朝起きると右肩が痛い…なぜ?
起床時に右肩が痛む場合によくある原因について、お医者さんに聞いてみました。
就寝時に意識すべき対処法も紹介するので、右肩の痛みを改善したい人は必読です。
監修者
フェリシティークリニック名古屋
医学博士
河合 隆志先生
経歴
’97慶應義塾大学理工学部卒業
’99同大学院修士課程修了
’06東京医科大学医学部卒業
’06三楽病院臨床研修医
’08三楽病院整形外科他勤務
’12東京医科歯科大学大学院博士課程修了
’13愛知医科大学学際的痛みセンター勤務
’15米国ペインマネジメント&アンチエイジングセンター他研修
’16フェリシティークリニック名古屋 開設
朝起きると“右肩”が痛い…これはなぜ?
朝起きると右肩が痛む場合、
といった原因が考えられます。
首や肩の筋肉に負担がかかりすぎると、こわばった筋肉が神経を圧迫し、右肩の痛みを引き起こします。
右肩の痛みを予防するには?
起床時の右肩の痛みを予防するために、下記の3点を意識しましょう。
対処法① 枕の高さを合わせる
枕に頭を乗せたときに、立っているときと同じ程度に「軽く顎が引く」角度のものを選びましょう。
枕が高過ぎたり、低すぎたりすると、首や肩に負担がかかるため、肩が痛くなる原因となります。
普段と違う枕を使うと、最初は違和感がありますが、徐々に慣れていきます。
枕は毎日使うものです。体に合ったものを選びましょう。
対処法➁ 仰向けで寝る
仰向けの姿勢は、肩に負担がかかりにくいのでおすすめです。
寝ているときに姿勢が変わる人は、仰向けに戻す癖をつけましょう。
また、寝相が悪くならないように、手足を伸ばして寝られるようにしてください。
仰向けに寝ると腰が痛くなる人は、「反り腰」になっている可能性があります。
ことで、腰への負担が軽減されるので、試してみてください。
対処法③ 暖かくして寝る
など、寝ているときに体が冷えないように、暖かい環境を整えましょう。
体が冷えると血管が収縮し、筋肉が緊張して痛みの原因となります。
こんなときは病院へ
- 午後になっても右肩の痛みがとれない
- 右肩を動かしにくい
- 痛みで寝るのが困難
上記の症状が見られる人は、早めに医療機関で受診しましょう。
肩周りの筋肉や腱を痛めている疑いがあります。
治療せずに放置すると、痛い部分をかばってしまうため、痛みや炎症が広がるおそれがあります。
病院は何科に行けばいい?
「整形外科」に相談しましょう。
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右肩が痛くなる2つの病気
寝方に問題がないのに、朝起きたら右肩が痛む場合は、下記の病気が疑われます。
病気① 肩関節周囲炎
肩回りの筋肉や関節が炎症を起こしている状態です。
「四十肩」「五十肩」と呼ばれることもあります。
初期段階では肩の痛みがあらわれ、進行すると、「肩が硬くなる」「肩を動かしにくくなる」といった症状が強くなります。
肩関節周囲炎の症状チェック
- 安静にしていても痛い
- 痛みで眠れない
- 肩の動きが鈍い
- 腕が上がらない
- 腕が後方に回らない
- 手を伸ばすと痛い
肩関節周囲炎かも、どうすればいい?
「整形外科」で受診しましょう。
そのまま放置すると、肩を動かしにくくなるおそれがあります。
医療機関でリハビリを行うことで、肩を動かしやすい状態にします。
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病気➁ 肩腱板損傷
肩甲骨の横にある関節(腱板)が、ケガなどで損傷している状態です。
肩腱板損傷の症状チェック
- 肩が痛くて眠れない
- 力を入れると肩に響く
- 腕を上げるのが困難
肩腱板損傷かも、どうすればいい?
