「最近眠りが浅い…おまけに夢ばかり見る」
「これって病気?」
「眠りが浅い」、「夢ばかり見る」という症状が出現する理由をお医者さんに聞いてみました。
原因ごとの特徴や対策方法も詳しく解説していきます。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
「眠りが浅い」「夢ばかり見る」ときは病気かもしれないってホント?
「眠りが浅い」「夢ばかり見る」ときは、病気かもしれないと聞いたのですが…本当でしょうか?
「眠りが浅い」、「夢ばかり見る」という症状が出現している場合、睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群、うつ病などの病気が潜んでいる可能性があります。
- 睡眠中の大きないびき
- 睡眠中の無呼吸
- 起床時からの疲労感・倦怠感・頭痛
- 日中の強い眠気
- 抑うつ
- 就寝中に何度も目が覚める
- 微熱が続く
といった場合には、病気が疑われます。
ただし、病気ではないケースもあります。
- 一時的なストレス
- 風邪等の体調不良
- 原因がはっきり分かっている
- 朝すっきり起きられる
- 日中の活動に支障がない
といった場合には、過剰に心配する必要はありません。
夢と眠りの深さの関係
睡眠には「深い眠り(ノンレム睡眠)」と「浅い眠り(レム睡眠)」があります。
深い眠りと浅い眠りは約90分ワンセットで、朝まで何回か繰り返されます。
眠りが浅いレム睡眠は、体は休んでいますが、脳は活動している状態です。
夢は眠りの深さに関係なく見るケースも多いですが、レム睡眠時のほうが深い眠りのノンレム睡眠時より夢を見やすい(夢を覚えている)と考えられています。
また、レム睡眠が多いと、脳は活動している状態のため、脳をしっかり休めることができなくなってしまいます。
なぜ?「眠りが浅い」「夢ばかり見る」原因
病気以外にも「眠りが浅い」「夢ばかり見る」原因はあります。
- 体内時計のリズムが乱れている
- 自律神経のバランスが乱れている
- ストレスが溜まっている
- メラトニンの減少
- 就寝前の飲酒
などの原因がないかチェックしてみましょう。
原因① 体内時計のリズムが乱れている
夜更かし・休日の寝だめ・長時間の昼寝をすると体内時計は乱れてしまいます。
体内時計が乱れると、夜の眠りが浅くなり、日中に強い眠気に襲われることがあります。
こう対策しよう!
- 早朝に太陽の光を浴びる
- 体を動かす
- 起床・就寝時間を決める
- 夜更かししない
といったことを行うとよいでしょう。
生活習慣改善を改善し、体内時計の乱れを整えることで良質な睡眠につながります。
原因② 自律神経のバランスが乱れている
眠りが浅い・入眠困難・寝汗で起きる・早朝覚醒等の症状があるときは、自律神経のバランスが乱れているかもしれません。
自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があり、昼の神経と呼ばれる「交感神経」が活性化している場合は眠気が覚めます。一方、夜の神経と呼ばれる「副交感神経」が活性化している場合は眠気に襲われます。
この二つの神経のバランスが崩れて夜になっても「交感神経」が活発な状態の場合、眠りが浅くなりやすいです。
自律神経のバランスが乱れやすい人の特徴
- ストレス過多
- 疲労過多
- 夜更かしをする
- 就寝直前までスマホやパソコンを使用している
- 昼寝をする
- 更年期の変調
- 環境の変化 等
こう対策しよう!
- 日中に軽い運動をする
- ストレスを溜め込まない
- 物事を考え過ぎない
- リラックスできる習慣をつくる
- ぬるま湯での入浴(半身浴)をする
- 入眠環境を整える
といったことを行うとよいでしょう。
心身に負担をかけない範囲の運動でほどよく肉体的疲労を感じると入眠しやすくなります。1回15分程度のウォーキングやストレッチがよいでしょう。
またゆっくり入浴(半身浴)すると、副交感神経が優位になり、心身の緊張が緩和されるため、良質な睡眠につながります。38~40度のぬるま湯での入浴がおすすめです。
また、入浴は睡眠の1~2時間前に済ませるとよいでしょう。
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2022-11-29
最近、不調が続く…。
これって自律神経失調症?
