「筋肉がぴくぴくする…」
「原因は、自律神経失調症?」
この症状の原因を、お医者さんに聞きました。
病院に行く目安や、改善のための対処法も併せて解説します。
脳の病気が隠れているケースもあるため、放置はキケンです。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
筋肉のぴくつきは「自律神経失調症」のサインかも
自律神経失調症になると、突然無意識に筋肉がピクピク動いたり、引きつれたりすることがあります。
発症する場所には個人差があり、顔面、手足といったあらゆる部分で発症します。
自律神経失調症とは、体の器官がバランスを崩し、さまざま不調が起こる病気です。
筋肉の不安定な動きもその一つで、脳からの信号が乱れて発症すると考えられています。
他にも、こんな症状はないですか?
- めまい
- 動悸
- 不眠
- 冷や汗
- のぼせ
- 涙が止まらない
- 体の冷え
- 倦怠感
- イライラする、集中力の低下
- 肩こり
- 頻尿、残尿感
- 生理不順
- 便秘、下痢
これらは自律神経失調症の諸症状です。
筋肉のぴくつきに加え、上記症状に2つ以上当てはまる場合は、自律神経失調症の疑いが強くなります。
もちろん、1つしか当てはまらなくても、自律神経失調症のことがありますので、日常生活に支障がある場合は医療機関へ行きましょう。
発症しやすいのはこんな人
- ストレスや疲労が溜まっている人
- プレッシャーが多い生活を送っている人
- 生活リズムが崩れている人
- 更年期(45歳以上)の女性
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最近、不調が続く…。
これって自律神経失調症?
「女性に起こりやすい自律神経失調症の症状」を、お医者さんに聞きました。
セルフチェックリストで、当てはまるものがないか確認しましょう。
症状改善のための、おすすめ習慣も紹介します。
【セルフチェック】女性の自律神経失調症であらわれる症状
▼体の症状
発汗(特に顔や手)
ほてり
動悸・息切れ
頭痛
耳鳴り
手足のしびれ
食欲不振・吐き気
関節痛
便秘
下痢
倦怠感・疲れやすい
睡眠障害
など
▼精神的な症状
イライラしやすい
強い不安感
焦燥感
憂うつ・気分の落ち込み
など
上記の症状に当てはまる場合、自律神経失調症の可能性があります。
ただし、他の病気も考えられるため、自己判断で決めつけるのは危険です。
つらい症状がある場合は、原因を特定するためにも医療機関で診てもらいましょう。
自律神経失調症ってどんな病気?
自律神経失調症とは、「交感神経」と「副交感神経」のバランスが崩れてしまい、心身にさまざまな不調が生じる状態です。
過剰なストレス・疲労・女性ホルモンの乱れ等により、引き起こされると考えられています。
自律神経失調症を発症しやすい人
ストレスや疲労が溜まっている
生活リズムが乱れている
几帳面
完璧主義
感受性が過敏
女性ホルモンが乱れている
など
上記の特徴がある人は、自律神経のバランスが乱れやすいため、発症リスクが上がると考えられています。
また、もともとの体質的に、自律神経失調症の症状があらわれやすい人もいます。
自律神経は女性ホルモンの影響を受けやすい
自律神経系と女性ホルモンは、どちらも脳の「視床下部」という場所が司っています。
指令を出すところが同じなので、互いに影響を受けやすくなります。
女性ホルモンの分泌量が減少すると、脳の視床下部からホルモン分泌量を増加させるように指令が出されます。
こうして視床下部の活動が活性化すると、同じ指令元である自律神経系も一緒に活性化されます。
特に身体活動を高める神経系である「交感神経」が活性化されることで、体に不調が生じやすくなると考えられています。
「更年期」が原因となっているケースも
更年期を迎えると、女性ホルモンの分泌が急激に低下します。
すると、自律神経が乱れやすくなり、自律神経失調症と同じような不調を感じる人もいます。
この症状は、閉経が近づく45~55歳頃の女性に多く見られます。
特に、ほてり・発汗の症状が強く出る場合は、更年期症状の可能性が高くなります。
自律神経失調症は自力で直せる?
自律神経失調症は、症状に応じて専門的な治療が必要なケースがあるため、セルフケアのみで治すことは難しいです。
また、うつ病や甲状腺の病気の可能性も否定できないため、つらい症状があるときは、医療機関を受診しましょう。
こんな症状が続くときは病院へ!
