「真黄色の鼻水が出るのはなぜ…?」
「今すぐ対処する方法を教えて!」
この記事では、なぜ真黄色の鼻水が出るのか、考えられる原因をお医者さんに伺いました。
対処法や病院に行くべき症状も解説します。
監修者
経歴
大正時代祖父の代から続く耳鼻咽喉科専門医。クリニックでの診療のほか、京都大学医学部はじめ多くの大学での講義を担当。マスコミ、テレビ出演多数。
平成12年瀬尾クリニック開設し、院長、理事長。
京都大学医学部講師、兵庫医科大学講師、大阪歯科大学講師を兼任。京都大学医学部大学院修了。
鼻水が真黄色!大丈夫?
1週間程度は様子をみてもよいでしょう。
ただし、発熱や他の症状が出ている場合は、早めに病院を受診してください。
真黄色の鼻水は、細菌やウイルスが体のなかに入り、それらと戦った白血球の死骸が、鼻水に混じっている状態です。
よくある2つの原因と対処法
真黄色の鼻水は
- 風邪(急性副鼻腔炎)
- 慢性副鼻腔炎
などが原因となっているケースが多いです。
それぞれ詳しく解説していきますので、心当たりがある方は、病院で相談しましょう。
原因① 風邪(急性副鼻腔炎)
風邪が治っていく過程で、鼻水が黄色から黄緑色の粘っこいものに変化していきます。
鼻の粘膜上皮やウイルスとたたかった白血球の死骸や免疫細胞によって、鼻水の色が黄色くなります。
年齢や性別問わず、この症状は起こります。
主な症状
<鼻に出る症状>
- 鼻がつまる
- 鼻を押すと痛い
- においを感じない
- くしゃみが出る
<頭部に出る症状>
- 顔が痛い
- 口臭がする
- 歯が痛い
- おでこが痛い
- 目の奥や両目の間が痛い
- 涙目になる
- 咳、痰が出る
< 全身の症状>
対処法
蒸気を吸う、濡らしたホットタオルを鼻の上にあてる、熱い飲みものを飲むなどをしてください。
粘膜の腫れが和らぐため、分泌物がスムーズに出てくることがあります。
風邪を引いたら、しっかりと休養をとりましょう。栄養バランスの良い食事を心がけ、体を冷やさないようにしてください。
また、濃度0.9%の食塩水の鼻洗浄も、症状の緩和につながります。
鼻水はすすらず、やさしくかんで出しましょう。
<鼻洗浄の方法>
- 濃度0.9%の食塩水(水200mLに食塩1.8g)を作る
- 片方の鼻で食塩水を吸い込む
- その鼻で食塩水を出す
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2023-01-30
副鼻腔炎とは、どのような病気なのかを分かりやすくまとめました。
副鼻腔炎の主な症状も紹介するので、「副鼻腔炎かも…」と思う人は心当たりがないかチェックしましょう。
副鼻腔炎とは
副鼻腔炎とは、副鼻腔(鼻の奥にある空洞)や鼻の粘膜に、細菌やウイルスが侵入し、炎症が起こる病気です。
副鼻腔に膿が溜まったり、腫瘍が発生したりすることで、目の下の骨に痛みが生じることがあります。
副鼻腔炎の症状
鼻がつまる
黄色や緑色の鼻水(膿性鼻水)が出る
発熱する
痰がからむ咳が出る
ほほ、おでこに痛みが出る
頭が痛い
目が痛い
歯が痛い
副鼻腔炎の原因
副鼻腔炎にかかる原因としては、下記が挙げられます。
風邪
ハウスダスト
花粉
カビ
風邪以外の原因に関しては、それらが鼻から入って副鼻腔にまで侵入し、炎症を起こして鼻水が臭うこともあります。
副鼻腔炎になりやすい人
副鼻腔炎は、誰にでも発症する可能性のある病気ですが、次のような人は特に注意が必要です。
75歳以上の高齢者
糖尿病、慢性肺疾患、慢性腎疾患などにかかっている方
ウイルスや細菌感染による鼻症状を繰り返している方
過去一ヵ月に抗菌薬を使用した方
肥満傾向の方
喫煙習慣のある方
ぜんそくや気管支炎のある方
副鼻腔炎に使える市販薬は?
