「筋肉が落ちてきた…」
「落ちた筋肉を取り戻すには?」
筋肉を取り戻すにはどうすればいいのか、管理栄養士さんに聞いてみました。
おすすめの筋トレ・食事などもご紹介します。
監修者
経歴
株式会社Luce代表/健康検定協会理事長、山野美容芸術短期大学講師、服部栄養専門学校特別講師、日本臨床栄養協会評議員、ダイエット指導士、ヨガ講師、サプリメント・ビタミンアドバイザーなど栄養・美容学の分野で活動をおこなっている。
落ちた筋肉を取り戻したい!
筋肉をつけるために最初にやるとよいのは、
- 立ったまま靴下をはく
- なるべく階段を使うようにする
- 椅子に座ったときは「両足をくっつけて」座る
など、日常生活の中で少しずつ筋肉に負荷をかけることです。
「少しキツイ」と感じる動きで負荷をかけると、日常動作も筋トレになります。
逆に楽な動きばかりしていると、どんどん筋肉は衰えていきます。
落ちた筋肉はすぐには戻りません。
“継続”して徐々に取り戻していきましょう。
筋肉を取り戻す「筋トレの方法」
生活で体を動かす習慣がついてきたら、次はしっかりと筋トレしてみましょう。
筋トレによるケガ防止のために、STEP①~STEP③の順で取り組んでみてください。
STEP① 筋トレ前は「ストレッチ」しよう
使っていなかった筋肉をストレッチでほぐすと、スムーズに動くようになるため、ケガ防止につながります。
STEP② まずは「軽めの筋トレ」から
日常の動きにプラスして
などの軽い筋トレを行いましょう。
急に負荷をかけすぎないよう、軽く負荷のかかる動きからはじめ、徐々に強度を高めていきます。
日常の動きよりも筋肉に負荷をかけることで、筋肉がつきやすくなります。
「椅子スクワット」のやり方
- 肩幅くらい足を広げ、椅子の前に立つ
- ゆっくり膝とを曲げ、椅子に座る
- 椅子から立ち上がる
※これを5〜10回ほど繰り返す
「もも上げ運動」のやり方
- 腰に手を当て、背筋を伸ばして立つ
- 一定のリズムで片方ずつ太ももを持ち上げ、同時に腕もしっかり振る
※30回ほど繰り返す。
STEP③ 慣れてきたら、負荷を上げてみよう
余裕が出てきたら、
など、強度の高い筋トレも取り入れていきましょう。
筋肉に多く負荷をかけることで、筋肉はより丈夫になろうとするため筋肉が太くなっていきます。
「スクワット」のやり方
- 足を肩幅ぐらいに広げる
- 背中を伸ばしてゆっくりと腰を落とす(かかとに体重をかける)
- 太ももが床と並行になるまで下げて、戻す
※膝はつま先より前に出さないようにしてください。
※腰に力を入れないようにしましょう。
1セットあたり20〜30回程度続けましょう。
「プランク」のやり方
- うつ伏せの状態になる
- つま先と肘を肩幅程度に開き、床につけて体を支える
- ②の状態で30秒〜1分程度保つ
※体は一直線な状態を意識して、腰やお腹を下げすぎないようにしましょう。
プランクは1セット3回程度行いましょう。
筋肉を増えやすくする「食事」
食事の中で「たんぱく質」を多く含むもの(肉・魚・卵・大豆製品)を意識して摂るようにしましょう。
目安は体重1㎏あたりたんぱく質1~1.2gです。
(※)しっかり運動している場合は、これよりも多いたんぱく質が必要となります。
たんぱく質は“筋肉を作る材料”です。
筋トレで負荷をかけても材料がなければ、筋肉を作ることはできません。
筋肉を取り戻すために…まず1週間続けてみよう
筋肉を取り戻すために、まずは1週間を目標に続けてみましょう。
この期間で体が動かしやすくなり、習慣化されていくでしょう。
筋肉がついたと実感するまでにはもっとかかりますが、まずは習慣化させることが大切です。
「筋肉がついた」と実感できるのはいつ頃?
個人差がありますが、約3ヶ月間続けていると実感してくる人が多いでしょう。
特に下半身の筋肉は筋トレによる変化を実感しやすい部分です。
「継続できないかも…」そんな人へ!
