精神科を受診するデメリットは?
通院歴が会社にバレるってホント?
精神科の治療に対し、誤解を抱いているケースも少なくありません。
精神科に関するよくある疑問にお医者さんがお答えしますので、受診に踏み切れない方は必読です。
監修者
経歴
福島県立医科大学卒業
「働く人を支える」薬に依存しない医療を展開する「BESLI CLINIC」を2014年に協同創設、2030年を基準に医療現場から社会を支える医療経営を実践しています。
産業医視点からビジネスマン・ビジネスウーマンを支えております。生薬ベースの漢方内科での経験を活かし、腹診を含めた四診から和漢・井穴刺絡などの東洋医学を扱い、ホルモン、生活習慣をベースに身体から心にアプローチする診療を担当。米国マウントサイナイ大学病院へ留学、ハーバード大学TMSコースを修了。TMSをクリニックへ導入、日本人に合わせたTMSの技術指導、統括を行っています。
精神科の受診「デメリットが心配」
「精神科に通っていることを周りに知られるのではないか」と考えてしまい、受診をためらってしまう。(30代女性)
「通院履歴が残るため、保険や住宅ローンを組むうえで不利になった」と、実際に受診した人から聞いた。(30代女性)
一度病院へ行くと、それ以降薬に頼りきってしまうのではないかと不安に感じる。(30代女性)
薬の副作用で車の運転・機械類の操作等ができなくなるものだとしたら、仕事に支障をきたしてしまう。(50代男性)
上記のような理由から、精神科の受診に不安を感じる方もいます。
気になる「受診のデメリット」について、次の項目からお医者さんが詳しく解説していきます。
不安① 通院歴が会社にバレることはある?
精神科に行ったことが会社の人にバレないか心配です…。
通院歴は個人情報なので、精神科を受診したことが会社の人に知られることはありません。
受診した医療機関・診療科目・治療内容は本人宛で個別に通知されます。
この通知は封がされており、会社は開けることを禁じられています。
会社側へ通知されるのは、「従業員が支払った医療費」のみです。
【体験談】精神科の通院を会社に知られたことはある?
どこまで会社側が分かるのか知りませんが、私はバレた(何かを言われた)ことはありません。(30代男性)
会社にバレることはありませんでしたが、体調をひどく壊し長期休暇をもらうときに自己申告しました。(50代男性)
不安② 住宅ローン(保険)が組めなくなる?
精神科で治療を受けると、家を買うときにローンが組めないというウワサを聞きました…。
住宅ローンを組む際、万が一に備えて「団体信用生命保険」の加入を必須としている金融機関が多いです。
心の病気に限らず、健康状態が悪い方は保険に加入できない場合があるため、住宅ローンを組むのが難しいケースもあります。
ただし、一般的にローンを組む際の病気の告知には「過去○年以内」と期限が定められています。
その期限より前に治療を受けていた場合は、告知する必要がありません。
全ての保険が組めないわけではない!
精神科に通っている方でも、
などにより、保険に加入できることもあります。
うつ病などの精神疾患があっても加入できるものとしては、「ワイド団信」、「フラット35」などがあります。
ただし、加入者には「告知義務」があるため、保険を契約する際には精神科での治療の状況を正確に伝える必要があります。
※治療歴等を正しく伝えなかった場合、申請をしても保険金が支払われないこともあります。
不安③ 向精神薬を一度服用したら、止められなくなる?
精神科で処方される薬には、依存性があるって本当ですか?
薬は症状に合わせて注意深く処方されるため、医師の指示通りに服用していれば、薬に依存することはありません。
精神科では心の不調に対し、「抗不安薬」等を用いることもあります。これは、あくまでも症状の緩和を目的に行うものです。
うつ病の治療の場合、薬の処方に加えて「心と上手に向き合う方法」も同時に探っていくことで、「薬が必要のない状態」を目指していきます。
なお、自己判断で過剰に服用してしまうと、薬物依存に陥るリスクがあります。
「抗不安薬が効かない」と感じるときは、必ず医師に相談しましょう。
薬を使わない治療法もある!
薬を使わない治療法として、「認知療法」というものがあります。
これは、医師のサポートのもとで「心との向き合い方」「上手な行動のとり方」を習得する方法です。
特に症状が軽い場合には、すぐにお薬を使った治療を行わず、認知療法で様子を見るケースもあります。
不安④ 薬の副作用で仕事ができなくなるってホント?