「女性に起こりやすい自律神経失調症の症状」を、お医者さんに聞きました。
セルフチェックリストで、当てはまるものがないか確認しましょう。
症状改善のための、おすすめ習慣も紹介します。
【セルフチェック】女性の自律神経失調症であらわれる症状
▼体の症状
発汗(特に顔や手)
ほてり
動悸・息切れ
頭痛
耳鳴り
手足のしびれ
食欲不振・吐き気
関節痛
便秘
下痢
倦怠感・疲れやすい
睡眠障害
など
▼精神的な症状
イライラしやすい
強い不安感
焦燥感
憂うつ・気分の落ち込み
など
上記の症状に当てはまる場合、自律神経失調症の可能性があります。
ただし、他の病気も考えられるため、自己判断で決めつけるのは危険です。
つらい症状がある場合は、原因を特定するためにも医療機関で診てもらいましょう。
自律神経失調症ってどんな病気?
自律神経失調症とは、「交感神経」と「副交感神経」のバランスが崩れてしまい、心身にさまざまな不調が生じる状態です。
過剰なストレス・疲労・女性ホルモンの乱れ等により、引き起こされると考えられています。
自律神経失調症を発症しやすい人
ストレスや疲労が溜まっている
生活リズムが乱れている
几帳面
完璧主義
感受性が過敏
女性ホルモンが乱れている
など
上記の特徴がある人は、自律神経のバランスが乱れやすいため、発症リスクが上がると考えられています。
また、もともとの体質的に、自律神経失調症の症状があらわれやすい人もいます。
自律神経は女性ホルモンの影響を受けやすい
自律神経系と女性ホルモンは、どちらも脳の「視床下部」という場所が司っています。
指令を出すところが同じなので、互いに影響を受けやすくなります。
女性ホルモンの分泌量が減少すると、脳の視床下部からホルモン分泌量を増加させるように指令が出されます。
こうして視床下部の活動が活性化すると、同じ指令元である自律神経系も一緒に活性化されます。
特に身体活動を高める神経系である「交感神経」が活性化されることで、体に不調が生じやすくなると考えられています。
「更年期」が原因となっているケースも
更年期を迎えると、女性ホルモンの分泌が急激に低下します。
すると、自律神経が乱れやすくなり、自律神経失調症と同じような不調を感じる人もいます。
この症状は、閉経が近づく45~55歳頃の女性に多く見られます。
特に、ほてり・発汗の症状が強く出る場合は、更年期症状の可能性が高くなります。
自律神経失調症は自力で直せる?
自律神経失調症は、症状に応じて専門的な治療が必要なケースがあるため、セルフケアのみで治すことは難しいです。
また、うつ病や甲状腺の病気の可能性も否定できないため、つらい症状があるときは、医療機関を受診しましょう。
こんな症状が続くときは病院へ!
動悸・息切れ
胸が締め付けられるような感覚
脈の乱れ
微熱が続く
夜に眠れない
上記の症状があらわれている場合には、病院の受診をおすすめします。
放置していると、症状が悪化して日常生活に支障をきたす恐れもあります。
また、何らかの病気が隠れていることもあるため、一度病院で医師に相談してみましょう。
こんな病気が隠れていることも
心身症
適応障害
パニック障害
更年期障害
月経前症候群
貧血
バセドウ病
過換気症候群等
上記の病気により、自律神経失調症と似た症状があらわれている可能性もあります。
これらを放置して症状が悪化すると、うつ病等の精神疾患を併発したり、深刻な病気を見逃したりする恐れがあると考えられます。
病院は何科?
受診する診療科は、あらわれている症状に合わせて選ぶことをおすすめします。
以下の表を参考にしてください。
症状
おすすめの診療科
身体面の症状が強く出ている。
内科
精神面の症状が強く出ている。
精神科
身体面・精神面の両方の症状が出ている。
心療内科
特に、ほてり・発汗の症状が強く、年齢が45~55歳頃の人。
婦人科
病院ではどんな治療をするの?