いきなり負荷の大きい筋トレなどを行わず、簡単にできる動きからはじめ、徐々に強度を上げていくと、少しずつ変化を感じて続けるモチベーションにつながります。
また、筋肉をつけることよりも、まずはトレーニングを継続させることを目標にすると、継続しやすくなります。
合わせて読みたい
2022-09-28
「運動を始めても、すぐ疲れちゃう…」
「体力をつける体力がない…」
すぐに疲れやすい人がどうすれば体力をつけられるのか、専門家に聞いてみました。
運動習慣がない人でも行える負荷の少ないトレーニングも紹介するので、体力をつけたい人は必読です。
体力をつける体力がない…どうすればいい?
体力をつける体力がありません…。すぐ疲れてしまうのですが、どうすればいいでしょう。
まずは簡単な有酸素運動と、簡単な筋力トレーニングから始めましょう。
無理のない範囲でトレーニングを始めて、少しずつ負荷をかけていくようにしてください。
トレーニングを継続していれば、体力もついていきます。
なんでこんなに疲れやすいの?
すぐに疲れてしまうのは、筋肉が落ちているからです。
もしくは、食事量が足りていないケースも考えられます。
筋肉にはエネルギーが蓄えられています。そのため、筋肉が落ちてしまうと、少し動いただけでエネルギー不足に陥ります。
また、食事量が少ない場合も、エネルギーが不足して疲れやすくなります。
要注意!こんな人は体力が落ちやすい
普段デスクワークで働いている
運動習慣がない
体を動かすことが苦手
食生活が乱れている
睡眠不足
高齢者
産後半年以内の産婦さん
肥満傾向
日頃から体を動かす機会が少ないと、筋肉量が減りやすいです。
さらに、年齢を重ねると自然と筋肉が落ちるので、体力も衰えていきます。
また、睡眠不足だと体を十分に休められないので、体力の低下を招きます。運動や食事も大切ですが、まずは体をしっかり休めるようにしましょう。
無理せず体力をつけよう!
体力に自信のない人は、
栄養バランスのよい食事
負荷の軽い運動
規則正しい睡眠
上記の3つを心がけて、効率よく体力作りをしていきましょう。
栄養バランスのよい食事
食事は主食・主菜・副菜を揃えて、3食しっかり食べましょう。
特に、肉・魚・大豆製品・卵・乳製品をとると、筋肉に必要なタンパク質を補給できます。
体力をつけるためには、5大栄養素(糖質、脂質、タンパク質。ビタミン、ミネラル)をバランスよくとることが重要です。
献立のポイント
朝はタンパク質が不足しやすいため、「卵」や「ヨーグルト」を積極的にとりましょう。
夜は消化・吸収能力が落ちるので、「脂っこい・ハイカロリー」な食事は避けてください。
サプリで栄養補給するのはアリ?
サプリメントを利用する場合は、あくまで補助的なものと考えるようにしましょう。サプリメントは過剰摂取によって体に支障が出やすいため、基本的には食事から栄養をとるようにしてください。
負荷のかからない運動から始めよう
ラジオ体操
ストレッチ
ながら運動
ドローイン(※)
スクワット
体力がない人は、上記の5つから始めるのがおすすめです。
家の中でもできる運動ばかりなので、取り入れやすいですよ。
ラジオ体操やストレッチなど、軽く体を動かすことから始めていきましょう。
テレビを見たり、歯磨きしたりしているときに、「ながら運動」をするのもおすすめです。
体力がついてきたら、筋トレなどの負荷がかかる運動を取り入れていきます。
(※)ドローイン…お腹をへこませたり膨らませたりして、体幹を鍛えるトレーニング
家の中でできる運動① ラジオ体操
ラジオ体操を、なるべく大きな動作で行いましょう。
大きく息を吸うように意識して行うとよいです。
ラジオ体操は体全体を動かすことができるので、血行がよくなり、筋肉の合成を促します。
家の中でできる運動② ストレッチ
ふくらはぎのストレッチ
椅子に浅く腰かける
片方の足を床に伸ばす
(もう片方の足は曲げたまま)
腰が曲がらないように注意しながら、上半身を前屈みに倒す
もう片方の足も同じように、片足20~30秒ずつ行う
夜寝る前やお風呂上がりなどに、上記のストレッチをしましょう。
ストレッチ中は、息を止めないように、吐く息を意識して行います。
普段使わない筋肉を伸ばして、血流を促すように行いましょう。
家の中でできる運動メニュー③ ながら運動
歯磨き中に太ももを大きく上げて戻す
テレビを見ながら、立つ・座る動作をゆっくり行う
などを実践してみましょう。
筋肉を意識して動かすと、体力がつきやすくなりますよ。
特に回数や頻度は定めず、できるときに行うだけでかまいません。
