なぜ?最近、皮膚の表面がピリピリする…。
もしかして、更年期が関係してる?
「更年期に皮膚の表面がピリピリする」原因を、お医者さんに聞きました。
使用可能な市販薬・スキンケア方法も解説しますので、肌トラブルを改善させたい方は必見です。
監修者
経歴
札幌医科大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
関東労災病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
横浜市立大学附属病院 形成外科
を経て
平成30年10月より小田原銀座クリニックに勤務
令和2年6月よりよこはま港南台形成クリニックに勤務
更年期に皮膚の表面がピリピリする…原因は?
更年期に皮膚の表面がピリピリする場合、まず「肌の乾燥」が原因として考えられます。
更年期は、女性ホルモンが急激に減少する時期です。
女性ホルモンの一つである「エストロゲン」の分泌量が低下すると、肌の弾力を保つ「コラーゲン」の産生も少なくなります。
加えて、細胞と細胞の間を埋める「水分」や、皮膚を保護する「皮脂」「汗」なども次第に少なくなっていきます。
これらの影響で肌が乾燥した状態になると、「かゆくなる」「ピリピリする」などの皮膚トラブルが起こるようになります。
更年期の「肌の乾燥」でよくある症状
- 皮膚の粉吹き
- 皮膚のかゆみ
- 皮膚の乾燥による赤み・痛み
- 皮膚のあかぎれ・ひび割れ
こんな人は「肌トラブル」が起こりやすい
- 肌の保湿ケアが足りていない
- 運動不足
- 睡眠不足
- 疲労が溜まっている
- 不規則な生活を送っている
- 食事の栄養バランスが偏っている
上記に当てはまる人は、特に肌の乾燥が起こりやすいです。
肌トラブルには、自律神経の乱れによる「血行不良」「栄養不足」も関係しています。
これらの要因で肌のターンオーバーの不調を招くと、皮膚の表面がピリピリしやすくなります。
皮膚のピリピリを和らげる「市販薬」はある?

肌の乾燥が考えられるときは、「保湿効果のある市販薬」をまずおすすめします。
「尿素」や「ヘパリン類似物質」などが配合されているものを使用するとよいでしょう。
※アルコール入りの商品は、皮膚に刺激を与えて乾燥を悪化させるの可能性があるので、避けましょう。(化粧水など)
また、「保湿してもピリピリと痛む」といった場合は、市販の「鎮痛薬」も使用できます。
ただし、2日間程度継続して使用しても痛みが改善しないときは、服用を中断して皮膚科で相談しましょう。
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更年期に“健やかな肌”を保つ「5つの習慣」
- こまめに保湿する(入浴後はすぐに保湿)
- 熱い風呂・長風呂を避ける
- タンパク質・脂質を積極的に摂る
- 規則正しい生活を送る
- 十分な睡眠をとる
更年期の“皮膚のピリピリ”は、「乾燥対策」と「肌の栄養補給」で快方に向かいやすくなります。
入浴時は「ぬるま湯」で「優しく洗おう」

入浴する際は、シャワー・お風呂を38度程度に設定しましょう。
体・顔は、たっぷりの泡を使って手で優しく洗ってください。
熱いお湯に入ると、必要以上に皮脂が落とされ、肌の乾燥を招きます。
また、ナイロンタオルなどで肌をゴシゴシと洗ってしまうと、皮膚のバリア機能を壊してしまいます。
食事から「皮膚を作る成分」を摂取しよう

タンパク質・脂質は「皮膚を作る成分」です。
肉類・魚類を積極的に食べたり、油を摂ったりしましょう。
肌のトラブルには「オリーブオイル」もおすすめです。
オリーブオイルには、ビタミンA・ビタミンE・ポリフェノールが含まれているため、肌によい影響を与えます。
更年期は「大豆イソフラボン」も食べよう
「大豆イソフラボン」は、大豆・大豆製品(豆腐・豆乳等)などの食べ物に含まれる成分です。
