身近な人に、統合失調症っぽい人がいる…。
話し方や会話内容で分かる?
統合失調症の人の話し方の特徴を、お医者さんに聞いてみました。
家庭や職場における会話の例や、接し方のポイントも紹介します。
監修者
経歴
佐賀大学医学部を卒業後、病院・美容クリニックでの勤務経験を経て、2020年にファイヤークリニック開業。
美容医学、遺伝子学、栄養学、精神医学など肥満治療に関わる多方面から痩身医学研究と実践をする。
精神科医としても臨床に当たっており、西洋医学から東洋医学に渡って世界中から集積した独自の短期集中型医療ダイエットを開発。
統合失調症患者の会話の例
身近に、話をしていると支離滅裂になってしまう人がいて…「統合失調症」を疑っています。
統合失調症の人特有の会話の例があれば教えてください。
統合失調症の方と会話していると、普通に話しかけているのに「悪口を言っていただろう」と否定的に取られたり、急に罵られたりすることがあります。
よくある会話の具体例を、
- 家庭内
- 職場
のケース別で紹介します。
ケース① 家庭内での会話
患者さん:声が聞こえた、上に誰かいる…。
ご家族:何も聞こえないよ?
患者本人には幻聴が聞こえているため、何が起きているのか、どうすべきかを確認しようとします。
例えば、「家のどこかに盗聴器が仕掛けてある」「誰かが攻めてくるから家を守ろう」など、守りが必要だという訴えをしてくる場合もあります。
また、症状が強く出る急性期は、一般的な会話が進まない傾向があります。
ケース② 職場での会話
職場の人:一緒に帰ろう!仕事は順調?
患者さん:なんでそんなにひどいことを言うの?
統合失調症の人は、たわいもない会話をしているだけなのに、妄想や幻聴によって否定的な内容に変換してしまうことがあります。
勤務態度は個人差が大きいですが、自信がなくてオドオドしている人や、責められていると感じて攻撃的な態度を取る人もいます。
統合失調症ってどんな病気なの?
統合失調症とは、気持ちや考えがまとまりにくい状態が続く病気です。
といった症状があらわれることがあります。
統合失調症「話し方の特徴」は?
統合失調症の人は、本当かどうか分からないような妄想を語ることが多いです。
妄想により、以下のような発言をすることがあります。
- 芸能人と会って話した(実際には会っていない)
- 人から刺されそうになって危なかった
- 今、悪口を言ったよね?
妄想が強い場合は、病気が進行している可能性も
- 現実では起きていない話をしている
- 混乱していて興奮がおさまらない
といった場合は、統合失調症が進行した段階だと考えられます。
個人差はありますが、このような時期は1ヶ月~数か月(※)続きます。
※治療を行った場合の目安となります。
顔つきの特徴はある?
統合失調症の人は、表情の変化が乏しくなります。
口角が下がり、ぼーっとして見えることも多いです。
不安感や妄想、幻聴といった症状でストレスを感じており、その状態が続くことで、無表情になることが多いと考えられます。
統合失調症になりやすい人は?
といった人は、統合失調症になりやすいと考えられます。
ただし、統合失調症ははっきりとした原因が特定されてないため、誰でも発症リスクがある病気です。
身近な人に統合失調症の特徴がみられたら、どう対処する?
家族・友人なら、病院へ行くよう優しく促そう
家族・恋人・友人などの身近な人に統合失調症の特徴がみられたら、
- 「最近調子が悪そうだから、一度病院へ行ってみよう」
- 「よければ一緒に行くよ」
と声がけしましょう。
また、本人が、つらいと感じていることや悩みを話し始めたら、最後まで口を挟まずに聞いてあげてください。
統合失調症の人と接する際は、相手を否定しないことが大切です。
過度に干渉することは避けるべきですが、進行度合いの把握のためにも、相手の行動や言動はしっかり見ておきましょう。
職場の人なら、上司などに相談しよう
同僚に統合失調症の特徴がみられたら、上司や人事部などの周りの人に相談してください。
早期発見と治療が必要です。
また、統合失調症の人に何か伝えたいときは、口頭で伝えるだけでなく、メモに書いて渡すようにしましょう。
こんな症状は要注意!
- 不眠が何週間も続いている
- 妄想・幻聴などの症状がある
- 会話がままならない
- いつもできていた行動・作業で、できないことが増えている
上記に該当する場合は、統合失調症が疑われるため、早めに病院に行く必要があります。
何科に行けばいい?