薬物療法
心理療法・精神療法(認知行動療法)
等の治療が行われるケースが多いです。
薬は、症状に応じて、抗不安薬やビタミン剤、漢方薬、ホルモン剤等が使用されます。
快方に向かうまでの期間には個人差があり、1ヶ月程度で改善していく人もいれば、何年も治療を続けているという人もいます。
内科を探す
精神科を探す
心療内科を探す
婦人科を探す
症状を和らげたい!おすすめの「5つの習慣」
自律神経失調症の症状を改善するためには、日頃の生活を見直すことも大切です。
普段から以下のことを意識して生活してみましょう。
起床時間と就寝時間を一定にする
6~8時間程度の睡眠時間を確保する
1日3食、主菜・副菜・主食を揃えた食事をとる
週に3~5日程度、有酸素運動を行う
リフレッシュできる時間を作る
① 起床時間と就寝時間を一定にする
まずは、生活リズムを整えることを心がけましょう。
毎日決まった時間に寝て、起きることを習慣にして、夜更かしは控えてください。
規則正しい生活は、自律神経を整えることにつながります。
休みの日も「寝だめ」せず、できるだけ普段と同じ時間に起床するようにしましょう。
食事も毎日決まった時間にとるようにしてください。
② 6~8時間程度の睡眠時間を確保する
睡眠が不足すると、自律神経が乱れやすくなると考えられます。
1日6~8時間を目安に、睡眠時間を確保してください。
「深い眠り」を得るためのポイント
朝起きたらカーテンを開けて、日光を浴びる
昼寝は15時までに30分以内にする
夜は11時(遅くとも12時)までに寝る
夕方以降は「カフェインを含む食品」を控える
夕食は就寝の2~3時間前までに済ませる
飲酒は、就寝の3~4時間前までにする
就寝の2~3時間前に入浴する
就寝前はできるだけパソコン・スマホを触らない
夜は音楽やアロマなどでリラックスする
③ 1日3食、主菜・副菜・主食を揃えた食事をとる
欠食せずに、1日3食、食事をとるようにしてください。
「和定食」をイメージして、主菜・副菜・主食を揃えると、栄養バランスが整いやすくなります。
食生活の改善により、自律神経のバランスが整うと考えられています。
自律神経を整える「おすすめ食品」
ビタミンB6・トリプトファンを多く含む食品は、自律神経を整える作用があると考えられています。
腸内環境を整える作用をもつ乳製品や発酵食品も、自律神経の改善につながるため、おすすめです。
▼ビタミンB6を含む食品
マグロ
カツオ
大豆製品
卵
バナナ
▼トリプトファンを含む食品
大豆製品
乳製品
卵
ナッツ
バナナ
▼腸内環境を整える食品
乳製品
発酵食品(味噌・納豆・キムチ・ヨーグルト)
④ 週に3~5日程度、有酸素運動を行う
週に3~5日を目安に、
ウォーキング
ストレッチ
ヨガ
水泳
サイクリング
等の有酸素運動を習慣にしましょう。
体を動かすことで血流が良くなると、自律神経の乱れの改善につながると考えられます。
また、適度に運動することで心地より疲労感が得られるため、睡眠の質の改善も期待できます。
おすすめ習慣⑤ リフレッシュできる時間を作る
過剰なストレスは交感神経を刺激するため、自律神経の乱れにつながります。
趣味を見つけて没頭する
好きな音楽を楽しむ
ゆっくりお風呂に入る
などで、気分転換できる時間を作りましょう。
また、意識して深呼吸を行うことも有効と考えられています。
特に吐く息は副交感神経の働きを促進するため、リラックスしたいときにおすすめですよ。
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト 自律神経失調症
一般社団法人 日本臨床内科医会 自律神経失調症
オムロン 更年期にはどうして自律神経失調症のような症状が起こるのですか?
原因③ ストレスが溜まっている
強いストレスを抱えていると、脳が興奮状態になりやすくなり、眠りが浅くなります。
またストレスで考え事が多いと、入眠困難になったり入眠しても深い眠りに移行できなかったりするため、熟睡感が欠如するケースが多いです。
ストレスが溜まりやすい人の特徴
〈性格面〉
- ストレスを抱えやすい
- 悩み事が多い
- 真面目
- 努力家
〈生活習慣など〉
こう対策しよう!
ストレスをできるだけ軽減できるように、自分なりのストレス発散方法を見つけて実践してください。
ウォーキング、ジョギング、ヨガ、水泳等、少し汗ばむ程度の運動をして、毎日体を動かすこともリフレッシュにつながります。
精神的負担にならないように無理なくできる範囲で行うようにしてください。
運動は1回15~30分がおすすめです。また、週3~4回程度の頻度で続けるとよいでしょう。
原因④ メラトニンの減少
就寝直前までスマホやパソコンを使用していたり、明るい状態の部屋で眠りにつこうとしていたりなど、夜になっても明るい光を浴びていると、メラトニン(睡眠ホルモン)の分泌量が減少してしまい眠気が弱くなったり、眠りが浅くなったりします。
こう対策しよう!
