「生理前になると歯が痛い…」
「なぜ歯が痛くなるの?」
生理前に歯が痛む症状について、歯医者さんに聞いてみました。
痛みを和らげるための対処法も併せて解説します。
監修者
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歯は健康に欠かせません。美味しいものを食べる・会話をする・美しい表情を保つ…、健康な歯は人生の質を高めます。歯の正しい知識を知って、より健康な日々を手に入れましょう。
生理前になると歯が痛い…原因は?
生理前になると歯が痛くなる原因には、月経前症候群(PMS)の可能性が考えられます。
月経前症候群(PMS)の人は、女性ホルモンの影響を強く受けます。
これにより、
- 歯周病菌が活性化する
- 歯茎の血液量が増え、刺激に敏感になる
- 痛みを誘発する物質が分泌される
といった状態になり、歯の痛みを生じる場合があります。
それぞれ詳しく解説していきます。
\月経前症候群(PMS)って?/
月経前症候群とは、生理がくる前(生理前の3~14日前頃)に様々な不快な症状が身体に出現する状態で、生理開始とともに症状が緩和していくケースが多いです。
月経前症候群が原因で起こる不快な症状は200種類にも及び、歯の痛みもその症状のひとつと考えられます。
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2022-12-23
PMSってどんな症状が出るの?
つらいときはどうすればいい?
PMSの主な症状やセルフケア方法など、分かりやすく解説します。
病院へ行く目安も紹介するので、当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
PMSとは
PMS(Premenstrual Syndrome:月経前症候群)とは、月経の3~10日前から始まり、月経が始まると解消する心や体の不調のことです。
PMSが生じる原因は明らかにされていませんが、排卵後に起きる女性ホルモンの分泌量の変化や、ストレスなどが影響しているといわれています。
PMSは誰でもなるの?
日本では、月経のある女性のうち約7~8割が月経前に何らかの症状を抱えています。
また、100人中5人程度の人が「生活に支障が生じるほどつらいPMS」であるといわれています。
思春期の女性でPMSを示す割合が多い、という報告もあります。
PMSになりやすい人は?
真面目
几帳面
我慢しがち
上記に当てはまる人は、PMSになりやすいといわれています。
PMSの主な症状
頭痛
腹痛(下腹部痛)
腰痛
めまい・のぼせ
吐き気
乳房の張り感、痛み
食欲低下
倦怠感
イライラする
など
生理が始まると、「症状が軽くなる」「無くなる」という特徴があります
「PMS」と「PMDD」の違いは?
生理周期に伴う心と体の不調をまとめて、PMS(月経前症候群)と呼びます。
その中でも心の不調が強く出る場合は、PMDD(月経前不快気分障害)と診断されます。
PMSの対処法
1日3食、栄養バランスのとれた食事をとる
1日6~8時間程度の質のよい睡眠をとる
お腹を温める
ストレッチや軽い運動をする
PMSの症状には、上記の方法で対処するとよいでしょう。
対処法① 1日3食、栄養バランスのとれた食事をとる
PMSの症状は、ホルモンバランスの乱れにより悪化しやすくなります。
主食・主菜・副菜の揃った食事をとることで、栄養をバランスよく摂取でき、ホルモンバランスが整いやすくなります。
和定食のイメージで食事をとると、栄養バランスが整いやすいです。
食事を抜くと、体のリズムが乱れやすくなり、エネルギー不足になる可能性があるので、きちんと3食とるようにしましょう。
対処法② 1日6~8時間程度の質のよい睡眠をとる
ホルモンバランスを整えるためには、十分な睡眠時間を確保する必要があります。
毎日6~8時間程度、質のよい睡眠をとることを心がけましょう。
ただし、理想の睡眠時間には個人差があります。朝目覚めたときに疲れがとれていて、日中に眠気を感じない状態になるように心がけましょう。
「深い眠り」を得るためのポイント
朝起きたらカーテンを開けて日光を浴びる
昼寝は15時までに30分以内にする
夜は11時(遅くとも12時)には寝る
夕方以降は「カフェインを含む食品」を控える
夕食は就寝の2~3時間前までに済ませる
飲酒は、就寝の3~4時間前までにする
就寝の2~3時間前に入浴する
就寝前はできるだけパソコン・スマホを触らない
対処法③ お腹を温める
お腹を温めると腹痛の緩和につながります。お腹にカイロをあてて患部を温めるとよいでしょう。
温かい飲み物を飲んで、体の中から温めることもおすすめです。
対処法④ ストレッチや軽い運動をする
PMSによる頭痛には、肩や首回りの筋肉をほぐし、血流をよくすることがおすすめです。
ストレッチや軽い運動で、体をほぐしましょう。
ただし、体を動かしていて、ズキンズキンと血流に合わせて頭痛が起きたら、体を動かすのをやめて楽な姿勢で休みましょう。
病院に行く目安
体や精神面の不調によって「つらい」と感じているときは、医療機関の受診をおすすめします。
特に、
PMSのつらい症状が毎月起こる
日常生活や対人関係に支障が出ている
痛みや倦怠感が重く、仕事や学校を休むことがある
といった場合は、早めの受診をおすすめします。
PMSが悪化すると、脳機能のバランスを崩し、うつ病を発症するケースもあります。
心当たりのある方は、放置しないようにしましょう。
PMSの治療法
PMSで受診した場合、病院では飲み薬・低用量ピル・漢方薬などを用いて治療をします。
低用量ピルを使うと、生理前と後のホルモンの量の差を軽減できるため、PMSの症状がかなり楽になります。
ただし、妊娠を望んでいる場合には、低用量ピルが使用できないため、生活指導を中心とした治療になります。
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痛みの理由① 歯周病菌が活性化している
女性ホルモンの分泌量の変動によって、通常は悪さをしない「歯周病菌」が活性化すると、歯の痛みなどの症状があらわれる場合があります。
痛みの理由② 歯茎の血液量が増え、刺激に敏感になっている
女性ホルモンの分泌量が増加すると、歯茎の血液量が増えるため、外部からの刺激に敏感になります。
これにより、歯の痛み、歯肉の腫れ、出血などの症状があらわれる場合もあります。
痛みの理由③ 痛みを誘発する物質が分泌される
生理前は、子宮を収縮させて子宮内の血液を排泄する「プロスタグランジン」が分泌されます。
プロスタグランジンには痛みを誘発する作用もあるため、歯に痛みが生じる場合があります。
この場合、通常時であれば痛みがないほどの小さい虫歯でも、急に痛みが生じることがあります。
どう対処すればいい?