女性ホルモン(エストロゲン)に似た働きがあるため、積極的に摂ると更年期の肌トラブル改善につながります。
「規則正しい生活」と「十分な睡眠」で自律神経を安定させよう
- 毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きる
- 1日7~8時間は睡眠をとる(※)
といった生活習慣は、自律神経を安定させるうえで大切です。
※あくまでも目安です。睡眠時間には個人差があります。
肌の調子を改善させるためにも、日々の生活で自律神経を整えていきましょう。
“体の片側だけピリピリする”のは「帯状疱疹」かも
帯状疱疹とは、「水ぼうそうのウイルス」によって起こる皮膚の病気です。
体の片側だけピリピリするという場合、帯状疱疹の疑いが強くなります。
帯状疱疹の場合、ピリピリする部分には次第に「発疹」が現われるようになり、その後「水ぶくれ」に変わっていきます。
「帯状疱疹」の症状
- 体の左右どちらかに「皮膚を刺すような痛み」を感じる
- 皮膚の表面のピリピリ・チクチクとした痛み
- 次第に赤い発疹が出てくる
- 発疹が水ぶくれになっていく
帯状疱疹を発症すると、神経に沿ってプツプツと赤い斑点が出てきます。
このプツプツは神経を刺激するので、痛みが強く出ることもあります。
帯状疱疹になりやすい人
- 40代~50代
- ストレス・疲労が溜まっている
- 睡眠不足
帯状疱疹は、過去に「水ぼうそう」に感染したことのある人が発症する病気です。
免疫力が低下していると、神経細胞に潜んでいた「水ぼうそうのウイルス」が活性化して、帯状疱疹を発症しやすくなります。
※水ぼうそうに感染した人全員が、帯状疱疹を発症するわけではありません。
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2021-08-04
「足の裏と手のひらが熱い…」
「熱はないのに、なぜ?」
手足が熱っぽくなる原因を、お医者さんに聞きました。
自律神経失調症、更年期障害といった病気についても解説します。
病院に行く目安や、受診すべき診療科も併せて確認しましょう。
足の裏と手のひらが熱い…何が起こっている?
発熱がないのに足の裏と手のひらが熱いのは、何らかの影響で血流が活発になり、手や足に血液がたくさん流れ込んでいる状態であることが多いです。
血流が活発になる原因は、もちろん激しい運動の後や体温が上がった時など様々ありますが、時には運動や特別な活動をしていない場合にも起こることがあります。
その場合は自律神経が乱れていたり、病気が潜んでいる可能性もあります。
血流が活発になって足の裏や手のひらが熱くなる原因を説明します。
考えられる原因3つ
熱がないのに足の裏と手のひらが熱い場合、考えられる主な原因は
・自律神経の乱れ
・ホルモンバランスの乱れ
・末梢神経障害(糖尿病など)
の3つです。
原因① 自律神経の乱れ
自律神経が乱れると、体が血流や体温をうまく調節できなくなります。
そのため、ストレスなどにより交感神経と副交感神経のバランスが乱れると、体温が急に上がってしまったり、手足が熱く感じられることがあります。
自律神経は「交感神経」と「副交感神経」の2種類あり、この2つの神経がバランスよく働くことで血流や体温を正常に保っています。そのため、この自律神経のバランスが乱れると体温をうまく調整できなくなることがあります。
逆に副交感神経が優位になりすぎると、血管が拡張して血流がゆっくりになり一時的に滞るため、手足が冷たく感じる場合がありますが、その後急に血液が流れ込むと、手足が熱く感じることがあります。
自律神経の乱れの原因
ストレス
疲れ
睡眠不足
急な気温の変化
生活リズムの乱れ
自律神経のバランスは日常の生活によって乱れることが多いです。仕事や人間関係で緊張する状況が続いていたり、睡眠不足だったり、疲れが溜まっていたりなどの環境でも乱れます。
