オリーブオイルが健康にもたらす効果はさまざまです。
美肌効果にはじまり、便秘解消やダイエット、生活習慣病の予防にもなります。
この記事では、そんなオリーブオイルの恩恵をよりよく受けるために、おすすめの摂り方や適正摂取量など詳しくご紹介していきます。
監修者
株式会社Luce
栄養士・食育栄養インストラクター
神原 李奈先生
経歴
株式会社Luce・健康検定協会 所属
CA(客室乗務員)の仕事をきっかけに、健康と食の強い結びつきを実感し、食の世界に興味を持つ。大手料理教室の講師の経験を経て、栄養士を目指すことに。栄養士免許を取得後の現在は、現役CAとして世界中を飛び回りながら、栄養士として健康や食に関する情報を発信している。
オリーブオイルに期待できる「いい効果♪」
メリット① 美肌効果
オリーブオイルには、ビタミンA、ビタミンE、ポリフェノールなど、肌に良い栄養素が含まれています。
そのため、食事に取り入れることで、美肌効果が期待できます。
オリーブオイルを直接塗るのはNG
食用のオリーブオイルを肌に直接塗ると、肌を傷つけてしまう恐れがあります。
肌に塗るのであれば、スキンケア用のオリーブオイルを使ってください。
メリット② ダイエット効果
オリーブオイルには、「血糖値の急上昇を抑える作用がある」という研究データがあります。
これはインスリンの過剰分泌による脂肪蓄積の防止にもつながるため、ダイエット中の方にもおすすめです。
メリット③ 便秘改善
オリーブオイルに含まれる「オレイン酸」には、大腸の動きを促したり、便の潤滑油として働く作用があります。
そのため、食事に取り入れることで、便秘の解消が期待できます。
メリット④ 高血圧予防
オリーブオイルに含まれる「オレイン酸」には、血液内のLDLコレステロールを下げる作用があります。
これにより、高血圧や脳梗塞、心臓病、認知症の発症リスクを下げることができます。
オリーブオイルの効果「これ…本当?」
飲むと美容効果があるって本当?
オリーブオイルをそのまま飲んでも、美容効果を得ることができます。
量は特に決まってはいませんが、摂りすぎには気を付けてください。
歯周病や口臭を予防できるって本当?
オリーブオイルに限らず、植物油でうがいをする「オイルプリング」が口臭予防になると言われています。
しかし残念ながら、この方法には科学的根拠がまだはっきりとしていません。
白髪が予防できるって本当?
オリーブオイルの持つ抗酸化作用により、黒い髪の毛を作り出す「色素細胞」が酸化するのを防ぎ、白髪予防になると考えられます。
なお、オリーブオイルを髪に塗っても白髪予防の効果はありません。食事で摂りましょう。
オリーブオイルの成分一覧
◆オレイン酸
悪玉コレステロールを下げる、血糖値の急上昇を抑える、便秘を解消させる、といった作用があります。
◆リノール酸
総コレステロールの低下につながります。
ただし、総エネルギー摂取量に占めるリノール酸の割合が15%を越えるとコレステロール低下作用が認められなくなるとされています。
◆ビタミンA
皮膚の健康を保つ働きがあります。
◆ビタミンE
細胞膜を構成する成分であり、抗酸化作用、血行促進作用があります。
◆ポリフェノール
オリーブオイルの苦み成分であり、抗酸化作用があるため、肌細胞の酸化を防ぎます。
※肌細胞の酸化は、シミ・しわ・くすみなどを引き起こす原因になります。
エクストラバージンオイルじゃないとダメ?
オレイン酸の作用は変わらないため、通常のオリーブオイルでも健康に良い影響を与えます。
ただし、エクストラバージンオリーブオイルの方は精製度が低く、ポリフェノールやビタミンEなどが多く含まれています。
より良い効果を求めるのであれば、エクストラバージンをおすすめします。
1日の適切な摂取量
オリーブオイルの1日あたりの摂取目安量は特に決まっていません。
食事内容には個人差が大きいため一概には言えないですが、1日あたり大さじ3杯までにすると良いでしょう。
オリーブオイルを健康的に摂取するためには、他の食事の脂質量と調整する必要があります。
厚生労働省が定める日本人の食事摂取基準(2020年版)では、1日における脂質の摂取目標量は、食事から得られるエネルギーの20~30%が良いとされています。
例えば、一日に2000kcal摂取する人は、そのうちの400~600kcal分の脂質を摂る計算になり、これを重量(g)に換算すると約44g~67gです。
脂質は、調理に使う油脂だけでなく食材にも含まれているため、トータルの食事メニューでバランスをとる必要があります。
ちなみに、アメリカ合衆国食品医薬品局(FDA)では、バターなど動物性食品から摂る飽和脂肪酸のうち、大さじ2杯(およそ23g)をオリーブオイルに変えることで「冠動脈性心疾患のリスクを下げられる可能性がある」としており、該当食品への予防効果を示すラベル表示を許可しています。
オリーブオイルを摂りすぎると…
体に良いからと言って摂りすぎると、肥満の原因になります。
「朝?夜?」いつ摂るのがいいの?