薬の副作用で、仕事に悪影響が出ることはないですか?
薬による治療が、必ずしも仕事に支障をきたすとは限りません。
軽度の症状の場合には、副作用も弱い「軽めの薬」が処方されることもあります。
仕事に支障が出やすいのは、重い症状を緩和させるために「強い薬」を服用する場合です。
強い薬を服用すると「眠気」などの副作用が強く出るので、車の運転・機械の作業等が難しくなります。
副作用が心配な場合は、医師に相談してみましょう。
精神科を「受診したほうがよい目安」
- 眠れなくてつらい・眠れる気がしない日々が続いている
- 他者に自分の悪口を言われている気がする
- 体調が悪いわけではないのに、不安が強く落ち着かない・集中できない
- 緊張が取れず、心身ともに休まらない
- 物忘れが多い
- 細かいことばかり気になり、通常の生活が送れない
- 気分の波が激しく、自分でコントロールできない
- 朝方はつらく悲しいことが多く、夕方は楽になる
上記のような症状がある方は、早めに精神科を受診してください。
放置していると、精神的な閉塞感や焦燥感により、うつ病やパニック障害を発症することもあります。
症状の回復を促したり、悪化のリスクを減らしたりするには、早めの受診が大切です。
まずは「話を聞いてもらう」という感覚で受診してみよう
傷ついた心の傷を自分で癒せないときに、相談にのってくれるのが精神科です。
まずは、「つらいと感じている症状を聞いてもらう」イメージで受診しましょう。
人に話を聞いてもらうことで、客観的に自分を見られるようになり、今感じているつらさの根本的な原因が見つかることもあります。
それで気持ちが落ち着けばよいですし、何らかの病気の兆候があれば、医師が優しく教えてくれます。
心は、体とは違って傷が見えないため、他人にわかってもらうことが難しい部分です。
つらいときには我慢せず、相談してみることをおすすめします。
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2023-01-19
メンタル不調を抱える方向けに、社会復帰に役立つ情報を配信する『脱うつリヴァトレCh.』。
今回紹介する動画では、リワークについて、臨床心理士さんがわかりやすく解説しています。
「リワークって具体的にどういうものなの?」
「リワークのメリットやデメリットが知りたい!」
復職を希望されていて、リワークについて詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
※動画による解説は記事末尾から
そもそも、リワークとは?
リワークとは、うつ病などの精神疾患により休職をして療養期間を経た方が、職場復帰のために行うトレーニングのことです。
様々な職場復帰支援プログラムを通じて、病気の再発リスクを軽減しつつ、本格的な職場復帰へとスムーズに移行させるのが狙いです。
リワークは大きく分けて4種類ある!
リワークは大きく分けて4種類あり、それぞれ実施されている機関や対象者の条件が異なります。
医療リワーク
精神科・心療内科などの医療機関で実施されている。
うつ病などで休職している方で、復職の意欲がある方が対象。
職リハリワーク
各県の地域障害者職業センターで「職場復帰支援」の名称で行われている。
センターの職員が、求職者本人と雇用主、主治医をコーディネートして、三者の合意後に実施される。
職場リワーク
企業内で実施される、復職支援のプログラム。
例として、内部に専門部署や医療機関を持つ企業・役所で行われている職場復帰訓練制度などが挙げられる。
民間系リワーク
企業NPOなど民間団体によって行われているプログラム。
うつ病などの精神疾患があり、復職の意欲がある方が対象。復職の意欲がある方なら、失業中でも利用可能。
ここからは、それぞれのリワークの特徴を詳しく解説していきます。メリットやデメリットまで、しっかりチェックしていきましょう。
各リワークの特徴|メリット&デメリットは?【体験談あり】
① 医療リワーク
医療リワークは、精神科・心療内科などの医療機関で行われています。うつ病などの精神疾患で休職している方で、復職の意欲がある方が対象です。
リハビリの意味合いが強く、再休職の予防を最終目標としています。
リワークの期間は本人の体調やプログラムによって異なり、数ヶ月のケースもあれば、1年以上かけて終了するケースもあります。
医療リワークでは、健康保険だけでなく自立支援医療制度※が利用できます。そのため料金の自己負担額は、健康保険の適用で3割、自立支援医療制度を利用すれば1割に抑えることが可能です。