また、自律神経は温度差などでも乱れやすいので、真夏に冷房が効きすぎている室内に入ったり、逆に真冬に暖房が効いている部屋に入ったりなどを繰り返すことでも起こりやすいです。
【見分け方】症状の特徴
ストレスや環境(暑い・寒い)によって悪化や改善が見られる
リラックス時に症状が目立つ場合が多い
手足が冷たいと感じた後に熱く感じる、または交互に繰り返すことがある
動悸、息苦しさ、倦怠感、消化不良、不眠などの他の自律神経症状を伴うことが多い
自律神経の乱れによる熱さの場合は、他の部分(例えばお腹や背中など)は熱くないのに、手のひらや足の裏だけが「熱い」と感じることが多いです。
また、冷たいタオルや水に触れても、一時的には気持ちよくなるものの、完全には改善しない場合があります。
原因② ホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスが乱れると、体温調節がうまくできなくなり、血流の変化や自律神経の働きに影響を及ぼすことがあります。その結果、全身の体温が上がる場合もあれば、手や足の血流が増加して局所的に熱く感じることもあります。
女性ホルモンには主に 「エストロゲン」と「 プロゲステロン」があります。この2つは、月経周期や妊娠を調整するだけでなく、体温や血流、血管の働きをコントロールする重要な役割も担っています。
例えば、「エストロゲン」は血管を広げたり、血流をスムーズにする作用があり、「プロゲステロン」は体温を上昇させる作用があるため、この2つのホルモンのバランスが崩れると体温が上がりやすくなります。
また、エストロゲンが減少すると、体の水分や塩分のバランスが崩れ、むくみが出やすくなります。このむくみにより血流が停滞すると、周囲の組織に炎症や酸素不足が生じ、局所的な熱感につながることがあります。
ホルモンバランスの乱れの原因
生理周期(排卵日付近)
更年期(加齢)
妊娠、産後
食生活の乱れ(ダイエット)
運動不足・過剰な運動
ストレス
睡眠不足
など
生理周期の中でも、特に排卵日付以降は体温を上昇させる「プロゲステロン」の分泌が増えます。そのため、体温が上がりやすくなり、結果足の裏や手のひらが熱くなることがあります。
【見分け方】症状の特徴
体の内側からじんわり熱く感じる
冷やしてもすぐに戻る
生理前、排卵期など特定のタイミングで感じやすい
気分の変化
肌荒れ、乾燥
むくみ
表面だけが熱いわけではなく、体の中からじんわりと熱が上がってくるように感じるのが特徴です。
原因③ 末梢神経障害(糖尿病など)
末梢神経障害とは、脳や脊髄から伸びる末梢神経に異常が生じる病気です。なかでも特に感覚神経に異常があると「熱い」感覚が現れやすいです。
末梢神経障害は糖尿病などによって起こります。
末梢神経が損傷すると、神経が送る信号が異常になり、「実際には熱くないのに熱いと感じる」などの違った情報が脳に伝達。
これにより、実際は熱くないのに足の裏や手のひらが熱く感じることに繋がります。
また、末梢神経障害によって自律神経が乱れることで血流が増減し、熱感やほてりを感じる場合もあります。
末梢神経障害の原因
特に手足が熱くなる末梢神経障害の原因は、
糖尿病
アルコール依存症
ビタミン不足
などです。
糖尿病によって血糖値が高い状態が続くと、末梢神経がダメージを受け、手足が熱く感じたり、しびれたりします。
また特にビタミンB群(B1、B6、B12)の不足は、神経の修復に影響を与え、末梢神経障害を引き起こします。
【見分け方】症状の特徴
ジリジリと焼けるような熱さ
夜間に悪化しやすい
手足がしびれることもある
「じんわり」ではなく、「焼けるような熱さ」や「チクチク」とした痛みを伴うことがあるのが特徴。手足がしびれたり、物を触ったときの感覚が鈍くなることもあります。
バーニングフィート症候群とは?何が違うの?
