「また膀胱炎…」
「熱もあるし、腰と背中が痛い…」
その症状は腎盂腎炎を発症している可能性が高いです。
受診すべき診療科と検査内容をお医者さんに聞きました。
症状が進行すると腎臓移植や透析が必要になるので、早めの検査がおすすめです。
監修者
経歴
福岡大学病院
西田厚徳病院
平成10年 埼玉医科大学 卒業
平成10年 福岡大学病院 臨床研修
平成12年 福岡大学病院 呼吸器科入局
平成24年 荒牧内科開業
腎盂腎炎は何科の病院に行くべき?
腎盂腎炎かも…。
何科で受診すればいいでしょうか?

泌尿器科・腎臓内科・内科を受診してください。男性でも女性でも同じです。
※妊娠している/妊娠している可能性があり、かかりつけの産婦人科以外の医療機関を受診する場合は、医師にその旨を伝えてください。
腎盂腎炎を「再発」したときは何科?
より専門的な検査が行える泌尿器科・腎臓内科の受診をおすすめします。
腎盂腎炎の再発を繰り返している場合、腎盂腎炎ではない他の病気(腎結石や前立腺腫大など)が潜んでいる可能性もあります。医療機関で検査を受けましょう。
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こんな症状は「腎盂腎炎」の可能性アリ
- 背中や腰が痛む
- 熱が出る
- 排尿時に痛む
- 残尿感がある
- 尿が濁る
- 全身がだるい
- 吐き気がある
- 嘔吐する
以上のような症状に心当たりがある場合、腎盂腎炎を発症している可能性があります。
医療機関での検査をおすすめします。
病院ではどんな検査を受けるの?

「腎盂腎炎」を疑う場合、医療機関では尿検査・血液検査・超音波検査などを行います。
受診の前日は、アルコール摂取は控えてください。
夕食は受診前日の午後8時ごろまでにすませておくとよいでしょう。
検査費用はいくら?
尿検査・血液検査・超音波検査の費用は、保険適用(3割負担)で4,000~6,000円程度が一般的です。
精密検査を行う場合は、さらに5,000円から1万円ほど費用が上乗せになると考えておいてください。
医療機関によって異なるので、事前に確認するとよいでしょう。
腎盂腎炎の治療法は?
「腎盂腎炎」の治療には入院が必要となるケースが多いです。
5〜14日間程度入院し、抗菌薬の点滴・脱水改善の点滴・電解質の点滴などを行いながら治療します。抗菌効果のある飲み薬を使用することもあります。
放置はなぜNG?「腎盂腎炎が悪化すると…」
再発を繰り返すと腎機能の低下をきたし、「慢性腎不全」を発症することがあります。
腎臓機能が低下していくと、やがて腎移植や透析を受けるリスクが上がります。
「慢性腎不全」とは?
「慢性腎不全」とは、数ヵ月から数十年をかけてゆっくりと腎臓の働きが低下していく病気です。
慢性腎不全になると「どんな症状がでるの?」
慢性腎不全は、ゆっくりじわじわと症状が悪化します。初期は自覚症状がないことも多いです。
症状が悪化していくと
- 夜間のトイレ回数が増える
- 目のまわりがむくむ
- 吐き気がでてくる
- 皮膚がかゆくなる
- 疲れやすくなる
- 食欲がない
- 息切れがする
- 筋肉がひきつる
といった諸症状がでてきます。
慢性腎不全を「発症しやすい人」
- 塩分が濃い食事が好きな人
- タバコを吸う習慣のある人
- 肥満気味の人
- 運動不足の人
- 糖尿病を発症している人
- 高血圧の人
慢性腎不全が進行すると、透析または腎移植しか選択肢がなくなってしまいます。
早めの治療開始を心がけましょう。
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2021-07-05
「尿に違和感がある…」
「検査は何科で受けられるの?」
受診すべき診療科と検査内容をお医者さんに聞きました。
検査費用や注意事項もあわせて解説します。
症状が進行すると腎臓移植や透析が必要になるので、早めに検査を受けましょう。
腎臓の検査は何科の病院で受けるの?
腎臓の検査を受けたいのですが、病院は何科ですか?
泌尿器科・腎臓内科・内科のいずれかの医療機関で検査ができます。
受診前に気をつけること
受診の前日は、飲酒は控えてください。
夕食は前日の20時ごろまでに済ませておき、睡眠をしっかりとりましょう。
また、朝一番の尿が必要な場合もあるため事前に医療機関に問いあわせておきましょう。
自宅で尿を採取し、持って行く場合もあります。
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検査内容は?
