「のどちんこの近くの白いできものは、一体なに?」
考えられる原因には、膿栓や扁桃腺炎などがあります。
病院に行く目安と対処法を解説します。
監修者
経歴
大正時代祖父の代から続く耳鼻咽喉科専門医。クリニックでの診療のほか、京都大学医学部はじめ多くの大学での講義を担当。マスコミ、テレビ出演多数。
平成12年瀬尾クリニック開設し、院長、理事長。
京都大学医学部講師、兵庫医科大学講師、大阪歯科大学講師を兼任。京都大学医学部大学院修了。
のどちんこ(口蓋垂)の近くに白いできものが…これ大丈夫?
喉の痛みなど、他に体の不調がない場合は心配いりません。
老廃物や食べかすが、扁桃腺に白く溜まることがあります。
ただし…
などの症状がある場合は、病気を疑う必要があります。
「白いできもの」の2つの原因
のどちんこ(口蓋垂)付近の白いできものは
の可能性があります。
原因① 膿栓(臭い玉)
老廃物と食べかすが溜まり、白いできものが発生します。
人体に悪影響はありませんが、口臭の原因になります。
つぶすと臭いことから「臭い玉」と呼ばれることがあります。
※ただし、「臭い玉」は医学用語ではありません。
主な症状
- 白色または黄色の塊ができる
- くしゃみや咳で飛び出して、取れる場合がある
- 痛みを伴わない
- 膿栓自体が強い悪臭を放つ
膿栓の原因
口の中の乾燥やウイルス感染が原因で、膿栓が発生します。
口の中が乾燥すると細菌が繁殖しやすくなるため、膿栓ができます。
風邪など細菌やウイルス感染すると、細菌と体が戦い、その細胞の死骸として膿栓がたまることがあります。
自分でできる対処法は?
まずは、うがいをしましょう。
うがいをすると取れることがあります。
自身で無理やり取ろうとすると、喉を痛めることがあるのでやめましょう。
膿栓の発生を防ぐには?
こまめなうがい、歯磨きを行ってください。口呼吸ではなく鼻呼吸をしましょう。
また、規則正しい生活を送ってください。
免疫を高めていれば、自然にたまりにくくなります。
また、口の中が乾燥すると細菌が増殖し、膿栓が発生しやすくなるので鼻呼吸をしてください。
膿栓の発生を防ぐために、口内環境を清潔に保ちましょう。
免疫力を整える行動
- 軽い運動を1日30分程度行う
- 朝起きたら、カーテンを開けて日光を浴びる
- 寝るときの湿度は、50~60%を維持する
- 1日7時間以上の質のよい睡眠をとる
- 決まった時間に寝て、起きる
- 栄養素バランスがよい食事を摂る
- 朝食を摂る
病院に行く目安
扁桃腺の腫れ、痛みを伴う場合は耳鼻いんこう科を受診しましょう。
原因② 扁桃腺炎
扁桃腺付近にできる白いできものは、細菌やウイルスと戦った細胞の死骸です。
主な症状
扁桃腺炎の原因
ウイルス感染・細菌感染・ストレス・疲労・空気の乾燥・喉の乾燥・免疫力の低下などが原因で、扁桃腺炎を発症します。
免疫が低下する行動
- 暴飲暴食
- 過度のアルコール摂取
- 喫煙
- ドライマウス
- 睡眠不足
自分でできる対処法は?