バーニングフィート症候群とは、その名前の通り「足の裏が燃えるように熱く感じる」症状が特徴の状態です。
この症状は主に足の裏に集中しますが、手のひらには現れないのが一般的です。
バーニングフィート症候群は、主に
ビタミンB群の欠乏
慢性的なアルコール摂取
末梢血管疾患
自律神経の異常
などによって起こりますが、症状が起こるのは足の裏だけで、手のひらに同じ症状が出ることはほとんどありません。
自律神経の乱れやホルモンバランスの乱れがある場合は足の裏だけでなく、手のひらも同様に熱く感じることがあるため、違う現象だと考えられるでしょう。
もしかして糖尿病の前兆?セルフチェックしてみよう
足の裏や手のひらが焼けるように熱い、またはチクチクする感覚がある
特に夜間や安静時に熱さを強く感じることが多い
喉が渇きやすく水分を頻繁に欲しくなる
尿の量や回数が増えたと感じる
疲れやすい
体重が急に減少した
食後に眠気やだるさを感じやすい
傷や切り傷が治りにくい、悪化しやすい
足の裏にしびれや感覚の鈍さがある
目がかすむ、または視力が落ちたように感じる
★7個以上当てはまった場合、糖尿病の可能性が高いです。早めに医療機関を受診して検査を受けてください。
今すぐ自分でできる対処法
足や手を冷やす
足や手を高い位置にする
ゆっくり深呼吸する
水分補給をする
気分を落ち着ける
などを試してみましょう。
対処法① 足や手を冷やす
手や足が熱く感じるときは、血流が集中している場合があります。冷やすことで血管が収縮し、血流が落ち着くため、熱さを和らげられます。
やり方
冷たいタオルや保冷剤を布で包んで、足の裏や手のひらに当てましょう。
冷水に手や足をつける方法も有効です(20分以内)。
\この行動はNG!逆効果です/
手足を急激に冷やす行為は避けましょう。熱いからといって氷や冷たい水に当てるのはNGです。
急激に冷やすと、体温を戻そうとする働きが活発になるため、逆にさらに手足が熱くなることがあります。
対処法② 足や手を高い位置にする
血液が手足に滞っている場合、重力を利用して血流を全身に分散させることができます。これにより、熱さの感覚が軽減されることがあります。
やり方
仰向けに寝て、クッションや枕を使って手や足を心臓より高い位置に上げます。
そのまま手を開いて閉じて「グー、パー」を繰り返すとさらに効果的です。
対処法③ ゆっくり深呼吸する
自律神経の乱れが原因の場合、リラックスすることで交感神経(活動モード)から副交感神経(リラックスモード)に切り替わり、血流の異常が改善されることがあります。
やり方
静かな場所で座り、鼻から深く息を吸い、口からゆっくり息を吐きます。
これを数回繰り返しましょう。
特に緊張やストレスを感じている時などにおすすめです。
対処法④ 水分補給をする
体内の水分不足は血液の循環を悪化させ、体温調節がうまくいかなくなることがあります。十分な水分を摂取することで体内の循環が改善されます。
やり方
常温または少し冷たい水をゆっくり飲みます。スポーツドリンクもおすすめです。
対処法⑤ 気分を落ち着ける
ストレスが原因で自律神経が乱れている場合、気分を落ち着けることで交感神経の過剰な働きを抑えることができます。
やり方
散歩をする、好きな音楽を聴く、アロマを使ってリラックスするなど、自分が落ち着ける方法を実践しましょう。ぬるめの湯船にゆっくり浸かるのもおすすめです。
足の裏と手のひらの熱さ…放置していて大丈夫?
