「二度寝はよくないって本当?」
朝すっきり起きられず、二度寝をしてしまう人は、睡眠の質が低いのが原因かもしれません。
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
「二度寝」が脳にダメージを与えるってホント?
二度寝が直接脳へダメージを与えることはありませんが、二度寝により体内時計が狂うと、自律神経の乱れが生じます。
睡眠の質も低下してしまうため、間接的には脳の働きに悪影響があると言えます。
夜の睡眠時間をしっかり確保できないと、疲労回復ができないため集中力や判断力の低下につながるなど、身体にもさまざまな悪栄養を及ぼします。
二度寝を続けると、こんな悪影響が!
- 不眠
- 寝起きの悪さ
- 日中の眠気
- 疲労の蓄積
- 集中力の低下
- 判断力の低下
二度寝防止!「最適な睡眠時間」の調べ方
「目覚めた時に疲労感がなく、日中しっかり覚醒して過ごせている」ようであれば、その日の睡眠時間が合っていると考えていいでしょう。
ちなみに一般的には、年齢など個人差はありますが、7時間前後の睡眠時間を確保するのが理想です。
「最適な睡眠時間」を確保するとことで、心身の疲労を回復できます。
さらに嬉しいことには、しっかり睡眠をとることで食欲増進ホルモンの過剰分泌も抑えられるため、食べ過ぎの予防にもつながります。
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「朝食を食べた後は眠くなってしまう」
「二度寝をすると身体によくないの?」
朝食を食べて二度寝をしてしまう人は、朝食を変えると改善できるかもしれません。
お医者さんに、二度寝を防ぐ方法や身体への影響、眠くならない食事メニューについて聞いてみました。
「朝ごはんを食べたあとに二度寝」はよくない?
朝ごはんを食べた後に二度寝をしてしまいます。
でも「朝ごはんを食べた後の二度寝はよくない」と聞いて心配になりました。体によくないって本当ですか?
食後10~15分であれば問題ありません。
ただし、長くても20分以内に目を覚ますようにしてください。
朝食後にしっかりと眠ってしまうと、胃や腸の働きが低下するため、消化不良を起こしやすくなります。また、体内時計が狂う原因となってしまいます。
「朝ごはん後に二度寝」をしてしまったら…
朝食で食べたものがしっかり消化されていないおそれがあるため、リラックスして過ごしましょう。
リラックスしているときには副交感神経が優位となり、消化が促進されます。
そもそも“二度寝”って体によくないの?
二度寝はあまりおすすめしません。
二度寝によって体内時計が狂うと、日中の集中力の低下や体のだるさ、不眠などにつながるおそれがあります。
ただし体内時計が狂わない程度の短時間の仮眠であれば、さほど問題はないでしょう。
「朝ごはん後の二度寝」で太りやすくなる?
「朝ごはんの後二度寝」を習慣化していると太りやすい体質になる恐れがあります。
二度寝は体内時計を乱す原因であり、自律神経の乱れにつながります。自律神経の乱れによって、消化がうまくいかなくなったり、基礎代謝が落ちたりするため、太りやすい体質になります。
二度寝の時間が長い人や何度も二度寝をする人は注意が必要です。
眠気防止に「朝食にプラスα」しよう!