生理前の歯の痛みには、
- 鎮痛剤を使う
- 冷やす
- ストレスをため込まない
- ツボを押す
といった対処をおすすめします。
対処法① 鎮痛剤を使う
鎮痛剤を使用することで、一時的に歯の痛みが緩和される場合があります。
▼市販のおすすめの鎮痛剤
- バファリンA(ライオン)
- ロキソニンS(第一三共ヘルスケア)
- 新今治水(丹平製薬)
- イブA錠(エスエス製薬)
- ノーシン(株式会社アラクス)
対処法② 冷やす
痛みが生じている部分を軽く冷やすことで、痛みの緩和が期待できます。
▼冷やし方
保冷剤をタオルなどで包んだもので、痛みが生じている部分を軽く冷やしましょう。
氷などを直接皮膚にあてるのはNGです
対処法③ ストレスを溜め込まない
月経前症候群(PMS)は、過剰なストレスや環境の変化によって症状が悪化する場合があります。
生理前はできるだけストレスを溜め込まないのがよいでしょう。
\ストレスを溜めないために今できること/
- 十分な睡眠時間を確保する
- 栄養をしっかり摂る(特にビタミン類を豊富に含む緑黄色野菜 など)
- ハードワークを避ける
- 緊張し過ぎない(深呼吸をすると気が和らぐことも!)
- リラックスする時間をつくる
- 自分にご褒美をあげる
などを心掛けてみてください。
対処法④ ツボを押す
ツボ(合谷)を押して刺激することで、歯の痛みが緩和する場合があります。
画像にあるのが“合谷”というツボで、脳が感じる痛みを緩和してくれる働きがあるといわれています。
\さっそくツボを押してみましょう!/
ツボ(合谷)を反対の手の親指などで「痛気持ちいい」と感じる程度の指圧でギューッと押しましょう。
「軽くもみほぐす」ようにしてもよいでしょう。
5秒押して離す、を両手5~6回ずつ目安に行いましょう。
※ツボ押しを避けた方がよい場合:飲酒時、満腹時、空腹時、血圧の高い方
これはNG!痛みが悪化する行動
- 歯を必要以上に触る
- 日々の歯磨きやオーラルケアを怠る
- 痛みの緩和のため氷を直接口の中に入れる
- アルコールの過剰摂取
- タバコを吸う
- 糖分の過剰摂取・栄養不足
- 睡眠不足(寝る時間が短い・眠りが浅い)
- 過剰に血行を促進させる行動(激しい運動・熱いお風呂に入る等)
上記の行動は、痛みの悪化につながります。できるだけ避けるようにしましょう。
歯医者には行った方がいいの?
虫歯や歯周病が痛みを引き起こしている可能性もあります。
月経前症候群(PMS)が疑われる場合でも、念のため歯医者を受診すると良いでしょう。
お口の中に問題がないと診断された場合は、婦人科での相談をおすすめします。
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こんな症状があったら早めに歯医者へ
- 痛みが強い
- 歯茎がひどく腫れている
- 痛みとともに出血がみられる
などの症状もある場合には、早めに歯科を受診しましょう。
放置すると、虫歯が悪化して痛みが増悪したり、治療期間が長引いたりしてしまう恐れがあります。
どんな治療を受けるの?
歯(虫歯等)と歯茎(歯周病)の確認後、虫歯がある場合には虫歯治療を、歯周病がある場合には歯周病治療を行います。
◆虫歯治療
虫歯が確認できる歯を削り、詰めものをするなどの治療を行います。
◆歯周病治療
施術やブラッシング指導を行い、お口の中の歯周病菌を減らしていきます。
歯に歯石や歯垢が付着している場合には、それらの除去が行われます。
日頃から定期的に歯医者を受診することで、虫歯を早期発見できるため、悪化を防ぎやすくなります。
生理前に「歯が痛い」と感じるのは治療が必要な場合もあるため、一度歯医者で相談してみることをおすすめします。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。