「精神科」または「心療内科」で診察を受けましょう。
本人がこれらの診療科に行きたがらない場合は、「内科」で相談しても構いません。
まず内科で診察を受けて、体に病気がなければ心療内科などへ相談する、というケースも多いです。
統合失調症を放置して悪化すると、治療に時間がかかったり、自殺を考えたりするようになる恐れがあるあめ、早期の受診が大切です。
精神科を探す
心療内科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
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2023-01-23
統合失調症の友人と距離を取りたいけど…どうすればいいの?
統合失調症の友人がしつこいと感じる場合の対処法について、お医者さんに聞いてみました。
友人との接し方や距離感を見直したい人は必読です。
統合失調症の友人がしつこい…!放っておいて大丈夫?
統合失調症の友人がしつこいです。チャットや電話で頻繁に連絡してきて困っているのですが…少し距離をおいても問題ないでしょうか?
はい。距離を取っても構いません。
ご自身の生活や精神の安定を優先しましょう。
基本的に、患者のご家族がサポートをしているはずなので、距離を置いても大丈夫です。
統合失調症の友人と今まで通り接するのは難しいので、精神的に疲れたときは、無理せず距離を置きましょう。
もし、サポートしたいと考えて悩んでいる場合は、いったん距離をおいて、自分自身のリフレッシュを心がけてください。共倒れになっては大変です。
こんなときは、距離を置いて様子を見ましょう
声をかけても無気力
活動の場に来ない
引きこもっている
上記の状態は、統合失調症の目立った症状が少なくなる「休息期」だと考えられます。
静かに過ごすことが大切な時期なので、過度に干渉しないようにしましょう。
そのまま治療が進めば、心と体が安定してくる「回復期」に移行する可能性が高いです。余計な刺激を与えないように心がけましょう。
こんなときは要注意!家族に連絡を
妄想が強い
「死にたい」と考えている
上記の状態は、幻覚や妄想などの症状が強く出る「急性期」だと考えられます。
放っておくと危険な状態です。
特に「死にたい」と考えている患者は、放置していると急な行動に出る場合があります。
行動管理が必要な状態なので、医療機関への相談が必要です。自殺願望を示唆する言動が見られたら、患者のご家族へ知らせてください。
統合失調症の人が「しつこくなる」理由は?
統合失調症の人は、妄想や幻聴が出現したり、強迫観念に追われてしまったりすることがあります。
そのため確認や声がけが多くなり、周囲の人から「しつこい」と思われやすいです。
そもそも、統合失調症ってどんな病気?
統合失調症とは、気持ちや考えがまとまりにくい状態が続く病気です。
「幻覚・妄想」「意欲の低下」「感情表現が少なくなる」といった症状が出現することがあります。
人生の転機などで強いストレスがかかると、発症のキッカケとなりやすいです。
強いストレス
仕事や受験などの重圧
結婚・引越しなどの生活の変化
長い緊張状態
などによって発症することが多いですが、はっきりした原因はわかっていません。
連絡の頻度を減らすにはどうすればいい?
急に連絡しなくなると、過剰な心配につながります。
最近、仕事が忙しくなったので集中したい
旅行に行く
など、連絡が少なくなる理由を伝えるとよいでしょう。
統合失調症の人へ正しい接し方
不安な気持ちに共感する
危険がないか見守る
やる気が出ない時期はそっとしておく
統合失調症の人と接するときは、上記を意識しましょう。
接し方① 不安な気持ちに共感する
特に危険がなければ、妄想や幻聴を肯定も否定もせず、不安な気持ちに共感してあげましょう。
否定されずに話を聞いてもらえると、本人が肯定感を得られるため、気持ちが上向きやすいです。
患者本人にとっては妄想も現実世界です。
まずは患者が生きている世界観を認めてあげましょう
妄想や幻聴などに対して「違う、間違っている」などと否定を示すと、余計にヒートアップする人もいます。
接し方② 危険がないか見守る
統合失調症の患者を見守る際は、
刃物やカッターなどを持っていないか
周囲に危険なものがないか
といった点を確認しましょう。
妄想が出現しているときに、事故やケガを招く恐れがあります。
接し方③ やる気が出ない時期はそっとしておく
統合失調症の人が「やる気が出ない」時期は、そっとしてあげましょう。
やる気が出ないときは、症状が落ち着いている「休息期」だと考えられます。
無理をすると、妄想や幻聴などが強くなる「急性期」に移行してしまう恐れがあります。
この時期は比較的コミュニケーションを取りやすいため、「元気なら動こう」とハッパをかけてしまいがちです。
しかし、見かけは元気でも、患者自身はかなりつらい状態なので、過度に干渉せず見守ってあげてください。
統合失調症の人に「してはいけないこと」は?
