生理が終わらないまま次の生理がきた…。
「ホルモンバランスの乱れ?」
「更年期が原因?」
「婦人系の病気が隠れているかも…」
生理が終わらない原因と対処法をお医者さんに聞きました。
重い病気に繋がる可能性もあるので、放置はNGです。
監修者
経歴
医療法人社団 石野医院
日本医科大学
日本医科大学付属病院
日本医科大付属第二病院
国立横須賀病院
東部地域病院
石野医院
生理が終わらないまま次の生理に…これ大丈夫なの?
長引く生理は、ストレスや体調不良によって生じることが多いです
一時的なものであれば、あまり心配はいりません。
ただし、2週間〜1カ月以上、生理のような出血が続く場合は、病気が潜んでいる可能性があります。婦人科で検査を受けてください。
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生理が終わらないのはなぜ?
原因① ホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスが乱れ、月経不順が起こっている状態です。
黄体ホルモンの分泌が不十分な黄体機能不全を起こし、過長月経(月経期間が8日以上続く状態)になっている可能性があります。
なりやすい人
- 睡眠不足の人
- ストレスや疲れが溜まっている人
- 不規則な生活を送っている人
- 過度なダイエットを行っている人
- 激しいスポーツを行っている人
- 甲状腺に異常が生じている人
- 服用している薬が合っていない人
- 女性ホルモンの分泌に関係する器官(視床下部、脳下垂体、卵巣など)にトラブルが生じている人
出血以外の症状
- 倦怠感
- 疲れが取れない
- ほてり
- 多汗
- めまい
- 貧血 など
自分でできる対処法
規則正しい生活を心がけるだけで、改善することがあります。
血流を良くすることで、生理トラブルの軽減につながります。
ただし、不正出血が続いている場合は、婦人科で検査を受けましょう。
原因② 更年期
更年期になるとホルモンバランスの乱れ、生理が止まらなくなることがあります。
子宮内膜が剥がれにくくなって、少量の出血が長く続いたり、一度に大量に出血したりする場合があります。
なりやすい人
閉経を迎える前段階で、女性ホルモンの分泌が少なくなってきた人
出血以外の症状
- 体調不良
- 倦怠感
- ほてり
- 多汗
- 喉の渇き
- 手足のしびれ
- イライラ
- めまい
- 動悸 など
自分でできる対処法
- ストレスを溜めない
- 適度な運動
- 栄養バランスの良い食事
更年期は、数年続きますが、徐々にバランスを保てるようになります。
ただし、不正出血が続いている場合は、婦人科で検査を受けましょう。
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「生理が止まらないのは更年期のせい?」
「大量に出血していて心配…」
お医者さんに、更年期(閉経前後の5年)に生理が止まらなくなる原因を聞きました。
病院へ行った方がいい症状や受診のタイミングも解説します。
もしかして病気?どんな治療をするの?
止まらない出血にお困りの方は、参考にしてください。
なぜ?更年期に生理が止まらない原因
更年期になるとホルモンバランスが乱れ、月経不順がおこり、生理が止まりにくいことがあります。
子宮内膜がはがれにくくなることから、少量の出血が長く続いたり、一度に大量に出血したりする場合もあります。
この対処はNG!
