「雨が降った日は頭が痛い…」
「低気圧のせい?」
気候と頭痛の関係をお医者さんに聞きました。
原因と対処法や病院に行く目安も解説します。
監修者
経歴
福岡大学病院
西田厚徳病院
平成10年 埼玉医科大学 卒業
平成10年 福岡大学病院 臨床研修
平成12年 福岡大学病院 呼吸器科入局
平成24年 荒牧内科開業
「雨の日の頭痛」はなぜ起こる?
雨の日は気圧が変動するため、自律神経の働きが乱れて頭痛を発症することがあります。
自律神経は「暑いと汗をかいて体の熱を下げる」「興奮すると汗を出す・瞳孔が開く」など、自分では調節できない体の機能に関わっています。
自律神経が過剰に働くと、気象の変化に反応して、さまざまな不調を引き起こしやすいです。
「吐き気」や「めまい」が起こることも
低気圧が引き起こす不調には、
- 吐き気、めまい
- 倦怠感(だるさ)、眠気
- 肩こり、腰痛
- うつ症状
などもあります。
雨の日の頭痛は「女性」に起こりやすい
月経により毎月ホルモンバランスの変化がある女性は、自律神経が敏感になることが多く、頭痛を発症しやすくなります。
特に生理前・妊娠中・更年期は、雨の日に頭痛が出やすい傾向があります。
低気圧による不調はこう対策しよう
- 市販薬を使う(ロキソニン、バファリン等)
- コーヒーや緑茶などカフェイン飲料を飲む
- 朝は熱めのシャワーを浴びる
- 生活リズムを整える
といった対策を取りましょう
対策① 市販薬を使う(ロキソニン、バファリン等)
- アスピリン
- イブプロフェン
- ロキソプロフェン
- アセトアミノフェン
などの成分が入った鎮痛剤であれば、使用してもかまいません。
ただし、体調やアレルギーの有無などを薬剤師に相談して使用してください。
対策② コーヒーや緑茶を飲む
コーヒー・緑茶に含まれる「カフェイン」には、血管を収縮させる作用があります。
頭痛が出たばかりのときに飲むと、痛みが軽減しやすいです。
対策③ 朝は熱めのシャワーを浴びる
朝は熱めのシャワーで交感神経を動かし、体を目覚めさせましょう。
特に首の後ろや足首などを熱めの湯で温めてください。
対策④ 生活リズムを整える
毎朝同じ時間に起床し、熱めのシャワーで心と体を目覚めさせましょう。
朝食をしっかり食べて胃腸を動かしてください。
日中は20~30分程度運動し、体を疲労させ、夜はたっぷり寝て体を休ませましょう。
夜更かしと朝寝坊は自律神経のバランスを崩します。
二度寝したり、ダラダラ過ごしていたりすると、自律神経が乱れて不調が長引く原因になります。
これに当てはまるときは病院で相談を
- 頭痛が5日以上続く
- 倦怠感が出る
- 仕事や家事ができない日が3日以上続く
という場合は一度、医療機関に相談しましょう。
上記はあくまでも目安の日数です。頭痛など体調不良があらわれたときは、早めの受診がおすすめです。
自律神経の乱れは、長引くと「うつ病」や「自律神経失調症」を発症させることがあります。
<うつ病>
気分がひどく落ち込んでしまう病気です。
不眠や食欲低下、倦怠感など体の不調も伴いやすいです。
発症すると仕事に行けなくなるケースが多いため、社会生活に支障をきたします。
<自律神経失調症>
自律神経が慢性的に乱れてしまっている状態です。
めまい、倦怠感、不眠、イライラなど体と心の症状が続くため、日常生活を送るのが困難になります。
病院は何科?
雨の日に頭痛が起こる場合は、脳神経内科(近くにない場合は内科)の受診をおすすめします。
お医者さんに聞かれるポイント
- どんな時に頭痛が出るのか
- 頭のどの辺に、頭痛を感じるか
- いつ頃から頭痛を感じるようになったか
- 普段飲んでいる薬
- 吐き気、めまいなど頭痛以外に症状があるか
診察では、上記の点を聞かれることが多いです。
できるだけ詳しく伝えましょう。
病院では、どんな治療をするの?