1日あたりにすると、約600円から700円で利用できます。
自律支援医療では、前年度の世帯所得により、1ヶ月あたりの自己負担額の上限が0円から2万円で設定されます。
そのため、上限金額以上の医療費を支払う必要がなくなります。
自立支援医療制度とは…
精神疾患などの治療にかかる医療費の自己負担額を軽減する公的な制度のこと。
▼参考
自立支援医療制度の概要|厚生労働省
医療リワークのメリット
スタッフに専門家が在籍していることが多い
プログラムの一環として治療も含まれている
医療リワークは、専門医・看護師・保健師・臨床心理士など、スタッフに専門家が在籍していることが多く、安心感があります。
また、プログラムの一環として、病状の回復と安定を目的とした治療が含まれていることもメリットです。
専門家に見てもらうことが一番だと思いお医者様の居る医療リワークを選びました。
こちらの精神状態への配慮や、復帰までのスピード調整等、私生活では考えられないほど慎重かつ丁寧に対応いただきました。おかげで再発することなく職場復帰ができました。
(29歳 男性)
知り合いに医療リワークに詳しい人がいて、病院を紹介してもらいました。会話・言語のリハビリも兼ねて、対人コミュニケーションの練習もできて良かったです。また、費用も保険適用で支払いできました。
(32歳 女性)
医療リワークのデメリット
失業中だと利用できない
どこの医療機関でも実施しているわけではない
医療リワークは、復職意欲のある休職中の方が対象です。そのため、失業中は利用できません。
また、限られた医療機関でしか実施されていないので、もともと通院していた病院や主治医の変更が必要となるケースもあります。
強いてデメリットをあげるとすれば、医療機関なので感染症患者さんが運ばれてくることもあり、病気の感染は心配ではありました。
(29歳 男性)
② 職リハリワーク
各県の地域障害者職業センターが、職場復帰支援の名称で実施しています。
センターの職員が求職者本人と雇用主、主治医をコーディネートして、三者の合意後に職業リハビリテーションを実施します。
リワークの期間は、約12週から16週間です。
職リハリワークは、職場への適用に向けて雇用を支援するために行われるので、治療は目的としていません。
職リハリワークのメリット
基本的に費用は無料(一部有料の施設もあり)
事業者に対しても助言や支援を行う
疾患を持つ方の就労・就活のノウハウが豊富
職リハリワークは、無料で利用できるケースが多いです。ただし、施設によって有料の場合もあるので、事前に確認が必要です。
また、休職者本人だけではなく、事業者に対しても助言や支援を行うので、よりスムーズな復職を目指せる可能性が高いです。
障害や疾患がある方の就労や就職に関するノウハウが豊富なので、具体的なアドバイスが受けられるのもメリットです。
会社の産業医の指定で、リワークセンター(公営)を利用しました。
当時、赴任していた三重から名古屋へ週5日、まずは通うことからリズムづくりを開始。同じような休職している方と簡単なプロジェクトをしたりと実際の復職に向けてのリハビリができました。
専任の相談員の方が会社の人事部や産業医との間に入ってくれたので、復職の判断材料を客観的視点で伝えてもらえて助かりました。
(48歳 男性)
職リハリワークのデメリット
公務員は利用不可
利用までに数ヶ月かかる場合がある
スタッフに専門医がいない場合が多い
職リハリワークは雇用保険を財源とした事業なので、公務員は利用できません。
費用は無料で利用希望者が多いため、実際に利用を開始するまでに数ヶ月間待機しなければならないこともあります。
また、治療を目的としたプログラムではないので、スタッフに専門医などがいないケースが多いです。
沢山の人が利用していたので、待ち時間がでたり、混雑していた事が少し大変でした。
(38歳 男性)
③ 職場リワーク
企業内で実施される復職を支援するプログラムを、職場リワークと呼ぶケースがあります。
復職した後、安定した就労を維持できるかどうかを見極めることが目的です。
職場リワークは、企業や役所の内部に医療機関や専門部署がある場合に、職場復帰訓練制度として行われている例があります。
企業内の組織だけでなく、外部組織の従業員援助プログラムのサービスを利用する場合もあります。
職場リワークのメリット
復職時のギャップが少ない
試し出勤など、復帰への段階的な取り組みが可能
職場リワークは企業の中で実施されるので、社内の人との連絡や連携がとりやすいです。そのため、他の施設よりも、復職時にギャップを感じることが少ない可能性が高いです。