なるべく習慣化させることが大切です。
家の中でできる運動メニュー④ ドローイン
細い息で口からしっかり息を吐きだしながら、お腹をへこませる
息を吐ききったら、鼻からゆっくり息を吸い込み、お腹を膨らませる
限界まで行い、これを10回繰り返す
※お腹の筋肉を使って行い、腰や体が反らないようにする
上記を1日10回、5セットを目安に行いましょう。
体の軸となる体幹を鍛えることができるため、ふらつきなどを防ぎ、筋肉がつきやすくなります。
家の中でできる運動メニュー⑤ スクワット
足を肩幅に開く
(つま先は膝と同じ方向にする)
胸の前で軽く手を組む
太ももと膝が平行になる程度にお尻を下げる
下げたら今度はゆっくり元にもどす
上記のスクワットを、1日に10~20回、3セットから始めましょう。
慣れてきたら、少しずつ回数を増やしていきます。
太ももの大きな筋肉を鍛えることで、代謝アップにつながります。
なお、スクワットをするときは、「前屈みにならない」「腰に力を入れない」「息を止めない」の3つに注意してください。
睡眠時間は不規則にならないように
睡眠中は、疲労回復や筋肉を作る働きのある成長ホルモンが分泌されます。
規則正しい生活をすることで十分な成長ホルモンが分泌されるようになります。
毎日の起床時間と就寝時間は大きく変えないようにして、十分な睡眠を確保しましょう。
まずは2~3週間続けよう
運動や筋トレの効果を実感するためにも、ここまでに解説したことを、まずは2〜3週間継続してみましょう。
「自信がない」「なかなか続かない」という人は、専門家の指導を受けるのもおすすめです。
専門家の指導を受けると、正しいフォームで効率よく運動をすることができます。また、トレーニングを支えてくれる人がいることで、継続して運動しやすくなります。
合わせて読みたい
2022-02-17
「ランニングしているのにお腹が痩せない…」
「走り方がいけない?」
走ってもお腹が痩せない理由を、栄養士さんに聞いてみました。
ランニングフォームなど、お腹のお肉を落としやすくする走り方も解説します。
ランニングで「お腹が痩せない」5つの理由
走るペースが速すぎる
ランニング時間が短い
ランニングを始めたばかりである
摂取エネルギー量の方が多い
ランニング時の姿勢が正しくない
理由1. 走るペースが速すぎる
速すぎるランニングは、脂肪が燃焼されにくくなります。
脂肪燃焼には、楽〜ややきつい程度のスピードがおすすめです。
目安としては、最大心拍数の40〜60%の強度です。
それよりも速く走ってしまうと、脂肪より糖質がエネルギー源として使われる可能性が高くなり、脂肪燃焼の効果が期待できなくなります。
「最大心拍数」の算出方法・心拍数の計り方
最大心拍数は、「220-年齢」で算出することができます。
心拍数は、心拍数と脈拍数はほとんど同じで、以下の方法で測ることができます。
利き手の人差し指・中指・薬指の3本の指で、利き手でない側の手首の内側にある動脈(親指側で拍動が触れるところ)を10 秒間計る
その数値を6 倍する(1分間の脈拍数となる)
理由2. ランニング時間が短い
ランニング時間が短すぎると脂肪燃焼効果はあまり期待できません。
少なくとも20分間以上行うようにしましょう。
ランニングは、開始~10分は「糖質」を燃焼します。
10分継続後から徐々に「脂肪」が燃焼され、効果的に脂肪燃焼が行われるのは20分後といわれています。
理由3. ランニングを始めたばかりである
ランニングは即効性のあるダイエット方法ではありません。
コツコツ続けることが大切になります。
日々の食生活や運動不足などで蓄積した脂肪は、簡単には落とせません。
始めたばかりでは、エネルギー消費量も少なく実感するのは難しいです。
まずは1ヶ月続けてみよう
体重1kg落とすには、7200kcal消費する必要があります。
つまり、今よりも1日に240klcal多く消費できれば、30日で1kg痩せることができます
消費エネルギーをさらに増やせば、より早くお腹の変化を実感できるでしょう。
理由4. 摂取エネルギー量の方が多い
運動で消費するエネルギー量は、想像しているよりも少ないです。
ランニングを言い訳に食べ過ぎていないか注意しましょう。
食べる量が多ければ、ランニングをしてもお腹周りの脂肪は落とせません。
例えば、50kgの人が30分ランニング(6.4km/時)をした場合の消費エネルギー量は150kcalで、ごはんお茶碗一杯分よりも少ないエネルギー量です。
「睡眠時間を削って走る」のは逆効果!