統合失調症の人に対して、
批判的なことを言う
過度に干渉する
ことは、病状の悪化につながる場合があるので避けましょう。
▼参考
MSDマニュアル 統合失調症
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2021-11-08
「最近、幻覚が見えることがあるけど、これ大丈夫…?」
「ストレスと関係がある?」
その症状は、「統合失調症」が原因かもしれません。
医療機関で診察を受けないと、どんどん悪化する恐れがあるので、放置はNGです。
幻覚とストレスの関係
過剰なストレス・疲労などによって「統合失調症」という精神的な病気を発症すると、幻覚が見えることがあります。
統合失調症は100人に1人程度の割合で発症する病気です。
決して特別な人が発症する病気ではありません。
<ストレスによる幻覚で見えるもの>
たくさんの小さな虫が見える
実際にはいない人が見える
実際にはいない人が自分の悪口を言う
実際にはない物体が見える など
テレビから自分のことが発信されているように聞こえる
「統合失調症」ってどんな病気?
「統合失調症」とは、幻覚や妄想・思考や行動の異常・意欲や注意力の欠如などがあらわれる精神疾患です。
統合失調症の原因は?
明確にはわかっていませんが、就職や独立など環境の大きな変化やストレスがきっかけで発症する場合もあります。
統合失調症になりやすい人
神経質な人
心が傷つきやすい人
一人でいるのが好きな人
ストレスを溜めこみやすい人
主な症状
命令するような声が聞こえる
悪口が聞こえる
誰かに尾行されていると思い込む
いない人が見える
思考が混乱しやすくなる
会話が成り立たない
気分が落ち込みやすくなる
疲れやすくなる
物事に対する意欲が低下する
記憶力が低下する
集中力が低下する など
統合失調症かも…どう対処すればいい?
「統合失調症を疑う症状があらわれた」「周りの人から異変を指摘された」場合は速やかに、精神科の受診を検討しましょう。
精神科を探す
どんな治療を受けるの?
お薬を使った「投薬治療」やカウンセリングなどを行う「精神療法」を組み合わせて、治療するのが一般的です。
症状の度合いに合わせ、社会復帰を目指した「リハビリテーション」を行っていきます。
医師とコミュニケーションをとりながら、焦らずに改善を目指しましょう。
投薬治療とは?
幻覚や妄想などの症状を改善する「抗精神病薬」を中心に、抗不安薬、気分安定薬を飲みます。
自己判断で服用を中止すると、再発や症状が悪化する可能性があるので、医師の指示に従って正しく服用してください。
精神療法とは?
精神療法には支持的精神療法や認知行動療法などの種類があり、医師と相談しながら患者さんにあった方法を選びます。
支持的精神療法では現在の患者さんの悩みに共感し不安を取り除くカウンセリングを行います。
認知行動療法は患者さんを肯定しながら、思考修正などを行います。
投薬治療と平行して行うことが多いですが、症状の改善が見られたら中断することもあります。症状の重さによって異なりますが、5~20回ほど、2~6ヶ月の期間で医療機関に通うことが多いです。
費用…1回の費用は5,000円ほどですが、保険適用になります。
※医療機関によって費用が異なるため、あらかじめ医療機関に問い合わせて確認しておくことをおすすめします。
リハビリテーションとは?
リハビリテーションとは、認知行動療法や、日常生活に関連するものなどの作業を行う作業療法、精神科デイケアなどを行う、社会復帰のための治療方法です。
投薬治療などで症状が軽くなってきたら、導入するケースが多いです。
症状の重さやリハビリテーションの内容によって異なりますが、週に1〜2回のペースで医療機関に通うことが多いです。
費用…1回の費用はリハビリテーションの内容や時間、規模などによって異なりますが、5,000〜10,000円ほどですが保険適用になります。
※医療機関によって費用が異なるため、あらかじめ医療機関に問い合わせて確認しておくことをおすすめします。
入院が必要なケースも
本人が入院を希望している
幻覚や妄想の症状が強い
統合失調症を自覚していない
自殺など命の危険がある
といった場合には、入院を検討するケースがあります。
統合失調症の治療は家族の協力も必要
統合失調症の治療には、家族など周辺の人々の協力も必要になります。
家族も統合失調症について理解を深め、患者さんとの信頼関係を築いてください。
患者さんとの接し方
患者さんの話を最後まで聞く
巻き込まれすぎない
言い合いをしない
感謝の言葉を口にする
褒める
焦らせない
否定しない
放置しないで!早めに医療機関で相談しよう
統合失調症は早期治療によって悪化を防ぐことが重要です。
治療が遅れると、その分、社会復帰に時間がかかってしまいます。
幻覚症状やその他の変化に気づいたら、速やかに精神科など医療機関を受診しましょう。
精神科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
厚生労働省 みんなのメンタルヘルス 統合失調症