安静にして、ゆっくり休みましょう。
3日ほどで緩和していきますが、1週間ほどは安静にしましょう。
安静にしても快方に向かわない場合は医療機関で治療を受けましょう。
医療機関では症状に合わせて、抗生剤や鎮痛剤、点滴治療などが受けられます。
病院に行く目安
のどちんこ付近の白いできものに加え
といった症状がある場合は、耳鼻いんこう科の受診をおすすめします。
喉の違和感や、飲み込みにくさを感じるときは、風邪や細菌感染が多いですが、まれに中咽頭がん(※)などの症状であることもあります。
白いできものの他に、何らかの違和感を覚えた場合は速やかに医療機関へ行きましょう。
早期診断でがんなどの悪性腫瘍を早く見つけられることもあります。
「中咽頭がん」とは
中咽頭(のどちんこの奥のあたり)にできるがんです。
耳の痛み・飲み込むときの違和感・片側の喉の痛み・吐血や、口を大きく開けにくい、口の奥やのどにしこりができるなどの症状があらわれます。
放置すると、がんが脳神経・耳下腺・眼のくぼみなどに転移するリスクがあがります。
最悪の場合、命を落とすことがあります。
耳鼻いんこう科を探す
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2022-02-03
「口の中の白いできものができた…」
「これって大丈夫…?」
口の中の白いできものの正体を、歯医者さんに聞きました。
「痛い」「触ると取れる」などの症状ごとに対処法も解説します。
口の中の白いできもの、一番多いのは「アフタ性口内炎」
口の中に白いできものができる原因として、「アフタ性口内炎」が考えられます。
アフタ性口内炎は、
ビタミン不足による栄養の偏り
睡眠不足、ストレスなどによる免疫力の低下
によって発症しやすいです。
アフタ性口内炎の特徴
アフタ性口内炎には、
頬の内側や舌などにできることが多い
腫れて痛みを感じることがある
などの特徴があります。
1cmくらいの大きさまで腫れることもあります。
でき始めや終わりかけは痛みを感じにくいのですが、炎症を起こしていたり、膿んでいる状態だと痛みを感じやすいです。
また、食べ物が当たりやすい場所にできていると、傷口が広がって痛みが強くなります。
アフタ性口内炎の対処法
食後にうがい、歯磨きを行う
ビタミンの多い食事を摂る
十分な睡眠時間を確保する
といった対処をおすすめします。
まずはしっかりと栄養をとって、体を休ませてあげることが大切です。
アフタ性口内炎は、長くても1週間程度で快方に向かいます。
他にこんな原因も!
原因
症状の特徴
なりやすい人
カンジダ症
白っぽい斑点ができる
斑点の周りが赤いこともある
体調が悪い人
疲れが溜まっている人
口腔内が不潔な状態の人
扁平苔癬
(へんぺいたいせん)
レース模様の白っぽい膜ができる
ヒリヒリ感じることもある
ホルモンバランスが乱れている人
金属アレルギーの人
白板症
(はくばんしょう)
白っぽい見た目
口内炎に似ている
いつまでもなくならない場合もある
喫煙者
入れ歯が合っていない人
妊娠性エプーリス
歯茎などにできやすい
触ると痛みがある
出血することもある
妊娠中の人
虫歯がある人
歯垢が溜まっている人
カンジダ症の対処法
セルフケアでは良くなりません。
歯科口腔外科で治療を受けましょう。
また、菌なのでうつることがあります。
扁平苔癬(へんぺいたいせん)の対処法
早く治すためには、休息をしっかりととって体調を整えるようにしましょう。
白板症(はくばんしょう)の対処法
早く治すために、タバコを吸っている人は禁煙しましょう。
また、「がん化」するリスクもあるので、できるだけ早めに歯科口腔外科へ受診しましょう。
妊娠性エプーリスの対処法
歯磨き、うがいを丁寧に行い、口腔環境を良くしましょう。
また、生活リズムを整えて、疲れやストレスを溜めないことも大事です。
ケース① 白いできものが「たくさん」できた!
白いできものがたくさんできるときは、「白板症」が疑われます。
白板症は、自分で対処することは難しく、最悪がん化する恐れもあるので、早めに医療機関を受診しましょう。
白っぽい部分がある
白っぽい部分が広がっている
といったことに気が付いたら医療機関を受診しましょう。
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ケース② 白いできものが「触るととれる」
白いできものが触るととれるときは、「口腔カンジタ」が疑われます。
口腔カンジタは、自然に治っていくことは通常ありません。医療機関で治療を受ける必要があります。
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ケース③ 白いできものが「臭い」
白いできものが臭いときは、「膿栓」が考えられます。
風邪の後などに発症しやすく、ウイルスなどの死骸が溜まることで発症します。
膿栓は自然に取れてしまうことが多く、心配する必要のない症状です。
くしゃみなどの際に一緒に飛び出してくることもあります。
ただし、自分で無理やり取ろうとするのはやめましょう。口の中を傷つけてしまうリスクがあります。
また、膿栓は口臭の原因になるので、たくさんできている場合は歯科口腔外科などで取ってもらいましょう。
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口内炎が「痛い」ときはどうすれば?
口内炎が痛いときは、ビタミンの豊富な物(野菜、果物)を多めに食べ、よく休んで疲れをとりましょう、
また、市販薬を使用するのも良いでしょう。
市販の商品の例
「チョコラBB」
「口内炎軟膏大正クイックケア」
など
※市販の商品を使用して2~3日程度で快方に向かわない場合は、医療機関を受診してください。
口の中の白いできものって何科にいけばいいの?