まずは病気がないかを検査し、病気が見つからなければ、鎮痛剤などで頭痛を抑えます。
漢方薬が症状に合う人もいますので漢方を主体に治療する場合もあります。
吐き気が出ていれば吐き気止め、めまいがあればめまい防止の薬など症状合わせて使用します。
飲み薬に加え、自律神経を整えるために、医師より生活指導を受けましょう。
脳神経内科を探す
内科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
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2022-11-29
最近、不調が続く…。
これって自律神経失調症?
「女性に起こりやすい自律神経失調症の症状」を、お医者さんに聞きました。
セルフチェックリストで、当てはまるものがないか確認しましょう。
症状改善のための、おすすめ習慣も紹介します。
【セルフチェック】女性の自律神経失調症であらわれる症状
▼体の症状
発汗(特に顔や手)
ほてり
動悸・息切れ
頭痛
耳鳴り
手足のしびれ
食欲不振・吐き気
関節痛
便秘
下痢
倦怠感・疲れやすい
睡眠障害
など
▼精神的な症状
イライラしやすい
強い不安感
焦燥感
憂うつ・気分の落ち込み
など
上記の症状に当てはまる場合、自律神経失調症の可能性があります。
ただし、他の病気も考えられるため、自己判断で決めつけるのは危険です。
つらい症状がある場合は、原因を特定するためにも医療機関で診てもらいましょう。
自律神経失調症ってどんな病気?
自律神経失調症とは、「交感神経」と「副交感神経」のバランスが崩れてしまい、心身にさまざまな不調が生じる状態です。
過剰なストレス・疲労・女性ホルモンの乱れ等により、引き起こされると考えられています。
自律神経失調症を発症しやすい人
ストレスや疲労が溜まっている
生活リズムが乱れている
几帳面
完璧主義
感受性が過敏
女性ホルモンが乱れている
など
上記の特徴がある人は、自律神経のバランスが乱れやすいため、発症リスクが上がると考えられています。
また、もともとの体質的に、自律神経失調症の症状があらわれやすい人もいます。
自律神経は女性ホルモンの影響を受けやすい
自律神経系と女性ホルモンは、どちらも脳の「視床下部」という場所が司っています。
指令を出すところが同じなので、互いに影響を受けやすくなります。
女性ホルモンの分泌量が減少すると、脳の視床下部からホルモン分泌量を増加させるように指令が出されます。
こうして視床下部の活動が活性化すると、同じ指令元である自律神経系も一緒に活性化されます。
特に身体活動を高める神経系である「交感神経」が活性化されることで、体に不調が生じやすくなると考えられています。
「更年期」が原因となっているケースも
更年期を迎えると、女性ホルモンの分泌が急激に低下します。
すると、自律神経が乱れやすくなり、自律神経失調症と同じような不調を感じる人もいます。
この症状は、閉経が近づく45~55歳頃の女性に多く見られます。
特に、ほてり・発汗の症状が強く出る場合は、更年期症状の可能性が高くなります。
自律神経失調症は自力で直せる?
自律神経失調症は、症状に応じて専門的な治療が必要なケースがあるため、セルフケアのみで治すことは難しいです。
また、うつ病や甲状腺の病気の可能性も否定できないため、つらい症状があるときは、医療機関を受診しましょう。
こんな症状が続くときは病院へ!
動悸・息切れ
胸が締め付けられるような感覚
脈の乱れ
微熱が続く
夜に眠れない
上記の症状があらわれている場合には、病院の受診をおすすめします。
放置していると、症状が悪化して日常生活に支障をきたす恐れもあります。
また、何らかの病気が隠れていることもあるため、一度病院で医師に相談してみましょう。
こんな病気が隠れていることも
心身症
適応障害
パニック障害
更年期障害
月経前症候群
貧血
バセドウ病
過換気症候群等
上記の病気により、自律神経失調症と似た症状があらわれている可能性もあります。
これらを放置して症状が悪化すると、うつ病等の精神疾患を併発したり、深刻な病気を見逃したりする恐れがあると考えられます。
病院は何科?