朝食に
柑橘類
食物繊維が豊富な食材
ヨーグルト
を取り入れることで、食後に眠くなるのを防ぐことができます。
①柑橘類を意識して摂取する
みかんを意識的に食べるのがおすすめです。
みかんに含まれる「βクリプトキサンチン」という物質は、インスリンの効きをよくし、血糖値を下げる効果が期待できます。
みかんを食べるタイミングは特に決まっていませんが、継続して摂取することが大事です。
②食物繊維が豊富な食品をとる
海藻類や野菜など、食物繊維が豊富な食べものを朝食に選びましょう。
食物繊維には糖の吸収を穏やかにし、血糖値の急上昇を抑える働きがあります。血糖値が緩やかに上がることで、食後に眠くなるのを抑えることができます。
③ヨーグルトを食べる
食前にヨーグルトを食べることをおすすめします。
お砂糖の入ったものではなく、無糖のヨーグルトを選びます。甘みが欲しい場合は、果物を入れるといいでしょう。
ヨーグルトに含まれる「ホエイプロテイン」という成分は、血糖値を下げるホルモンの分泌を促進します。
血糖値を上がりづらくすることで、食後の眠気を抑えることができます。
▼参考
e-ヘルスネット「ノンレム睡眠」
田村明、加藤昌彦「イラスト人体そのしくみと働き」東京教学社,2009年.
伊藤内科・血液内科「#46二度寝の効用?効率的な睡眠とは?」
e-ヘルスネット「血糖値」
厚生労働省「みかんの機能性と生活習慣病予防効果」
朝すっきり目覚める4つのポイント
朝にすっきり起きるために、
- 休日も平日と同じような生活リズムで過ごす
- 就寝の2~3時間前に入浴する
- 就寝前のアルコール・カフェインの摂取は控える
- 昼寝は早めの時間に短時間で済ます
といった習慣を作りましょう。
①休日も平日と同じような生活リズムで過ごす
平日も休日も同じような生活リズムで過ごしましょう。
生活リズムが確立することで、体内時計のリズムも整います。
体内時計のリズムが整うことで夜になると自然と眠くなり、質の高い眠りが得られます。質の高い睡眠を得られると心身の疲労も回復できるため、朝スッキリと目覚めることができるようになるでしょう。
②就寝の2~3時間前に入浴する
就寝の2~3時間前に入浴することで、就寝前に体温を一時的に上げてあげることができ、入眠しやすくなります。
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入浴時間の目安
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38℃のぬるめのお湯
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25〜30分程度
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42℃の熱めのお湯
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5分程度
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約40℃のお湯で半身浴
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30分程度
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③就寝前のアルコール・カフェインの摂取は控える
アルコールやカフェインは中途覚醒の原因となるため、就寝前に摂取するのは控えましょう。
アルコールやカフェインを摂取するのであれば、就寝の4時間前までが目安です。
④昼寝は早めの時間に短時間で済ます
昼寝をするなら15時までに30分以内が理想です。
早めに昼寝をすることで、夜の睡眠を妨げる心配がなくなります。
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「明日も朝早いのに眠れない…」
「すぐに眠れる方法が知りたい!」
公認心理師・臨床心理士の赤田太郎先生が、スムーズな入眠をサポートする方法をご紹介。
寝付けなくてお困りの方は、ぜひお試しください。
※動画による解説は記事末尾から
今すぐ寝たいときは「漸進的筋弛緩法」を試してみよう
最近寝つきが悪くて困っています。
明日も仕事で朝早いのに…。すぐに眠れる方法ってないのでしょうか?
