「生理になったのに出血が少ない…」
「腹痛や茶色い血は出るのに、赤い血が出ないのはなぜ?」
生理が遅れる理由をお医者さんに聞いてみました。考えられる原因・対処法なども解説します。
監修者
経歴
医療法人社団 石野医院
日本医科大学
日本医科大学付属病院
日本医科大付属第二病院
国立横須賀病院
東部地域病院
石野医院
なぜ?生理予定日なのになかなか血が出てこない!
生理予定日を過ぎてもなかなか出血がないのは、ホルモンバランスの乱れによる生理不順が考えられます。
特に、
- ストレスの蓄積
- 疲労の蓄積
- 過度なダイエット
- 肥満
などに当てはまる人は、生理不順になりやすいです。
なお、生理予定日から2~3日のずれる程度の生理不順であれば心配ありません。
まずはバランスのいい食事をとりつつ、ゆったりと過ごすようにしましょう。何も考えずにリラックスしていると、急に生理がくることもよくあります。
「腹痛」や「茶色い出血」は生理の前兆かも
腹痛や茶色い出血があるのに、本格的な生理きません。大丈夫でしょうか?
生理予定日付近に腹痛・茶色い出血がある場合、生理がくる前兆の可能性が高いです。
茶色い出血があらわれはじめてから、2~3日後に通常の経血が出始めたら問題はありません。茶色い出血は、経血が押し出されて少しずつ排出されている状態です。その際に子宮が収縮することで、下腹部に痛みが生じます。
生理でなかなか血が出ない3つの原因
生理でなかなか血が出ないのは、
といった原因も考えられます。
原因① 妊娠
妊娠した場合、生理予定日前後に少量の出血が起こることがあります。
着床出血といい「ティッシュにつく」「ショーツが汚れる」程度の少量の出血が一般的です。生理のように大量に血が出ることはまずありません。
避妊したとしても、100%の確率で避妊が成功することはありません。性行為をした人は妊娠の可能性があります。
主な症状
- 体がだるくなる
- 胸が張る
- 下腹部の痛み
- 腰痛
- 頭痛
- 肌荒れ
- 眠気が強くなる
- 情緒不安定になる
「妊娠かも…」と思ったら
生理予定日の1週間を過ぎても生理がこない場合は、妊娠検査薬で検査を行いましょう。
陽性反応がでたら産婦人科で検査を受けましょう。
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原因② 更年期
更年期の始まりの時期は、生理不順になりやすいです。
加齢とともに排卵の回数も減少するため、月経周期が短くなったり、逆に長くなったりします。
更年期は閉経の前後5年間と定義されており、45歳から55歳頃までの10年間を指します。
主な症状
- のぼせ・ほてり
- 腰痛
- 頭痛
- 肩こり
- めまい
- 情緒不安定になる
更年期症状を改善するセルフケア
- 規則正しい生活を送る
- 栄養バランスの良い食事を心掛ける
- ヨガなどの軽い運動を行う
- 睡眠も十分にとる
- 好きなことをする
- リラックスできる時間を設ける
更年期の場合、上記の点を心がけると症状が落ち着きやすいです。
つらいときは婦人科で相談しよう
頭痛や腰痛などの症状がつらいときは、無理せずに婦人科で相談しましょう。
ホルモン剤や漢方薬を使用することで症状を緩和できる可能性があります。
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原因③ 早発卵巣不全(早発閉経)
40歳未満で排卵が停止してしまうことを早発卵巣不全(早発閉経)といいます。
卵子の消失または排卵ができなくなり、閉経状態になるため、出血(月経)がなくなります。
発症原因は不明ですが、自己免疫疾患・代謝性疾患・放射線被曝・抗がん剤などが関係していると考えられています。
また、過度のダイエット・ストレスの蓄積が関係して発症するケースもあります。
主な症状
- 生理不順
- 原因不明の不妊
- 更年期障害のようなのぼせ・ほてり
- 無月経
「早発卵巣不全かも…」と思ったら婦人科へ
早発卵巣不全が疑われる時は、婦人科で相談しましょう。
病気が隠れているケースもあるため、診察を受ける必要があります。
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「1週間以上生理がこない」ときは婦人科へ!
- 生理予定日から1週間経っても生理がこない
- 生理の出血量が少ない
- 腹痛を伴う
といった場合は、婦人科で相談しましょう。
こんな病気が隠れているケースも…
「生理不順・無月経を生じる病気」の例
- 甲状腺の病気
- 原発性甲状腺機能低下症
- 多嚢胞性卵巣症候群
- アンドロゲン産生腫瘍
- 高プロラクチン血症(プロラクチノーマル機能性、薬剤性)
生理がこなくなる原因には、婦人科系の病気だけでなく甲状腺の病気も考えられます。放置すると悪化して不妊などを招くケースがあるため、早めの受診をおすすめします。
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「最近生理の血が少ない…」
「1~3日目にはかなり量があったんだけど、これって大丈夫…?」
生理の血が少量になってしまうのは大丈夫なのかを、お医者さんに聞いてみました。
対処法や医療機関に行く目安も詳しく解説していきます。
生理の出血量が少ない…大丈夫?