ホルモンバランスの乱れによって生理が止まらないと思われる場合も、市販薬やサプリを使用して対処することは避けましょう。
病気により出血している可能性もあるので、8日以上生理が続くようであれば、一度医師に相談することをおすすめします。
病院を受診する目安
特に下記の状態のときには、早めに病院へ行きましょう。
大量の出血がある
レバーのような血液の塊がたくさん排泄される
耐え難い月経痛
8日間以上月経が続く
月経時以外にも出血がみられる
排尿障害がでた
腹部にしこりのようなものがある
この他にも、気になる症状がある場合には、婦人科の受診をおすすめします。
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受診のタイミング
できれば、出血している時に受診しましょう。
(生理の出血が止まったあとに受診しても構いません。)
基礎体温を記録している場合は、ぜひ持参してください。
また、受診する際には、以下の5ポイントを医師に伝えると良いでしょう。
出血の増加が始まった時期
出血量
月経の周期(月経期間)
出血の状態(例:レバーのような塊が出る等)
他の症状の有無
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生理が止まらないのを放置すると…
「これくらいなら大丈夫」と自己判断して、病院に行かずそのままにしておくことは、避けましょう。
子宮や卵巣の疾患を見逃してしまい、症状が悪化したり、妊娠が困難になったりする可能性があります。ガン化する恐れもあります。
過多月経や過長月経の場合は、貧血を併発しやすく、日常生活に悪影響を及ぼす可能性があります。
注意!こんな病気の可能性も
大量出血や激痛がある場合は病気の可能性もあります。
月経期間が8日以上続く状態を「過長月経」、出血量が増えたり、月経痛が酷いなどの症状が見られる状態を「過多月経」といいます。
更年期の過長月経や過多月経の症状は、
機能性子宮出血
子宮筋腫
子宮腺筋症
子宮内膜ポリープ
子宮内膜増殖症
子宮頸がん
といった病気の可能性があります。
それぞれの症状を詳しく解説します。
原因1. 機能性子宮出血
出血の要因(妊娠・腫瘍・外傷・炎症など)が見当たらない場合、機能性子宮出血と診断します。不正出血の約30%を占めるため、頻度の高い症状と言えます。
※様々な原因によって起こる子宮内膜からの不正出血の総称です。厳密には病気の名前ではありません。
<主な症状>
不規則に、頻繁に出血がみられます。
原因2. 子宮筋腫
子宮の筋肉にできる良性の腫瘍です。
子宮筋腫ができると、経血を排出する際の子宮の収縮機能に異常が出たり、子宮内膜が厚く形成されて、月経時に剥がれ落ちる量が増えることが影響して、生理が止まらなくなると考えられます。
<主な症状>
経血量の増加が起こり、レバーのような血液の塊が出てきます。月経が7日以上ダラダラと出血が続きます。
また、月経痛、腰痛、貧血、排尿異常などが起こります。
原因3. 子宮腺筋症
女性ホルモンの影響を受け、子宮の筋肉の層に子宮内膜と似た組織が増殖し、正常な子宮内膜と同様に出血をするため、生理が止まらなくなると考えられます。
また、子宮腺筋症により子宮内膜が変形したり、拡張したりすることで、経血を排出する際の子宮の収縮のバランスが崩れるため、出血しやすくなります。
症状が重い場合は、子宮全摘手術などを考慮することも必要な病気です。
<主な症状>
月経痛、過多月経や過多月経による貧血、骨盤痛などがみられます。痛みはかなり強く、月経が終了しても数日続く場合もあります。女性ホルモンの分泌が減少して閉経するころを境に、症状は治まります。
原因4. 子宮内膜ポリープ
子宮内膜の細胞が何らかの原因で異常増殖し、ポリープができる病気です。突出したポリープで子宮内の表面積が大きくなるため、経血の量が増えて、生理が止まらなくなると考えられます。
子宮内膜ポリープができるのは、女性ホルモンであるエストロゲンも原因の一つとされていますが、明らかになっていません。
<主な症状>
経血量が多く、月経期間が長くなります。また、月経時以外の出血(閉経後にも性器出血)や貧血になることもあります。
原因5. 子宮内膜増殖症
子宮内膜が異常に分厚く増殖し、月経時に剥離される子宮内膜の量が多いため、生理が止まらない症状が現れます。
<主な症状>
経血量が多い、月経期間が長い、月経時以外の出血がある、貧血などの症状が現れます。
原因6. 子宮頸がん
性交渉などでヒトパピローマウイルス(HPV)が子宮頸部に感染することで起こる病気です。物理的刺激により、出血を起こすことがあります。
<主な症状>
子宮頸がんは、まだ細胞ががん化していない初期段階では、症状がありません。進行すると、生理以外での出血、特に性交時の出血がみられます。出血量は多く、繰り返すのが特徴です。おりものの色や状態に変化があらわれたりします。さらに悪化すると、下腹部や腰が痛くなることもあります。
初診ではどんな検査をするの?