市販の鼻炎薬を使用することで、回復することもあります。
市販薬の例
アレルギー性副鼻炎の場合…
ナシビンメディ:佐藤製薬
アルガード鼻炎クールスプレーa:ロート製薬
風邪による副鼻炎の場合…
パブロン鼻炎アタックJL:大正製薬
アレルギーによる場合には、副鼻腔炎だけでなく鼻閉(鼻づまり)も併発している可能性があるため、点鼻薬がおすすめです。
また、最近では漢方薬による副鼻腔炎の治療薬も出始めています。
蓄膿症の漢方薬としても用いられている辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)がおすすめです。
こんな症状は早く病院へ
副鼻腔炎が悪化している場合、自然に治りにくいです。症状が2週間以上続いているときは、早めに受診しましょう。
副鼻腔炎が悪化すると、症状の慢性化や中耳炎を発症するリスクがあります。
中耳炎は聴力に悪影響を及ぼす恐れがあるため、注意したいものです。
さらに、重症化して髄膜炎(※)を引き起こすケースも稀にあります。放置しないようにしましょう。
※「髄膜炎」…頭蓋骨と脳の間にある「髄膜」という膜に、細菌・ウイルスなどが感染し、炎症を起こす病気。頭痛や嘔吐、錯乱などの症状が現われ、最悪の場合命に関わることもある。
病院は何科?
副鼻腔炎の症状は、耳鼻いんこう科で相談しましょう。
耳鼻いんこう科を探す
副鼻腔炎の治療法
薬の処方、点鼻噴霧ステロイド、鼻洗浄を行います。
処方するお薬には、鼻の中の環境を整える「抗菌薬」、痰を出しやすくする「去痰薬」などがあります。
症状によっても異なりますが、2〜3ヶ月程度で治るケースが多いです。
なお、薬物療法で改善が見られない場合には、内視鏡での手術も検討されます。
原因② 慢性副鼻腔炎
副鼻腔の炎症が慢性化し、炎症を抑えるためにたたかった白血球の死骸や免疫細胞によって、鼻水の色が黄色くなります。
慢性副鼻腔炎を起こす要因としては、慢性のアレルギーや鼻茸、空気中の汚染物質やたばこの煙などの刺激物などが関係しています。遺伝的要因もあります。
主な症状
※風邪(急性副鼻腔炎)と似たような症状があらわれます。
<鼻に出る症状>
- 鼻がつまる
- 鼻を押すと痛い
- においを感じない
- くしゃみが出る
<頭部に出る症状>
- 顔が痛い
- 口臭がする
- 歯が痛い
- おでこが痛い
- 目の奥や両目の間が痛い
- 涙目になる
- 頭が痛い
- 頭が重い
<全身の症状>
対処法
粘膜の腫れを和らげるため、蒸気を吸う、濡らしたホットタオルを鼻の上にあてる、あつい飲みものを飲むなどしてください。
分泌物がスムーズに出てくることがあります。
また、濃度0.9%の食塩水による鼻洗浄も、症状の緩和につながります。
鼻水はすすらず、やさしくかんで出しましょう。
<鼻洗浄の方法>
- 濃度0.9%の食塩水(水200mLに食塩1.8g)を作る
- 片方の鼻で食塩水を吸い込む
- その鼻で食塩水を出す
適切に治療を行わないと慢性副鼻腔炎が悪化し、慢性気管支炎や喘息、中耳炎などのほかの病気を引き起こすこともありますので、早めに医療機関を受診しましょう。
病院に行く目安
市販薬を服用しても真黄色の鼻水が改善されず、1週間以上も続く場合は、薬の使用を中止して病院に行きましょう。
また、黄色い鼻水が90日以上続く場合には、「慢性副鼻腔炎」の可能性があるので、この場合も病院を受診しましょう。
早期受診をすすめる理由
鼻水が慢性化すると、慢性気管支炎や喘息、中耳炎などのほかの病気を引き起こすことがあります。
早期に病院で検査を受け、鼻水の原因を突き止めることで、適切な治療が可能になります。
受診するのは何科?