動悸・息切れ
胸が締め付けられるような感覚
脈の乱れ
微熱が続く
夜に眠れない
上記の症状があらわれている場合には、病院の受診をおすすめします。
放置していると、症状が悪化して日常生活に支障をきたす恐れもあります。
また、何らかの病気が隠れていることもあるため、一度病院で医師に相談してみましょう。
こんな病気が隠れていることも
心身症
適応障害
パニック障害
更年期障害
月経前症候群
貧血
バセドウ病
過換気症候群等
上記の病気により、自律神経失調症と似た症状があらわれている可能性もあります。
これらを放置して症状が悪化すると、うつ病等の精神疾患を併発したり、深刻な病気を見逃したりする恐れがあると考えられます。
病院は何科?
受診する診療科は、あらわれている症状に合わせて選ぶことをおすすめします。
以下の表を参考にしてください。
症状
おすすめの診療科
身体面の症状が強く出ている。
内科
精神面の症状が強く出ている。
精神科
身体面・精神面の両方の症状が出ている。
心療内科
特に、ほてり・発汗の症状が強く、年齢が45~55歳頃の人。
婦人科
病院ではどんな治療をするの?
薬物療法
心理療法・精神療法(認知行動療法)
等の治療が行われるケースが多いです。
薬は、症状に応じて、抗不安薬やビタミン剤、漢方薬、ホルモン剤等が使用されます。
快方に向かうまでの期間には個人差があり、1ヶ月程度で改善していく人もいれば、何年も治療を続けているという人もいます。
内科を探す
精神科を探す
心療内科を探す
婦人科を探す
症状を和らげたい!おすすめの「5つの習慣」
自律神経失調症の症状を改善するためには、日頃の生活を見直すことも大切です。
普段から以下のことを意識して生活してみましょう。
起床時間と就寝時間を一定にする
6~8時間程度の睡眠時間を確保する
1日3食、主菜・副菜・主食を揃えた食事をとる
週に3~5日程度、有酸素運動を行う
リフレッシュできる時間を作る
① 起床時間と就寝時間を一定にする
まずは、生活リズムを整えることを心がけましょう。
毎日決まった時間に寝て、起きることを習慣にして、夜更かしは控えてください。
規則正しい生活は、自律神経を整えることにつながります。
休みの日も「寝だめ」せず、できるだけ普段と同じ時間に起床するようにしましょう。
食事も毎日決まった時間にとるようにしてください。
② 6~8時間程度の睡眠時間を確保する
睡眠が不足すると、自律神経が乱れやすくなると考えられます。
1日6~8時間を目安に、睡眠時間を確保してください。
「深い眠り」を得るためのポイント
朝起きたらカーテンを開けて、日光を浴びる
昼寝は15時までに30分以内にする
夜は11時(遅くとも12時)までに寝る
夕方以降は「カフェインを含む食品」を控える
夕食は就寝の2~3時間前までに済ませる
飲酒は、就寝の3~4時間前までにする
就寝の2~3時間前に入浴する
就寝前はできるだけパソコン・スマホを触らない
夜は音楽やアロマなどでリラックスする
③ 1日3食、主菜・副菜・主食を揃えた食事をとる
欠食せずに、1日3食、食事をとるようにしてください。
「和定食」をイメージして、主菜・副菜・主食を揃えると、栄養バランスが整いやすくなります。
食生活の改善により、自律神経のバランスが整うと考えられています。
自律神経を整える「おすすめ食品」
ビタミンB6・トリプトファンを多く含む食品は、自律神経を整える作用があると考えられています。
腸内環境を整える作用をもつ乳製品や発酵食品も、自律神経の改善につながるため、おすすめです。
▼ビタミンB6を含む食品
マグロ
カツオ
大豆製品
卵
バナナ
▼トリプトファンを含む食品
大豆製品
乳製品
卵
ナッツ
バナナ
▼腸内環境を整える食品
乳製品
発酵食品(味噌・納豆・キムチ・ヨーグルト)
④ 週に3~5日程度、有酸素運動を行う
週に3~5日を目安に、
ウォーキング
ストレッチ
ヨガ
水泳
サイクリング
等の有酸素運動を習慣にしましょう。
体を動かすことで血流が良くなると、自律神経の乱れの改善につながると考えられます。
また、適度に運動することで心地より疲労感が得られるため、睡眠の質の改善も期待できます。
おすすめ習慣⑤ リフレッシュできる時間を作る
過剰なストレスは交感神経を刺激するため、自律神経の乱れにつながります。
趣味を見つけて没頭する
好きな音楽を楽しむ
ゆっくりお風呂に入る
などで、気分転換できる時間を作りましょう。
また、意識して深呼吸を行うことも有効と考えられています。
特に吐く息は副交感神経の働きを促進するため、リラックスしたいときにおすすめですよ。
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト 自律神経失調症
一般社団法人 日本臨床内科医会 自律神経失調症
オムロン 更年期にはどうして自律神経失調症のような症状が起こるのですか?