腎臓の検査って、どんなことをするのでしょうか?
症状にもよりますが、一般的にまずは「尿検査」「血液検査」、必要に応じて「超音波検査」などで検査します。
◆尿検査
尿検査は目視で尿が赤くないか、濁ってないかを確認します。
試験紙などで蛋白尿・尿潜血・尿糖などのチェックをします。
◆血液検査
血液中の尿素窒素や血清クレアチニン(筋肉で作られる老廃物)の値などを検査して、腎機能を調べます。
◆超音波検査
腹部に超音波を当てて検査します。
結石、腫瘍、嚢胞があるかないかなど内部の病変を確認します。
「さらに検査が必要」となった場合は…
さらに詳しく調べる必要がある場合、「CT検査」「腎生検(腎臓の細胞を一部採取する)」「尿の細胞診検査」などで異常な細胞がないかを詳しく調べます。
腎臓病がどこまで進行しているのか、ステージを確認することができます。
泌尿器科的な疾患であればがん・腫瘍・結石などがあるかも調べられます。
検査の費用は?
診察・尿検査・採血の検査で保険適用(3割負担)の場合、3,000円~4,000円程度であることが多いです。
精密検査を行った場合、さらに5,000円から1万円ほど費用が上乗せになる可能性はあります。
検査にかかる時間は?
病状によって変わりますが、尿検査・採血・一般的な診察であれば初診の方で30分程度と考えておいてください。追加の検査があればそれに応じて時間がかかります。
「検査結果」が出るまでの期間は?
尿検査や血液検査は、医療機関により、当日わかるケースもありますし、1週間程度かかるケースもがあります。細胞を調べる検査などは通常1週間程度かかります。
※ただし、医療機関の規模によって、日数は前後します。
「腎臓は、一度悪くなると回復しづらい」放置すると…どうなる?
腎臓病を治療せずに放置すると、顔や足のむくみが生じます。
腎臓機能は一度低下すると、なかなか元に戻すことが難しいため、腎臓の移植や透析を受ける必要があります。
腎臓が悪いとでる症状の例
体がむくむ(特に足首)
おしっこの量が減る/増える
トイレにいく回数が増える
貧血になる
体にかゆみを感じる
腎臓に違和感がある方や健康診断で数値が悪かった方は腎臓の検査をおすすめします。
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※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
厚生労働省e-ヘルスネット CKD/慢性腎臓病
日本腎臓学会 腎臓がわるくなったときの症状
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2022-05-30
「お酒を飲まないのに肝臓の数値が高い…」
肝機能が低下する原因を、栄養士さんに聞いてみました。
数値が高い状態を放置すると、肝炎などの病気を発症するリスクがあります。
食生活での対策も解説しますので、肝機能を改善させたい方は必見です。
お酒飲まないのに肝臓の数値が高い…原因は?
お酒を飲まない人の場合、
肝炎ウイルスに感染している
乱れた食生活を送っている
薬・サプリメントをむやみに服用している
といった原因で肝臓の数値が高くなる場合があります。
お酒を飲まない人でも、食生活が乱れていると肝臓の数値が高くなりやすいです。
特に肥満傾向にある場合は、肝臓に脂肪がたまっている「脂肪肝」も疑われます。
また、薬・サプリメントには肝臓で代謝されるものもあります。
「自己判断で漢方薬の服用を続けている」などの行為は、肝臓を悪くする原因となります。
また、知らないうちに肝炎ウイルスに感染している疑いもあります。
下記の表をチェックしましょう。
肝炎ウイルスの種類
感染のキッカケ
A型肝炎
海外渡航時に生水・生ものを摂取した
B型肝炎
母子感染/性交渉による感染
C型肝炎
ウイルスに汚染された血液・血液製剤の使用/注射器の使い回し等
E型肝炎
豚・イノシシのレバーの生食
「AST/ALTが51以上」は、肝臓の病気の疑いあり
ASTとALTは、30U/L(ユニットパーリットル)以下が基準値で、
31~50 U/L→ 「要注意」
51 U/L以上 → 「脂肪肝の可能性大」
100 U/L以上 → 「肝炎の疑いあり」
と考えられています。
AST・ALTが100を超えてくる場合には中等度の異常があるため、さらに検査をする必要があります。
\再検査は「消化器内科」で相談を/
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肝臓の数値が高くなる「NGな食生活」
普段の食生活で
脂っこい食事が多い
糖質を食べすぎている