最近生理の血が少なく不安です…。前までは1~3日目にはかなり量があったのですが…。最近初日の出血が明らかに少なくて、日数が経つと量が増えてきます。これって大丈夫でしょうか…?
血の量が少なくても、排卵の周期がきちんと来ていれば問題ありません。
基礎体温をつけて、排卵の周期が正しく来ているのかをチェックしましょう。
2日目なのにナプキンを交換する必要がほとんどない、あるいは月経が2日で終わってしまうなどの症状が見られる場合は、過少月経の可能性が高いです。
過少月経自体はあまり心配ありません。
女性ホルモンには、子宮内膜を作る作用がある「エストロゲン」と子宮内膜を剥がす作用がある「プロゲステロン」があります。この2つのホルモンがバランスよく分泌されないことで、生理がうまく起こらず血の量が減る場合があります。
一時的なホルモンバランスの乱れが原因で出血量が乱れる場合には、特に治療の必要はありません。
ただし、こんなときは婦人科に相談を
生理の血が少ないだけでなく排卵周期も乱れている場合は、セルフケアでどうにかしようとせずに医療機関を受診しましょう。
自己流で漢方薬を試したり、市販薬を服用したりすると体に合わないことがあるのでやめてください。
前述した過少月経自体はあまり心配ありませんがホルモン異常や子宮内膜炎などの病気が見つかることがあります。
特に妊娠を希望している方は、不妊症の原因が隠れているかもしれませんので、医療機関を受診しましょう。
また、一時的に生理の血の量が少ない場合は妊娠の可能性もあります。
妊娠の可能性が考えられる場合は、検査薬で確認し医療機関へ行きましょう。
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乱れたホルモンバランスを整えるには?
ホルモンバランスの乱れの原因の多くは生活習慣の中にあります。
できるだけストレスを取り除き、十分な睡眠と栄養のある食事を摂りましょう。
ホルモンバランスの乱れは、
過度なストレス
過度なダイエット
栄養不足
疲労の蓄積
環境の変化
不規則な生活リズム
などの生活習慣が原因で起こります。
まずは、上記のような生活になっていないかを見直しましょう。基本は「しっかり眠り、しっかり食べて、疲れやストレスを溜めない」ことです。
そして、基礎体温を計測し排卵が行われているかを確認しましょう。
その上で、体がつらくない程度に運動習慣も取り入れましょう。
ヨガやウォーキングなどの有酸素運動を生活に取り入れることで、自律神経が整いホルモンバランスの乱れが整うこともあります。
もしかすると婦人科系の病気の疑いも…
生理の血が少ない場合に考えられる病気として、
子宮奇形
子宮内腔癒着
無排卵周期症
があげられます。
原因① 子宮奇形
子宮奇形とは、過少月経、月経異常、月経困難症などの月経異常が起こりやすくなる病気です。
この病気にかかると月経痛が強く現れることが多く、また不妊や流産も多くなります。
ただ、子宮奇形では、毎月月経異常は起こりません。
受診する目安
月経異常が起こる場合は、医療機関で検査を受けましょう。
子宮奇形の場合は子宮の内壁に傷がつき子宮内壁が癒着した状態になっているため、自分でできる対処方法はありません。手術によりくっついてしまった内壁を剥がす治療を行います。
無症状で妊娠、出産に障害にならない場合は、治療が必要ないこともあります。
原因② 子宮内腔癒着
子宮内腔癒着とは、過少月経や無月経になる病気です。
進行すると、不妊症や月経困難症になることもあります。
受診する目安
月経困難症が3~6ヶ月ほど続く場合や不妊の場合は、一度医療機関で検査を受けましょう。
手術によりくっついてしまった内壁を剥がす治療を行います。
原因③ 無排卵周期症
月経の周期が不規則だったり、月経の期間が長くなったり短くなったりする病気です。不正出血が起こることもあります。
基礎体温に変化がなく、一定になることが多いため、基礎体温をチェックしておくと無排卵月経の可能性がわかりやすくなります。
どう対処するのがよいのか
過度のストレス、過度のダイエット、過度なスポーツによる負荷などが原因で起こることがあります。
その場合は、生活習慣を見直して、規則正しい生活習慣に切り替えていきましょう。
受診する目安
生理が1ヶ月以上遅れる
生理が止まらない
生理が月に2回以上起こる
不正出血がある
といった症状が起切る場合は医療機関を受診しましょう。
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▼参考
公益社団法人日本産科婦人科学会
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「生理の血が少ない…これって大丈夫?」
「妊娠している?」
血が少なくなる原因を医師にうかがいました。
不妊や病気が悪化する可能性もあるので要注意です。
生理の血が少ない…原因は妊娠?