睡眠時間が短いと、食欲が沸くホルモンが多く分泌され、過食の原因になります。
ランニングで減量を試みる場合は、しっかりと睡眠時間を確保しましょう。
理由5. ランニング時の姿勢が正しくない
姿勢が正しくないと、
脂肪の燃焼が効率的に行われない
疲れやすく長時間走れない
などの原因で、痩せにくくなります
また、膝や腰に過剰な負担がかかり、痛めてしまうリスクもあるので注意が必要です。
パーソナルトレーナーに「正しい走り方」を教えてもらうなどもおすすめです。
ランニングを「毎日すると痩せにくくなるって本当?」
マラソンランナーのように強度の高いランニングを毎日行なっていると、筋肉が落ちて基礎代謝が下がり痩せにくくなることがあります。
また、体が十分に回復しないまま走ることでフォームが崩れ、効率よく脂肪燃焼が行われなくなる可能性もあります。
ランニングは毎日行っても構いませんが、負荷をかけすぎないように注意しましょう。
“お腹痩せ”したい人のランニングの4大原則
お腹痩せしたい人は、
姿勢
足の上げ方・踏み出し方
腕の振り方
力み過ぎないようにする
の4点を意識してランニングしましょう。
チェックポイント① 姿勢
猫背にならないように背筋を伸ばす
肩の力は抜く
重心を高い位置に置く
お腹は少し引っ込める
軽く前傾姿勢になるようにする
目線はしっかりと正面を向き、下げない
正しい姿勢で走ることで、効率よく筋肉を使って脂肪を燃焼しやすくします。
また、体への負担も軽減できます。
チェックポイント② 足の上げ方・踏み出し方
自然と上がる程度で、無理に上げる必要はない
力を抜いて軽く踏み出す
骨盤を前に倒す姿勢で走り出す
骨盤を前傾させると、足が自然に前に出るようなイメージで走ることができ、膝への負担も少なく走りやすくなります。
チェックポイント③ 腕の振り方
ひじを引き上げるようなイメージで振る
腕の力を抜いて小刻みに振る
腕と足は連動しているため、腕の振り方がよいと走りやすくなります。
チェックポイント④ 力み過ぎないようにする
力みすぎるとすぐに疲れてしまいます。
周りの景色を見たり、音楽を聴いて、走っている間リラックスができるようにしてみてください。
正しい姿勢で走るのは大切なことですが、意識しすぎず、なるべく自然な状態を保ちましょう。
ランニングの効果がでるまで…どれくらいかかる?
脂肪は内臓脂肪から燃焼されるため、内臓型肥満の方は比較的早い段階で変化を実感できるでしょう。
ただし、生活習慣、食事内容、走る時間や速さなど、人によって条件が異なるため個人差が大きいです。
1〜2日で実感できるものではないため、焦らずに継続してみましょう。
もっと効率的に!プランク+ランニング+ストレッチがおすすめ
ランニング前…プランク
ランニング後…ストレッチ
を行い、ランニングをより効率的にしましょう。
ランニング前にプランクしよう
プランクは、以下の手順で行いましょう。
伏せをして、肘を90℃に曲げて地面につく
足を伸ばし、つま先を立てる
お尻を上げてその状態を1分キープする
プランクは、腹筋が鍛えられるだけなく、正しい姿勢でランニングを行うのに必要な体幹を鍛えることもできます。
また、走る前に行うことで体が温まり、脂肪燃焼の準備が整います。
プランクが大変な場合には、代わりに腹筋20回を行っても構いません。
ランニング後にストレッチをしよう
以下の手順で行いましょう。
※1か所につき20秒は伸ばすようにしましょう。
① 二の腕のストレッチ
肘を頭の横で抱えるようにして、二の腕を伸ばす。
② 背中のストレッチ
背中の後ろで手を組み、手のひらを後ろに向けて伸ばす。
③ お腹のストレッチ
うつ伏せになり、肘を床について天井をみるように反る。
④ 足のストレッチ
床に座り、片足は伸ばし、片足は曲げた状態で上半身を前倒す。
(足を変えて反対も伸ばしましょう)
⑤ アキレス腱ストレッチ
足を前後に開き、前に体重をかける。足を変えて反対も伸ばす。
直接腹筋に関わるわけではありませんが、ランニング後のストレッチは、疲労回復や筋肉痛の軽減につながります。
体のコンディションが良くなると、翌日以降のランニングも正しいフォームで行えるようになり、脂肪燃焼が促進されやすくなります。ぜひ、取り組んでみてください。
▼参考
厚生労働省 肥満症・メタボリックシンドローム の人を対象にした運動プログラム
厚生労働省 運動基準・運動指針の改定に関する検討会 報告書
公益財団法人長寿科学振興財団 心拍数と運動強度