受診する診療科は、あらわれている症状に合わせて選ぶことをおすすめします。
以下の表を参考にしてください。
症状
おすすめの診療科
身体面の症状が強く出ている。
内科
精神面の症状が強く出ている。
精神科
身体面・精神面の両方の症状が出ている。
心療内科
特に、ほてり・発汗の症状が強く、年齢が45~55歳頃の人。
婦人科
病院ではどんな治療をするの?
薬物療法
心理療法・精神療法(認知行動療法)
等の治療が行われるケースが多いです。
薬は、症状に応じて、抗不安薬やビタミン剤、漢方薬、ホルモン剤等が使用されます。
快方に向かうまでの期間には個人差があり、1ヶ月程度で改善していく人もいれば、何年も治療を続けているという人もいます。
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症状を和らげたい!おすすめの「5つの習慣」
自律神経失調症の症状を改善するためには、日頃の生活を見直すことも大切です。
普段から以下のことを意識して生活してみましょう。
起床時間と就寝時間を一定にする
6~8時間程度の睡眠時間を確保する
1日3食、主菜・副菜・主食を揃えた食事をとる
週に3~5日程度、有酸素運動を行う
リフレッシュできる時間を作る
① 起床時間と就寝時間を一定にする
まずは、生活リズムを整えることを心がけましょう。
毎日決まった時間に寝て、起きることを習慣にして、夜更かしは控えてください。
規則正しい生活は、自律神経を整えることにつながります。
休みの日も「寝だめ」せず、できるだけ普段と同じ時間に起床するようにしましょう。
食事も毎日決まった時間にとるようにしてください。
② 6~8時間程度の睡眠時間を確保する
睡眠が不足すると、自律神経が乱れやすくなると考えられます。
1日6~8時間を目安に、睡眠時間を確保してください。
「深い眠り」を得るためのポイント
朝起きたらカーテンを開けて、日光を浴びる
昼寝は15時までに30分以内にする
夜は11時(遅くとも12時)までに寝る
夕方以降は「カフェインを含む食品」を控える
夕食は就寝の2~3時間前までに済ませる
飲酒は、就寝の3~4時間前までにする
就寝の2~3時間前に入浴する
就寝前はできるだけパソコン・スマホを触らない
夜は音楽やアロマなどでリラックスする
③ 1日3食、主菜・副菜・主食を揃えた食事をとる
欠食せずに、1日3食、食事をとるようにしてください。
「和定食」をイメージして、主菜・副菜・主食を揃えると、栄養バランスが整いやすくなります。
食生活の改善により、自律神経のバランスが整うと考えられています。
自律神経を整える「おすすめ食品」
ビタミンB6・トリプトファンを多く含む食品は、自律神経を整える作用があると考えられています。
腸内環境を整える作用をもつ乳製品や発酵食品も、自律神経の改善につながるため、おすすめです。
▼ビタミンB6を含む食品
マグロ
カツオ
大豆製品
卵
バナナ
▼トリプトファンを含む食品
大豆製品
乳製品
卵
ナッツ
バナナ
▼腸内環境を整える食品
乳製品
発酵食品(味噌・納豆・キムチ・ヨーグルト)
④ 週に3~5日程度、有酸素運動を行う
週に3~5日を目安に、
ウォーキング
ストレッチ
ヨガ
水泳
サイクリング
等の有酸素運動を習慣にしましょう。
体を動かすことで血流が良くなると、自律神経の乱れの改善につながると考えられます。
また、適度に運動することで心地より疲労感が得られるため、睡眠の質の改善も期待できます。
おすすめ習慣⑤ リフレッシュできる時間を作る
過剰なストレスは交感神経を刺激するため、自律神経の乱れにつながります。
趣味を見つけて没頭する
好きな音楽を楽しむ
ゆっくりお風呂に入る
などで、気分転換できる時間を作りましょう。
また、意識して深呼吸を行うことも有効と考えられています。
特に吐く息は副交感神経の働きを促進するため、リラックスしたいときにおすすめですよ。
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト 自律神経失調症
一般社団法人 日本臨床内科医会 自律神経失調症
オムロン 更年期にはどうして自律神経失調症のような症状が起こるのですか?