便秘解消にオリーブオイルを摂取するなら、朝がおすすめです。
副交感神経が優位な朝は、腸の動きも活発になりやすいからです。
血糖値の上昇を緩やかにしたい場合は調理に使用し、食事で摂取すると良いでしょう。
サラダのドレッシングに使用する、パンにつける、お味噌汁に垂らすなど、取り入れやすい方法がおすすめです。
おすすめの「食べ合わせ」
お味噌汁・納豆
腸内環境を整える発酵食品である納豆や味噌汁と一緒に摂ることで、便秘解消に役立ちます。
トマト
トマトに含まれるリコピンは、オリーブオイルなどの油脂と共に摂取すると吸収率があがります。
リコピンにはインスリンの作用を良くする働きがあり、オリーブオイルと同様に、血糖値の上昇を抑制するという点において、良い組み合わせでしょう。
レモン
レモンに含まれるビタミンCには、抗酸化作用やコラーゲン生成促進作用があります。
オリーブオイルに含まれるビタミンA・ビタミンEとともに皮膚を健康に保ち、美肌にアプローチしましょう。
にんにく
にんにくの香り成分であるアリシンには血行促進作用があり、オリーブオイルのビタミンEとともに作用すると、冷え性の改善に繋がる可能性があります。
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2021-09-15
「亜麻仁油が女性に嬉しいのはなぜ?」
「肌にいいって本当?」
亜麻仁油の効果やデメリットを、栄養士に伺いました。
1日の摂取量目安、おすすめの使い方も解説します。
女性におすすめ!亜麻仁油の効果とは?
亜麻仁油には
美肌づくり
乳がん・更年期にアプローチ
血圧コントロール
などの効果があると言われています。
その① 美肌づくり
亜麻仁油に含まれる「セコイソラリシレジノール(SECO)」には、抗酸化作用があります。
細胞の酸化を防ぐことで、シミ・シワ・乾燥などの肌トラブルの予防・改善が期待できます。
また、亜麻仁油に含まれる脂質が細胞膜の成分となり、肌細胞を健康に保つサポートします。
その② 乳がん・更年期にアプローチ
亜麻仁油には「植物性リグナン」という成分が含まれています。
18歳~40代前半ごろの場合、「植物性リグナン」にはエストロゲン(女性ホルモン)の働きを抑える効果があり、乳がんのリスク軽減が期待できます。
一方閉経後には、減少した女性ホルモンを補う物質として働くため、更年期の不調を改善させる可能性があります。
その③ 血圧コントロール
亜麻仁油に含まれる「α-リノレン酸」には、血圧の低下の作用があります。
血圧が高めの方は積極的に取り入れましょう。
デメリットはないの?
体に良いとはいえ、脂質であることに変わりはありません。
過剰摂取すれば肥満の原因となるので、食べ過ぎには注意しましょう。
どのくらい脂質をとると過剰摂取?
日本人の1日の脂質摂取目標量は、1日の摂取エネルギーの20~30%とされています。
1日に2000kcal摂取する人の場合、脂質の摂取量が400~600kcal分(約44g~67g)を超えると過剰摂取になります。
1日どれぐらい亜麻仁油をとればいい?
お食事内容にもよりますが、1日あたり小さじ1杯(約4.6g)を目安にとりましょう。
基本的には、プラスして摂ると言うよりも、今使用している油をアマニ油に置き換えると良いです。
必ず「生」で使いましょう
サラダ・カルパッチョ・ヨーグルト・ジュースなどに加えるなど、生の状態で使いましょう。
亜麻仁油は熱に弱いです。
炒めものや揚げ物などの加熱調理をすると、生臭いにおいが出てしまいます。
こんなことに注意して!
早めに使い切る
妊娠中・授乳中は控える
ということに注意して、使用しましょう。
また、服用中の薬がある場合は、薬の作用に影響を及ぼすことがあるので、医師や薬剤師に確認してから使用しましょう。
注意点① 早めに使い切る
酸化した亜麻仁油を摂取すると、体調不良を起こすリスクがあります。
亜麻仁油は酸化しやすいので、空気に触れると品質が低下していきます。
開封後はしっかり密閉できる容器で保存し、できる限り早く使い切りましょう。
注意点② 妊娠中・授乳中は控える
妊娠中の摂取は危険性があると言われているので、使用を控えてください。
妊娠中に関しては、早産のリスクがあります。
出産後の女性3,191名 (15~45歳、カナダ))を対象とした症例対照研究において、妊娠15週以降にアマを摂取した妊婦 (71名)では (摂取量不明)、妊娠37週以前の早産の割合が高かったという結果が出ています。
また、授乳中の摂取についても、信頼できるデータが十分にないため、控えておくことをおすすめします。
▼参考
多機能性生理活性因子であるアマニ由来リグナンの作用機構解明と構造活性相関の検討
日本未病システム学会雑誌13(2):331-333, 2007 α-リノレン酸摂取による 血圧低下作用に関する検討
厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」 脂質
日清オイリオグループ株式会社 アマニ油とは?オメガ3たっぷりの健康オイル
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報 アマ (亜麻) 、アマニ、アマシ、アマニン、アマニ油 [英]Flax、Linum、Flax seed、Linseed、Flaxseed oil、Linseed oil [学名]Linum usitatissimum L.
