿瘍)。
そうなると、皮膚の表面を少し切り開き、膿を出さなくてはならないこともあります。
病院での治療法
炎症が強い場合は、手術を行い、アテロームを切開して膿を出します。
赤みや痛みのない場合は、メスを使い、アテロームを表面の皮膚ごと切り取り、縫いあわせる手術を行います。
へそ抜き法(くり抜き法)は、アテロームの皮膚開口部に円筒状のメスを刺し込んで、表面の皮膚といっしょに袋状構造物の一部分をくり抜く手術法です。手術跡は、最終的にニキビ跡ほどのへこみになります。
良性のしこりのため、切除するかどうかは本人次第ですが、ある程度の大きさにまでなったものは切除することをおすすめします。
病気② 脂肪腫
脂肪腫とは、皮膚の下に脂肪細胞が増えてできた脂肪の塊のことです。
脂肪腫ができる原因は、はっきりとわかっていませんが、洋服ですれる、手で触れやすいなどの刺激を受ける部位にできる傾向があります。また、体質的に脂肪腫が生じやすい人がいます。
しこりの特徴
滑らかでやわらかい、こぶのような見た目です。しこりは、硬く感じられるケースもあります。
脂肪腫は、体のあらゆる場所にできます。とくに前腕部や体幹、首に発生しやすいです。
しこりの大きさは数mm~10cm以上に及ぶものまでさまざまですが、約7.5cm以内のものが多いです。
1個だけできることもあれば、たくさんできることもあります。痛みがあるものや、押すと痛みを感じものもあります。
自然に治る?
脂肪腫は、放置したり、市販薬を塗ったりしても消えません。
放置すると…
放置しても、特に体への害はありません。
病院での治療法
特に治療の必要はありません。
ただし、「しこりが気になる」「痛みが伴う」場合は、手術で摘出することも可能です。
手術では、しこりの上をしこりの直径と同じくらい切開し、しこりを包んでいる膜を破らないように、周りの組織から剥がして取り出します。
また、スクイージング手術は、脂肪腫の剥離・摘出用の器具が入る程度の、必要最小限の切開で、しこりを取り出せる手術法です。
スクイージング手術は、しこりの大きさにもよりますが、1~3cm以下の切開で済むので、手術跡が目立ちにくい方法といえます。
病院に行く目安
基本的に、手術をしないと取り除けないので、しこりが気になる場合には受診をおすすめします。
まれに悪性腫瘍のケースもあります。
悪性腫瘍かどうかは、病院で検査をしないと判断できないので、早めに受診することで、病気を早期発見できるメリットがあります。
特に、炎症を起こし、痛みがある場合は、早めに受診しましょう。
受診するのは何科?
腕のしこりが気になるときは、皮膚科を受診しましょう。
皮膚科を探す
▼参考
公益社団法人 日本皮膚科学会 アテローム(粉瘤)
MSDマニュアル家庭版 脂肪腫
一般社団法人 日本形成外科学会
独立行政法人 国立病院機構 埼玉病院
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。