「左首から肩にかけての痛みがある…」
痛みの原因を、お医者さんが解説します。
首や肩、心臓の病気も考えられるため、油断は禁物です。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
なぜ?左首から肩にかけて痛い…
左首から肩にかけて痛みが生じている場合、
- 血行不良
- 首や肩の病気
- 心臓の病気
などが考えられます。
①「血行不良」による痛み
血行不良になると、血液により運搬される酸素量が不足し、筋肉に老廃物が溜まります。
その結果、筋肉細胞から発痛物質が発生するため、両肩に痛みを感じると考えられます。
痛み以外には、肩がこる、筋肉がこわばるなどの不快感が症状としてあらわれます。
<血行不良の原因>
- 運動不足
- 首や肩の酷使
- 長時間同じ姿勢で過ごす
- 猫背
- 精神的ストレス
- 体の冷え
②「首や肩の病気」による痛み
痛みが1週間以上続く、手や腕にしびれがある場合は、首や肩の病気を疑いましょう。
頚椎や肩関節の異常が原因で、痛みを感じることがあります。
<考えられる病気>
- 肩関節周囲炎
- 頚椎症
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 頚肩腕症候群
- 頚椎圧迫骨折
首や肩の病気が疑われる場合は、整形外科を受診してください。
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③「心臓の病気」による痛み
左首から肩~背中にかけての強い痛み、胸が締め付けられるような痛みがある場合は、心臓の病気に要注意です。
心臓に不調があると、首や肩に痛みを感じる場合があります。
これは、心臓の自律神経と首、肩の知覚神経の経路が同じであるためです。
心臓の病気が疑われる場合あ、循環器内科、心臓血管外科を受診してください。
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痛みを和らげる方法は?
痛みの原因が「血行不良」の場合は、ストレッチなどで血行促進することで、症状が改善するケースがあります。
※病気が原因の場合は、病院を受診しましょう。
①蒸しタオルや入浴で暖める
患部を温めると血流が改善されるため、痛みが和らぎやすくなります。
38~40度程度のぬるいお湯にゆっくり浸かると、血行改善を期待できます。
また、冷えないようにすることも大切です。
特に就寝時は、タオルやサポーター等で冷えを予防しましょう。
※急な痛みや激しい痛みが生じている場合には、温める前に医師に相談してください。
②姿勢を正す
背筋を伸ばして、あごを軽く引く姿勢を心がけましょう。
デスクワークをする場合には、30分に1回程度、伸びをしてください。
③首・肩のストレッチ
<首のストレッチ>
(ゆっくりと行ってください。)
- 首を前後、左右に動かす
- 顔を左右に向ける
- 首を回す(左右交互に行う)
- 腕を直角に曲げて顔の前で合わせる
- 腕を左右に開き、元の位置に戻す
- ①から⑤を各3回ほど行う
<肩のストレッチ>
- 肩の力を抜いた状態で、両手を肩に置く
- 大きく円を描くように、肘を回す
- 両腕を上げてブルブルと振る
※強い痛みが出ている場合、ストレッチは控えてください。
これはNG!痛みを悪化させる行動
自己流のマッサージは、症状を悪化させる恐れがあり危険です。
かえって疲労が増幅し、筋肉の損傷につながることもあります。
また、痛みが強いときは、運動を控えましょう。
病院に行く目安
痛みが1週間以上続く、強く痛むといった場合は、病院を受診しましょう。
また、
- 安静時の痛み
- ピリピリ、チクチクとした痛み
- 手足のしびれ、麻痺
- 発熱
- 締め付けられるような頭痛
- めまい
- 動悸
- 息切れ、呼吸困難
- 首の腫れ
などの症状がある場合は、早急の受診をおすすめします。
何科を受診するべき?
まずは整形外科を受診してください。
整形外科で問題が見られなかった場合は、内科を受診しましょう。
軽症の場合、保存療法(薬物療法・温熱療法)だけで改善しやすくなります。
また、首から肩にかけての痛みは、腫瘍や心臓疾患の可能性もあるため、放置は危険です。
症状でお困りの場合は、一度病院で相談しましょう。
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2020-05-07
「首が…急に痛い!」
特に何かしたわけでもないのに、首が痛くなった…いったいなぜ?
首の痛みの治し方や、病院に行く場合は何科で受診すればいいのか、お医者さんに詳しく聞きました。
急に首が痛くなる原因
急に首が痛くなる主な原因として、
1.寝違え
2.神経痛
3.ねんざ
が考えられます。
それぞれ対処法が異なります。
1.「寝違え」の対処
長時間無理な方向に首を曲げて眠っていることで、凝り固まった筋肉を起床時にいきなり動かしたことで痛みや違和感がおきます。筋肉の緊張もしくは軽度の肉離れが起きている状態です。
対処法
寝違えたら、アイスノンや冷湿布などで痛い部分を冷やしましょう。
炎症を抑えることで、痛みが軽減されます。
2.「神経痛」の対処
姿勢が悪い方、長時間同じ姿勢をとり続けている方は要注意です。頚椎(けいつい)の神経の出口部分などで圧迫を受けている状態です。また、ストレスも神経痛を悪化させる原因になります。
首の後ろ側が痛いことが多く、電気がはしるような痛みやしびれ感を繰り返します。
対処法
普段から、同じ姿勢をとり続けることを避けましょう。
痛みが治まってきたら、ストレッチを習慣化したり、温めるのもおすすめです。
3.「ねんざ」の対処
転倒や交通事故の衝撃、ラグビーなどの激しいスポーツが原因になることもあります。首や頭に衝撃を受け、骨や神経、関節や筋肉を傷めてしまった状態です。
対処法
一時的な安静が必要です。
通常の生活を送ることで自然と治癒することが多いです。ただし、痛みが激しい場合は、頚椎カラーを用いて首を安静にする必要があります。
この対処は、OK?NG?
Q1.マッサージやストレッチは?
逆効果になる場合があります。
寝違え→マッサージやストレッチは逆効果です。
神経痛・ねんざ→同様にあまり刺激を与えないようにすることが大切です。
ただし、痛みがある程度治まってきたら、ストレッチやマッサージをすることで早く回復します。
Q2.冷やすのは?
「寝違え」と「ねんざ」の場合はOKです。
寝違え・ねんざ→直後2~3日は冷やすことで痛みが和らぎます。
神経痛→腫れたり熱を持っていることがほとんどないので、冷やしてもあまり効果はありません。温めたほうがよいことが多いです。
Q3.お風呂で温めるのは?
回復期の「神経痛」「ねんざ」に対しては有効です。
神経痛・ねんざ→6~7日経って回復に向かっている時期なら温めることは有効です。
寝違え→温めることは逆効果のことも多いです。
Q4.鎮痛剤は使っていい?
自己判断で使用することは避けましょう。
必ず、病院を受診し処方してもらってください。強い痛みがある場合は、鎮痛剤を使用することもあります。
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痛みを放置し続けると…
痛みを放置してしまうと、治療に長い時間かかることがあります。
軽度のコリや痛みを感じた段階で、早めに病院へ受診することで、症状が悪化せずに済むことがあります。
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治らない場合は病院へ
痛みが軽いうちに、病院にいきましょう。
また、次のような症状は早急に病院を受診してください。
● 激しい頭痛
● めまい
● 麻痺
● 発熱
● 手や腕のしびれ
● 痛みが慢性化している場合
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