アマニフォーラム アマニの素晴らしい栄養成分
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2020-02-07
腸内環境を整えてくれるオリゴ糖。
この記事では、オリゴ糖のおすすめの食べ方、さらに摂取するタイミングなど、栄養士が詳しく解説します。
オリゴ糖とは
オリゴ糖は、ビフィズス菌をはじめとする善玉菌のエサとなります。
様々な種類がありますが、どのオリゴ糖も、摂取することで乳酸菌を増やし、腸内環境を整えることで、便秘解消や免疫機能の改善につながります。
※ただし、乳酸菌の種類によっては利用されにくい場合もあります。
オリゴ糖の種類
オリゴ糖には、
・てんさいオリゴ糖
・イソマルトオリゴ糖
・フラクトオリゴ糖
・ガラクトオリゴ糖
などの種類があります。
オリゴ糖に期待できること
①腸内環境を整えてダイエット
善玉菌が増えることで腸内環境が整い、便秘や下痢・軟便の解消や改善に繋がります。
便秘が解消されれば、ぽっこりと出ていたお腹もひっこみます。
栄養素を効率よく吸収できるようになり、代謝も上がると考えられ、ダイエット効果も期待できます。
②肌荒れ・感染症予防
肌荒れの改善にも繋がります。
また、腸内環境が良いと免疫力も上がり、感染症予防にもなります。
③虫歯の予防
虫歯の発生を抑制する作用があることもわかっています。
変化を感じるのはいつから?
個人差はありますが、腸内環境は2週間経った頃から変化すると言われています。
最低でも2週間は継続して摂取するとよいでしょう。
おすすめの食べ方
ヨーグルトと一緒に摂ることで効率良く摂取できます。
オリゴ糖は、ヨーグルトに含まれる乳酸菌のエサとなり、腸内の乳酸菌の増殖を助けます。
また、ヨーグルトを人肌程度に温めると乳酸菌が活性化されるので、ホットヨーグルトがおすすめです。
※ただし、ヨーグルトを加熱しすぎてしまうと乳酸菌が死んでしまうので、温度には注意しましょう。
いつ食べるのが良い?
タイミングは特に決まってはいません。
一度に摂取するとお腹が緩くなることがあります。
一日の中で、数回に分けて摂取すると良いでしょう。
また、摂取量については商品によって異なるため、商品の表示を確認することをお勧めします。
オリゴ糖の副作用
オリゴ糖の摂りすぎたり、体質、体調によっては、お腹が緩くなってしまうことがあります。
加熱しても大丈夫?
オリゴ糖は熱に強いので、加熱しても大丈夫です。
妊婦でも大丈夫?
オリゴ糖は野菜や果物にも含まれている成分なので、妊婦さんでも摂取できます。
実際に医師監督下で行った実験では、妊婦が一ヵ月オリゴ糖を摂取した場合、臨床検査値や問診・診察上に異常は認められなかったという報告があります。
ただし、摂取量や体質、体調などにより個人差もあるため、心配であれば医師に相談すると良いでしょう。
参考
オリゴ糖 特性
日本食品化工(株)研究所 菅原正義 オリゴ糖の特性と生理効果
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jim1987/7/1/7_1_1/_pdf
オリゴ糖 妊婦
藤田保健衛生大学医療科学部臨床検査学科・至學館大学健康科学部栄養科学科・藤田保健衛生大学藤田記念七栗研究所・同大学医療科学部臨床工学科・塩水港精糖株式会社・同大学 医学部産婦人科 妊娠5~7ヶ月の妊婦における乳糖果糖オリゴ糖摂取期および非 摂取期の腸内細菌叢の解析―T-RFLP法と培養法による検討―
http://abs-kyushu.kenkyuukai.jp/images/sys%5Cinformation%5C20120204140651-4306C97987F05454C1B7940827C7B633BA4E08633F0989CFC7F2F72FB0E68A34.pdf
オリゴ糖 含有量
安井照代・戸田千登世・橋爪清松・永納秀男・石原英子 オ リゴ糖添加食品中の機能性オ リゴ糖類の含有量
https://www.jstage.jst.go.jp/article/shokueishi1960/37/4/37_4_240/_pdf/-char/ja
オリゴ糖 耐熱
日本オリゴ株式会社 ベータオリゴ 日本オリゴのフラクトオリゴ糖
https://www.nihon-oligo.co.jp/docs/hpgen/pdf/bulk_fos_oligo.pdf
腸内環境 変化
ビオフェルミン製薬株式会社 腸内フローラをもっと知ろう
https://www.biofermin.co.jp/nyusankin/chonaiflora/antiflatulent/
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。