2022-03-31
「糖分(糖質)をとりすぎると、なぜだるくなるの?」
「どれぐらい摂取すると糖分のとりすぎになるの?」
糖分のとりすぎでだるくなる理由を、栄養士さんに聞いてみました。
糖分を過剰摂取した後にできる対処法や、糖分疲労を防ぐ方法も詳しく解説していきます。
「糖分をとりすぎると、だるくなる」理由
糖分(糖質)をとりすぎると、急上昇した血糖値を下げようとして「インスリン」が大量に分泌されます。
このインスリンの作用によって血糖値が急降下すると、低血糖状態になって疲れ・だるさ・眠気などの症状があらわれます。
「糖分のとりすぎ」の将来的なリスク
糖分のとりすぎで起こる不調は、だるさなどの一時的な症状だけではありません。
糖分をとりすぎる生活を続けた場合、
太りやすくなる
老化が早まる
糖尿病を発症する
動脈硬化を発症する
といった将来的なリスクもあります。
糖分を過剰摂取すると、使いきれない糖質が脂肪に変わったり、AGEs(老化を促す物質)が蓄積されたりします。
また、急上昇した血糖値を下げるために「インスリン」の大量分泌を繰り返していると、インスリンの分泌機能や作用に異常をきたしやすいです。
これにより血糖値を上手く下げられなくなると、高血糖状態が続く「糖尿病」を発症します。
慢性的な高血糖状態は血管にダメージを与えるため「動脈硬化」を招き、心筋梗塞・脳梗塞などの発症リスクも上昇してしまいます。
「糖分のとりすぎ」ってどれくらい?
▼30代女性の例
1日に必要なエネルギー量
摂りすぎの目安
【30代女性】
体重50kg
あまり運動しないタイプ
約1643kcal
糖質268g以上
(1072kcal以上)
「1日に必要なエネルギー量」の65%を超える量だと、糖質の摂りすぎといえるでしょう(※)
(※)厚生労働省の発表では、「1日に必要な総エネルギー摂取量」の50~65%を糖質から摂取することを理想としています。
(※)性別・年齢・体重・活動強度などにより、「1日に必要なエネルギー量」と「糖質の摂取量目安」は異なります。
こんな人は“糖分のとりすぎ”かも
ごはんやパン等の炭水化物を何回もおかわりする
3回の食事に加えて、1日に何回も甘いものを食べる
清涼飲料水から水分補給をしている
といった習慣がある人は、糖質をとりすぎている可能性が高いです。
「疲れたら糖分をとる」は嘘なの?
体がエネルギー不足の状態であれば、糖分を摂ることで疲れが緩和することもあります。
しかし、糖分が足りている状態でさらに摂取すると、イライラや不安感が高まり、さらなる疲労感や集中力の低下につながります。
「糖分をとりすぎちゃった!」どうすればいい?
糖分をとりすぎてしまったときは、「糖質をエネルギーとして消費する」ことで、体の調子を整えやすくなります。
そのためにも、
「ビタミンB1」を積極的に摂取する
食後1~2時間頃に有酸素運動をする
といった対処をおすすめします。
対処法① ビタミンB1を積極的に摂取する
おすすめ食材
ビタミンB1含有量の目安(※)
豚ヒレ(焼き)
2.09mg
豚ロース(焼き)
0.9mg
豚バラ(焼き)
0.57mg
玄米めし
0.16mg
木綿豆腐
0.09mg
そらまめ(ゆで)
0.22mg
(※)可食部100g当たりの値を表記しております。
18~74歳女性は、1日1.1mgを目安にビタミンB1を摂取しましょう。
ビタミンB1は、豚肉や未精製の穀類、豆類などに多く含まれています。
ビタミンB1は、糖質を体の中でエネルギーに変換する際に必要な成分です。
糖代謝を促すことで、糖分の摂りすぎによる体調不良を防ぎやすくなります。
「サプリメント」で摂取してもいいの?
食事から摂るのが基本ですが、食事で栄養を上手く取り入れられないときは、サプリメントで摂取してもよいです。
「足りない分を補う」という考えで使用しましょう。
ただし、購入の際は内容成分・販売元等をしっかり確認するようにしてください。
購入前に栄養士や薬剤師に相談するとよいでしょう。
対処法② 食後1~2時間頃に有酸素運動をする
食後の血糖値があがりやすい人は、食後1~2時間頃に30〜60分程度、有酸素運動を行うとよいでしょう。
ジョギングなど息が弾む程度の運動を行いましょう。
※「息切れするほどの運動」や「食事直後の運動」は、胃に負担を掛ける可能性があるため避けてください。
糖質の過剰摂取後に有酸素運動をすることで、脂肪が燃焼されて太りにくくなります。
“糖分疲労”を予防するためにできる3つのこと
糖分によるだるさ・疲労感を予防するためには、「血糖値の急上昇を防ぐ」ことが大切です。
そのため、
糖質と一緒に「海藻類」を食べる
糖質と一緒に「特保の飲み物」を飲む
お米は「玄米」「雑穀米」を食べる
「副菜→主菜→主食」の順番で食べる
といった点を意識して行うとよいでしょう。
その① 糖質と一緒に「海藻類」を食べよう
わかめ
ひじき
もずく
などの海藻類は「水溶性食物繊維」が豊富で、糖の吸収を抑える働きがあります。
お米などの糖質を食べるときは、海藻類のメニューも加えるようにしましょう。
その② 糖質と一緒に「特保の飲み物」を飲もう
「難消化性デキストリン」が含まれた特保の飲み物を、糖質を食べるときに一緒に飲みましょう。
難消化性デキストリンには、糖の吸収を緩やかにする作用があります。
その③ お米は「玄米」「雑穀米」を食べよう
お米は、玄米や雑穀米などの血糖値をあげにくいお米を選びましょう。
ただし、たくさん食べると血糖値があがりますので、食べ過ぎに注意してください。
その④ 「副菜→主菜→主食」の順番で食べよう
メニュー
食べ物の例
副菜
野菜/きのこ/海藻 など
主菜
魚類/肉類 など
主食
米/パン/麺類 など
先に副菜・主菜を摂ることで、適度にお腹が満たされて糖質の過剰摂取を防ぐことができます。
また、食物繊維を先に食べると糖の吸収が緩やかになります。
▼参考
独立行政法人農畜産業振興機構 砂糖と肥満・糖尿病
ロッテ 糖質、糖類、糖分の違いは?太る理由や健康的な食べ方などを解説!
大塚製薬株式会社 知っておきたい、糖質の吸収をおだやかにする食事のポイント
公益財団法人長寿科学振興財団 糖尿病治療の食事レシピ
全国健康保険協会 運動はいつするのが効果的!?~食後の運動編~
厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」 炭水化物
厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」 エネルギー
厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」 水溶性ビタミン
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 ビタミンB1解説
厚生労働省 成人を対象にした運動プログラム
糖尿病情報センター 糖尿病の運動のはなし