足の裏や手のひらの熱さが一時的なものであったり、マッサージをしたり軽く動くと改善する場合は一旦様子を見てよい場合が多いです。
ただし、足の裏や手のひらの熱さが数日以上続く場合や、しびれ、痛みを伴う場合は末梢神経障害なども考えられます。早期に病院へ行くのが望ましいでしょう。
様子を見て受診をするのが望ましい場合
環境的なものや、物理的なもので何か自分ではっきりと原因が分かる場合であれば一旦様子をみてもいいでしょう。
数分~数時間で自然に治まる
他に体調の不調を感じない
動いたりマッサージをすると改善する
などです。
運動後、暑い場所での活動、ストレスや疲労などによって一時的に血流が増えたり、自律神経が刺激されたりすることで起こっている場合が多いです。体を休めたり、静かな場所でリラックスしてみましょう。
ただ、大したことないと思ってても何か見付かることがあります。原因が分からなければまず内科を受診してみましょう。そこで「何もない」と言われれば安心です。
できるだけ病院を受診するのが望ましいでしょう。
緊急性がある場合
足の裏や手のひらの熱感が数日以上続く
徐々に熱さが強くなる
しびれや痛みを伴う
疲れやすい、だるい
夜に症状が悪化する
頻繁な手足のむくみがある
末梢神経障害や自律神経の異常、ホルモンバランスの乱れが考えられます。病院へ行くことで楽になることもあるため、一度専門医にみてもらうといいでしょう。
病院は何科?行く目安は?
「熱がないのに足の裏や手のひらが熱い」と感じるとき、原因がわからない場合はまず内科を受診するのがおすすめです。
足や手の熱さは、自律神経の乱れ、ホルモンバランスの問題、末梢神経障害、血行不良、糖尿病など、多くの原因が考えられます。
内科では、これらの病気を特定するための問診や血液検査、必要に応じて他科への紹介が可能です。
病院で何を伝えればいい?
病院では、
いつから熱さを感じるようになったのか
どんなときに症状が強くなるのか(夜間、運動後、緊張時など)
他に感じる症状(しびれ、疲労感、むくみ、喉の渇きなど)
を伝えるとスムーズに診断できるでしょう。
病院に行く目安は?
1週間以上足や手の熱さが続いている
手足のしびれ、むくみなどがある
急に熱さが増す
足や手に赤み・青みが出る
などの症状がみられた場合は、病院へ行くのが望ましいでしょう。
足の裏や手のひらの熱さが一時的で、足や手を冷やしたり、リラックスすることで症状が軽減する場合は様子を見てもいいでしょう。
「帯状疱疹かも」と思うときは、皮膚科で相談を
帯状疱疹が疑われるときは、早めに皮膚科で治療を受けましょう。
症状の悪化を防ぐには、「抗ウイルス薬」を早めに服用する必要があります。
帯状疱疹が悪化すると、長くにわたって「神経痛」が残ってしまう場合があります。
後遺症を残さないためにも、放置しないようにしましょう。
自宅での過ごし方
帯状疱疹のときは、発疹や水ぶくれに触らないようにして、静かに過ごしてください。
運動したり疲れたりすると、さらに症状が重くなります。
また、感染を広げないために、周囲の人とタオルを共用しないようにしましょう。(※)
※帯状疱疹は、水ぼうそうに感染したことのある人にはうつりませんが、感染したことがない人にはうつるリスクがあります。
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2022-12-23
帯状疱疹ってどんな病気…?
放っておいてもいいの?
帯状疱疹という病気について、分かりやすくまとめました。
発症する原因や初期症状、治療方法についても解説します。
帯状疱疹とは?
帯状疱疹とは、過去に感染した「水ぼうそうのウイルス」が再活性化することが原因で発症する感染症です。
帯状疱疹になると、体の片側に痛みやチクチクとした感覚、かゆみが生じます。
その後そこに、まわりが赤い小さな水ぶくれがたくさんできます。ピリピリとしたしびれを感じることもあります。
帯状疱疹の症状
体の片側のかゆみ
体の片側の発疹・水ぶくれ
発熱
頭痛
※かゆみ・発疹等は、腕・胸・顔に出ることもあります。
症状の経過
帯状疱疹は、「①かゆみや痛み→②発疹→③水ぶくれ」と症状が変化していきます。
① 痛みやかゆみが出る
体の左右どちらか片側に、はじめは皮膚の痛みやかゆみなどの症状があらわれます。
胸から背中など、上半身に症状が出ることが多く、顔や目の周りに発症することも多いです。
② 紅斑・発疹ができる
痛みやかゆみなどの症状がある箇所に、赤い斑点(紅斑)が出てきます。
その後、虫に刺されたような発疹ができます。
発疹は神経に沿って帯状にあらわれ、数日から1周間ほど続きます。
③ 水ぶくれができる
発疹ができた部分にみずぶくれができます。発疹の中央の部分が膿のようになり、ただれたり、潰瘍のようになったりします。
やがて、かさぶたとなり、自然に枯れて剥がれ落ちます。
皮膚の症状は、一般的には1~2周間から1ヶ月ほどで良くなります。色素沈着が残る人もいます。
帯状疱疹の原因
帯状疱疹は、体内に潜んでいる「水痘ウイルス(水ぼうそうのウイルス)」が原因です。
免疫力が低下しているときにウイルスが活動を再開すると、帯状疱疹を発症します。
帯状疱疹になりやすい人は?