眠れないときには、「漸進的筋弛緩法(ぜんしんてききんしかんほう)」がおすすめです。
意識的に筋肉の緊張と弛緩(緩める)を繰り返すことで、体と心の緊張をほぐしていきます。
体全体がリラックスするので、スムーズな入眠に繋がりますよ。
漸進的筋弛緩法のやり方
まずは楽な姿勢で座ります。
その後、体の各部位の「筋肉を緊張させる⇒脱力する」という行為を2回ずつ繰り返していきます。
手・腕
頭部(額・目・顎)
首肩まわり
上半身(胸・お腹)
足
の順に行いましょう。
大切なのは、緊張した筋肉が緩んでいく感覚を意識することです。
ここからは詳しい手順を解説していきますので、ぜひ実践してみてください。
※漸進的筋弛緩法の注意点※
漸進的筋弛緩法は、著しく体力が低下している方や治療中の疾患・ケガのある方が行うと、不快感が生じたり、症状が強くなったりする可能性があります。特に現在通院中の方は、必ずかかりつけ医に相談してから実践するようにしましょう。
1. 手・腕の筋弛緩
▼手の筋弛緩のやり方
椅子やベッドで楽な姿勢で座り、目を閉じる。
右の拳を、体を痛めない程度に、少し強めに握る。
指と腕の力を抜いていく。
①~③を2回繰り返す。
左手も同様に行う。
▼腕の筋弛緩のやり方
右腕の肘を曲げて力を入れる。
腕をゆっくり伸ばして、緊張を緩める。
緊張のある状態とない状態の違いを感じながら、リラックス感を深める。
①~③を2回繰り返す。
左腕も同様に行う。
目を閉じるのが不安な人は、開いたままでも構いません。
「力を入れたときの緊張」と「脱力するときの弛緩」の違いを味わうようにしましょう。
2. 頭部(額・目・顎)の筋弛緩
▼額の筋弛緩のやり方
額にシワを寄せるようにして力を入れる。さらに力を入れる。
だんだんと額の力を抜く。額全体のシワがなくなっていくことをイメージする。
①~②を2回繰り返す。
▼目の筋弛緩のやり方
目を強く閉じる。目やまぶた以外の部分に力が入らないようにする。
目を閉じたまま、力を抜いていく。
①~②を2回繰り返す。
▼顎の筋弛緩のやり方
歯を食いしばる。
顎を固めて、唇も強く閉じる。
だんだんと力を緩めて顎と口をリラックスさせる。
①~③を2回繰り返す。
額・目・顎の筋弛緩トレーニングを行うことで、顔全体が自然とゆったりして、表情がリセットされます。
顔の筋肉を滑らかにして、穏やかな気持ちを味わいましょう。
3. 首肩まわりの筋弛緩
▼首の筋弛緩のやり方
首をできるだけ後ろに曲げて、首の緊張を感じる。さらに強く緊張させる。
ゆっくりと首を楽な位置に戻す。
①~②を2回繰り返す。
▼肩の筋弛緩のやり方
肩をすくめて上にあげる。
さらに肩を上にあげながら、胸を開くように肩を開く。
ゆっくりと肩の緊張を緩める。
①~③を2回繰り返す。
リラックス感が、顔・腕・肩・背中に染み渡るのを感じましょう。
4. 上半身(胸・お腹)の筋弛緩
▼胸の筋弛緩のやり方
楽に呼吸を続ける。息を吐くとき、体全体が緩んでいくことを感じる。
深く息を吸う。
しばらく息を止めて緊張を感じる。
ゆっくりと胸の緊張を緩めて、息を吐きだす。
自然に呼吸しながら、体全体をゆったりさせる。
①~⑤を2回繰り返す。
▼お腹の筋弛緩のやり方
腹筋に力を入れてお腹を固くする。
力を抜いて腹筋を緩める。
①~②を2回繰り返す。
5. 足の筋弛緩
両足をつま先まで精いっぱい伸ばして、足を突っ張る。
同時に足全体とおしりにも力を入れる。
ゆっくりと自然に足の力を抜く。
①~③を2回繰り返す。
全部終わったら、大きく深呼吸をします。ゆっくりと長い深呼吸をして、リラックス感を味わいましょう。
最後にもう一度深呼吸をして、体全体の筋肉をゆったりさせます。
全身の筋肉が緩んだら、5~1までの数字を心の中で数えてください。1まで数えると、頭がすっきりして気分爽快になります。
眠気が強い方は、そのままお休みください。
毎日の習慣にすると効果的!
漸進的筋弛緩法は、初めてすぐには効果を実感しにくい可能性があります。
まずは1週間続けてみることをおすすめします。
効果を感じた場合もすぐにやめるのではなく、毎日の習慣にして、できるだけ長く続けるといいですよ。
▼動画による解説はこちら
≪チャンネル紹介≫
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