自律神経失調症かも…病院で相談すべき?
ぴくつきが気にならなければ、受診の必要はありません。
ただし、他にも体の不調がある場合は、医療機関での相談をおすすめします。
自律神経失調症は、単発での症状よりも複数の症状が併発して現れることが多いです。
また、自律神経失調症が悪化すると、長期間の治療が必要になるケースもあります。
悪化を防ぐためには早めに受診し、症状が少ないうちに治療を開始することが大切です。
何科で受診すればいい?
過度のストレスなど「精神面に原因がある」と思う場合は、心療内科・精神科を受診しましょう。
また、「まずは体に不調がないか調べたい」という場合は、内科を受診してください。
お医者さんには、どう伝えればいい?
体に感じている不調を、できるだけ正確に伝えましょう。
また、
- いつ頃から症状が出ているか
- どんなタイミングで症状が出るのか
なども併せて伝えると、より良い診断につながります。
心療内科を探す
内科を探す
改善するために心がける2つのこと
- 心と体をリフレッシュ
- 休息をとる
を心がけましょう。
その① 心と体をリフレッシュさせる
ストレス対策は、自律神経失調症に必要です。
ストレスを発散する方法としては、太陽を浴びる、体を動かす、趣味を楽しむなどの方法があります。
体を動かす場合は、ウォーキング、散歩程度の運動でも良いです。
気持ちを変えて、楽な気持ちで過ごしましょう。
その② 休息をとる
自律神経失調症の改善には、十分な休息も必要です。
可能であれば、仕事や学校を休んでください。
自律神経失調症の方は、「頑張ろうとする気持ち」と「動かない体」とのギャップに悩みやすいです。
まずはよく眠って心身の疲れをとり、朝起きて夜眠るという生活リズムを作りましょう。
“病気”が隠れているケースも…
筋肉のぴくつきには、
- 顔面痙攣(がんめんけいれん)
- 脳の病気
などの病気が隠れているケースもあります。
病気① 顔面痙攣(がんめんけいれん)
顔の筋肉が勝手にぴくぴくする場合、顔面痙攣の可能性も考えられます。
顔面痙攣は、顔の片側だけ現れる場合が多いです。
こんな症状はありませんか?
- 目の周り、口元、顎の下がぴくぴくする
- 顔がきゅーっと突っ張る
- 勝手に瞼が閉じてしまう
顔面痙攣(がんめんけいれん)の原因
顔の神経が血管によって圧迫されることが原因です。
40代以上の女性が発症しやすいと言われています。
放置するとどうなる?
基本、健康に悪影響はないため、放置してもかまいません。
ただし、対人関係や仕事、また生活に支障をきたす場合は、治療が必要です。
医療機関を受診すると、薬の注射や手術などの治療によって、症状の改善を図ってもらえます。
顔面痙攣は、脳神経外科で相談しましょう。
脳神経外科を探す
病気② 脳の病気
脳梗塞、脳出血などによって、筋肉のぴくつきが起こるケースもあります。
脳の病気の場合、体の片側に症状が出やすいです。
こんな症状はありませんか?
- 体の片側の麻痺、しびれ
- 吐き気、嘔吐
- 頭痛
- 呂律が回らない
脳の病気の原因
糖尿病や高血圧症といった生活習慣病は、脳の病気につながりやすいです。
そのため、
などに心当たりのある人は、発症リスクが上昇します。
放置するとどうなる?
脳の病気は、命に関わるケースがあるため、放置は危険です。
特に、
などの症状があるときは、早急な受診が必要です。
脳の病気を疑う場合は、脳神経内科を受診しましょう。
脳神経内科を探す
筋肉のぴくつきは、早めの受診がおすすめ!