早めに「整形外科」で受診しましょう。
治療せずに放置すると、肩を動かしにくくなるおそれがあります。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
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2021-07-13
「肩がズキズキ痛い…20代の場合、何が原因?」
肩腱板損傷や肩こりなど、考えられる病気を解説します
病院に行く目安、受診すべき診療科もチェックしましょう。
何これ!肩がズキズキ痛い…
20代の若い方で肩がズキズキ痛い場合、
肩の筋肉が傷ついている
肩につながる神経に異常がある
といった状態が考えられます。
痛みを抑える方法は?
患部の状態に合わせて、冷やすか、温めてください。
<冷やしたほうがよいケース>
急に強く痛み出した
肩に熱感がある
といった場合は、患部を冷やすと症状が和らぎやすいです。
湿布を貼って、安静にしましょう。
<温めたほうがよいケース>
肩が動かしにくい
冷えが原因で発症した
といった場合は、温めて血行を良くしましょう。
温湿布を使ったり、湯船に浸かったりすると、体が温まります。
これはNG!間違った対処法
原因がわからないときに、患部を揉みほぐすのは止めましょう。
やみくもに強く揉んでしまうと、筋肉や腱を余計に痛め、症状が悪化する恐れがあります。
病院に行った方がいいの?
症状が3、4日以上続いている
快方に向かう気配がない
痛みが強くなっている
といったときは、医療機関の受診をおすすめします。
上記の場合、放置すると痛みが広がるケースもあります。
症状を重くさせないよう、早めの治療を心がけてください。
何科で受診すればいい?
肩のズキズキした痛みは、整形外科で相談できます。
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20代に多い!肩がズキズキ痛む2つの原因
20代の若い方で、肩がズキズキと痛いのは、
肩腱板損傷
肩こり
といった原因が考えられます。
原因① 肩腱板損傷とは
肩腱板という、肩関節にある筋肉の腱を損傷すると、肩がズキズキと痛むことがあります。
肩腱板損傷は中高年に多い病気ですが、肩の使いすぎ・ケガによって20代の人も発症します。
「肩腱板損傷」の症状の特徴
肩の鈍痛
感覚異常、張り感
ズキズキ感じる
朝や夜に痛む
動かすと痛む
動かさないときも痛む
動かそうとしても、思うように動かない
動く範囲が狭くなってくる
「肩腱板損傷」を発症するキッカケ
肩の使いすぎ
重い荷物を持つ動作
ケガ
悪い姿勢
などをきっかけとなって発症します。
自分でできる対処法は?
患部に熱感・張り感があるときは、冷やしてください。
症状が落ち着いてきたら、患部を温めたり、少しずつ肩を動かしたりしましょう。
上記のケアを行っても改善が見られない場合は、早めに医療機関を受診してください。
病院は何科?
肩腱板損傷は、整形外科で治療を受けられます。
医療機関では、運動療法や温熱療法で治療を行なうケースが多いです。
<運動療法>
痛みの具合や可動域に合わせ、医師や理学療法士がリハビリ方法を指導します。
<温熱療法>
ホットパック、マイクロ波などの機器を用いて患部を温めます。
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原因② 肩こり
肩こりがひどくなると、周りの筋肉が固まってしまい、肩がズキズキと痛むことがあります。
肩こりは、20代の若い人でも発症します。
「肩こり」の特徴
肩や首周辺の張り
肩を動かす時の痛み
動かしていなくても痛みを感じる
頭痛
吐き気
腕や手の痺れ
「肩こり」を発症するキッカケ
運動不足
同じ姿勢での長時間のデスクワーク
眼精疲労
体の冷え
ストレス
などがきっかけとなって発症します。
スマートフォンやパソコンをよく使用する人は、眼精疲労による肩こりに注意しましょう。
若い世代の肩こりは、受験勉強をしている人、緊張を感じやすい人にも発症しやすいです。
自分でできる対処法は?