また、職場の雰囲気に慣れるための試し出勤など、正式な復職に備えて段階的な行動ができるという点もメリットです。
うつ病の診断を受け、1年ほど休職した際に職場リワークを経験しました。職場では、3ヶ月以上の休職で職場リワークを利用することになっていました。
簡単な事務作業や、1人で完結する仕事を少しずつ振っていただき、徐々に働く事に慣れていくことができました。
職場の上司も親身になって相談に乗ってくださり、安心して働き続けることができました。
(26歳 女性)
職場リワークのデメリット
導入している企業が少ない
他の社員の目が気になる場合がある
職場リワークを実施している企業が少ないので、一部の企業でしか利用できません。
また、企業内で行われるリワークなので、他の社員など周りの目が気になってしまう方もいるでしょう。焦りや不安から体調不良になる可能性がある点も、デメリットの一つと考えられます。
すぐに職場の人と打ち解けることができませんでした。
休職の理由を聞かれたり、休職中何をしていたかを聞かれたりするので、肩身が狭い思いをすることがありました。
(29歳 女性)
④ 民間系リワーク
企業NPOなど民間団体によって実施されているプログラムです。
失業中であっても、復職への意欲があれば利用可能です。
リワークの期間は、人によっても異なりますが、およそ3ヶ月から6ヶ月程度となるケースが多いです。失業中の場合は1年以上かかるケースもあります。
費用は、福祉制度を利用することで、自己負担額を1割に抑えることが可能です。さらに、前年度の世帯所得に応じて、1ヶ月あたりの負担金額の上限が0円から3万7200円までに設定されています。
民間系リワークのメリット
失業中でも利用可能
独自のプログラムを利用できる施設もある
失業中であっても、復職意欲があれば利用できるということは、大きなメリットです。
農作業など独自のプログラムを実施している施設もあり、働き方の視野を広げられる可能性があります。
病気の発症で仕事をやめる必要があり、フリーな状況でも民間系リワークなら利用可能と知ったため選びました。
最初は何をすればよいのかわからず、職場復帰の不安しかありませんでしたが、「同じような人はたくさんいる」とスタッフの方が優しい言葉をたくさんかけてくれたので、不安はなくなりました。
(26歳 男性)
民間系リワークのデメリット
都市部で展開していることが多い
スタッフに専門医がいない場合が多い
民間系リワークの多くは、都市部で実施されています。そのため、地方にお住まいの方の利用は難しい可能性があります。
また、職リハリワークと同様、スタッフに専門医がいないケースが多いです。
職員の方や、施設の管理者の考え方があまり理解できませんでした。
また生活するお金がほとんど無かったので、通所にあたり交通費がきつかったです。
(41歳 女性)
リワーク施設を選ぶ4つのポイント
費用や期間
専門領域のスタッフがいるかどうか
プログラム対象者はどんな症状の人を想定しているのか
主治医とはどのように連携するのか
リワーク施設を選ぶときは、これらの4つを確認するようにしましょう。
主治医や家族と相談しながら、いくつかの施設を見学してみることをおすすめします。
リワークを受ける施設によって、プログラムの内容や専門領域、スタッフの人柄も異なります。
上記の4ポイントをおさえて、「自分の課題に向き合える」と思える施設を探すことが大切です。
経験者に聞く!リワーク施設を選ぶときに大切なこと
リワークを始める前に、体験ができるならば体験をすることをおすすめします。様々なプログラムがあり、リワークのスタイルも場所によって違うと思うので、よく確かめてから正式に始めるのが良いと思います。
(47歳 男性)
最初は踏み出すのが怖いこともあると思いますが、踏み出しさえすればあとはスタッフさんが支えてくださります。
それぞれの施設でプログラムの特徴があると思いますので、自分に合った施設・クラスを選ぶと、無理なくしっかり復帰できると思います。
(37歳 女性)
どのように主治医と連携を取るのかなど、事前にしっかりと質問した方が良いです。
(32歳 女性)
相談によく乗ってくれるし、いろいろな事例を紹介してくれてよかったのですが、自宅から遠く交通費が負担でした。そのため、家から近い施設がいいと思います。
また、大通りに面していないほうが人の目が気になりません。
(55歳 男性)
▼動画による解説はこちら
※本記事は、チャンネル運営者の許可を得て作成しています。
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