40~50代以上
疲労やストレスがたまっている
睡眠不足
免疫力が低下していると、神経細胞に潜んでいた「水ぼうそうのウイルス」が活性化して、帯状疱疹を発症しやすくなります。
※水ぼうそうに感染した人全員が、帯状疱疹を発症するわけではありません。
帯状疱疹は人にうつるの?
帯状疱疹は、周囲の人に帯状疱疹として感染することはありません。
しかし、過去に感染した水ぼうそうのウイルスが帯状疱疹の原因なので、乳幼児など水ぼうそうにかかったことがない人には、水ぼうそうとして感染することがあります。
帯状疱疹かもと思ったら…
時間をかければ自然治癒しますが、早めにウイルスや痛みを抑えるのがよいため、帯状疱疹の疑いがあったら、皮膚科にいくのがよいでしょう。
病院で処方される抗ウイルス剤を飲めば、自然治癒を待つより早い回復が期待できます。
また、免疫力が低下している状態です。まずは安静にして、食事をしっかりとりましょう。
お家では、お風呂に入ったりホットタオルをあてたりして、体を温めて痛みを和らげましょう。帯状疱疹による痛みは、血行が悪いと強く感じます。
治療内容
抗ウイルス剤の点滴や内服を行います。痛みに対しては鎮痛薬を使用することもあります。水疱には軟膏を塗ります。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
こんなときは「皮膚科」で相談しよう

皮膚の表面がピリピリするという方で、
- 保湿をしても、症状が改善しない
- 症状が2日以上続いている
といった場合は、早めに皮膚科で相談しましょう。
市販薬を使ったセルフケアで改善が見られないときは、処方薬による治療を受けてみましょう。
肌の乾燥が原因の場合は、「保湿成分の入った薬」や「抗炎症剤」などの処方が一般的です。
また、「帯状疱疹の前兆」として皮膚のピリピリ感が出ているケースもあります。
早めに受診することで、症状の早期改善につながりやすいです。
医師に伝えるポイント
- 困っている症状(どこがつらいか・どのような痛みがあるか)
- 症状がいつから出ているか
診察では上記の点を聞かれることが多いです。
特に「発症した時期」は、できるだけ正確に伝えるようにしましょう(※)。
(※)帯状疱疹の場合、発症してから治療開始までの期間が短いほど、治療薬の効果があります。
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2021-05-13
「帯状疱疹の前兆って、どんな症状が出るの?」
帯状疱疹の初期症状も併せて、お医者さんが詳しく解説します。
心当たりのある方は、受診すべき診療科もチェックしましょう。
帯状疱疹の「前兆」
「帯状疱疹」は、前兆として皮膚に痛みなどのさまざまな症状があらわれます。
ピリピリ、チクチクとした痛み
ツンツンとした痛み
体の片側の違和感
皮膚のかゆみ
「帯状疱疹」は、できるだけ早く治療を始めることが望ましい病気なので、帯状疱疹の前兆に気づいたら、早めに医療機関を受診しましょう。
前兆が続く期間
帯状疱疹の前兆は、おおよそ3~7日続きます。
その後、神経に沿うように帯状に赤い発疹が出て、帯状疱疹を発症します。
帯状疱疹の「症状の特徴」
帯状疱疹は、
かゆみや痛み
発疹
水ぶくれ
と症状が変化していきます。帯状疱疹かも、と思ったら医療機関を受診してください。
①痛みやかゆみが出る
体の左右どちらか片側に、はじめは皮膚の痛みやかゆみなどの症状があらわれます。
胸から背中など、上半身に症状が出ることが多く、顔や目の周りに発症することも多いです。
②紅斑・発疹ができる
痛みやかゆみなどの症状がある箇所に、赤い斑点(紅斑)が出てきます。