1時間に1回、腕を回して肩周辺の筋肉をほぐしましょう。
また、パソコンやスマホの画面を長時間見すぎない、肩まわりが冷えないようにする、といった点も意識してください。
液晶画面を見るときは1時間に10分程度、画面から目を離して休憩しましょう。
また、湯船に入って体を温める習慣をつけると、症状が改善しやすくなります。
病院は何科?
肩こりでお困りの場合は、整形外科を受診しましょう。
肩こりの治療法には、
湿布の処方
温熱療法
運動療法
筋膜リリース療法
生活改善指導
などがあります。
「筋膜リリース療法」は、患部に生理食塩水を注射して肩こりを楽にする治療法です。
注射から数日間は効果がありますが、吸収されると肩こりがまた発生するため、運動療法や生活改善を組み合わせて行う必要があります。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
公益社団法人日本整形外科学会 肩こり
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2021-01-04
最近、右肩の痛い…。これは内臓の病気のサイン?
右肩の痛みから考えられる内臓の病気について、お医者さんに聞きました。
症状がある方は、ぜひチェックしてみてください。
右肩の痛みは内臓疾患のサイン?
右側に位置する内臓の不調が、右肩の痛みとして現れる場合があります。
肩の痛みだけでなく、吐き気や息苦しさなどの内科症状を伴う場合は、内臓疾患の可能性があります。
右肩に痛みが出る内臓の病気
原因不明の右肩の痛みは、
肺の病気
胆のうの病気
を発症している可能性があります。
① 肺の病気
気胸や肺がんなどが考えられます。
急激な痛みというよりも、徐々に痛みを感じます。
気胸の場合、気圧の変化を受けるため秋頃から冬に発症しやすいと言われます。
肺の病気の「症状の特徴」
せき・息苦しさ・血痰・胸の痛みなどがあります。
肺の病気になる「原因」
気胸の場合は、これといった原因がなく、自然に発症します。
肺がんの場合は、タバコが主な原因です。他にもストレス・環境・食生活・睡眠不足なども一因となると考えられます。
肺の病気になりやすい人
10~30代の痩せ型の男性(気胸)
喫煙習慣がある人(肺がん)
放っておくとどうなる?
肺の病気を放置すると、呼吸困難になるなど命に関わります。
肺がんは、放置すれと全身に転移し、治療が間に合わなければ死亡します。
こんな症状がでたらすぐ病院へ
呼吸のしづらさ・胸の痛みなどが生じた場合は、すぐに受診してください。
受診するのは何科?
呼吸器内科を受診しましょう。
呼吸器内科を探す
② 胆のうの病気
胆石症や胆のう炎などが考えられます。
食後にみぞおちあたりから痛み出し、徐々に肋骨・右肩・背中などに広がります。
胆のうの病気の「症状の特徴」
背中やみぞおちの痛み・吐き気・食欲不振・嘔吐・黄疸などがあります。
胆のうの病気になる「原因」
胆石症はコレステロールの多い食事が原因と言われています。
胆のう炎は胆石症の合併症として発症することが多い病気です。
胆のうが細菌に感染したり、膵液に逆流したりすることが原因で発症します。
胆のうの病気になりやすい人
40歳以上の人
太っている人
女性
加齢 など
放っておくとどうなる?
胆のうの病気が悪化し、胆管炎となってしまった場合、命に関わることがあります。
こんな症状が出たらすぐ病院へ
みぞおちの痛みが続く・発熱・激しい腹痛・黄疸などが生じたら、すぐに受診してください。
受診するのは何科?
消化器内科、内科を受診してください。
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自分では原因がわからない…何科に行くべき?
肩の痛み以外にも腹痛・吐き気・嘔吐・止まらない咳・呼吸困難・黄疸などがある場合は、内科に相談しましょう。
肩の痛みだけの場合は、整形外科を受診しましょう。
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不安な方は早期受診がおすすめ!
病院で検査を受けることで、不調の原因がわかります。
重病だった場合、悪化するリスクを防げるというメリットがあります。
▼参考
一般社団法人日本呼吸器学会 肺がん