口の中の白いできものは、歯科口腔外科で相談しましょう。
できものを視診・触診をし、何か問題がありそうな場合は病理検査を行います。
多くの場合、できものに塗る軟膏、ステロイド薬、抗菌薬などが投与されます。
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放置をおすすめしない理由「口腔がんの可能性も…」
白いできものが3週間以上治らない場合は、「口腔がん」の可能性もあります。
口腔がんは、口の中にできる悪性腫瘍です。
進行すると周りの細胞を侵食していき、命に関わる合併症を引き起こします。
「できものがなかなか治らない」と感じるときは、放置せずに必ず医療機関で受診しましょう。
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▼参考
日本口腔外科学会 口腔内のトラブル
合わせて読みたい
2021-06-18
「扁桃腺炎の熱が下がらない…」
「熱を下げる方法は?」
扁桃腺炎による発熱について、お医者さんに聞きました。
扁桃腺炎の熱が長引く原因についても解説します。
扁桃腺炎で熱が下がらない…いつよくなるの?
早く熱を下げるには、
安静にする
体を動かすのは控える
暖かくして、体を冷やさない
ようにしましょう。
「扁桃腺炎」による熱は、ほとんどの場合は、医療機関で処方された薬を飲んで安静にして過ごせば、2~3日程度で下がります。
こんなときは要注意
3~4日程度、しっかり休んでも熱が下がらない場合や、症状が悪化している場合は、扁桃腺の重症化や、他の病気の併発が考えられます。
すでに医療機関で治療を受けている場合は、その医療機関で相談しましょう。まだ医療機関に行っていない場合は、早急に「耳鼻いんこう科」を受診してください。
耳鼻いんこう科を探す
扁桃腺炎による熱が長引く原因
扁桃腺炎による熱が長引く場合、
扁桃周囲炎
扁桃周囲膿瘍
といった原因が考えられます。
それぞれ詳しく解説していきます。
熱が下がらない原因① 扁桃周囲炎
「扁桃周囲炎」は、扁桃腺だけだけでなく、扁桃腺周辺の細胞にまで細菌感染が起きている状態です。発熱や喉の痛みを伴うため、長引く熱の原因になっている可能性があります。
高齢者、子ども、妊娠中などの免疫が低下している人、生活リズムが乱れ疲れや疲労が溜まっている人、風邪などの感染症の後に発症しやすいです。
主な症状
「扁桃周囲炎」の主な症状は、発熱や、飲み込む際の喉の激しい痛みなどがあります。
\こんな症状もでることも!/
首の下のリンパの腫れ
首の下のリンパの痛み
咀嚼痛
さらに悪化すると…
「扁桃周囲炎」が悪化すると、急性リンパ節炎の発症や高熱を出すリスクが高まります。
悪化すると重度の病気が併発する可能性もあります。上記したような症状が見られたら、早めに医療機関を受診しましょう。
どんな治療を受けるの?
医療機関での治療は、抗菌薬の投与が行われます。
病院は何科?
「扁桃周囲炎」の場合は、耳鼻いんこう科を受診しましょう。
耳鼻いんこう科を探す
熱が下がらない原因② 扁桃周囲膿瘍
「扁桃周囲膿瘍」は、扁桃の裏まで膿が大量に溜まっている状態です。
「扁桃周囲膿瘍」は「扁桃腺炎」や「扁桃腺周囲炎」の症状がさらに悪化することで引き起こします。
特に、高齢者、子供、妊娠中の人は免疫力が低いため扁桃炎にかかりやすいため、発症しやすいです。
主な症状
「扁桃周囲膿瘍」の主な症状は、激しい喉の痛みや高熱があります。
\こんな症状もでることも!/
首の下のリンパの腫れ
首の下のリンパの痛み
咀嚼痛
飲み込む際の痛み
倦怠感
吐き気
痛みが強くなると口を開けられない
痛みで首を曲げられない
さらに悪化すると…
扁桃周囲炎膿瘍は、さらに悪化すると起き上がることもままならなくなります。
また、水分摂取も難しくなり脱水が進むこともあります。
このような症状がみられる場合には、すぐに医療機関を受診しましょう。
どんな治療を受けるの?
抗菌剤の投与が必要です。
薬を飲み込むのも困難な場合は、点滴での投与が行われます。
また、膿んでいる箇所を切開して膿を排出させることもあります。
局所麻酔をして行いますので、手術中の痛みはないことがほとんどです。
病院は何科?
「扁桃周囲膿瘍」が疑われる場合は、耳鼻いんこう科を受診しましょう。
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▼参考
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 口腔・咽頭の病気