妊娠している場合、生理予定日前後にごく少量の出血「着床出血」が起こることがあります。
また、ホルモンのバランスが乱れて、過短月経(短い月経)になっている可能性があります。の場合、妊娠の可能性はないです。
「着床出血」と「出血が少ない生理」はどう見分ける?
着床出血と生理は、出血量が明らかに違います。
妊娠によっておこる着床出血は、ごく少量の出血(トイレットペーパーに血が付く・下着が少し汚れる程度の出血)です。
着床出血は、生理予定日前後に起こるため、「生理の血が少なくなった」と勘違いする人もいます。しかし、生理のようにどんどん出血量が増えることはありません。
<生理の出血量>
生理は通常数日間(7日程度)出血が続きます。
個人差がありますが1周期の出血量は20ml〜140mlで、ナプキンを1日に何枚か変える必要があります。
<着床出血の出血量>
着床出血はごく少量です。
ティッシュに少し血がつく、オリモノに少し血が混じる程度の出血が1日~数日起きます。
「生理の血が少ない」状態が続いたら…病気サインかも
生理の出血量が少ない状態が3か月以上続く場合は
過少月経
子宮腔癒着症(アッシャーマン症候群)
等の病気の可能性があります。
病気① 過少月経
月経量が極端に少ない状態を指します。
過少月経には、「機能性過少月経」と「器質性過少月経」の2種類があります。
<機能性過小月経>
黄体ホルモンの分泌量が減少し、排卵に不具合が起こっている状態です。
原因には、脳の視床下部や下垂体の異常が挙げられます。
<器質性過少月経>
子宮や卵巣に異常があるために、経血量が少なくなっている状態です。
原因となる病気には、子宮内膜炎などが挙げられます。
過少月経の主な症状
生理の血の量が減るだけでなく、月経が2日以内に終わる「過短月経」になることもあります。
どんな人に多い?
「機能性」の場合は10〜20代、また40代後半の人にみられる傾向があります。
「器質性」の場合は30代以降の子宮に異常がある人にみられる傾向があります。
病気② 子宮腔癒着症(アッシャーマン症候群)
炎症によって、子宮内膜の組織同士がくっついている状態です。
子宮内膜が育たなくなることで、生理の血の量が減ります。
子宮腔癒着症の主な症状
月経の量が減少したり、無月経になったりします。
また、着床しにくくなるため、不妊の原因となります。
妊娠を望んでいる方は、一度医療機関に相談しましょう。
どんな人に多い?
中絶手術した人
出産した人
子宮の病気を治療した人
に発症しやすい傾向があります。
「病気が原因かも…」と思ったら、放置せずに婦人科へ
病気が原因の場合、放置すると不妊を引き起こしたり、治療が長くかかったりするリスクがあります。
治療開始が早ければ早いほど、病気の進行を食い止めやすくなります。
異常を感じたら、速やかに医療機関を受診しましょう。
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「妊娠したかも…」と思ったら
妊娠を疑う場合、生理予定日を7日間過ぎたら検査薬でチェックしてみましょう。
あまりに早く使うと、正確な判定が出ない可能性があります。
産婦人科はいつ行けばいい?
妊娠検査薬で陽性が出たら、7日間以内に診察を受けましょう。
検査を受けるまで日を空けてしまうと、妊娠が進み、異常妊娠などの診察が遅れて、母体に負担がかかる場合があります。
妊娠検査薬を自宅で行なった後には、医療機関での妊娠判定を受けてください。
妊娠検査薬は妊娠の判定はできますが、妊娠が正常かどうか確認できません。
母子の健康のために、医療機関での検査が重要になります。
妊娠したら「やってはいけないこと」
妊娠に気が付いたら禁煙・禁酒をしてください。
「喫煙」は、胎盤異常・早産・胎児の発育異常の原因につながります。
また「飲酒」は、胎児の低体重・顔面の奇形・脳の障害などを引き起こす恐れがあります。
禁煙・禁酒できない方は、医療機関で治療を受けられるので、かかりつけ医に相談してください。
妊娠中に心がけるとよいこと
体を冷やさない
長時間歩かない
無理しない
お腹を圧迫しない
重い荷物を持たない
インフルエンザの予防接種を受ける
ストレスや疲労をためない
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
一般社団法人日本内分泌学会 多嚢胞性卵巣症候群