筋肉のぴくつきには、自律神経失調症や“ほかの病気”が隠れている可能性があります。
自律神経失調症の症状が進行すると、朝起きられなくなり、仕事や家事ができなくなってしまうケースもあります。
また、脳の病気が隠れていた場合、放置すると命に関わります。
筋肉のぴくつきが気になる方は、一度医療機関で相談してみましょう。
「精神面に原因がある」と思う場合は、心療内科・精神科を受診してください。
「体の不調」を疑う場合は、内科を受診しましょう。
▼精神面に原因がある場合
心療内科を探す
▼体の不調が強い場合
内科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
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2021-06-18
「体のいろいろなところがピクピクする…」
「これって大丈夫?」
体のいろいろなところがピクピクする症状について、お医者さんに聞きました。
原因や、放置すると危険な病気の可能性についても解説します。
体の色々なところがピクピクする…これって大丈夫?
症状が一時的で、数秒程度で治まる場合は、あまり心配しなくても大丈夫です。
ただし、体のあちこちがピクピクする症状が
1日に何度も起きる
痛みをともなう
という場合は、深刻な病気が原因の可能性があります。
体中にけいれんが起こる2つの原因
体の色々なところでけいれんが起こる場合、
自律神経失調症
脳疾患
が原因となっている可能性があります。
それぞれ詳しく解説していきます。
原因① 自律神経失調症
自律神経失調症になると、体の様々な器官のバランスが崩れてしまいます。筋肉の動きもその一つで、脳からの信号が乱れることで、けいれんが発症します。
発症する場所は、個人差があり、顔面、足、手など様々な部分で発症します。
自律神経失調症の主な症状
「自律神経失調症」は、けいれんの他にも複数の症状が現れます。
めまいや動悸、不眠、冷え、倦怠感、イライラする、集中力が続かない、肩こり、頻尿、残尿感、生理不順、便秘、下痢、めまい、のぼせ 等
こんな人は要注意!
新しい仕事を始めた、環境が変わった時期などに発症する人も多くいます。
また、多くの場合、
ストレスが多い
過労をためている
プレッシャーを感じている
生活リズムが崩れている
人が発症しています。
更年期障害の人にも発症しやすいと考えられています。
どう対処すればいい?
休息をとって、ストレスを解放するようにしましょう。
また、毎日の生活リズムを整えることも大切です。それでも症状が良くならない場合は、専門医への相談が必要です。
治療は、生活を整える指導や自律神経を整えるお薬などを使います。
原因② 脳疾患
脳に異常が起きると、脳からの信号が不安定になることでピクピクと体が動くといった、けいれんを起こします。
脳疾患の場合は、特に顔のけいれんが多くみられます。
脳疾患の主な症状
脳疾患は、目の周りのけいれん、けいれんが長いと顔が歪むことで顔が変わったようになります。
他にも、病気によっては
手足がしびれる
激しい頭痛
ろれつが回らない
などの症状が現れる場合もあります。
こんな人は要注意
脳疾患は、
脳の腫瘍がある人
頭部外傷を受けた人
高血圧の人
などに発症しやすいです。
どう対処すればいい?
自分で対処するのは難しいです。早めに医療機関を受診しましょう。
医療機関では、顔面神経を圧迫している脳腫瘍を取り除く治療が検討されます。
脳神経内科を探す
ピクピクが続く場合は早めに病院へ!放置すると…
放置するとピクピクするけいれんが強くなることがあります。
日常生活に支障が出る人もいます。
「自律神経失調症」の場合は、悪化すると他にも症状が増える可能性があるので早めに医療機関での受診を行い、治療を受けましょう。
「脳疾患」の場合は、脳梗塞や脳出血が原因となっている可能性もあるので、特に早めに医療機関を受診するようにしましょう。
病院は何科?
体の色々なところがピクピクする症状がある場合は、脳神経外科・脳神経内科を受診しましょう。
「自律神経失調症」の症状がある
→脳神経内科を受診しましょう。
※自律神経失調症は、“出ている症状”にあわせた診療科を受診しましょう。それでも改善しない場合は、心療内科・精神科を紹介されることもあります。
「脳疾患」の症状がある
→脳神経内科を受診しましょう。
脳神経内科を探す