一般的に、初診は次のような流れで行われます。
問診
月経周期、月経の日数、最終月経日、初潮の年齢、妊娠・出産歴、既往歴、アレルギーの有無等の確認が行われます。
内診
子宮、卵巣の状態、圧迫による痛みの有無等を確認します。
超音波検査(必要な場合)
経腟プローブ(棒状の器具)を膣内に挿入して、子宮や卵巣の状態を確認する検査を行います。
細胞診(必要な場合)
子宮頸部細胞をヘラ、ブラシ、綿棒等で採取して、異常細胞の有無を確認する検査を行います。
原因③ 婦人系の病気
子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮頸がん、子宮体がんなど、婦人系の病気にかかっている可能性があります。
なりやすい人
- 月経周期が短く、月経の期間が長い人
- 手術経験がある人(掻爬手術、帝王切開、子宮筋腫など)
- 婦人系の病気にかかった家族がいる人
出血以外の症状
無月経の場合があります。
自分でできる対処法
婦人科で検査を受けましょう。特に、出産を望んでいる人は、早期受診をおすすめします。
- 過長月経(月経期間が8日以上続く状態)
- 生理痛が重く、生活に支障が出る
- 出血量が多い
- 不正出血が起こる
これらの症状が現れたときは、婦人科で診察・検査を受けましょう。
長引く生理は早めに婦人科で相談を
生理が2週間以上も長引く場合、子宮や卵巣の病気の可能性があります。
妊娠が困難になる可能性もあるので、早めに婦人科を受診しましょう。
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婦人科で内診をしたくない…。
なんだか痛そうで、怖い…。
内診は必ず受ける必要があるのか、お医者さんに聞きました。
リラックスして検査を受けるための方法も解説します。
内診って、どんなときに必要なの?
成長・加齢によって変化する女性の体に、不調がないかを確認するときに必要となります。
内診では、子宮や卵巣の大きさ・固さ、まわりとの癒着の有無を診ます。
特に、「下腹部の圧痛」は内診以外には診断することはできません。
婦人科で内診が怖い…
婦人科で内診を受けるのが不安です…。
内診が嫌な方は、内診ではなく超音波検査等で対応可能な場合があります。問診の際、医師に相談してみましょう。
患者さんの不安を取り除くために、設備の説明もしてくれます。女性医師が診察をしている病院も多いので、希望があれば事前に伝えましょう。
内診は痛いの?
内診が痛そうで…不安です。
痛みの感じ方は人それぞれです。機器は体内を傷つけないようにできているので、痛みを感じることはほぼありません。
しかし、体に力が入ると痛みを感じることがあるので、できるだけリラックスして受診してください。
場所に慣れるために、初めは問診、その後超音波検査など何回かに分けて受診することも可能です。
希望があれば、医師や看護師、受付スタッフに伝えましょう。
怖くない!内診の心得
内診への恐怖や緊張感を和らげるために、自分でできる対処法はありますか?
下半身の露出を少なくすると、落ち着くケースがあります。長めの靴下を履くと安心感を得られると思います。
また、ひざ掛けやタオルを借りて、下腹部にかけておく方法もおすすめです。
受診するとき、こんなことに気をつけよう
服装は?
脱ぎやすい服(下着や靴を含む)で行くのがよいでしょう。
ゆったりとしたスカートなどがおすすめです。
ズボンだとベッドや内診用の椅子に乗る時に下半身が見えるので、落ち着かないかもしれません。
スカートであれば、タイツや下着を脱いでも下半身が見えないため安心です。
生理中は避けたほうがいい?
定期検診など緊急を要していない時は、予約日の変更をおすすめします。
生理中は、出血の量によっては内部が通常より見にくくなります。
どこかで出血や炎症があってもわかりにくいので、生理日は避けるようにしましょう。
洗ってから行くべき?
婦人科へ行く直前に、お風呂やシャワーで陰部を洗った方がいいですか?
そのままの受診で問題ありません。清潔な状態で受診した方が、ご自身が落ち着く場合は、ビデで簡単に洗う程度にしましょう。
シャワーや石鹸などでしっかり洗うと、膣内の異常がわからなくなってしまう場合があるので注意しましょう。
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▼参考
公益社団法人 日本産科婦人科学会 卵巣腫瘍