耳鼻いんこう科を受診しましょう。
耳鼻いんこう科を探す
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2021-08-31
「薬を飲んでいるのに鼻水が出るのはなぜ?」
「サラサラとした鼻水が止まらないけど大丈夫?」
この症状の原因を医師が解説します。
対処法や病院に行く目安もチェックしましょう。
なぜ?薬を飲んでも鼻水が止まらない…
原因となる症状に、薬が合っていないと考えられます。
例えば…
サラサラの鼻水はアレルギー症状(花粉症など)だけでなく、風邪などの感染症の初期にも見られる症状です。
感染症の鼻水場合、花粉症の薬を飲んでも良くならないことが多いです。
こんな症状は感染症の疑いアリ
倦怠感、体のだるさ
発熱
喉の痛み
咳
鼻詰まり
また、症状に合った薬を使っていても、薬の成分によって効果の出やすさに個人差があります。
どう対処すればいい?
薬を飲んでも鼻水が止まらないときは
薬の種類を変える
加湿する
体を温める
「鼻うがいキット」や「鼻吸い機」を使う
などの対処を行いましょう。
その① 薬の種類を変える
薬の働きが感じられない場合は医師に相談し、必要であれば別の薬に変えてもらいましょう。
市販薬の場合は、薬局で薬剤師に相談の上、薬の種類を変えてみてください。
<アレルギー性鼻炎におすすめの市販薬>
アレグラ(久光製薬)
クラリチン(大正製薬)
「フェキソフェナジン塩酸塩」「エピナスチン塩酸塩」「ケトチフェンフマル酸塩」「ロラタジン」「エバスチン」が含まれている薬をおすすめします。
眠気が起こりにくいため、仕事中にも使用しやすいです。
<花粉症の鼻水におすすめの市販薬>
パブロン(大正製薬)
エスタックイブNT(エスエス製薬)
上記の薬に含まれる「クロルフェニラミンマレイン酸塩」という成分は、アレルギー性の鼻水に強く働きます。
自己判断で薬の量を増やすのは危険!
自己判断で薬を多く服用したり、複数の薬を併用したりするのは、危険ですので絶対にやめましょう。
過剰に服用すると血中の薬の濃度が上がって、体調不良を起こす恐れがあります。
薬の働きが感じられないときは、医師や薬剤師の指示に従いましょう。
その② 加湿する
空気が乾燥していると、鼻腔が刺激されて鼻水がたくさん出ます。
加湿して湿度を上げると、鼻水の量が減ると言われています。
加湿器を使用したり、濡れた衣類を部屋に干したりすると、部屋の湿度が保たれます。
鼻腔内の湿度を上げるには、入浴もおすすめです。
その③ 体を温める
入浴や厚着で体が温めましょう。
血行が促進されると鼻水が少なくなります。
また、ホットタオルで顔を温めて、鼻周りの血流を良くするのも良いでしょう。
その④ 「鼻うがいキット」や「鼻吸い機」を使う
鼻うがいでアレルギー物質を洗い流すと、鼻水を減らせます。
また、鼻吸い機を使用すると、余分な鼻水を奥から吸い取ることができます。
鼻うがい・鼻水の吸引は耳鼻いんこう科でも行っています。
症状が続いているときは、一度受診してみるのもおすすめです。
こんなときは病院へ
市販薬を1週間以上使用しても鼻水が止まらない
*ただし、薬の添付文書に「◯回服用しても改善がない場合は医療機関に相談すること」と記載ある場合はその指示に従う。
鼻水の症状が変わらない
鼻水の量が増えて悪化している
といった場合は、医療機関を受診しましょう。
花粉症は早期受診で症状悪化を食い止めることができます。
風邪やウイルス感染による症状も、初期段階で医師の診察を受ければ早めに治すことが可能です。
病院は何科?