- 就寝直前までスマホやパソコンを使用しない(就寝30~60分前までにする)
- 夜型の生活を改善する
- 眠りにつくときは部屋の照明を暗めにする
といったことを行うとよいでしょう。
夜に明るい光を浴びないようにすると、メラトニン(睡眠ホルモン)の分泌量が増加し眠気が誘発されて良質な睡眠につながります。
原因⑤ 就寝前の飲酒
就寝前に飲んだアルコールが、就寝中に体内で分解されて血中濃度が低下すると、眠りが浅くなったり、夜中に目が覚めやすくなったりします。
こう対策しよう!
飲酒は眠りにつく3時間ほど前までにしましょう。
飲酒の目安量は、ビール瓶1本分、ワイングラス2杯分、日本酒1合程度です。
上記の対策を実行すると、就寝前にアルコールが分解されるため、血中濃度の低下予防になります。
また飲酒量をある程度決めておくと、過剰摂取の予防になり就寝中のトイレ回数が減るため、良質な睡眠につながると考えられます。
「眠りが浅い」「夢ばかり見る」ときに考えられる病気リスト
「眠りが浅く、夢ばかり見る」場合、
- 睡眠時無呼吸症候群
- むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)
- うつ病
といった病気の恐れもあります。
病気① 睡眠時無呼吸症候群
肥満によって首や顎に脂肪がついていたり、扁桃腺の肥大等により上気道が狭くなることで発症する病気です。
中高年世代の男性、肥満傾向、顎が小さい女性、閉経後の女性等がなりやすいです。
睡眠時無呼吸症候群の特徴
〈睡眠時の特徴〉
〈起床後の特徴〉
- 起床時の口渇感
- しっかり寝ているはずなのに眠い
- 日中の強い眠気
- 起床時の疲労感
- 倦怠感
- 頭痛
- 頭重感
- 寝汗
- 集中力低下
病気② むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)
夕方から就寝前にかけて、寝ようとすると足に虫が這っているようなムズムズとした感覚に陥る状態です。
40歳以上の中高年世代に多くみられます(女性に多い傾向)。また、鉄分不足も関係していると考えられています。
病気③ うつ病(気分障害)
うつ病にかかると、深い睡眠(体を修復するノンレム睡眠)が出現しにくく、浅い睡眠(脳を活性化させるレム睡眠)が増加するため中途覚醒を起こしやすくなります。
また、
- 夢を見やすくなる
- 入眠困難
- 夜中に何度も目が覚める
- 早朝覚醒
- 熟睡感欠如
といった症状もあらわれます。
浅い眠りが1ヶ月以上続いている場合は病院へ!
- 浅い眠りが1ヶ月以上続いている
- 日中の強い眠気、夜中に何度も目が覚める状態が続いている
- 起床時の疲労感や倦怠感
- 眠れないことが不安で寝付けない
- 抑うつ状態等の症状が出現している
といった場合、医療機関を受診して相談することをおすすめします。
医療機関は、内科・内分泌内科の受診をおすすめします。
精神面の不安を感じている場合は、精神科や心療内科で受診するという選択肢もあります。
医療機関を受診する際は医師に、
- 症状が出現した時期
- 出現している症状
- 症状が出現するタイミング
- 症状が出現する原因として考えられること
- 日々の生活習慣について(仕事内容、ストレスの有無等)
- 既往歴
伝えると診察がスムーズに進行します。
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2023-01-17
「明日も朝早いのに眠れない…」
「すぐに眠れる方法が知りたい!」
公認心理師・臨床心理士の赤田太郎先生が、スムーズな入眠をサポートする方法をご紹介。
寝付けなくてお困りの方は、ぜひお試しください。
※動画による解説は記事末尾から
今すぐ寝たいときは「漸進的筋弛緩法」を試してみよう
最近寝つきが悪くて困っています。
明日も仕事で朝早いのに…。すぐに眠れる方法ってないのでしょうか?