満腹まで食べる傾向がある
夜遅くまで活動し、寝る前に食べる習慣がある
ダイエットで「極端な食事制限」をしている
などに当てはまる人は、お酒を飲んでいないのに肝臓の数値が高くなるケースがあります。
NG食生活① 脂っこい食事が多い
魚よりも肉を食べる
揚げ物ばかり食べる
中華料理・洋食を好む
といった人は、肝臓内の中性脂肪が増加するため、数値が高くなりやすいです。
このまま食事内容を改善しないと、脂肪肝の状態が進み、代謝が下がります。
NG食生活② 糖質を食べすぎている
こんな人は「糖質の摂りすぎ」かも
ご飯をよくおかわりする
ご飯・パン・麺などの主食同士を組み合わせて食べることが多い
間食・ジュースが止められない
糖質を摂りすぎると、余分な糖が中性脂肪に変換されます。
この状態が長期にわたると、脂肪肝を発症しやすくなります。
NG食生活③ 満腹まで食べる傾向がある
腹八分を超えて食べる
別腹として何か食べる習慣がある
といった人は、中性脂肪が増えて脂肪肝に発展するため、数値が高くなりやすいです。
そのまま放置していると、非アルコール性肝炎になるだけでなく、肝硬変を発症してしまうリスクもあります。
NG食生活④ 夜遅くまで活動し、寝る前に食べる習慣がある
夕食の時間が遅い人
寝る前に「夜食」を食べる
といった人は、肝臓の数値が高くなりやすいです。
夜は肝臓の代謝能力が低下するため、肝臓の働きに負担をかけてしまいます。
夜遅くに食べる習慣は、メタボリックシンドロームの進行・動脈硬化・糖尿病・高血圧を助長します。
また、夜遅く寝る人は、睡眠不足によって「肝臓の代謝能力」が低下する傾向もあります。
NG食生活⑤ ダイエットで「過度の食事制限」をしている
極端な食事制限をしている
「○○だけダイエット」などで偏食している
といった食習慣がある人は、低栄養の状態に陥りやすいです。
栄養不足により脂肪が肝臓に留まると、中性脂肪が蓄積して「脂肪肝」の発症を招きます。
【脂肪肝を改善】肝臓の数値を下げる生活習慣とは?
肝臓の数値を下げるには、摂取するものを見直したり、生活リズムを整えたりすることが大切です。
まずは、
油っこい食べ物を控える
食物繊維をたくさんとる
自己判断でのサプリメント・薬の服用を控える
朝型の生活を送る
といった点を心がけましょう。
対処法① 油っこい食べ物を控える
揚げ物
炒めもの
肉の脂身
乳製品
などの食べすぎに注意しましょう。
「1日1回までにする」「食べない日を作る」という風に決めるとよいです。
脂っこいものは、中性脂肪の蓄積につながります。
どうしても食べたいときは、量を減らして食べるのもよいでしょう。
対処法② 食物繊維をたくさんとる
野菜
海藻
きのこ類
などの食物繊維を積極的に食べましょう。
野菜は1食で両手1杯程度(生)が理想です。
小鉢・サイドメニュー・トッピングにすると、食事に取り入れやすいでしょう。
特に海藻がおすすめです。
海藻に豊富に含まれている「水溶性食物繊維」は、糖や脂質の吸収をゆるやかにしてくれます。
対処法③ 自己判断でのサプリメント・薬の服用を控える
肝臓の数値が悪いときは、
サプリメント
市販薬(漢方薬など)
などを、自己判断で摂取しないようにしましょう。
サプリメント・薬は、肝臓の負担となることも多いです。
服用の際には、事前に医師・薬剤師に相談するようにしましょう。
対処法④ 朝型の生活を心がける
朝は早く起きる
夜更かしはやめる
毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きる
といった生活を心がけましょう。
規則正しい生活(朝型の生活)は自律神経を安定させるため、肝臓によい影響を与えます。
肝臓の数値が高いときは「消化器内科」へ
AST/ALTの数値が31 IU/L以上のときは、一度消化器内科で診てもらうことをおすすめします。
数値が高い状態で放置していると、「肝炎」や「肝硬変」を引き起こすリスクがあります。
特に、
倦怠感・食欲不振が続いている
肌が黄色くなった
むくみがある
二日酔いがひどくなった
といった場合は、早急の受診をおすすめします。
肝臓からくる体の不調は、症状が悪化しているときに出やすいです。
進行した肝臓病は、健康を大きく損なうリスクがあるため、放置しないようにしましょう。
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▼参考
脂肪肝は内臓脂肪よりも深刻? 筋肉のインスリン抵抗性の原因に
厚生労働省 e-ヘルスネット 飲酒のガイドライン
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。