薬を飲んでも鼻水が止まらないときは、耳鼻いんこう科を受診して相談しましょう。
耳鼻いんこう科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
Hisamitsu アレグラFX
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2021-07-21
「鼻の中がズキズキ痛む…」
「かさぶたもできた…」
繰り返す鼻の中の痛みの原因を、医師にうかがいました。
病院を受診する目安や治療法をご紹介します。
鼻の中が痛くてかさぶたも…それはドライノーズかも
なんだか鼻の中が痛いし、かさぶたもできているようで不快です…。
空気の乾燥などにより鼻の粘膜が乾いて、皮がむけたりかさぶたができると、鼻の中が痛みます。
この状態を「ドライノーズ(乾燥性鼻炎)」といいます。
市販薬でよくなる?セルフケア方法を教えて!
症状が出始めたばかりで痛みが軽い場合は、市販薬などでセルフケアで改善できるケースもあります。
まずは、マスクや加湿器を使用して、鼻の中の乾燥を防ぎましょう。
ドライノーズスプレーや、保湿できる医療用洗浄器(鼻洗浄ができる機械)などを使用しましょう。
病院に行く目安
症状が軽く、一時的なものであれば、一旦様子を見ても大丈夫です。
ただし…
セルフケアを行っても症状に改善が見られない
日常生活に支障をきたしている(鼻の不快感によって仕事に集中できない、においがわからなくて食事が進まない、など)
という場合は早め医療機関を受診しましょう。
放置は危険!嗅覚が失われる可能性も
ドライノーズを放置すると、副鼻腔(鼻の奥にある空洞)の粘膜が次第に萎縮していきます。
これにより、炎症が起こりやすくなったり、嗅覚が失われるリスクがあります。
早めに医療機関を受診して適切な治療を受けると、症状の悪化を防ぎやすくなります。
症状が重くなると、手術が必要になることもあるので、放置せず医療機関を受診しましょう。
病院は何科?
鼻の中が痛み、かさぶたができているときは、耳鼻いんこう科を受診しましょう。
耳鼻いんこう科を探す
「萎縮性鼻炎」という病気のリスクも
ドライノーズの症状を引き起こすのは、「萎縮性鼻炎」といった病気が考えられます。
慢性鼻炎の一種で、鼻の粘膜が薄く硬くなり、鼻腔が異常に広がり、鼻の中が乾燥する病気です。
「萎縮性鼻炎」になると、粘液をのどの奥へ運ぶ役割がある「線毛」という細胞が失われてしまいます。この線毛が失われることよって鼻の内部の潤いがなくなると、ドライノーズの症状を引き起こします。
「萎縮性鼻炎」の症状
鼻の中が乾燥する
鼻の粘膜が薄く硬くなる
鼻の中にかさぶたができる
鼻の奥が痛い
鼻づまり感がある
多量の鼻くそが出る
鼻血を繰り返す
鼻の中が臭い
「萎縮性鼻炎」の原因
慢性的に、鼻粘膜が細菌感染によって炎症をおこしている
副鼻腔の手術の影響
免疫系の病気
などが考えられますが、原因は今のところはっきりとわかっていません。
免疫系の病気の場合、「多発血管炎性肉芽腫症(ウェゲナー肉芽腫症)※」という難病が挙げられます。
また、高齢者に発症しやすい傾向があります。
※多発血管炎性肉芽腫症(ウェゲナー肉芽腫症)とは
血管に異常な自己免疫反応が起こり、攻撃してしまう病気です。
鼻・目・耳・喉・肺・腎臓など、全身の血管に炎症が起こります。
自分でできる対処法は?
残念ながら、「萎縮性鼻炎」はご自身でできる対処法はありません。治療が必要な病気です。
自己判断で対処しようとせず、耳鼻いんこう科を受診しましょう。
悪化すると嗅覚を失うこともあるため、早めの治療をおすすめします。
病院で受ける治療法
治療では、お薬を使用するケースが多いです。
鼻の中のかさぶたを減らし、悪臭もなくせるよう感染を抑える治療を行います。
軟膏(ムピロシンやバシトラシン)や抗菌薬を鼻の内側に塗り、殺菌します。
さらに、エストロゲンの鼻噴霧や飲み薬、ビタミンAやビタミンDの服用で、粘液分泌を促します。
なお、症状によっては手術を検討することもあります。
どれぐらいで治る?
「萎縮性鼻炎」は、完治させることが難しい病気です。
治療しながら、今後も付き合っていく病気だと考えてください。
耳鼻いんこう科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
MSDマニュアル家庭版 鼻