眠れないときには、「漸進的筋弛緩法(ぜんしんてききんしかんほう)」がおすすめです。
意識的に筋肉の緊張と弛緩(緩める)を繰り返すことで、体と心の緊張をほぐしていきます。
体全体がリラックスするので、スムーズな入眠に繋がりますよ。
漸進的筋弛緩法のやり方
まずは楽な姿勢で座ります。
その後、体の各部位の「筋肉を緊張させる⇒脱力する」という行為を2回ずつ繰り返していきます。
手・腕
頭部(額・目・顎)
首肩まわり
上半身(胸・お腹)
足
の順に行いましょう。
大切なのは、緊張した筋肉が緩んでいく感覚を意識することです。
ここからは詳しい手順を解説していきますので、ぜひ実践してみてください。
※漸進的筋弛緩法の注意点※
漸進的筋弛緩法は、著しく体力が低下している方や治療中の疾患・ケガのある方が行うと、不快感が生じたり、症状が強くなったりする可能性があります。特に現在通院中の方は、必ずかかりつけ医に相談してから実践するようにしましょう。
1. 手・腕の筋弛緩
▼手の筋弛緩のやり方
椅子やベッドで楽な姿勢で座り、目を閉じる。
右の拳を、体を痛めない程度に、少し強めに握る。
指と腕の力を抜いていく。
①~③を2回繰り返す。
左手も同様に行う。
▼腕の筋弛緩のやり方
右腕の肘を曲げて力を入れる。
腕をゆっくり伸ばして、緊張を緩める。
緊張のある状態とない状態の違いを感じながら、リラックス感を深める。
①~③を2回繰り返す。
左腕も同様に行う。
目を閉じるのが不安な人は、開いたままでも構いません。
「力を入れたときの緊張」と「脱力するときの弛緩」の違いを味わうようにしましょう。
2. 頭部(額・目・顎)の筋弛緩
▼額の筋弛緩のやり方
額にシワを寄せるようにして力を入れる。さらに力を入れる。
だんだんと額の力を抜く。額全体のシワがなくなっていくことをイメージする。
①~②を2回繰り返す。
▼目の筋弛緩のやり方
目を強く閉じる。目やまぶた以外の部分に力が入らないようにする。
目を閉じたまま、力を抜いていく。
①~②を2回繰り返す。
▼顎の筋弛緩のやり方
歯を食いしばる。
顎を固めて、唇も強く閉じる。
だんだんと力を緩めて顎と口をリラックスさせる。
①~③を2回繰り返す。
額・目・顎の筋弛緩トレーニングを行うことで、顔全体が自然とゆったりして、表情がリセットされます。
顔の筋肉を滑らかにして、穏やかな気持ちを味わいましょう。
3. 首肩まわりの筋弛緩
▼首の筋弛緩のやり方
首をできるだけ後ろに曲げて、首の緊張を感じる。さらに強く緊張させる。
ゆっくりと首を楽な位置に戻す。
①~②を2回繰り返す。
▼肩の筋弛緩のやり方
肩をすくめて上にあげる。
さらに肩を上にあげながら、胸を開くように肩を開く。
ゆっくりと肩の緊張を緩める。
①~③を2回繰り返す。
リラックス感が、顔・腕・肩・背中に染み渡るのを感じましょう。
4. 上半身(胸・お腹)の筋弛緩
▼胸の筋弛緩のやり方
楽に呼吸を続ける。息を吐くとき、体全体が緩んでいくことを感じる。
深く息を吸う。
しばらく息を止めて緊張を感じる。
ゆっくりと胸の緊張を緩めて、息を吐きだす。
自然に呼吸しながら、体全体をゆったりさせる。
①~⑤を2回繰り返す。
▼お腹の筋弛緩のやり方
腹筋に力を入れてお腹を固くする。
力を抜いて腹筋を緩める。
①~②を2回繰り返す。
5. 足の筋弛緩
両足をつま先まで精いっぱい伸ばして、足を突っ張る。
同時に足全体とおしりにも力を入れる。
ゆっくりと自然に足の力を抜く。
①~③を2回繰り返す。
全部終わったら、大きく深呼吸をします。ゆっくりと長い深呼吸をして、リラックス感を味わいましょう。
最後にもう一度深呼吸をして、体全体の筋肉をゆったりさせます。
全身の筋肉が緩んだら、5~1までの数字を心の中で数えてください。1まで数えると、頭がすっきりして気分爽快になります。
眠気が強い方は、そのままお休みください。
毎日の習慣にすると効果的!
漸進的筋弛緩法は、初めてすぐには効果を実感しにくい可能性があります。
まずは1週間続けてみることをおすすめします。
効果を感じた場合もすぐにやめるのではなく、毎日の習慣にして、できるだけ長く続けるといいですよ。
▼動画による解説はこちら
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