その後、虫に刺されたような発疹ができます。
発疹は神経に沿って帯状にあらわれ、数日から1周間ほど続きます。
③水ぶくれができる
発疹ができた部分にみずぶくれができます。発疹の中央の部分が膿のようになり、ただれたり、潰瘍のようになったりします。
やがて、かさぶたとなり、自然に枯れて剥がれ落ちます。
皮膚の症状は、一般的には1~2周間から1ヶ月ほどで良くなります。色素沈着が残る人もいます。
帯状疱疹の改善後
痛みは、皮膚の症状と同じように消えていきますが、時々眠れないほど激しい痛みを起こすことがあります。
また、炎症で神経が損傷したために、皮膚の症状が消えた後に痛みが残ることもあります。
帯状疱疹の合併症
顔に帯状疱疹が出た場合は、角膜炎・結膜炎などの病気や、発熱、リンパの腫れ、耳鳴り、顔面神経の麻痺などの合併症を起こすことがあります。
下腹部や腰に発症すると、便秘や尿が出にくいなどの症状を起こすこともあります。
そのため、帯状疱疹が疑われる場合は、早く治療を始めて、症状の悪化や合併症を防ぐことが大切です。
帯状疱疹は「他の人にうつる?」
帯状疱疹は、周囲の人に、帯状疱疹として感染することはありません。
しかし、過去に感染した水ぼうそうのウイルスが帯状疱疹の原因なので、乳幼児など水ぼうそうにかかったことがない人には、水ぼうそうとして感染することがあります。
感染を広げないように、医療機関で治療を受けることが望ましいです。
帯状疱疹の感染対策
水ぼうそうにかかったことがない人への感染を防ぐため、タオルなどを共用しないようにしましょう。
医療機関を受診するときは、水ぶくれが破れないように、患部をガーゼで覆いましょう。水ぶくれが破れて、細菌などに感染するのを防ぐだけでなく、周囲の人への感染対策にもなります。
病院は何科?
“帯状疱疹の前兆”が見られたら、皮膚科を受診してください。
皮膚の症状がおさまっても、痛みが残る場合には、神経内科・ペインクリニック内科で痛みをやわらげる治療をおこないます。
病院ではどんな治療をする?
医療機関では、帯状疱疹に対して、ウイルスの増殖を防ぐために、抗ウイルス薬を使った治療をおこないます。
抗ウイルス薬は、症状が出てからできるだけ早く使用することで、高い効果を期待できます。帯状疱疹の前兆を感じたら、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。
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放置はNG!帯状疱疹が悪化すると…
帯状疱疹を放置したり、治療の開始が遅れたりすると、発熱や頭痛など全身の症状が現れることがあります。
また、ウイルスによって目や耳などの神経が傷つけられることで、視力の低下や角膜炎、難聴や耳鳴り、めまいなどの後遺症が残ることがあります。
症状がおさまっても「痛みが続く」ことも
皮膚の症状がおさまった後も、長期に渡って痛みが続く、「帯状疱疹後神経痛」と呼ばれる病気もあるため、なるべく早く治療をしてウイルスを抑える必要があります。
50歳以上の人の約2割に起こるといわれているため、注意が必要です。
帯状疱疹の前兆に気づいたら、お近くの医療機関やかかりつけの医院に、まずは相談してみるとよいでしょう。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
MSDマニュアル家庭版:帯状疱疹
一般社団法人 千葉市医師会 大人の水ぼうそう「帯状疱疹」
公益財団法人長寿科学振興財団:帯状疱疹の症状
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。